ワクチンを「接種する」と言いますけど、(1)一般の方と(2)医療従事者とでは、意味合いが真逆ですね。
(1)「明日、家族みんなでインフルエンザワクチンを接種します」
(2)「明日、約100人にインフルエンザワクチンを接種します」
動詞「接種する」には、(1)「接種を受ける」、(2)「接種操作を行う」の2つの意味があるわけです。
これらの主体(主語)を通常、(1)は被接種者(2)を接種者と言うので、(2)が正しい用法なのでしょう。
「接種する」は他動詞であり、被接種者としては「接種される」と受動態で使うのが本則かもしれません。
でも、「明日、家族みんなでインフルエンザワクチンを接種されます」とは言わないですねぇ。
いや、「昨日接種されたワクチンはめっさ痛かった」と、受け身のニュアンスを出したいときには使いますか。
似たような動詞に「手術する」があります。「胃を手術します」は、医者だけでなく患者も使います。
患者としては本来「手術される」はずなのに、自分の体をいわば客観視して「手術する」と表現するわけです。
「来週接種しましょうね」などと私も日常的に言ってますが、よく考えたらその主語は曖昧です。
このような、主語が自分でも相手でも同じ意味で使える動詞って、日本語特有かもしれませんね。