当院では、新型コロナウイルスの「核酸増幅法」による検査装置を導入し、今日から運用を開始しました。
「NEAR法」という方法でウイルス遺伝子(核酸)を増幅する、アボット社の「ID NOW」という機器です。
核酸増幅法による検査法では、「PCR検査」があまりにもよく知られています。
PCR検査は、独特の温度操作によって核酸を増幅させる方法で、結果が出るまでに時間がかかるのが難点です。
一方でNEAR法は、酵素を用いた「等温核酸増幅法」による増幅で、結果判明までの時間が短いのがウリです。
当院ではこれまで、検査センターに委託してPCR検査を行っており、その結果判明は翌日または翌々日でした。
ところがNEAR法だと、すぐその場で(5〜13分で)結果が出ます。
今日は午後3時以降の発熱外来で、12人の受診者全員にNEAR法で検査を行いました。
そのうち陽性は9人。この陽性率75%は、抗原検査とは異なる、まさにPCR検査並の結果でした。
コロナ陽性か陰性かがその場でわかることで、とくに陽性であった場合、良いことがいくつもあります。
まず第一に、コロナ陽性確定後の処方は全て「公費」の扱いとなるので、解熱剤や咳止めなどが無料です。
適応がある患者さんには、コロナ治療薬の処方や、保健所への届出(HER-SYS入力)もすぐに行えます。
その結果、保健所から患者さんへの連絡も早くなるので、その後の治療にも有用です。
医療機関としても、陽性判定後の医療に対して一定の「加算」が取れるので、助かります。
調剤薬局は、薬を調剤して渡すだけで支払作業が不要なので、作業が楽だし患者さんの流れも良くなります。
何よりも、明日の休診日に、PCR検査結果の連絡その他の作業をする必要がないのが、私はいちばん嬉しい。