「マイナ保険証」普及のための「加算」の右往左往

「マイナ保険証」普及のため、来年4月から従来の保険証の利用者負担がさらに増やされることになりました。

今年4月の診療報酬改定では、マイナ保険証を利用した方が診療報酬が高くなるように設定されていました。

初診料の「加算」は、3割負担の場合、マイナ保険証だと21円、従来の保険証なら9円の患者負担でした。

マイナ保険証に対応するための設備投資等が医療機関の負担となるため、それを手当するための措置です。

しかし、患者負担が割高になることはマイナ保険証の普及には逆効果であることが問題となりました。

すると10月からは180度方針転換。こんどは従来の保険証を使った方が、患者負担が高くなりました。

初診料の加算は、マイナ保険証だと6円、従来の保険証なら12円の患者負担になりました。

そしてこのたび、来年4月から従来の保険証の場合の患者負担が、18円に増えることが決まったわけです。

このような改定は、マイナ保険証への切り替えを促す、国民に対するインセンティブです。

ただし医療機関にとっては、マイナ保険証が普及する方が損をするという、微妙な逆効果を生み出しています。

あちらを立てればこちらが立たず。大事な制度改革を姑息的に済まそうとするから、こうなるのです。

マイナ保険証普及のインセンティブを、診療報酬の微調整で手当てしようという発想が、そもそも間違いです。

医療機関にとって、マイナ保険証対応設備の初期費用は補助金では足りず、導入後も永続的に負担が続きます。

これは重大な医療制度の改革なのですから、政府が全工程の面倒をきっちりみるべきです。

なお、マイナ保険証の有無にかかわらず、マイナ保険証「未」対応医療機関を受診すれば、加算が付きません。

当院もまだ未対応(カードリーダーは届いたけど準備中)。今ならオトクですよ。

電子機器は、いきなり電源プラグを抜かないこと

清掃業者にお願いして、院内のワックスがけをしました。今日は年末バージョンなので徹底的に行いました。

その準備作業として、床の上にある動かせる物はすべて、別の場所へ移しておきました。

電子カルテ用のMacや大型FAX複合機は、すべてのケーブルを外して丸裸にして運び出しました。

こういう作業は後々の再設置・再配線を考えると面倒ですが、私は嫌いじゃありません。なんなら好きです。

ワックスがけが終わり、複合機を元の位置に戻した時にしかし、そのトラブルが発覚しました。

電源を入れても起動しないのです。初期画面が出てもそれ以上進まず、再起動を何度も自動的に繰り返します。

これは緊急事態。このままでは、FAX送受信・コピー・スキャン・処方箋や領収書の印刷ができません。

スキャンや印刷は他の機器で代用できますが、コピーとFAXが使えないのは明日の診療において致命的です。

すぐにサービス業者に連絡し、来ていただきました。3時間以上かかりましたが、無事修理できました。

重要部品が壊れていたようで、交換したら治りました。私の電源の切り方が悪かったのかもしれません。

本来なら、主電源を落としてから電源プラグを抜くべき所を、私はいきなりプラグを抜いたのです。

プリンタやスキャナならそれでも良かったかもしれませんが、FAXの場合は通信中の可能性がありました。

たとえ静かにスリープしていても、複合機はいつも稼働している可能性を考慮しなければなりませんでした。

この複合機はリース期間が終わって再リースしたばかりでしたが、つまり故障する頃合いなのかもしれません。

乳幼児への新型コロナワクチンの接種は、まだわずかです

オミクロン株対応ワクチンの発症予防効果は71%だったことが、国立感染症研究所の分析で判明しました。

思いのほか良い数字だと思います。

面と向かって咳込まれたり、どうしても密着して診察する必要に迫られたとき、ワクチンの効果が頼りです。

毎日のように何人もの感染者と対峙している私は、防護具だけで感染が完璧に予防出来るとは思っていません。

ワクチンで獲得した免疫が、ウイルスを毎日適度に吸い込むことによって強く維持されていると考えています。

昨日行ったPCR検査43件のうち、陽性は32件でした。この陽性率74%は、第7波のピーク時に匹敵します。

ワクチンの接種が進んだ上での、この陽性率ですから、これまでよりも大きな波の到来になるかもしれません。

そんな中で、子どもへのワクチン接種が低迷しています。乳幼児に至っては、ほとんどゼロに近い接種率です。

定期接種時に親御さんに尋ねると、接種を前向きに検討している人がほとんどいません。

「悩み中」だと答える人もいますが、大半は「接種するつもりはない」という回答です。

遅ればせながら今週、当院では初めて乳幼児への接種を行う予定です。今日はそのワクチンが届きました。

配送してくれた方に尋ねると、乳幼児用ワクチンの配送はほとんどない、とのこと。

小児へのワクチン接種後の死亡事例が報じられ、そうでなくても低迷している接種が、ますます進みません。

オミクロン株対応でもないし、現時点で私は、乳幼児への接種を強く推奨する気にはなれないのです。

休日当番医はほぼ、休日発熱外来

なんとも寒かった今日、当院は休日当番医でした。予想通り、いつもの日曜日以上の混雑でした。

固定電話は2回線あってもすぐにパンクするので、かかってきた予約電話では長話をしない作戦で臨みました。

氏名や最小限の病状と連絡先だけを尋ね、あとは携帯電話で折り返して病状を尋ねることにしたのです。

その結果、固定電話も携帯電話もパンクしてしまいました。

朝のうちに夕方までの予約枠が埋まりましたが、そんなことはお構いなしに、電話は途切れずかかってきます。

電話が繋がらないのでしびれを切らして直接来院される方もいて、窓口のやりくりは困難を極めました。

今日の市内の当番医は、小児科を標榜している医療機関が当院1カ所のみという割り振りの悪さ。

しかも、日頃も日曜診療をしている当院を当番医に当てることは、市内の休日診療体制にとっては不利です。

その意味で、今後は当番医の分担を返上しようかと、今日は本気でそう思いました。

受診者は全部で86人。PCR検査を43人に、抗原検査は33人に行うという、発熱外来メインの当番医でした。

その抗原検査の陽性者は21人。陽性率は6割を超えています。明日判明するPCRの結果は果たしてどうか。

私の頭部に生えている「毛」たち

【髭(くちひげ)】

もう20年近く、生やし続けています。今は白い毛が6割。開業した15年前頃は、黒だけだったんですけどね。

【鬚(あごひげ)】

開業前にいったん剃ったのですが、やがて復活。ただし今は、髭とともにずっとマスクに隠れてます。

【髯(ほおひげ)】

これも数年前に復活。マスクからはみ出しています。髭・髭・髭の手入れはいつも休診日(火・金)の朝です。

【睫毛(まつげ)】

しばしば抜けて目の中に入り込み、チカチカ痛むので困ります。もともと少ない睫毛がますます減っています。

【眉毛(まゆげ)】

トシをとると、ペンギン(または村山さん)のようにすごく長いヤツが生えてるくるのは、どうしてですかね。

【耳毛(みみげ)】

これもまた、よく伸びますね。時々専用のカッターで切りますけど、しばらく忘れてるとかなり長くなります。

【鼻毛(はなげ)】

そんなに悪い空気は吸ってないのに、勢いよく生えてきます。余計なお世話です。幸い、マスクに隠れてます。

【頭髪(とうはつ)】

昨日も<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1247.html" target="_blank" title="美容室でカット">美容室でカット</a>(だけ)するという不法行為を犯してしまいました。でも、おかげでスッキリです。

インフルエンザがついに、流行入り

熊本市のインフルエンザ患者の定点当たりの報告数が、1.00となりました。「流行入り」を意味します。

市内に25ある定点医療機関の患者報告数の合計が、12/5〜12/11の週はちょうど25だったということです。

当院でも、先週2人、先々週は1人のインフルエンザ感染を診断しています。定点よりも1週間早い動きです。

インフルエンザによる学級閉鎖も、先週2年9カ月ぶりに報告されました。今後爆発的に増えそうな気がします。

コロナ禍下の2020年と2021年は、ほぼゼロに近いほどインフルエンザが流行しなかったのはご存じの通り。

実はその前年の2019年もインフルエンザは例年ほど流行しませんでしたが、その前年は流行りました。

2018年の定点あたり1を超えた「流行入り」は、奇しくも今年と同時期の12/3〜9日の週でした。

その3週間後には定点あたり10を超える「注意報」、その2週間後には30以上の「警報」レベルとなりました。

つまり、流行入りしてから5週間で、警報レベルの大流行に至ったということです。

今期も4年前と同様に経過するとすれば、年末年始に大流行を迎えることになります。

そしてまったく同時期に、コロナ第8波がピークを迎える雲行きです。いやはや、だいぶヤバいと思います。

先週の当院のインフル2名は、コロナとインフルの同時検査をしたら、インフルの陽性が判明したケースです。

濃厚接触者などよほどコロナの疑いが強くない限り、発熱者にはコロナとインフルの同時検査をべきでしょう。

「NEAR法」検査機器の導入へ

発熱外来における新型コロナの検査法は、「核酸検出検査」と「抗原検査」に大別されます。

核酸検出検査とは、ウイルスの遺伝子(核酸)を増幅して検出する方法で、「PCR検査」もその一種です。

PCR検査は、温度の上げ下げと酵素反応によって時間をかけて核酸を増幅する、感度の高い検査法です。

抗原検査は、ウイルスの構成タンパクを検出する方法で、「定性検査」と「定量検査」があります。

定性検査は、感度では劣りますが簡便で迅速に結果が出るので、医療現場以外に家庭でも利用されています。

定量検査は、核酸検出検査並に感度が高く、空港検疫等で使われています。

さて、当院で行っているのは、PCR検査と抗原定性検査です。

前者は外部の検査センターに検査を委託するため、結果判明までに半日〜1日以上かかります。

後者は院内で鼻腔または鼻咽腔拭い液によって行い、最近ではインフルエンザとの同時検査も増えました。

問題は、とくに日曜祝日の場合は、検査センターが休業のため結果が出るまでに時間がかかることです。

その待ち時間を嫌って、抗原検査を希望する患者さんも多いのですが、そうなると偽陰性が増えてしまいます。

そこで登場するのが、温度の上げ下げを伴わない「等温核酸増幅法」です。検出時間が短いのが特徴です。

その等温核酸増幅法のひとつに「NEAR法 (Nicking Enzyme Amplification Reaction)」があります。

すでにこれを導入している医療機関がかなりあり、短時間で高感度の検査が出来ることをウリにしています。

当院でもだいぶ前から、NEAR法の検査機器の導入を検討してきたのですが、時期を逸して今に至ります。

しかしこのたび遅ればせながら、当院でもNEAR法を導入することにしました。

PCR検査並の高感度でありながら、準備も含めて20分以内に結果が出るので、有効なツールになりそうです。

加えて、鼻腔拭い液を用いるので、乳幼児でも検査ができることも、当院の場合にはとても重要なことです。

というわけで、ついに検査機器の購入を決定。近日正式に発注予定。稼働は来月。続報を待て。

ニュースはもっぱら追っかけ再生で見る

Netflixなどの配信が発達しているいま、録画環境を充実させる意味あるの?、というご意見を頂戴しました。

たしかに、映画を録画する必要はほぼなくなりました。しかし、レコーダーの意義は限定的ですが、あります。

たとえばNHKや民放のローカル番組。これはもう、録画しておかなければあとで見ることができません。

ときどきあるんですよね、NHKのローカルニュースでちらっと出てきた映像を、もう一度確かめたいことが。

全国ニュースならNHKプラスで見返せますが、ローカルはどうしようもない。

たぶん、どうでも良いシーンなのですが、いちど気になると確認したくてたまらなくなるのです。

レコーダーの最大のメリットは、全録機能と追っかけ再生にあると、私は思っています。

夜7時のNHKニュース7は、いつも追っかけ再生で8時ごろ見ています。どうしてもその時間帯になるのです。

そのとき同時に、手元のMacでNHKプラスを、TVの追っかけ再生に同期させて見るのが私の流儀です。

なんでそんな面倒なことするのかと言えば、画像は手元で見た方が良く見えるし、音声もよく聞こえますから。

じゃあTVで追っかけ再生をする意味はと言えば、NHKプラスがときどき配信してくれない場面への対策です。

クックCEO来菊(ていうのか?)

Appleのティム・クックCEOが今日、菊陽町に来たそうですね。夜のニュースを見るまで知りませんでした。

菊陽町の目的地はソニーの工場だったわけですが、隣接地に建設中のTSMCの工場も見て帰ったはずです。

昨夜は大西市長と熊本城前で記念写真撮ってるし、今日は五福小学校を訪問したと報じられています。

五福小は、日本の公立学校では唯一「Apple Distinguished School」の認定を受けた学校だそうですね。

ていうか、すみません。今日までその認定の存在自体を知りませんでした。

たぶん、学校ではiPadやMacをふんだんに使っているのでしょう。

創造性、共同作業、分析的思考を引き出し、いきいきと好奇心を持って学べる環境を育むのだといいます。

Appleは昔から教育熱心です。教育現場用の製品やソフトやシステムの開発には力を入れてきました。

ただし、せっかく学校でMacに馴染んだ子も、大人になるとWindowsユーザーになるのが常でした。

ところがiPadは、社会で汎用されるツールとして先に定着し、むしろ教育現場にはあとで入って来ました。

以前から教育現場のデジタル化が始まってはいましたが、それがコロナ禍で格段に加速しました。

緊急事態宣言中は、発熱外来の待ち時間にiPadで「宿題」をしている子どもを、よく見かけました。

ジワッと進むはずのデジタル化が、必要に迫られて急ピッチで進んだのは、コロナ禍の良い副産物でしょう。

(補足)

「来菊」=菊陽に来ること。私の造語です。読みは「らいきく」。菊陽に限らず菊池郡市はすべて来菊ですか。

「菊」の「きく」って、訓読みっぽいけど、音読みなんですよね。

「噛み付く」のではなく「食い付く」べし

問診あるある。

「子どもが熱を出しました」「どのぐらいの熱ですか」「あ、いまは下がってます」

対応例1「だ・か・ら、どのぐらいの熱が出たんですかって」(気持ちはわかりますが、コレはダメ)

対応例2「そうですか。で、下がる前の熱はどのぐらいでしたか」(普通の対応)

対応例3「そりゃ良かった。でもまた上がらないといいですね。高いときは何度ぐらいでしたか」(模範回答)

「おいくつですか?」「来月3歳になります」

対応例1「だ・か・ら、尋ねてるのは来月じゃなくていまの年齢でしょうが」(ダメ)

対応例2「ということは、いま2歳ということですかね」(皮肉めいてて、コレも避けたい)

対応例3「そうですか。もうじき3歳になるんですね」(模範回答)

尋ねたことに対して少しズレた返答が来たとき、いちいち「噛み付く」のでは互いに良い気分にはなりません。

むしろそのズレに沿うように「食い付く」対応で臨むのが吉。最近わかってきた境地です。