「糖尿病」という病名について、「日本糖尿病協会」が名称変更の検討を進める方針とのこと。
「糖尿病の病名自体が、負のレッテルを表すスティグマになっているのではないか」と同協会の理事。
「スティグマ」って何でしたっけ?というのが私の最初の感想ですが、「汚名」とか「烙印」の意味でしたね。
協会が行ったアンケート調査によると、患者の約9割が病名について抵抗感・不快感を抱いているとのこと。
ですがこれは新しい問題ではなく、たとえば30年前にも「日本糖尿病学会」で同様の調査が行われたようです。
では、どのような名称に変更することになるのでしょう。
「高血圧症」にならうなら「高血糖症」ですね。「脂質異常症」的に「耐糖能異常症」かもしれません。
いずれにも共通するのは、「病態の重要兆候」をそのまま病名にした点です。
病名の変更ですぐ思い出すのは、「痴呆」をやめて「認知症」にしたことです。
「痴呆」がそれこそ「スティグマ」になるので、大幅に表現を改め、その結果意味不明な病名になりました。
「認知障害」のある方を「認知症」と言うのは、「視覚障害」のある方を「視覚症」と言うぐらいに変です。
今となっては「認知症」も定着し、さらに「わたしゃ『認知』かもしれん」みたいな略し方も耳にします。
どんな病名に変えたところで、病気そのものに対する差別意識があれば、新しい病名がまた偏見を生みます。
その本質的問題は放置して表面的な病名だけを変えるのは、一種の「言葉狩り」だと私は思います。
とは言え、「尿」の文字が付くのはイヤだ、という方もいるので、とりあえず今回の病名変更はアリでしょう。