『ER救命救急室』など、米国のTVドラマでの心肺蘇生の救命率が高すぎる、という研究記事がありました。
患者や家族に、非現実的で楽観的な、誤ったイメージを与えるのが問題だといいます。
それを言うなら、心肺蘇生に限らず、ドラマの緊急手術が「無事成功」する確率も尋常ではないでしょう。
誰もがさじを投げるような難手術だって成功するし、しかもその術後経過の順調さは奇跡的です。
でもそれがドラマなのです。困難を乗り越えた喜びや感動を描くのが、そもそもドラマの趣旨なのですから。
失敗手術や合併症に苦しむ姿や死亡例の数々は、単に、ドラマとして取り上げないだけの話。
いみじくも旧友・松谷君が発した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2404.html" target="_blank" title="「それは描かんのよ」">「それは描かんのよ」</a>なのです。奇跡や感動を描くからこそドラマなのです。
弥七の風車は、絶妙のタイミングで悪代官の腕に刺さります。弥七の失敗例など見たことがありません。
凶悪犯は必ず最終的に捕まるか死亡し、主人公は撃たれても死にません(最終回を除く)。
事故に遭った旅客機は奇跡的に着陸し、惑星の地球衝突は避けられ、異星人は撃退できるのです。
とは言え、最近では必ずしも完全なハッピーエンドではなく、ほろ苦い敗北感を残すことも多くなりました。
ただ医療系に限ると、不幸な結末では悲しすぎるので、映画はともかくTVドラマでは描きにくいですね。
「んなことあるかい」とツッコみながら、奇跡的な医療現場を目撃するのが、正しい視聴態度なのでしょう。