ワクチンの間違い接種の原因は、製剤の統一性の無さ

間違い接種をいかにして防ぐか。予防接種に携わる者にとっての永遠の課題です。

以前は子どもたちの定期接種における問題でしたが、最近はコロナワクチン絡みの過誤接種例が増えました。

ファイザーが「間違い接種防止対策のご案内」というパンフレットで、間違いを4類型に大別しています。

(1)被接種者の年齢確認漏れ

1回目を11歳のとき接種した後に12歳になったお子さんの2回目は、12歳未満用ワクチンを接種します。

2回目を11歳のとき接種した後に12歳になったお子さんの3回目は、12歳以上用ワクチンを接種します。

日本脳炎ワクチンの接種における年齢規定とは異なり、医学的にも納得できかねるので、間違いの元なのです。

(2)製剤の取り違い

同じ時間帯に異なる新型コロナワクチンを接種することなんて、私には怖くてできません。

たとえ同じ日に接種する場合でも、午前と午後で分けるなど、時間帯分離はきわめて重要です。

家族が同時に接種できるために、年代の異なる被接種者を同じ枠で接種するような便宜は図りたくないです。

(3)製剤ごとに対象年齢や用法・用量が異なることを知らなかった

規定を知らないのはダメですが、製剤によって希釈の有無が異なる設定は、明らかに制度設計のミスでしょう。

同じ新型コロナワクチンなのに、希釈するワクチンと希釈しないワクチンが存在する現状は是正すべきです。

(4)別年齢用の製剤の転用

医薬品は規定通りに使わなければなりませんが、有効成分の量が同じなら、その効果も同じはず。

と考えて、別年齢用の製剤を「有効利用」してしまった過誤接種もあるようです。

慌てて開発して適用年齢を拡大してきたワクチンなので、現行では製剤の使用法に統一性を欠きます。

将来的には、年齢ごとに用量のみを変える製剤へと向かうべきでしょう。いつまで接種するのかはともかく。