「天候調査」からの「条件付き運航」

大雨が降りました。熊本県下では広範囲に、大雨や洪水の警報が出ています。明日以降も心配です。

そんな豪雨の夕刻、空路で大阪から熊本に戻ろうとしていた者がいます。私です。

午後から雲行きが怪しくなり、14時前ごろANAから「天候調査のお知らせ」というメールが届きました。

さらにその天候調査の結果、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2905.html" target="_blank" title="条件付き運航">条件付き運航</a>」となってしまいました。ANAからの15時過ぎの連絡によると、

「ANA527便 (大阪/伊丹16:40発–熊本17:50着)は、熊本空港視界不良のため、条件付きの運航となりました。

 熊本空港に着陸出来ない場合は、大阪/伊丹空港に引き返すか福岡空港に向かう可能性もございます。

 あらかじめご了承ください。」

さて、熊本空港で着陸を何度か試みてダメと判断するのが18時としますと、大阪に戻れば19時を過ぎます。

それから急いで新幹線に乗るにしても、今日中に熊本まで帰り着けるかどうか。

せめて、福岡空港に着陸してほしいと願うばかりです。福岡なら、夜遅くでも高速バスで帰れそうですから。

いずれにしても、私はANAに「ご了承」するしかありません。

このような、条件付き運航とか天候調査というのには時々遭遇します。航空便では避けられないことなのです。

ただ幸い、天候を理由に、元の空港に引き返したり他の空港に着陸した経験はありません(欠航はあります)。

ですが万一のことがあると、翌日の予定がガタガタです。それが診療日だと一大事です。

なので<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2558.html" target="_blank" title="夜遅くに空路で熊本に帰ってくるような旅程">夜遅くに空路で熊本に帰ってくるような旅程</a>は、怖くて計画できないのです(翌日が休みならOK)。

なお今日は、26分遅れで無事熊本空港に着陸できました。

危機感を抱くべき感染拡大中なのに

発熱外来受診者にコロナの検査を勧めると、「いまコロナ流行ってるんですか?」と尋ねる人が多いです。

コロナが第9波に入っていることは報じられていますが、そのインパクトが伝わって来ないのでしょう。

その、いまひとつインパクトに欠ける「定点あたり報告数」は、「5類化」以降毎週着実に増え続けています。

熊本県の最新週の(6/19~6/25)報告数は、定点あたり8.75でした。

5/8からの推移を見れば、2.06→2.30→2.41→3.54→5.43→6.38→8.75と、危機感を抱くべき増え方です。

発熱外来をやっていると、この数字は脅威に感じますが、それが世の中には必ずしも伝わっていないようです。

コロナによる学級閉鎖が出ている学校と、そうでない学校では、とくに大きな温度差を感じます。

今日の発熱外来のコロナ陽性者は6人でしたが、そのうち3人は、周囲にコロナなどいないという方でした。

そのような方は検査にも応じてくれない場合が多いのですが、説得して検査したら、しばしば陽性が出ます。

5類化以降、世の人々の危機感が、感染の実態とはかなり乖離しているように思えます。

メディアには、危機感を煽れとは言いませんが、実態をもっと具体的に切実に報じてほしいものです。

「住所の表記ゆれ」問題は厳しい

マイナカードで「名前のよみがな」が問題になったと思ったら、こんどは「住所の表記ゆれ」ですか。

「上南部2丁目4番2号」か「上南部2ー4ー2」か、どちらか一方に統一しなければ前に進まないようです。

河野デジタル相が「日本の住所はヤバい」と言うまでもなく、簡単に解決するとは思えない難問です。

名前によみがなを付けていくとか、住所表記を統一するとか、いずれもそうとうに困難な作業が待っています。

前者は住民本人の意思確認が必要でしょうし、後者は統一ルール作りから始めなければなりません。

よみがなと住所の表記ゆれの問題化はつまり、マイナンバー制度の完成度の低さが露呈したということです。

それなのに、保険証を廃止する期日を決めてしまい、何が何でもマイナ保険証の普及を急ぐ必要がありますか。

トラブルはあるにせよ、マイナ保険証の利用者は確実に増えています。その積み重ねを大事にしましょうよ。

いま政策を修正するとすれば、マイナ保険証と従来の保険証の併存期間をずっと長くすることでしょう。

併存してる間なら、マイナ保険証にトラブルが起きても、保険証を使って現場(医療機関)で対処できます。

そんな風にして、時間を掛けて「バグ取り」してから、本番(保険証廃止)に進めば良いだけの話でしょ。

そうこうするうちに、よみがなと住所の問題も、なんとかなるんじゃないの?(無理かもしれんけど)

プレミアムクラス

飛行機に乗るとき、私はたまに「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2280.html" target="_blank" title="プレミアムクラス">プレミアムクラス</a>」というシートに座ることがあります(ANAの場合)。

けっして贅沢をしているわけではありません。プレミアムクラス(以下PC)を使うのは、次の場合だけです。

(1)ギックリ腰の直後などで腰痛がひどいのに、どうしても飛行機に乗る用事ができたとき

(2)普通席で購入したが、PCに空席があり、ポイント等を使ってアップグレードできたとき

アップグレードの受付は、搭乗の2日前の午前0時開始です。つまり夜中から「争奪戦」が始まるわけです。

PCに空席があれば「早い者勝ち」です。最初から空席が無いときは、残念ながら「不戦敗」となります。

路線や曜日や時間帯にもよりますが、その飛行機(機材)のPC総座席数が、競争倍率を大きく左右します。

熊本–那覇便で使われる小型機「Boeing 737-800」では、PCは2列8席しかありませんが、空席が目立ちます。

一方で熊本–羽田便だと、使用機材が何種類もありますが、小さめの機材ではPCがすぐに埋まってしまいます。

今日は羽田まで往復してきましたが、搭乗予定機材は「Boeing 787-8」の国際線仕様、通称「78M」でした。

これは7列42席と極端にPC席数が多いので満席になり難く、ほぼ必ずアップグレードできる嬉しい機材です。

ところが昨日になって、往路が国内線仕様の「Boeing 787-8」(通称「78P」)に変更されてしまいました。

CAさんに聞くと、機内のスピーカーが突然9カ所故障したため、だそうです。どういうアレなんでしょうね。

78PのPCは2列12席なので、もしも予約時のPCが満席なら、30人が普通席に追い出される羽目になります。

ですが元々の予約がガラガラだったため、PC座席数が減っても大丈夫でした。コレ喜んで良いものかどうか。

そもそも、熊本–羽田路線に78Mは荷が重いと思うんですが、なぜか今後しばらくその運用のようです。

創作活動はどうなる

生成AIの進化が速すぎてついていけませんが、もう、しょうがないですね。

文章やイラストだけでなく、声や動画も作り出してしまいます。

人の声を真似て自由にしゃべることもできるので、オレオレ詐欺などに悪用されないことを祈るばかりです。

早晩、AIの声と本人の声が聞き分け不可能なレベルになることは間違いありません。

『サザエさん』の登場人物のマスオさんの声にはいまだに慣れませんが、今後はその心配も無用ですね。

前のマスオさんの声をAIに学ばせれば、今後どんなセリフでも増岡弘氏の声で吹き替えできますから。

こうなるともはや、声優全員失業です。彼らは今後、音源提供料で稼ぐしかありません。

それどころか、俳優も失業ですね。動画だって本物そっくりになるでしょうから。

あとミュージシャンね。歌唱も楽器演奏も、AIがその音楽家に酷似のパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

作詞作曲だってAIがやってくれるし、AIが歌ってAIが音を付けるので、もう音楽家なしで楽曲が仕上がります。

クリエイティブな作業は人間にしか出来ないと、つい数年前まで思って来ましたが、違いましたね。

人間の創作活動だって、自分の経験や見聞きしたことを元にした応用作業であり、結局、生成AIと同じです。

むしろ生成AIが「見聞きした」情報の方がはるかに大量なので、創作活動の幅も人間とは比較にならないはず。

この流れ、残念ながらもう誰にも止められません。人間にしかできない創作活動って、あるんでしょうかね。

超高齢感染者に対しては、保健所の積極的介入を希望します

2日連続で書くのもくどいですが、日曜日は「週計」をする日なので、当院のデータをまとめてみます。

5類化後(5月8日以降)の、当院における毎週の陽性者数は、5→7→9→13→15→27→29という推移です。

これを頭打ちと判断するのは尚早。その29人の陽性者以外に、感染確定後の方の受診も増えているからです。

他院でコロナと診断された方の処方や、登園許可証を求めて来院するお子さんもいます。

自宅での抗原検査は、研究用キットでは偽陰性も偽陽性も見かけるので、参考程度にしておきます。

一方で医療用では偽陽性がほぼないので、陽性が出たら確定的ですが、偽陰性例にはしばしば遭遇します。

ある90代の方が「受診相談専用ダイヤル」に入院希望を伝えたら、必要なら救急車を呼べと言われたとのこと。

これではまるで、第8波の医療ひっ迫時と同じような状況です。

まだ第8波ほどの感染者数には至っていませんが、5類化したために保健所の対応が渋くなっているのです。

さいわいその高齢者は全身状態も酸素飽和度も良かったので、そのまま自宅療養としましたが、要注意です。

国が新たなコロナ対応方針に舵を切ったのだから仕方ない、と諦めるわけにはいきません。

たしかに感染拡大を抑える政策はもう終わっていますが、重症化対策だけは手を抜かないでいただきたい。

とくに超高齢の感染者については、発熱外来任せにせず、2類の時と同様に保健所に介入してもらいたい。

ちょっとした風邪症状の方が、意外とコロナです

毎週日曜日には、新型コロナの現状を書くことが多いですが、今日は1日前倒しして書きます。

というのも、今日の発熱外来では、かなり急激に感染者が増えている印象をもったからです。

発熱外来受診者22人のうち、コロナの遺伝子検出検査(NEAR法)を行ったのは11人。検査率50%でした。

その11人のうち、陽性者は8人。陽性率73%。年齢は5歳〜70歳。

周囲にコロナ感染者がいるので検査したら、やっぱり陽性だった、という方は8人のうち3人。

残る5人の陽性者は、風邪と思ってたらコロナですか、どこで感染したんだろう、みたいな方でした。

以前は前者のような方がほとんどでしたが、この2,3カ月は後者のような方が大半です。

ですがそれ以上に、検査を受けなかった発熱者が多く、大別すると次の2パターンあります。

(1)たぶんコロナじゃないので、検査しない

(2)たぶんコロナなので、もはや検査しない

検査費用の公費負担がなくなって(1)のような人が増えましたが、最近は(2)の方も目立ちます。

いずれも、適切に自主療養していただけるか、万一の重症化を早期発見できるか、そこがカギとなります。

はたして一律に公費負担をなくしてしまってもよかったのか、発熱外来をしていて今更のようにそう感じます。

高齢者や基礎疾患のある方に限って、医師の判断で検査の公費負担を認めるような特例はできませんかね。

クマゼミの羽化観察記

その年に初めて聞くセミの声、あるいはそのセミのことを「初蝉(はつぜみ)」といいます。夏の季語です。

私の場合、昨年はそれが<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3925.html" target="_blank" title="7月2日">7月2日</a>のことでした。

今年はどうかと思っていた矢先の今日の夕方、自宅の庭をふと見ると、褐色のセミの幼虫が歩いていました。

毎年セミの楽園になる<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2469.html" target="_blank" title="シマトネリコ">シマトネリコ</a>の根元付近を、木とは反対向きの、人工芝の方に向かって歩いていました。

見れば地面に、幼虫が出てきたと思われる直径3cmほどの穴がぽっかりとあいていました。

落ち葉を幼虫に近づけると、絡んできたのでそのまま吊り上げ、木の根元にそっと移動してやりました。

すると幼虫はさっそく、幹を垂直に登り始めました。時々短い休憩をとりながら、どんどん登っていきます。

枝の先の、そのいちばん先まで到達すると、落ちないように慎重にからだの向きを変え、Uターンしました。

この幼虫の木登りは、午後6時半から7時過ぎまでの、まだ明るい時間帯の出来事でした。

その後はじっと見ていても目立った動きがなかったのですが、暗くなってから、いよいよ羽化が始まりました。

なお、羽化の最中の虫体は非常にデリケートなので、絶対に人の手で触れてはなりません。

午後8時前ごろからだんだんと背中が膨らみ、やがて少し割れて白緑色の体が見えてきました。

さらに30分ぐらいの時間をかけて、成虫の体が徐々に飛び出してきて、エビ反り状態になりました。

それから、小さく折りたたまれていた緑色の翅が、わっと広がり始めました。

ついに午後9時前には成虫の全身が露出、抜け殻に馬乗りになり、翅を大きく広げ、じっと休んでいました。

薄い緑色に縁取りされた翅は柔らかそうで、まだとても飛べる状況ではないでしょう。

体は鮮やかなオレンジ色です。昼間であればただちに鳥の餌食になるであろう、もっとも無防備な状態です。

何年も暮らしてきた土から出て、セミはついに翅を広げました。朝までに体を完成させ、飛び立つのでしょう。

きっと明日は、初蝉を聞く日になりそうです。

長い目で見て、まだコロナは流行の真っただ中です

毎日毎日、当院の発熱外来を受診する発熱者のうちの何割かは、コロナ陽性です。

でも高熱でも検査は希望しないし、そもそも感染症とさえ思っていない方がいます。気持ちはわかります。

「たぶん疲れだと思うんです」

「エアコンが効きすぎてたんですよね〜」

ワクチンの副反応や熱中症などでもない限り、発熱は何らかの感染症を疑うサインです。

疲れやエアコンの効きすぎで体力・免疫力が低下したことによって、感染症を発症したと考えるべきでしょう。

「ウイルスとかじゃないと思うんです」

新型コロナのおかげで「ウイルス感染」が嫌われています。ウイルス=コロナ、の雰囲気なのでしょう。

ですが、ウイルスでなければ細菌か、別の病原体による感染症ということになって、逆にややこしいです。

普通の風邪はおおむねウイルス感染です。そして新型コロナも、言うなれば新種の風邪です。

コロナ禍当初から、コロナなんてただの風邪だと言う人がいましたが、しかしそれは少し違います。

ウイルスが人類に馴染んで弱毒化し、また多くの人々にある程度の免疫ができるまでは、油断はなりません。

変異が激しいので、今後何度も流行再拡大を繰り返し、場合によっては再強毒化する可能性もあります。

感染者の全数がわからなくても、重症化率や死亡率は工夫して評価していかなければなりません。

まだポストコロナではありません。あくまでウィズコロナです。普通の風邪扱いするのはまだ早いのです。

マイナ保険証ご利用の方は、必ず従来の保険証もご持参ください

マイナ保険証が、医療機関の資格確認端末で「無効」と判定されてしまう問題。当院でも時々遭遇します。

加藤厚労相が昨日の会見で、マイナ保険証が無効と表示された場合の対応について、次のように述べました。

(1)職場が変わったなどで、まだ保険証が発行されていない場合(いわゆる「保険証切り替え中」のケース)

保険証の持参忘れの場合と同様、現行の取扱いで対応する。(つまり10割負担やむなし、ということですね)

(2)保険証は発行されているが、マイナ保険証システムへのデータ登録が完了していない(登録遅れ問題)

患者の自己負担は3割分等とし、医療機関は事後的に医療保険の資格情報を確認してレセプト請求を行う

(3)保険証は発行され、システムへのデータ登録も完了しているが、システムトラブルで資格確認ができない

患者の自己負担は3割分等とし、医療機関は事後的に医療保険の資格情報を確認してレセプト請求を行う

このうち(2)(3)、はマイナ保険証しか提示しないからこその、新手のトラブルです。

そしてその場合、患者に負担はさせられないので医療機関の側でなんとか工夫しろ、ということらしいです。

従来の保険証があれば即座に解決することなので、患者さんにはつねに保険証も携帯していただきたいですね。

保険証を持参してない方には、ご面倒でも家に取りに帰ってもらうか、後日再提示してもらうことになります。

将来、万一(?)保険証が廃止された場合には、どうなるんでしょうね、いったい。