国民は緩んでも、医療機関の緊張感はMAXです

コロナはいつまで続くのかと1年ほど前に人に訊かれ、「2月には収束(終息)するよ」と予言したのは私です。

しかし、ご存じの通り、年が明けたら第6波が襲来し、さらに夏には第7波、いまは第8波の真っただ中。

予想を大幅に上回り、ほぼ3年経っても終息しませんが、世の中の状況はずいぶん変わりました。

市民の行動制限がほぼありません。社会経済活動や教育の停滞を招かないことの方が、いまは重要なのです。

水際対策も撤廃され、旅行も出張もしやすくなりました(ただし今、中国は例外)。

診療報酬はかなり減額され、新たな補助金もほとんど無くなり、医療機関はまた厳しい状況になっています。

第8波で一番気になるのは、死亡者数が多いこと。おそらく、把握できている数より感染者は多いのでしょう。

「ゲームチェンジャー」だと期待されていた内服薬は、全体的に劇的な効果を生んでいるほどではありません。

同様にワクチンも、ようやく「オミクロン株対応」が登場したと思ったら、接種率が低迷しています。

これほど感染が再拡大していても、もはや社会・経済の再活性化の方が国民には喜ばれているようです。

観光地や空港の混雑ぶりを報道で目にします。もう、この流れを止めることはできないのだろうと思います。

しかし、いまも多くの死者が出ています。医療機関としては、来年も強い緊張感を持って臨むしかありません。

第8波は、かなり過小評価していることを考慮すべきです

「はい、年末です。事件ですか、事故ですか」

そんな感じでやっております。年末年始の連休に入り、戸惑いながら1日ずつ消化しているところです。

「緊急事態宣言」下に息を潜めていた2年前とは真逆の、「ウィズコロナ」への茨の道に苦しむ1年でした。

欧米のように割り切る勇気は無く、中国のようなコトもできない、日本流の「中庸」はしかし悪くないのかも。

新規感染者数の棒グラフは、そろそろピークを迎えそうな勢いに見えますが、そんなのアテにはなりません。

以前と比べて、感染者の把握が圧倒的に不十分・不正確だからです。

まず、検査キットで自己検査した感染者の実数が、どれほど報告されているのか疑問です。

濃厚接触者が高熱などを発症した場合、もはや検査すらしないかもしれません。これも報告数には入りません。

でもそれで良いと思います。

親が感染した後に幼い子どもが発熱したとき、いちいち検査して確認する意味があるとは思えません。

幼いお子さんの場合、親との密着が続くので一蓮托生です。どっちみち、いつか感染すると考えましょう。

いや、インフルエンザや他の疾患の鑑別のためには、やはり検査が必要じゃないかと、厳密に言えばそうです。

ですが私は、状況証拠がコロナを示している方には、わざわざ検査のための受診を求めたりはしません。

そのように私自身が敢えて検査しないケースが増えているので、国への報告数なんてアテにはならないのです。

「5類化」を前にして補助金を駆け込み申請

「R4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業費補助金」の交付が、なんとか認められそうです。

あらかじめ「事前相談」の書類を提出していたところ、ようやく、本申請の書類提出を求める連絡が来ました。

補助金による導入を考えているのは、「HEPAフィルター付空気清浄機」と「等温遺伝子増幅装置」です。

前者は、「陰圧隔離室」を前提として使用する物で、コロナ禍後にも役立つ重要な院内装備となる予定です。

後者は、「NEAR法」による検査装置で、PCR検査並の感度がありながら13分で結果が出る優れモノです。

新型コロナが「5類」になったとしても、それぞれの装置は今後長期的に有用であろうと考えています。

補助金交付の条件として、当院の隔離診察室の「陰圧化」が求められたため、その工事が必要となりました。

たしかに、窓全開だけでは換気には限界があります。風雨が強い日には窓が開けにくいこともありました。

風向きによっては、窓から入口ドアの方向に空気が流れることもあり、隔離室としては問題を感じていました。

今回の工事と清浄機設置は、これまでの懸案を解決する良い機会だと思っています。

検査装置の方は、ランニングコストが高いのがネック。いま外部委託しているPCR検査代よりも高額なのです。

現行の診療報酬であればなんとかなりますが、今後それが「改悪」されたら、厳しいことになってしまいます。

しかし、すぐに結果が出ることは患者さんへのメリットだけではなく、私の仕事も効率的になるということ。

「5類化」によって感染者数や検査体制がどうなるか未知数ですが、いまやるべきことをやるのみでしょう。

補助金で「焼け太り」とは言葉が過ぎませんか

新型コロナ対策で支払われた補助金が病院を「焼け太り」させていると、批判的に報じられています。

コロナ患者を受け入れるために病床を空けた病院に支払われる「病床確保料」が、そのおもな標的です。

これはコロナ第1波で病院の収益が悪化したことを受け、減収分を補うために導入されたものでした。

病床を「確保」して稼働させないほど補助金額が大きくなるのは、たしかに制度設計上の問題かもしれません。

しかし、それまで赤字経営だった病院がこの補助金で「黒字化」したことを問題視するのは、いかがなものか。

これまで構造上の問題に苦しんできた病院が、この補助金によって図らずも息を吹き返したのです。

そしてそれがコロナ診療のモチベーションとなり、この3年間の日本の医療を支えてきんじゃないですか。

病院に限らず、当院のような発熱外来でも同様に、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3315.html" target="_blank" title="発熱外来診療体制確保補助金">発熱外来診療体制確保補助金</a>」が支払われました。

発熱外来専用の時間枠を「確保」したのに実際に発熱患者が来なかった場合に支払われる補助金です。

これも、発熱患者を受け入れない方が補助金額が大きくなるという、矛盾をはらむ制度でした。

当院では、最大限の時間枠を発熱外来に充てることにして、いったん、かなり巨額の補助金を得ました。

しかしご存じの通り、実際に発熱患者を多数受け入れてきたので、補助金の多くを返還する必要があります。

その年内返還の可否を問う「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4035.html" target="_blank" title="不幸のメール">不幸のメール</a>」が厚労省から届いた話は、2カ月以上前に書きました。

しぶしぶ、年内返還可能と返信して待っていたところ、先日厚労省から、年内は無理だと連絡が入りました。

こっちは返す気になってるのに、まあ待てと、まだ返すなと。どんだけ厚労省忙しいんでしょうね。

インフルワクチンの接種枠がなかなか作れないシーズンでした

当院で使っているインフルエンザワクチンの予約サイトが、今年も利用者アンケートを実施しました。

毎年、皆さんの「ご意見」欄を読むのが楽しみです。そしていつも、反省したり元気が出たりしています。

例年とは異なる「良い点」を挙げるなら、「注射が痛くなかった」という意見が多かったことでしょうか。

今年は、消毒してから注射するまでの時間を「早く」、ワクチンを注入するスピードも「速く」しています。

「来るぞ!」「うっ!」「痛たた!」という一連の「恐怖の時間」を短縮したことが奏功したかもしれません。

一方で、予約時間通りに来たのに待たされたという意見も多く、これは申し訳なかったと反省しています。

また、せっかく早めに来てくれた方に、「3密」を避けるために駐車場に戻っていただいたこともありました。

そういった、全体の時間配分のまずさや、不都合が生じたときの説明が足りなかったと思っています。

今シーズン最大の問題は、ネット予約が取りにくかったことでしょう。苦情・苦言の大半がそのことです。

お子さんの2回目の予約がとれず、他院で接種した方も多数いらっしゃったようです。申し訳ありません。

接種予約枠が1回目の接種分ですぐ埋まってしまい、2回目を希望する多くの方にご迷惑をおかけしました。

コロナワクチンの接種も別の時間帯に行っており、インフルエンザ接種枠が多く作れなかったのが一因です。

またとくに日曜日には発熱外来の受診者が多く、ワクチンの接種を行うことがほぼ不可能でした。

年末の最終診療日である明日は、午後をすべてインフルワクチン接種に充てる予定ですが、焼け石に水ですね。

異常な陽性率は「大波」の証拠

連日コロナの話題もイヤなんですが、どうやら重大な局面に差しかかったように感じています。

昨日の当院のPCR検査は26件と、第7波の頃に比べれば少ないですが、陽性23件(陽性率88%)は異常です。

濃厚接触かつ高熱が出て半日以上経過した方などは、PCRではなく抗原定性検査を行うことが増えました。

昨日と今日で抗原検査を行った方は22件。陽性は17件なので、陽性率は77%。これも高い。

しかしそのような、いかにも「怪しい」ケースを除外して行ったPCRの陽性率が88%ですから唖然とします。

60歳以上の陽性者は少なく、ほとんどは40歳代以下でした。

家庭内の濃厚接触者は3分の1程度で、職場やクラスや部活内での(セミ)クラスターも散見されます。

こまめに自宅で抗原検査をする方も多く、発熱外来としては大いに助かっています。

PCR検査をご希望の方にも、できれば自宅を出る前に、抗原検査をしていただくようお願いしています。

もしも抗原が陽性なら、PCR検査が不要となるばかりか、処方等が不要な方には来院の必要すらなくなります。

そのような、医療機関が関知しない陽性者の数が、国や自治体の集計に全て正しく反映されるとは思えません。

毎日発表される「新規感染者数」は、おそらく実態とはかなり隔たりがあるはずです。

もしかすると、すでにもう第7波を越える「大波」になっているのかもしれません。

「インフルエンザにタミフル」は、実に気楽

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4098.html" target="_blank" title="コロナとインフルは同時大流行かも">コロナとインフルは同時大流行かも</a>」と一昨日「予言」した事態に、確実に近づきつつあります。

コロナの濃厚接触者の抗原検査で、コロナは陰性でしたがインフルが陽性の事例がありました。

これはもう「家庭内同時流行」です。コロナだと決めてかかると、インフルを見逃しかねません。

滅多にないだろうと思っていた、「コロナとインフルの同時感染」も、ついに今日、現れました。

あり得るとは思っていましたが、そのようなケースが実際に出てくる様になったことは衝撃的です。

今日は発熱外来を午後に限定したので、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4093.html" target="_blank" title="先週の当番医の時">先週の当番医の時</a>よりは受診者数こそ少なかったものの、濃厚でした。

「インフルのような寒気がした」「前にインフルに罹ったときと同じ症状」

そんな訴えの場合でも、インフルだけでなくコロナの検査も行うと、しばしばコロナ陽性でした、これまでは。

ところがいまは逆。コロナだろうと思った時でも、インフルの検査も行った方が良い状況になっています。

コロナの濃厚接触者に対してすら、念のためにインフルも調べときましょうか、という提案が必要です。

インフルが陽性なら、原則としてタミフルを処方しています。特別な同意書は不要で、処方も簡単です。

一方でコロナの薬は、今日も同意書を読んだ挙げ句に処方を断る方もいて、まだまだ手軽な薬ではありません。

「ウィズコロナ」は、ワクチンの普及に加えて、治療薬がもっと一般的になった時点で使うべき言葉でしょう。

年賀状宛名書きソフト更新顛末

毎年わが家で年末に繰り広げられるドタバタといえば、年賀状の準備作業でしょうか。

昨年は、喪中欠礼状という、ある意味「楽」なコトをしたので、今年は一波乱あることは覚悟していました。

年賀状の印刷は業者に頼んでいたので、すでに昨日までに入手できています。あとは宛名書きです。

でもその前に、住所録の更新作業が必要です。住所変更はないか、喪中ハガキは誰から来ているか、等々。

そして、2年前の実績などを踏まえて、誰に出すか出さないか、チェックを入れていき、印刷するわけです。

でも何がドタバタかって、年賀状宛名書きソフトを更新する作業でトラブることが多いのです。そして今日も。

「宛名職人」という、Macでは一般的な宛名印刷ソフトがあります。もう何年も使い続けています。

今日はその最新版「V.29」をダウンロードして、自宅のMacにインストールしました。ここまでは順調。

ところが、昨年使った住所録ファイルが開けない。これはたぶん、マズい。いやな汗が出てきました。

大丈夫。きっと解決するはず。メーカーの「下記の操作を順番にお試しください」に従って対処していきます。

(1)パソコンを再起動 → ダメでした。もとより、その程度で解決するとは思っていません。

(2)言語環境を設定し直す → え、そんなこと関係あるの。ま、いいけど、設定したけど、ダメだけど。

(3)「アップデート」を削除 → ふ〜ん。したけど。ダメ。

(4)プリンタドライバを再インストール → ありゃ。プリンタドライバ入れてなかった。でもダメでした。

(5)エントリー情報を削除 → よくわからんけど、指示通りやりました。ダメで〜す。

(6)ソフトを再インストール → これと(1)は最初に自主的にやりました、って。

(7)macOSをアップデート → ほう。やってみましょう。でもダメね、時間がかかったけど。

(8)新規アカウントで起動 → 専用アカウントを作り、(1)から(6)まで全部やりましたが、ダメ。

ということで、「宛名職人」は旧バージョン「V.26」に戻しました。ウソのように普通に起動しましたとさ。

あと1,2週間早けりゃ、新バージョンで解決するまで工夫したんでしょうけどね。来年は早めに準備しよう。

コロナとインフルは同時流行ではなく「同時大流行」かも

新型コロナとインフルエンザの同時流行が、いよいよ現実味を帯びてきました。

熊本市の定点当たりのインフル報告数が、先々週(12/5〜12/12)の1.00から、先週は3.12に増えました。

この分だと(同じ比率で増えると)今週は約10となり、「注意報レベル」に達するかもしれません。

さらにその翌週にまた3倍(報告数30)となれば、これは「警報レベル」です。

インフルエンザに対しても、コロナと同様の予防法(3密回避・マスク・ワクチン)しかありません。

しかし、世の中はすでにウィズコロナに向かいつつあり、それらの予防策も以前より緩んできました。

ここでインフルが同時流行したとしても、もはや緩んだ流れは変わらないかもしれません。

つまりこの先、ウィズコロナ&インフルが待ち受けているということです。

今年最後の日曜診療となる明後日は、もしかすると<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4093.html" target="_blank" title="先日の当番医">先日の当番医</a>の時よりも激しい発熱外来になりそうです。

よほどコロナの疑いが強くない限り、発熱者にはインフルの検査も併用する必要があるでしょう。

いつも日曜診療をしている当院が当番医をするのは、市内の休日診療体制にとっては不利だと先日書きました。

そのことを医師会事務局に相談したところ、当院は当番医のローテーションから外されることになりました。

もちろん、今後も毎週日曜に診療を行うことが条件です。大丈夫。日祝診療は今後も続けます。

巨大な「飛蚊」襲来

午後は休診にして、クリニックの大掃除(第2弾)を行いました。

一昨日は、床にある物を片付けてワックスがけしたので、今日は高い位置にある物の整頓と清掃を行いました。

その作業の終盤に差し掛かった頃、それは突然、私の視界に現れました。巨大な「飛蚊症」です。

小さな点々や短いヒモ状の飛蚊症なら私には日常なのですが、今日のはあまりにも巨大なので驚きました。

錆び付いた色の、さまざまな形状の長短のヒモが多数、左目の視野に集結して、どんより動いています。

それは朽ちた醤油漬けの輪ゴムにも見えるし、目の前を流れ落ちるウスターソースの滝のようでもあります。

いや、粘り具合からすると、とんかつソースか中濃ソース。ややとんかつ寄りか。(どうでもいいですかね)

慌てて眼科で診てもらうと、「後部硝子体剥離」みたいなヤツだと判明。突き詰めれば、老化現象の一種。

とりあえず、網膜剥離ではなかったので、安心して帰宅して、入浴していまビールをたらふく飲んでおります。

巨大な飛蚊症なので、「蚊」を「蠅」に置き換えて「飛蠅症」という呼称を思いつくのは当然のことでしょう。

ですが、「飛蠅症」の読み方がわからない。私は「蠅」の音読みを知〜らなかったYO!

漢和辞典で調べてる時点で、オーライ蠅が襲来、それは「よう」っと読むようだYO! センキュー!