コロナに感染しても仕事を続けるために

岸田首相が新型コロナウイルスに感染しました。

2年前にジョンソン英首相がコロナに感染した時、そりゃこの人なら感染もするだろうと思いました。

その半年後にトランプ米大統領も感染しましたが、その時の感慨も同様。自業自得とさえ思いました。

なぜなら彼らはコロナを見くびっていたからです。

ところが日本の首相も感染しました。彼がコロナを見くびっていたとは思いません。ただ感染力が強いのです。

さいわい、ジョンソン氏やトランプ氏と比べれば症状も軽く入院不要のようですが、まだ油断はできません。

当院の発熱外来での経験上は、発症の2,3日後の病状が重く、咳はたいてい発症3日後ごろからひどくなります。

岸田首相のは昨日発症なので、病状はまだこれから悪化する可能性があります。

現時点では執務可能なため首相臨時代理は置かず、公邸を官邸内とオンラインで結んで指揮するそうです。

そういえば先月末にコロナに感染した大西熊本市長も、自宅からリモートで仕事をしていました。

これは心強いですね。万一私が感染した時には応用できそうです。

すなわち私は、代診をおかず、「院長室からリモートで診療や検査や予防接種に当たる」つもりだからです。

一般診療に加えて発熱外来やワクチンの接種で忙しいこの時期に、のんびり療養している暇はないのです。

「有事」の際の人員配置や動線確保などは、早めに真面目に煮詰めておいた方がよいかもしれませんね。

感染者「二重カウント」のニアミスなら、よくある話

連日のトップニュースだった「コロナ」も、いまは「豪雨」や「五輪汚職」や「統一教会」に負けています。

しかし感染者数は過去最多クラスが続いているし、病床ひっ迫も改善していません。

さらに最近は「全数把握」や「HER-SYS」といった発熱外来に関わる問題も、クローズアップされています。

今日の熊本県の新規感染者数は4,254人。二重にカウントされていた4人が累計から除かれたとのこと。

二重カウントなんてどういうことだと思うかもしれませんが、あり得ることです。考えられるパターンは、

(1)ひとつ医療機関が、1人の感染者の発生届を2度提出した

(2)複数の医療機関が、1人の感染者の発生届をそれぞれ提出した

たとえば、FAXで発生届を提出した医療機関は、後日あらためてHER-SYSも入力することになっています。

これをやると、すべての届け出がダブるのですが、保健所が全部チェックして二重カウントを防いでいるとか。

他院での抗原検査で陽性だったことをハッキリ言わず、なぜか当院でPCR検査を受ける方も時々います。

検査結果を電話報告したときになって、実はコレコレという話になり、当院からの届出はストップします。

当院のPCR検査の結果が待ちきれず、他院で抗原検査を受ける方もいます。

これもPCRの結果を電話連絡した際に、実はもう陽性が出たのです、という話になります。

そのように、最終的に二重カウントを防ぐことができればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。

他院から届出が出てますので先生の方は取り下げてください、と保健所から指示されたこともありました。

現状の方法での全数把握は、関係者の疲労とストレスの原因にしかなりません。やり方、変えましょう。

抗原検査キットの無料配布始まる

新型コロナ抗原定性検査キットの無料配布が、熊本市でも今日から始まりました。「協力薬局」で配布します。

もしも陽性だった場合、本人が保健所へ陽性者申請を行い、保健所が陽性者登録をすることになります。

無症状や軽症の場合には、医療機関を受診することはありません。

医療機関への抗原定性検査キットの配布も行われています。医療機関の判断で、必要な患者に供与します。

このキットを使った陽性判定者については、医療機関が陽性者登録(発生届)を行うことになります。

当院では、おもに検査結果を急ぐケースで使おうかと考えています。つまり重症化リスクのある方です。

一方で薬局での無料配布は、重症化リスク因子がない16歳以上40歳未満の有症状者が対象です。

無症状の感染者は抗原検査で偽陰性となりやすいため、今回の無料配布も対象外とされています。

基礎疾患がある方や妊婦の場合も対象外。これはちゃんと医療機関を受診してくださいよ、ということです。

無料配布を受けられるのは1人1回だけ。配布期間は今日から9月3日まで。あと2週間しかありません。

協力薬局は限られ、市内にたったの21カ所。しかも1薬局の1日あたり配布数は、わずかに25個程度。

この程度の配布規模で、発熱外来のひっ迫を軽減する効果があるんですかね。焼け石になんとかじゃないの。

新型コロナは、診断よりも経過観察の方が大事

新型コロナの新規感染者数が全国で過去最多となりました。病床ひっ迫が各地で問題となっています。

熊本も大変な状況です。当院の発熱外来も、平日なのに朝のうちに夕方までの予約が埋まってしまいます。

日曜祝日ならわかりますが、どうして平日にこれだけ受診希望者の電話がかかってくるのでしょう。

相談センターが当院を優先して紹介してるのならやめてくれと、声を荒らげて言っておきたいアララギ派です。

喘息でお困りの方やイスから転落した子どもなど、いろんな方からの診療依頼をお断りすることになります。

たとえ当院に来院された方でも、病状によっては、予約なしでの受診はお断りしてお帰りいただいています。

こういうのも、医療ひっ迫の一面なのでしょう。

抗原検査キットや無料PCR検査で陽性が出たと、「証拠品」持参で来院される方も増えました。

病状や周辺状況が了解できるのであれば、当院での検査を省略して新型コロナと確定診断しています。

新型コロナと診断した2,3日後に、高熱が続くとか、咳がひどいなどと訴えて来院する方も増えてきました。

ご本人に来院していただき、呼吸困難や低酸素等の疑いがないことを確認した上で、処方を行っています。

適応があれば、この時点で「ラゲブリオ」などの新型コロナ治療薬を処方する場合もあります。

新型コロナの重症化の早期発見のためには、確定診断後のフォローこそが重要です。

コロナと診断された方は往々にして受診をためらいがちですが、高熱やひどい咳を我慢しないでください。

それに、コロナ確定診断後の医療費は全て公費負担となるので、患者さんの自己負担はありません。ご安心を。

抗原検査キットのネット販売解禁と医療機関への配布開始

新型コロナウイルスの「抗原定性検査キット」のネット販売が、解禁されることになりました。

薬局での販売はこれまでも認められていましたが、それは薬剤師が使用方法を説明することをが条件でした。

ところが今後は、対面での説明なしに、ネットで誰でも簡単に買えます。

せいぜい、通販サイトの画面上での説明に対して、「了解」ボタンを押すことが求められるぐらいでしょう。

もともと「偽陰性」が出やすい検査法ですが、検査手技が悪ければなおさら、検出感度は下がります。

その陰性判定を鵜呑みにして油断してしまうと、もしも偽陰性なら感染拡大につながってしまいます。

さらに重要なのは、陽性だった場合にどうすべきか。「感染者」としての対処や療養のルール作りです。

陽性者が「確定診断」のためにいちいち医療機関を受診するようでは、意味がありません。

健康フォローアップセンター(陽性者登録センター等)による健康観察が受けられる体制整備が必要です。

一方で、医療機関が発熱外来等で使う抗原検査キットが入手しにくいことが、最近問題となっています。

そこで、医療機関等への抗原検査キットの配布が始まりました。当院も本日、医師会から配布を受けました。

このキットは、PCR検査希望者に順番待ちの自家用車内で使ってもらうことを、当院では考えています。

とくにに、高齢者や重症化因子を有する方などには、PCR検査の前に試みる価値はありますね。

陽性なら、新型コロナ治療薬(ラゲブリオなど)をすぐ処方することができます。これは大きなメリットです。

なお、入手したキットの数が限られているので、一般の希望者に配布するわけにはいきません。悪しからず。

OSは、アップグレードからのクリーンインストール

先日予告したように、診療でメインに使っているMacProのOSの更新作業を行いました。

ただし、OS更新によって不具合が起きて、診療に支障をきたすようなことがあってはなりません。

そこで考えたのは、いったん別のMacに電子カルテソフトをインストールして「代替機」として使うこと。

その間に、MacProのOSを更新して、電カルの稼働に不具合はないかをじっくり検証しようというわけです。

MacのOSを更新する手段は、2つ。OSの「アップグレード」と「クリーンインストール」があります。

アップグレードは比較的容易で、データやソフトをそのまま維持できるのは圧倒的なメリット。

ただし、不要ソフトなどのゴミもそのままMac内に残り、スッキリ感はありません。

一方でクリーンインストールは、HDDを初期化してまっさらなMacにして新しいOSをインストールする手法。

初期設定やソフトのインストールを全部やり直す必要があり1日仕事ですが、Macは超スッキリします。

当然、私は後者を選びます。ただしその場合でも、いったんOSアップグレードして段階を踏むことが大事。

新OSに慣れ、ソフトの動作状況を観察し、本当にクリーンインストールしてよいかを熟考できますから。

そんなわけで、まず代替機となるiMacに電子カルテソフトをインストールし、動作を確認して診察室に搬入。

かわりにMacPro を院長室に運び、OSアップグレードして、動作確認。

しばらく使ってみてイケそうなら、次の休診日にでもクリーンインストール作業に取り組む予定です。

院長室や書斎はちっとも片付きませんが、Macの中身の大掃除やリフォームは大好きでなんです。

「水際対策」撤廃までの過渡期か

日本はまだ、コロナの「水際対策」をやってます。入国(帰国)前の「陰性証明」をキッチリ求めています。

でも海外はもう、入国者の検査や接種歴なんて、全く気にしてませんからね。

いま新規感染者が世界最多の日本が、海外からの感染者流入阻止に躍起になってるのって、おかしな話です。

そんな日本ですが、ようやく今日、入国者に関しての厚労省の規定が、次のように緩くなりました。

「日本から外国へ短期渡航する者が、日本出国前に日本で取得した検査証明書については、外国を出国する前72時間以内に取得(検体採取)したものである場合には、日本への帰国(再入国)に当たって有効な検査証明書として取り扱います。」

これまでは、海外を出国する前72時間以内の「渡航先で発行された」陰性証明が必要でした。

それが今後は、日本出国前の検査結果でも制限時間内なら、再入国時の証明として有効となったわけです。

つまり、短期の渡航である場合は、渡航先でコロナに感染する可能性についてはもう考えないということです。

これはまた、ずいぶん緩い水際対策になったものですが、ともかく短期渡航者にとっては朗報です。

実は私も、このことは以前から気になっていました。私の休暇は短いので、渡航はいつも短期だからです。

例えば3年前のシンガポール旅行は、8/13に熊本を出て8/15には熊本に戻るという強行軍でしたから。

でも、日本出国前の陰性証明で渡航後の再入国を認めたのでは、もはや水際対策の体を成していませんけどね。

この分だと、もう近々、水際対策は撤廃されそうです。

セミの抜け殻が多い木と少ない木

朝の蝉時雨が、心なしか弱々しくなってきました。近隣のセミの個体数が減ってきたのでしょう。

もうそろそろ、交尾を終えて産卵の時期に入りつつあるのかもしれません。

我が家の庭で枝を大きく広げて茂るシマトネリコは、セミたちの楽園です。

夏になると、その根元付近の土に、直径3cmぐらいの穴がいくつも出現します。幼虫が出てきた穴です。

夜のうちに木に登り、羽化し、朝までにはどこかに飛んで行きます。そこには抜け殻が残ります。

数えてみると、幹や枝にしがみついている抜け殻は30個以上。根元の土の上にも、たくさん落ちています。

我が家の愛犬・花ちゃんは、時折抜け殻をクンクン嗅ぎますが、動かない生き物には興味が無いようです。

一方でクリニックのメインツリーであるケヤキは、例年とは打って変わって、今年は抜け殻がほぼゼロです。

これは異常事態です。蝉時雨はサンピアンの方から聞こえ、ケヤキにはあまりセミが留まっていません。

なぜそうなったのか。セミの一生を考えた上で、推理してみました。

セミは交尾を終えると樹木の幹に産卵、その卵は翌年の初夏に孵化し、幼虫は木を下って土中に潜ります。

クマゼミは約5年間かけて生育し、やがて土から顔を出して木に登り、羽化します。

その、産卵から孵化までの間に、ケヤキに行った剪定が強すぎたために、卵が失われたのではなかろうかと。

今後はケヤキの剪定だけは軽めに、太い幹は落とさず、樹皮も傷つけないようにお願いすることにしましょう。

来年の夏、一つ年下のセミたちが土から出てきて羽化し、大いに時雨てくれるのを、期待します。

一周忌&初盆

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3601.html" target="_blank" title="父の命日">父の命日</a>である今日、一周忌と初盆の法要を営みました。

コロナ禍がしつこく続くので、県外の親族には参列を控えてもらい、地元の身内だけの集まりとなりました。

今日のような日には、母と晩年の父の思い出話が出ますが、たいていは2年前の楽しかった<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3269.html" target="_blank" title="天草旅行">天草旅行</a>の話です。

それは入退院を繰り返していた時期の、まるで梅雨の晴れ間のような、奇跡的な「Go To トラベル」でした。

実は最初は、両親の実家のある地域を巡る旅を計画していました。山口県東部の大島町と岩国市です。

それはしかし、親戚の健康上の理由等で中止することになり、それならばと選んだのが天草なのです。

熊本はいいですね、天草と阿蘇がある。

でもそれなのに、天草に行ったのはこの20年間で3回か4回だけ。実にもったいない話です。

阿蘇はドライブやサイクリングを時々していましたが、それも地震以降はパッタリです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3269.html" target="_blank" title="北部復旧ルート">北部復旧ルート</a>や、新しい<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3269.html" target="_blank" title="阿蘇大橋">阿蘇大橋</a>は一応渡りました。でもあくまでお試し程度。本格ドライブはまだです。

仕事柄、旅行はおろか外出や外食にも慎重になっています。このトンネル、早く抜け出したいですね。

「オミクロン株対応ワクチン」の接種希望量調査

「オミクロン株対応ワクチン」の接種が、10月中には始まることになりそうです。

現在接種を行っている新型コロナワクチンは、オミクロン以前の「従来株」に効くように作られたものでした。

この従来株に加えてオミクロン株(BA.1)にも対応した、「2価ワクチン」の接種が決定しました。

接種対象や前回からの接種間隔など、詳細はまだ決まっていません。何よりも供給量がどうなるか心配です。

そんな中、熊本市から各医療機関にむけて、オミクロン株対応ワクチンの接種希望量の調査が始まりました。

10月11日〜12月31日の各日の、ファイザーとモデルナの接種予定人数(希望人数)を全部書けというもの。

この10〜12月と言えば、インフルエンザワクチンの接種時期とピッタリ重なります。

コロナワクチンとインフルワクチンに、これまで通り2週間の接種間隔が必要だと、かなり面倒です。

(追記:インフルワクチンに限り、コロナワクチンとの接種間隔の規定は撤廃されることになりました)

そもそもインフルが流行するのかどうかもわかりません。去年と一昨年は完全に肩透かしを食らいましたから。

おまけに両方のワクチンの接種を並行して進めるときに、まさか発熱外来もまだ多忙だと困りますね。

そんな状況なのに、年末までの詳細な接種計画を今月中に決めて提出せよという、いつもの無理難題。

こんな調査にはもう慣れてます。詳しく計画を練ることもできず、アバウトな回答になるのも毎度のこと。