返還は忘れた頃にやって来る

厚労省から「不幸のメール」が届きました。だいぶ前に受け取った補助金の、一部の返還を求めるものです。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-4007.html" target="_blank" title="令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保支援補助金">令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保支援補助金</a>」の返還です。

一見「インフルエンザ」という名前が付いていますが、もちろん新型コロナの発熱外来に対する補助金です。

「インフルの時期が来るけど、コロナの発熱外来のために時間を割くなら補助金出すよ」という制度でした。

発熱外来の時間を確保しておきながら実際はコロナ診療が行われなかったとき、その機会損失を補うものです。

したがって、実際にコロナ診療を行った場合には、補助金が差し引かれることになります。

当院は、目一杯「診療・検査体制」を確保すると概算請求し、請求した補助金の半額がまず交付されました。

残りの半額は、診療の実態に即した「事業実績報告書」を提出することで、精算されるはずでした。

ところが厚労省は、提出した報告書の精算額を無視して、当初の概算の残りの半額分を全額交付したのです。

きっと忙しかったのでしょうね、厚労省は。で、とりあえず多めに交付しときゃ文句は出ないだろうと考えた。

たしかに私にも不満はありませんでした。が、本来は返還すべき巨額な補助金が、宙ぶらりんになりました。

いつか急に返還しろという連絡が来るに違いないと、ずっと考えていましたが、それから1年以上たちました。

今日のメールは、「12/26までに返還してほしいけど、可能かどうかを10/26までに回答しろ」という内容。

さすがお役所。いくら時間がたっても、1円たりともウヤムヤにするはずがないですよね。

もちろん私は、「12/26までに返還可能」と回答しました。だって、早く精算して債務から逃れたいから。

新型コロナワクチンの接種間隔が「3カ月以上」へ

新型コロナワクチンの接種間隔の規定が、「3カ月以上」に短縮されることが決まりました。

厚労省のワクチン分科会がそのような結論に至った根拠は、

(1)有効性:臨床試験データで、接種間隔3〜6カ月での追加接種での中和抗体価の上昇が認められた

(2)安全性:臨床試験データで、接種間隔3〜6カ月での追加接種での有害事象は従来ワクチンと同様だった

(3)欧米での接種間隔は、米国では2カ月以上、欧州では3カ月以上と規定されている

高齢者らが年内に「5回目接種」を受けられるようにするのが目的だと、表向きは報じられています。

ですがその背景には、3回目や4回目の接種率の低迷があるのでしょう。そのためにワクチンも余っています。

当院かかりつけの方も、早く5回目を接種したい方と、もう接種しようとは思わない方とに二分されます。

概して、ご高齢の方ほど5回目を希望されるので、重症化予防が目的であるなら、それは理にかなっています。

私は5回目を接種するつもりですが、5カ月間隔なら来月中旬、3カ月間隔なら今すぐにでも接種可能です。

ですが結局は、オミクロン株(BA.4/5)対応ワクチンが接種できる来月中旬まで待つことにします。

来月は祝日が2回ありますが、いずれも、新型コロナワクチンとインフルワクチンの接種日にする計画です。

予約状況を見ると、コロナはボチボチですが、インフルの方はとても接種希望者が多くて枠がすぐ埋まります。

当初は気乗りしなかった「同時接種」も、むしろ積極的に推進しようかと、いま考えているところです。

ジャーナリストか、コメンテーターか

『羽鳥慎一モーニングショー』の玉川徹氏が、今日の放送で謝罪しました。降板はしないようです。

安倍元首相の国葬に電通が関与していると「事実に基づかない発言」を行った件による謹慎明けの発言です。

彼が今後どのように変わるのかは分かりませんが、たしかにこれまでは、憶測で語ることが多かったですね。

たとえば医療機関や医療従事者に関連して、怒りを覚えるような呆れたコメントを何度も耳にしました。

同番組を私は休診日(火・金)にたまに視聴する程度なのに、ほぼ毎回、無責任な発言にムカついていました。

かつては、疲弊した医療従事者を擁護する発言もありましたが、基本的には、理解が不足していますね。

少し聞きかじった情報を憶測で膨らませて、さも取材した事実のように声高に語るのが実に不愉快でした。

しかしそれで言うなら、もっとひどい政治ジャーナリストT崎氏がいますけどね。

彼が言うには、医療機関の「マイナ保険証」対応が進まないのは、過剰診療がバレてしまうからだと。

どのような取材に基づく発言かわかりませんが、医者全員がそうだと決めつける態度はとうてい許されません。

玉川氏は、「これからは現場に足を運び、取材をし、事実確認をして報告する」と述べました。

くれぐれも、都合の良い現場にだけ足を運び、都合の良い相手だけを取材することのないよう、お願いします。

電カルソフト、絶賛更新中

電子カルテの端末の、ソフトウェアの更新作業を進めています。

現有の、サーバー1台(Mac)、クライアント6台(Mac5,Windows1)のソフトをすべて、入れ替え中です。

2年前からの懸案でしたが、ここまで引っ張ってきたのは、旧バージョンのソフトでも困らなかったからです。

ところが電子カルテの業者から最近、そろそろ更新しないとサポートが難しくなると知らされました。

その期限は今月末。急な話です。大慌てです。

新バージョンにOSが追いつかないため、7台のうち4台は本体を更新します。残り3台は、OSのみ更新します。

新Macのうち2台は、実は令和2年度のコロナ対策の補助金で購入した物ですが、ずっと寝かせていました。

さらにもう1台、唯一のWindows機は、パステルカラーの新しいiMacに入れ替えることにしました。

プリンタとの関係でやむを得ずWindowsを1台だけ使ってきましたが、そんな不本意な状況ともおさらばです。

こんな風に、Apple製品を新たに買ったりOSを更新したりするのって、実は大好きな作業なのです。

そういえば、実家の母のガラケーも、サポート打ち切りを通告されています。スマホへの買い換えが必須です。

と思っていたら、大画面の「iPhone 14 Plus」が出ましたね。近いうちに母とショップに行ってみましょう。

インフルエンザワクチンの集団接種

インフルエンザワクチンの接種を、毎日粛々と行っているところです。これから来月一杯がピークでしょう。

当院で接種を行っている方を大別すると、

(1)専用サイトからネット予約をした方:これが大半です

(2)65歳以上の方の定期接種:多くの方が次の(3)の対象者と重なります

(3)生活習慣病等で毎月来院される方:定期受診のついでに接種を受けて帰ってもらいます

(4)定期接種で来院されるお子さん:希望者には、定期接種の際にインフルエンザワクチンも同時接種します

(5)近隣事業所の方への集団接種:当院に集団で来院していただきます

かつて当院では「出張接種」も行っていました。私とスタッフが近隣事業所に出向いて接種するものです。

しかしこれは、厳密には保健所に届出を出さなければならず、またスタッフには休日出勤を強いるものでした。

なので開院当初の数年感で出張接種はやめ、いまでは(5)のように集団を院内に受け入れるやり方です。

集団接種の良いところは、毎年ほぼ同じ顔ぶれなので、受付から接種の流れがスムーズであること。

接種料金は後日まとめての支払いにしているので、接種当日に金銭のやりとりがないこともメリットです。

近年、予防接種に積極的な企業も増えています。コロナ禍でなおさら、感染対策への意識が高まっています。

もう少し準備する期間があったら、コロナとインフルの集団同時接種を企画しても良かったと思っています。

よし、来年は同時接種作戦で行こう(もしも、来年もまだコロナワクチンを接種しているようであれば)。

「義時=マイケル」的な展開

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」はホントに、恐ろしいドラマです。

先週はひと休みして、共演者が裏話や見所を紹介していましたが、あんな特番はやめてほしい。

視聴者は、少なくとも私は、もうドラマの世界にどっぷりと入り込んでいるのですから。

劇中では敵同士なのに、プライベートでは仲良しなんですと談笑するのを見て、面白いはずがないでしょう。

北条義時が次々に敵を排除してくさまからは、『ゴッドファーザー』のマイケルの冷酷さを連想していました。

と思ってたら、三谷幸喜氏も義時をマイケル・コルレオーネとかぶらせたとNHKの番組サイトにありました。

私が三谷氏の記事をパクったんじゃないですからね。自分で思いついたんですよ、マイケルって。

それにしても今日の放送の、義時が実朝を屈服させたシーンには、ゾッとしましたね。

中国古代の秦の宦官・趙高が、二世皇帝の前に鹿を連れてきて馬だとして献じた場面を、思い出しました。

「いや鹿でしょう」と反論した廷臣らはみな、あとで粛正されます。

この先、義時が何をしていくのか、ある程度の予想はつくはずなのに、それでも想像を絶する恐怖を感じます。

まるで韓国王朝ドラマのように、きな臭くドロドロになっていくのか。大河にしては珍しい展開になるかも。

いまのうちにインフルエンザワクチンを打ちましょう

発熱外来の受診者は、明らかに減ってきています。

しかし日曜日に発熱外来をしている医療機関は少ないので、これまで通りに日曜の発熱外来は続けます。

そのかわり他の多くの医療機関も診療している土曜日を、できるだけワクチンの接種に充てることにしました。

というわけで今日は午前中に一般診療を、午後は約80人にインフルエンザワクチンなどを接種しました。

明日は午前中に一般診療を、昼休みにコロナワクチン、午後には発熱外来をすることになりそうです。

ちょっとした熱や風邪症状でも油断しないのが私の鉄則。これはコロナ禍で得た教訓です。

今日も、他院でインフルワクチンの接種を受けた後に発熱したお子さんに行った抗原検査が陽性でした。

ワクチンを接種した医療機関で感染した可能性を考えると、3密の回避はまだまだ重要だと思いました。

今シーズンはインフルエンザが大流行すると、専門家もメディアもみな、同じことを言っています。

さいわいワクチンの流通量が昨年よりもずっと多いので、接種予約の受け入れ数には余裕があります。

年明けには、インフルとコロナの同時流行が起きる懸念もあります。

コロナは自宅で診断し、インフルはオンライン診療を受けろと、国がまた無茶なことを言っています。

ですがたしかに、自宅でのスクリーニングをうまく使えば、一定の効果があるかもしれません。

でもそんなややこしい冬を迎える前に、まずはやれること=インフルワクチンの接種、でしょう。

「マイナ保険証」で資格喪失後受診は防げる?

報道番組は、「マイナ保険証」の話題で持ちきりです。

マイナンバーカードを普及させるために、国が保険証に狙いを定めたといいます。その側面はあるでしょう。

メリットは、利用者も医療機関もお役所も、全員が便利になるということ。まあ、コストを考えなきゃね。

デメリットだと思われているセキュリティの不安も、じつは思い込みにすぎないので大丈夫、という話。

つまりそんな具合にメディアにも、マイナ保険証への切り替えを後押しするような論調が目立ちます。

私がマイナ保険証の最大のメリットだと思うのは、保険証の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2834.html" target="_blank" title="資格喪失後受診">資格喪失後受診</a>を(たぶん)防げることです。

保険証には顔写真がないので、その保険証が本人の物かどうかを確認する手段がありません。

記載されている有効期限が適切であれば、もうそれ以上その人を疑うことはなく、診療を行います。

ところが、勤務状況や扶養関係等が変わって、実は被保険者資格を喪失している方が、時々いらっしゃいます。

うっかりなのか故意なのか、本来であれば使ってはならない無効な保険証を、そのまま提示されるわけです。

このような場合に医療機関は、資格喪失後受診かどうかを知るすべはなく、通常通り診療することになります。

そして2,3カ月後に保険者から「資格喪失後受診のため診療報酬は払えません」という主旨の通告が来ます。

性善説で保険証を信じて診療を行うと、時々こういう痛い目をみますが、ある程度は仕方ないと思っています。

マイナ保険証では、たぶん被保険者情報は随時更新されているので、資格喪失後受診はできなくなるはずです。

この点には期待しています。でもそれ以外の「便利になるところ」には、実はそれほど魅力を感じません。

健康保険証は「マイナ保険証」へ

健康保険証が廃止され、マイナンバーカードを用いた「マイナ保険証」に切り替えられることになりました。

かつてこのカードは、決して他人に番号を見せてはならぬと、厳しい管理を求められてきました。

ところがここに来てお役所は、マイナンバーカードは「持ち歩いても大丈夫!」と力説し始めています。

いまさら「マイナンバーを見られても悪用できない仕組みなのじゃ!」とは、いかにもご都合主義ですね。

医療機関はマイナ保険証専用のカードリーダーを設置しなければならず、その期限が来年3月に迫っています。

初期費用にはある程度の補助が出ますが、通信業者に払い続けるランニングコストは医療機関の負担です。

このシステムの普及率はまだ3割程度と言われています。かく言う当院も、やっとリーダーを発注した段階。

マイナ保険証は、患者さんが自分で受付のリーダーにカードを置き、顔認証か暗証番号で本人確認をします。

この仕組みだと、発熱外来での使用は不可能です。駐車場や隔離室での本人確認操作ができないからです。

駐車場や隔離室でマイナンバーカードをあずかり、さらに暗証番号まで尋ねることなどできません。

発熱外来でのマイナ保険証の運用はどうなるんだろうかと、私のいちばんの心配事はそれです。

発生届と日次報告

新型コロナの発生届は、数は減りましたが、今でもときどき届け出て(=HER-SYS入力して)います。

ところが入力後にしばしば、保健所から問い合わせが来ます。その症例は本当に発生届の対象なのかと。

まるで保健所が、私の発生届に難癖を付けて、なるべく届け出ないように指導してるように感じるほどです。

届出対象の4類型のうち、年齢(65歳以上)・入院の必要性・妊婦の場合は、何の問題もなく受理されます。

しかし基礎疾患を有する人の場合、コロナ治療薬か新たな酸素投与をしなければ届出の対象外です。

基礎疾患をいくつも抱えている方でも、64歳以下でラゲブリオ等の処方を希望してない方は対象外になります。

保健所から問い合わせが来るのは、私がラゲブリオ等を処方したことをHER-SYSに書き漏らした時です。

「先生の届け出たケース、発生届の4類型に入らないみたいだけど、どうなの?」

「あ、ラゲブリオ処方したことを書き漏らしてました〜」

発生届の制度は劇的に変わったというのに、HER-SYSの入力フォームがほとんど刷新されていません。

なぜ届け出たのか、4類型のどれに属するのか、それを明確にする入力欄がいちばん必要なのに、ありません。

届出対象外のケースの年齢別人数だけを報告する「日次報告」も、ここだけの話、うっかり忘れがちです。

毎日集計され発表されている新規感染者数は、以前ほどの正確さがなくなっていることは確実でしょう。