迷信をわざわざ軽んじる必要はない

休診日に院内で雑用をしていた時、突然訪ねてきたのは、高校から大学時代の友人の鹿嶋君でした。

長年勤めてきた会社を退職するにあたって、熊本の事業所に来たついでに、立ち寄ってくれたのでした。

彼は、焼き鳥屋で飲み食いしている最中でも、常に、その時点での会計金額を把握してるような人物でした。

「ズリ4、キモ4、ハツ6、つくね4、ビール4杯、白波4合やけん、いま3,820円」などと言ってのけます。

私にも似たような計算性癖がありますが、酩酊すると計算力が失われるため、彼のようなマネはできません。

彼は、新しいサンダルを買ったら、その裏を黒の油性マジックで塗りつぶすような人物でした。

夜に新しい靴をおろすのは縁起が悪いので靴底に墨を塗るとよい、という迷信を応用したものでしょう。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3957.html" target="_blank" title="ヌサもとりあえずビール">ヌサもとりあえずビール</a>」と言ってたのも彼です。

たしか、大学入試か何かの大事な局面では、「方違え」を行っていたはずです。そんな古風な人間なのです。

私もいまだに、夜に爪を切ることができません。理論的には、風呂上がりに切りたいところですが、無理です。

いつも職場で爪を切ります。手をよく洗って、濡らして、爪をふやかしてから切るのが流儀です。

切った後は、専用のヤスリで研いで先端をなめらかにして、最後にもういちど手を洗います。

勤務医時代には、ほぼ毎朝、手術室で爪を切ってヤスリをかけていました。

もちろん第一には清潔のためですが、ゆっくり爪を切って丁寧に磨く作業って、精神が落ち着くんですよね。