「みなし入院」の入院給付金カットへ

「みなし入院」に対する入院給付金について、保険会社各社が見直しを検討しているようです。

支払い対象を高齢者など重症化リスクが高い人などに限定するようで、一見して制度改悪にも思えます。

しかしそもそも、みなし入院という特例を認めた経緯やその趣旨、意味を考えなければなりません。

コロナ禍の初期、感染拡大を防ぐために、「感染したら全例入院」させていた頃がありました。

やがて病床不足(ひっ迫)等を理由に、病院の代わりに宿泊施設での療養を行うようになりました。

さらに宿泊施設の不足もあって、軽症であれば自宅療養も認められるようになりました。

そして今では中等症であっても、入院困難のために自宅療養を余儀なくされている方も、おおぜいいます。

本来入院させるべき者を、医療提供側の理由で自宅等で過ごさせるのだから、みなし入院なわけです。

保険会社の負担が大きいから全員には入院給付金は支払えないとするのでは、理屈が通りません。身勝手です。

しかしよく考えると、感染者全員に入院が必要という前提が、とっくに崩れています。

ほとんどの自宅療養者は、病院が満床だから入院できていない状態ではありません。入院が不要なのです。

その意味では、みなし入院の考え方がすでに過去のものなのです。

ただ、一定期間の自宅療養を強制されることに対しては、何らかの「補償」があっても良さそうなもの。

入院給付金をいきなり全額カットするのではなく、コロナ特例で半額支給するなどの妥協案はないのですかね。

全数把握は、この際、ヨシとしましょう

新型コロナ感染者の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3977.html" target="_blank" title="全数把握の見直し">全数把握の見直し</a>論がここに来て失速し、当面の現状維持を支持する動きが優勢です。

医療機関や保健所の負担軽減よりも、感染者のフォローの方がもっと大事だと気付いたからです。正論です。

全数把握をやめると、もしも報告から外れた感染者が重症化した場合には、対応に問題が生じかねません。

感染者と公的に認定されなければ、公費負担や職場復帰や保険金の手続きなどにも影響するかもしれません。

その「矛盾」に気付いた黒岩・神奈川県知事は、姿勢を一転させて全数把握見直しに慎重な姿勢を示しました。

全数把握見直しの旗振り役が、当初の考えの過ちを潔く撤回することを、はばからなかったわけです。

「HER-SYS入力」などの事務作業が、医療従事者や保健所の負担になっていることは確かです。

だから全数把握を見直すべきだというのは、私も当初はそうでしたが、やや短絡的な発想かもしれません。

感染者に行動制限を課す現行制度のもとでは、役所が感染者を把握してサービスを提供する必要があります。

とくに重症化対策等の感染後のフォローを考えると、感染者の登録は当面は続けておくべきでしょう。

要は、続け易いやり方でやれ、ということです。いま流行の「サステナブル」ってヤツですよ。

HER-SYSは、1人1分以内で入力できるところまでスリム化してほしい。そのかわり当面は、全例報告。

重症例もしくは重症化リスクのあるケースは、別枠で報告する(簡便な)仕組みを、自治体ごとに作ること。

熊本市には、独自の報告書類「入院チェックシート」がありますが、これは全例提出しなければなりません。

HER-SYSが簡略化されようかというのに、この面倒なシートの全例提出って「時代錯誤」じゃないですかね。

新型コロナ自宅療養者の「夜間電話相談窓口」開設

「熊本県新型コロナウイルス感染症自宅療養者等夜間電話相談窓口」が設置され、本日運用が始まりました。

自宅療養者や同居人からの、夜間(午後6時〜午前9時)の相談を受け付ける窓口です。

「熊本県」とは言いながら「熊本市民」は対象外です。熊本市民には別に「熊本市夜間相談窓口」があります。

最近、通常の発熱外来の予約以外に、感染確定者からの病状相談や追加処方依頼などの電話が増えています。

そこで、当院でよくある質問(FAQ)とそれに対する回答例をいくつかご紹介します。

「最初に受診した時よりも熱が上がって来たのが心配」

軽症のうちに診断を受けた方に多い質問です。発症の2,3日後に熱のピークが来るのは、よくあることです。

「39度の高熱が3日続いているが、大丈夫か」

最近の新型コロナ(BA.5?)は、高熱が続く方が多いです。明日までに下熱しなければご相談ください。

「のどが痛すぎて水も飲めない」

解熱鎮痛剤を使って、痛みが和らいだタイミングで飲食をするのがよいです。強い痛みも2,3日で終わります。

「家族は検査を受けなくてもよいのか」

無症状のうちは、検査はなるべく控えてください。しかし発熱したら早めにご相談ください。

「咳が出始めたので薬がほしいが、受診のために外出しても良いのか」

受診のための外出は、自宅療養者でも制限されていません。遠慮せず来院してください。もちろん予約の上で。

抗原定性検査も捨てがたい、かも

発熱外来の受診希望者はまだ多く、朝から予約の電話が引っ切りなしにかかってきます。

夕方までの予約枠は朝のうちに埋まり、以降の電話は「受付不可能」を伝える対応に終始することになります。

このようなことは以前から日曜日にはありましたが、7月以降は激しさを増し、いまでは平日も同じ状況です。

「ずっと40度出ています」「何度も吐いています」「オシッコが出てません」「息苦しいと言ってます」

そんな電話までお断りするのはしのびなく、とくに具合の悪い方には来ていただく場合もあります。

「もう何軒も断られました」「やっと電話がつながったのです」「明日仕事なんです」

こういう感じの方は残念ながら、受付していたらパンクしますので、一定数以上はお断りすることになります。

ところで、予約受付をお断りしても「なんとかしてくれ」と「ごねる」方が、じつは最近減ってきています。

発熱外来のパンク状態がテレビ等で報じられて、それなりに理解が得られているからかもしれません。

もうひとつ。自宅で抗原検査を行った上で来院される方が、このところとても多いですね。

諸事情を考慮して信頼に足る検査結果であれば、そのまま確定診断をさせていただくこともあります。

改めて確定検査を行うのと比べて、発熱外来の混雑を減らし、診断確定を早め、医療費を節約できます。

今日は珍しく、日頃ならPCR検査をするケースで抗原検査の希望者が多く、しかも陽性率が高くて驚きました。

もしかするとBA.5株は抗原検査で検出されやすいのか、検査のタイミングが皆に「わかってきた」のか。

いつ感染するのか、いまかも

当院では、午後2時台は通常、子どもの予防接種専用の時間帯としています。

今日も8人の接種を計画していました。ところが、実際に接種できたのは3人だけでした。

2人は風邪症状のため見合わせ、3人は本人または家族の新型コロナ感染のために延期としたのです。

家族内での感染によって、スケジュールの過密な乳幼児の定期接種が、どんどん延びてしまいます。

生活習慣病で定期的に受診される方でも、同じことが起きています。

今日も2人の方が、ご家族の新型コロナ感染を申告されたため、検査等を延期して薬の処方のみを行いました。

貧血によると思われる微熱がある方も、まず念のため抗原検査をして、それから血液検査等を行っています。

尿路感染症や甲状腺機能亢進症の疑いがある方でも同じ対応です。

血液検査や、まして点滴のような処置を行う場合には、万一を考えて事前の抗原検査が必須です。

しかし、抗原検査によって100%確実な陰性診断が得られるとは思っていません。リスクは残ります。

無症状の方ですら、新型コロナに感染している可能性を否定することはできません。

どれだけ注意しても、私もいつかはコロナに感染するかもしれないと、覚悟はできています。

ただ、たとえ感染しても他人(スタッフや患者さん)にうつさないこと、それを肝に銘じています。

弔意は強制しないが経費は徴収する

安倍元首相の「国葬」の経費として、2億5千万円を支出することが閣議決定されました。

ある程度の規模の葬儀が行われることは当然としても、国費からの全額支出には賛否あるでしょうね。

政府は「国民に弔意を強制していると誤解が生じるのは避けたい」と、オカシなことを言ってます。

弔意を伴わない葬儀ってあるんですかね。たとえ弔意はなくても、経費の負担は強制してるわけですけど。

「コクソウ」の同音異義語は意外に少なくて、よく使う言葉だと国葬の他に「穀倉」ぐらいしかありません。

そして「穀倉地帯」といえば、ウクライナですよね、地理の知識で言うなら。

辞書には「哭愴(嘆き悲しむこと)」とか「国喪(国民全体の服する喪)」という見慣れぬ言葉がありました。

それなら、「哭葬」とか「酷喪」なんて言葉があってもよさそうな気がします。

あるいは、「克喪」「刻葬」なんてのも、なんか意味ありげです。

元首相の殺害事件は、「旧統一教会問題」というパンドラの箱を開けることになりました。

それを容疑者の「功績」だと言うのは甚だ不謹慎で不適切ですが、しかし確実に大きな影響を残しました。

関係した政治家が次々に明らかになり、旧統一教会問題は広がり続けています。

そんな時でも、厳粛な葬儀がしめやかに営まれれば、強制されずとも自然と弔意を感じるのが日本人です。

国葬や弔問外交は、国民をクールダウンさせ、諸問題を沈静化する役割があるのかもしれません。

「0日目」という表現がムカつく

「自宅療養期間は発症日を0日目として、10日間です」

「10日間」といいながら、じつはトータル「11日間」です。お役所の表現は、わかりにくい。

「自宅療養期間は発症した日の10日後までです」って言えばいいのに、といつも思う。

「前後に他の予防接種を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこと」

コロナと他のワクチンの接種は「2週間以上あける」ルールですが、お役所言葉だと「13日以上」となります。

これも考え方は同じ。お役所は「中に挟まる日数」を言うので、普通に数える庶民感覚とはずれています。

「微熱が2日目まで出ました」「2日目まで痛かった」

新型コロナワクチンの接種後の経過を患者さんに尋ねると、こんな返答をよく聞きます。

この場合の「2日目」は接種の翌日を意味します。一般の方は、接種した当日を「1日目」と表現するようです。

実はこれ、私にはわずかに違和感があるので、「接種日」とか「翌日」という言葉を使うようにしています。

「0日目」という言葉だけは、絶対使いたくないですね。お役所はこの言葉を撤廃してほしい。

「全数把握」見直しへ

新型コロナ感染者の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3953.html" target="_blank" title="全数把握">全数把握</a>」の見直しが決まりました。

「発生届」は、高齢者や重症化リスクの高いケースなどに限定して、自治体が判断する運用となる方向です。

ただし、感染者数の把握だけは、続けられるようです。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3961.html" target="_blank" title="HER-SYS">HER-SYS</a>」はすでに入力項目がかなり減っており、しかも私は自主的に「超簡略入力」をしています。

かつては1人当たり10分以上を要していました。30人分以上入力するときには、ほぼ半泣き状態でした。

いまは1人2,3分程度です。一気に44人とか46人分入力した日もありますが、2時間そこそこで終わりました。

この程度なら続けてもいいと思っていた矢先なので、今後は全例入力不要と言われてもさほど感動しません。

後々のフォローの余地を残すためにも、名前と電話番号と発症日ぐらいは全例登録しても良いと思います。

とはいえ現時点でも、本当の意味での「全数把握」ができているかどうかは疑問です。多分、できてない。

無症状感染者が多いことに加えて、発熱外来が混み合いすぎて検査が間に合っていません。

最近は、「会社からPCR検査ではなく抗原検査をするように言われた」という来院者も目につきます。

「早く白黒つけてこい」という意味なのでしょう。偽陰性の可能性はあまり考慮していないようです。

ひとたび抗原検査で陰性と出れば、病状がどうであれ、とくに若者にはPCR検査を受けない方が多いです。

一方で高齢の方はたいていPCR検査を希望されます。そのような方は大切にフォローしなければなりません。

MacProの「文鎮化」(花瓶化?)は避けたい

予告していたように、今日はMacProのOSクリーンインストール(=HDD初期化&インストール)日でした。

最近の休診日はだいたい、前日に行ったPCR検査の結果連絡やHER-SYS入力等でほぼ1日潰れます。

ですがスキマ時間もそこそこあるので、その合間に作業を行ったわけです。そして失敗しました。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3969.html" target="_blank" title="OSはクリーンインストールだ">OSはクリーンインストールだ</a>」「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3975.html" target="_blank" title="OSは使い分ける">OSは使い分ける</a>」などと偉そうに書いたばかりなのに、恥ずかしい顛末。

もちろん、データはバックアップしてたし、初期化と同時にOSも更新するような危険なマネはしてません。

まずはOSだけアップグレードして、しばらく様子を見た後に初期化するのが正しく慎重な作法ですから。

長年のMac経験はダテじゃありません。石橋は全部叩くのです。そして今日は、叩き壊したのです。

Macは、起動(再起動)と同時に一定のキーを押すと、OSの初期化とインストールを行うことができます。

(1)command + R :現在のOSが、新規にクリーンインストールされる。今日最初に行ったのはコレ

(2)command + Option + R :最新のOSにアップグレードしてインストール

(3)command + Option + Shift + R :そのMacの工場出荷時のOSを再インストール

うまくいかないのでアレコレ試すうちに、見たことも無い険悪なアラートが出現し、ついにギブアップ。

Appleのサポートにチャットで問い合わせ、折り返しの電話で相談したところ、修理が必要だとなりました。

買って8年半以上たちますが、こんな<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-848.html" target="_blank" title="奇抜なデザイン">奇抜なデザイン</a>のPCは、Macに限らず後にも先にも出てきませんね。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1659.html" target="_blank" title="地震後から">地震後から</a>はずっと診察室で使ってきた、私にはいちばん思い入れのあるマシンです。復活を願っています。

Macは複数のOSを使い分ける

診療中にしばしば、宅配便が届きます。

ほとんどAmazon。あるいはAskul。それ以外はたいてい、お役所などからの支給品が日通から届きます。

Amazonからの配送物だと、やたらに大きな箱には消耗品などの比較的安価な日用品が混載されています。

一方で小さな箱には、書籍や小道具やIT機器などの、私がこっそり発注したそこそこ高額な品が入っています。

当院では、前者を「大きなつづら」、後者を「小さなつづら」と称しています。

それらの開梱は私の専権事項。職員が開けるのは御法度です。だって、変なモノ見られたら困りますから。

小さなつづらに入って送られてきたモノで、最近多いのは「LAN(Ethernet)ケーブル」でしょうか。

最初は必要に迫られて数本、その後買い増して、50cmから5mのモノを、全部で30本ぐらい買いました。

配線時に区別しやすいように、ケーブルの色柄のバリエーションを多くしたので、なかなかカラフルです。

外付けのHDDとかSSDなど、いちど買って気に入った周辺機器は、何個か追加購入するのが私の流儀です。

院長室の机上には3台のMacが並び、データは全部同期しているので、どのMacでも同じ仕事ができます。

そんなのムダじゃないの?と思ったアナタ。違うんです。3台のMacのOSが、みな違うんです。

ひとつは常に最新のOS。他の2つは、診察室のMacとの互換性を維持するための各世代にしています。

そのように、私のMacと周辺機器は一見して趣味の世界に見えますが、考えがあってのコトなのです。