「接種します」の主語は何(誰)?

ワクチンを「接種する」と言いますけど、(1)一般の方と(2)医療従事者とでは、意味合いが真逆ですね。

(1)「明日、家族みんなでインフルエンザワクチンを接種します」

(2)「明日、約100人にインフルエンザワクチンを接種します」

動詞「接種する」には、(1)「接種を受ける」、(2)「接種操作を行う」の2つの意味があるわけです。

これらの主体(主語)を通常、(1)は被接種者(2)を接種者と言うので、(2)が正しい用法なのでしょう。

「接種する」は他動詞であり、被接種者としては「接種される」と受動態で使うのが本則かもしれません。

でも、「明日、家族みんなでインフルエンザワクチンを接種されます」とは言わないですねぇ。

いや、「昨日接種されたワクチンはめっさ痛かった」と、受け身のニュアンスを出したいときには使いますか。

似たような動詞に「手術する」があります。「胃を手術します」は、医者だけでなく患者も使います。

患者としては本来「手術される」はずなのに、自分の体をいわば客観視して「手術する」と表現するわけです。

「来週接種しましょうね」などと私も日常的に言ってますが、よく考えたらその主語は曖昧です。

このような、主語が自分でも相手でも同じ意味で使える動詞って、日本語特有かもしれませんね。

「9価HPVワクチン」の定期接種は4月から

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4018.html" target="_blank" title="9価HPVワクチン">9価HPVワクチン</a>」の定期接種は、来年4月からの開始が決定しました。

そうなると、より効果的なワクチンの導入を待つ「接種控え」が問題となるので、厚労省はこう言ってます。

「どのワクチンでも予防効果があるので、なるべく早い時期に打てるワクチンを打つことを検討してほしい」

それはその通りだと思いますが、新ワクチンが出たときはいつも、同じジレンマに陥ります。

新ワクチンにメリットがあるからこそ切り替えるわけで、効果を考えたら明らかに新ワクチンに利があります。

新ワクチンの導入を待つことのデメリットがあるとすれば、「待っている間に感染するリスク」に尽きます。

これは新型コロナワクチンでも同じ。オミクロン株対応を待つべきか、BA.5対応を待つべきか、悩みますね。

ただし、ことHPVの場合は「待っている間に感染するリスク」は微妙。コロナとはだいぶ事情が異なります。

私はむしろ、定期接種対象学年の方なら、新ワクチンを待っても良いと思います。実際にそう説明しています。

その意味で、なるはやで打つべきなのは、より高年齢のキャッチアップ接種対象の方々かもしれません。

「糖尿病」の名称変更

「糖尿病」という病名について、「日本糖尿病協会」が名称変更の検討を進める方針とのこと。

「糖尿病の病名自体が、負のレッテルを表すスティグマになっているのではないか」と同協会の理事。

「スティグマ」って何でしたっけ?というのが私の最初の感想ですが、「汚名」とか「烙印」の意味でしたね。

協会が行ったアンケート調査によると、患者の約9割が病名について抵抗感・不快感を抱いているとのこと。

ですがこれは新しい問題ではなく、たとえば30年前にも「日本糖尿病学会」で同様の調査が行われたようです。

では、どのような名称に変更することになるのでしょう。

「高血圧症」にならうなら「高血糖症」ですね。「脂質異常症」的に「耐糖能異常症」かもしれません。

いずれにも共通するのは、「病態の重要兆候」をそのまま病名にした点です。

病名の変更ですぐ思い出すのは、「痴呆」をやめて「認知症」にしたことです。

「痴呆」がそれこそ「スティグマ」になるので、大幅に表現を改め、その結果意味不明な病名になりました。

「認知障害」のある方を「認知症」と言うのは、「視覚障害」のある方を「視覚症」と言うぐらいに変です。

今となっては「認知症」も定着し、さらに「わたしゃ『認知』かもしれん」みたいな略し方も耳にします。

どんな病名に変えたところで、病気そのものに対する差別意識があれば、新しい病名がまた偏見を生みます。

その本質的問題は放置して表面的な病名だけを変えるのは、一種の「言葉狩り」だと私は思います。

とは言え、「尿」の文字が付くのはイヤだ、という方もいるので、とりあえず今回の病名変更はアリでしょう。

新型コロナワクチン、公費負担見直しへ

新型コロナの新規感染者数が、47都道府県すべてで前の週よりも増加しています。

過去にも経験があり日本中の誰もがわかっているように、これは新たな波にさしかかったことを示す兆候です。

当院での昨日のPCR検査数30件は、第7波ピーク時の日曜と比べれば半分以下ですが、先週より増えています。

その陽性率はちょうど50%でした。これも徐々に上がってきています。

高熱や咽頭痛の強い方は相変わらず多いですが、入院を考慮するような重症例にはほとんど遭遇しません。

高齢者を中心にワクチンの接種率が高いので、目論見通り、重症化が予防出来ているのかもしれません。

そのワクチンの接種費用を国が全額負担している現行制度を見直そうと、財政制度審議会が意見しています。

昨年度は、新型コロナワクチンの接種に関連して、2兆3,400億円の国費が投入されたといいます。

厚労省がいつも感染者数や病床利用率などを扱うのと異なり、さすが財務省が気にするのはお金のことばかり。

でもおかげで、厚労省のサイトでは目にすることのなかった接種費用の詳細を、私は初めて知りました。

現行制度での接種単価は、約9,600円ですか。全額自己負担することになると、接種率は激減しそうですね。

一部は国費か自治体の補助が入ることを期待します。肺炎球菌ワクチンみたいに、半分公費とか。

高齢者とか基礎疾患を有する人だけは無料にしてもいいと思います。

でもいったい、あと何回接種するのでしょう。まさか、3カ月間隔で今後もずっと続くワケじゃないですよね。

交通事故は、他人を巻き込むのが最悪

車のアクセルとブレーキを踏み間違えて起きる事故が、あとを絶ちません。

少し前、フェンスを次々となぎ倒しつつ、それでも進み続ける車の事故を目の当たりにしたことがあります。

タイヤは激しく空転し、大きな音が鳴り響き、煙がモウモウと立ちのぼり、異様な臭気が立ちこめました。

駆け寄って運転席のドアを開けてみると、運転していた方はまだ、アクセルペダルを踏み続けていました。

運転中に急病を発症して意識を失った人が、交通事故を起こすケースもあります。

つい最近、そのような車の同乗者だった方から、恐怖の一部始終を聞きました。

暴走する車を助手席の人間がどのようにして安全に止められるのか、それが可能な装置が欲しいと思いました。

どのようなパターンの事故でも、何の落ち度もない歩行者や対向車が巻き込まれるのが最悪です。

その歩行者や対向車からすれば避けがたい災難ですが、諦めるのではなく、なんとか防御する必要があります。

運転の際には、前の車や歩行者や信号や標識だけでなく、対向車の挙動にまで気を配らなければなりません。

私は常にその意識をもって対向車の運転者を一瞥するのですが、携帯を見ている人をいまだによく見かけます。

ドラレコに証拠が写っているので、警察に通報してやろうかと思ったりもしますが、面倒なのでしてません。

スマホ利用で事故ったときには、「免停+1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」という罰則が与えられます。

ですが事故らなければ、スマホ使用だけだと「3点+6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金」と軽いのです。

この罰則は、運転中にスマホを見たくも触れたくもなくなるぐらいに、もっと徹底的に重くしてほしいですね。

ワクチン接種を推進していますが、強制はしません

「反ワクチン」団体の方から、ときどきダイレクトメール(郵便物)が届きます。

ざっと目を通した上で、場合によってはスキャンしてから廃棄します。

未開封のままポイ捨てすることはありません。どんな意見でも、少しは知っておきたいからです。

「反ワクチン本」も「ワクチン推進本」も、それぞれ購入して読みました。あるいは読んでいる途中です。

書籍は、著者がそれなりに責任をもって真面目に書いているので、読みやすければ読むに値します。

一方でネットはダメ。反ワクチンのサイトや書き込みがとても多いですが、これらはほとんど読みません。

自分でブログを書いてて言うのもナンですが、ネット上の著述にはどうしても責任感を感じにくいのです。

抑制の利かない完成度の低い文章が多いのは、あとでいつでも自由に削除や訂正ができるからかもしれません。

最近、私はいったい純粋なワクチン推進派なのかどうか、もしかすると中間派なのか、じつは少し考え中です。

もちろん、前回の新型コロナワクチンの接種から3カ月たった人には、一度はワクチンの接種を勧めています。

それは情報提供であり、選択肢の提示です。打つにしろ打たないにしろ、その希望を叶えたいと思います。

希望者には接種を勧め、希望しない人には「その考え方を尊重します」と応じ、くどくど説得はしません。

明確に「私はワクチンは反対です」と言う方に対しても、理解を示すスタンスは続けたいと考えています。

駆け込みふるさと納税の注意点

もう11月になったというのに、今年はまだ、まったく「ふるさと納税」をしていなかったことに気付きました。

あちこちの納税サイトがキャンペーンを打ち出し、この時期にあわてて寄付をさせようと躍起になっています。

この数年の私の納税パターンを見ると、年ごとに、特定のサイトに偏って利用してきています。

ある年は「ふるさとチョイス」、またある年は「ふるなび」、あるいは「さとふる」、楽天の年もありました。

まあ、どこを使っても大差無いのですが、年ごとに1つのサイトにまとめた方が、集計がしやすいのです。

昨年は、ANAのふるさと納税サイトを利用しました。経営危機にあったANAを応援する意味もありました。

そして今年も引き続き応援すべく、きょうはANAのサイトから何カ所かの自治体に寄付をしました。

肉と魚の美味い枕崎とか志布志とかの鹿児島県内が、最近の私のふるさとです。宮崎県内の果物もいいですね。

本州や北海道よりも九州を盛り上げたいので、肉も魚も果物も、基本的には九州産を発注しています。

以前は好んでいた黒毛和牛の脂が、この数年急に食べれなくなったので、佐賀県内への寄付は激減しました。

そういえば今夜、サクサクとふるさと納税をしていたら、途中でカードが利用できなくなってしまいました。

サイトの問題だろうかと思い、とりあえずMacを再起動していたら突然、クレジットカード会社から電話あり。

「お客様ご本人のご利用でしょうか?」「ええ、そうなんですが、途中で使えなくなって困ってます」

「ご利用パターンが不正利用のパターンに似ておりましたので、自動ストップをかけさせていただきました」

カード利用を繰り返し、徐々に金額が増え、しかもキリの良い金額だったのが「不正っぽかった」ようです。

連続してカードを利用する時には、最初にまず最高額のモノを買うのが吉。

結局、けっこう同時接種しています

祝日ではありますが、一般診療は最小限にとどめて、今日はおもにワクチンの接種を行いました。

発熱外来受診の目的で電話が多数かかってきましたが、お断りしなければなりませんでした。

新型コロナワクチン(オミクロン株対応)を18人に、インフルエンザワクチンを86人に接種しました。

そのうち8人は、両者の同時接種です。過誤接種を避けるために、次のルールに則って、接種を行いました。

・コロナワクチンとインフルワクチンは、別々の時間帯に準備し、シリンジやトレイも異なる外観の物を使う

・コロナワクチンとインフルワクチンは、原則として別々の時間帯に接種する

・同時接種はコロナワクチンの時間帯に行い、インフルの時間帯にはコロナを同時接種しない

・同時接種においては、同じ側の腕に、最初にコロナ筋注→次にインフル皮下注、の順に続けて接種する

以前は、別の時間帯に同日接種することも考えていましたが、むしろ間違いの元になりそうでやめました。

前述したように一定のパターンを作り、確認しやすい同時接種環境を構築したので不安はありませんでした。

なお、いちばん手がかかるのは、中ぐらいに大きな子どもが、急に接種を嫌がって暴れるときですね。

接種中止は最後の手段。なだめたりすかしたり、あの手この手を使ってなるべく接種を受けていただきます。

コロナもインフルも接種希望者が思いのほか多く、接種予約枠を作ればすぐに埋まっていきます。

いずれのワクチンも、今はほぼ欲しいだけ入手できているので、その点は助かっています。

第8波の兆候が見えるコロナよりも、まだ流行していないインフルを予防したい人の方が断然多い状況です。

効果はともかく、それぞれのワクチンに対する安心感の違いかもしれません。

接種券はもうじき届きます

生活習慣病で定期的に受診されている方はみな、新型コロナワクチンの接種が推奨されている対象者です。

なのですべての来院者に一度は、接種の希望はないかとお尋ねしています。すると次のような質問が出ます。

「また打つんですか」→ あくまで任意接種です。ご希望の場合にのみ接種します。

「もう打つんですか」→ 前回の接種から3カ月間隔で打てるようになりました。

「こんなに早く打っても大丈夫ですか」→ ご不安なら、もう少しあとで接種してもよいですよ。

「オミクロン株対応ですか」→ 12歳以上用の追加接種ワクチンは、すべてオミクロン株対応です。

「接種券がまだ届いていませんが」→ 大丈夫です。もうじき届きます。届かなくても接種はできます。

接種間隔等の規定がコロコロ変わるので、対応に追われる自治体も大変。接種券が遅れるのも仕方ないです。

にしても、追加接種(3回目接種以降)の接種間隔が、どんどん狭まっているのが、不気味です。

以前は6カ月以上でしたが、それが5カ月間隔になり、いまでは3カ月間隔。

このままでは、いずれは「毎月接種」になりゃしないかと、今日も患者さんと談笑(?)したところです。

が、冗談抜きで、いったん狭まった接種間隔がまた広げられる根拠って、はたして出てくるのでしょうか。

いや、ブースター効果を考えると適度に長い接種間隔が必要なはず。その詳細な検討が待たれますね。

3カ月間隔のままで留まって、毎年4回のペースで打ち続けるなんて考えたくもありませんから。

医療機関に対する「ランサムウエア」攻撃

「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受けた大阪の病院が、診療の大幅な制限を強いられています。

情報をハッキングするだけでなく、システムそのものを使えなくするのがランサムウエアの目的です。つまり、

(1)患者情報を漏洩するぞ、金をよこせ

(2)システムを使わせないぞ、金よこせ

1年前に徳島の病院がランサムウエアによる攻撃を受けた事例では、診療の復旧まで2カ月を要したといいます。

その徳島と今回の大阪の病院が、くしくも同じ10月31日に攻撃を受けたのは、単なる偶然なのでしょうか。

同一犯でなければ模倣犯か、愉快犯かもしれません。

さて、当院のセキュリティ対策はどうなのでしょう。

電子カルテの端末はすべて、閉ざされた院内LAN(すべて有線)で繋がっています。

しかしそのクライアントの1台だけは、データのクラウド保存等のために、間欠的にネットに繋いでいます。

弱点があるとすれば、そのネット接続端末でしょうか。でしょうね。朝晩ウイルスチェックしてはいますが。

万一当院がランサムウエアで攻撃されたとしても、少なくとも診療の中断は避けられる準備はできています。

システムトラブルに何度も対処してきた経験をふまえ、予備サーバー機をひっそりと温存しているからです。

クライアント機は全部、初期化してクライアントソフトを入れ直せばいい。2時間あればなんとかなります。

こういうとき、かつて「初期化マニア」だった経験がモノを言いますね。

診療データは毎晩バックアップしているので、少なくとも前日の診療終了時の状況にはすぐに戻せます。

それ以前に、当院を攻撃するような酔狂なハッカーはいないと思いますけど。いや、それが油断なのか?