療養解除前の確認検査は不要、ということになっています

発熱外来では、早く結果を知りたいという理由で、PCR検査ではなく抗原定性検査を希望する方がいます。

しかし、PCR検査と抗原定性検査は、単にその感度や所要時間の違いだけではなく、目的が異なります。

「感染の有無を調べるのがPCR検査で、感染力を調べるのが抗原検査」と考えましょう。

PCR検査は、ウイルス遺伝子(核酸)を増幅して調べる検査なので、感染しているかどうかを判断できます。

わずかな量の核酸を特殊な方法で無理くり増幅するので、感染初期でも無症状でも検出することができます。

抗原検査は、ウイルスが産生する特定のタンパクを調べるもので、ウイルスの活動性を知ることができます。

タンパク量が少なければ検出されにくく、感染の初期や症状が軽いうちは偽陰性が出やすくなります。

「療養解除日に自主的に抗原検査したら陽性が出た」という相談を時々受けます。出たのなら仕方ないですね。

感染力の残存を示すのか別の要因か、解釈に迷うばかりなので、解除前の抗原検査を私は推奨していません。

PCR検査も同様。ウイルスの残骸を検出することがわかっているので、感染後の検査はやはり推奨しません。

しかし、感染者の職場復帰前に、それらの「確認検査」を求める事業所等がいまだにあります。

当院ではそのような検査はお断りしてきましたが、それで困るのは患者さんです。どうしたものですかね。