異次元の増加パターンに転じてます

日曜祝日に、当院の発熱外来受診者が多いのならわかります。

ところが今週は、平日でもPCR検査希望者が殺到しています。

朝9時台のうちに夕方までの予約枠が埋まります。これまで、平日ではあまり見なかった現象です。

熊本県の新規感染者数は、昨日の3千人超えは予想していましたが、今日の4千人台は全く想定外。異常です。

経験上、感染者報告数がもっとも少ないのは月曜、多いのは火曜でした。その理由は前に書いた通りです。

今週は日・月が連休だったので、最少は火曜、最多は水曜と予測できたわけです。でも実態は違いました。

かつては概ね、火>水>木>金>土、のパターンでしたが、7月に入ってそれが崩れてきました。

ついに先週は、火<水<木<金<土、となっています。完全に増加フェーズに転じたことがわかります。

日本全体では今日、18万人超の感染者が報告され、東京でも3万人を超えました。全国各地で過去最多です。

やがて東京は1日5万人に達するだろうと偉い先生方は言ってます。その時熊本は1日6千人程度でしょうか。

東京の5万人は、先週聞いた時はちょっと懐疑的でしたが、今では疑いようのない予測に思えてきました。

感染が確定した後の患者さんが、翌日や翌々日にまた受診するケースも目立ちます。

PCR検査をした最初の来院日よりも、熱が上がったり、咳がひどくなったりする方が少なくありません。

そしてその方と一緒に、ご家族がPCR検査を受けにくるという、そんな同伴パターンが今とても多いですね。

『おいしいごはんが食べられますように』読後感

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3760.html" target="_blank" title="芥川賞">芥川賞</a>には、高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』が選ばれました。

今回も私が受賞を逃した理由は、前にも書いた通りです(小説を書いていないから)。

受賞作はすぐ読むのが私の流儀(礼儀?)ですから、いまKindle版で読みました(以下、ネタバレあります)。

タイトルから、WFP(国連世界食糧計画)的な視点で書かれた啓蒙書かと私は一瞬思いましたが、違います。

「人間の中の多面性がよく描かれている」と選考委員の川上弘美氏は言いますが、それほど複雑な話でもない。

小さな職場の中での人間関係の、悪く言えばどうでもいいようなことが、ただ書き綴られているだけです。

なんなら、WFPから苦情が出そうな感じの食糧描写も少し、登場します。

「ごはん」つまり食事の場面が多く描かれていますが、豪華なフレンチとか、そういう料理ではありません。

そう書くと誤解されそうですが、決して食べ物や食材にこだわった内容ではなく、主体は心理描写ですから。

女性が書いた小説なんだなぁと思わせる部分が所々にあって、そこが私には妙に新鮮でした。

誰かのトークをずっと聞いているような、ごくごく自然な文体なので、悪く言えば気合が入らない小説です。

でもちょっとだけ<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2843.html" target="_blank" title="不穏な雰囲気">不穏な雰囲気</a>もあって、それがあるから読み進めてしまいます。やっぱり不穏は大事ですね。

前回の芥川賞の『ブラックボックス』(砂川文次著)のようなスピード感はなく、歩く速さで読めます。

久々に検査体制のひっ迫状態に突入

昨日は「怒濤の2連戦だ」などとほざいていた私ですが、休診日の今日、その「戦後処理」は地獄でした。

2日間に行った102件のPCR検査の結果の一部(25件)は、昨夜判明したので昨夜のうちに「処理」しました。

処理というと言葉が悪いですが、患者さんに検査結果を電話連絡し、保健所に発生届などをFAXすることです。

25件のうち21件が陽性という、信じがたい陽性率(84%)にくじけそうになりながらの作業でした。

いま流行している株は、第6波の時よりも高熱が続く方が多く、皆さんきつそうです。

ワクチンを3回接種していても、そこそこ高熱が出て苦しんでいる方がいるのが気になります。

さて今日は、残る77件の結果が、2つの検査センターから届くことになっていました。

まず検査センターAから、夕方頃に65件分の連絡が来ました。陽性は48件、陽性率74%。ひどい数字です。

陽性・陰性の全員に連絡して回りましたが、今日は電話がつながりにくい人が少なくて、助かりました。

こういう大事な電話連絡って、つながらないときにはホントに困ります。

2,3回かけてつながるなら良い方で、ときには数時間かけ続けてやっとつながる方もいます。

保健所の方も同じ苦労をされているようで、どうしても電話連絡がつかない場合には自宅を訪問するとか。

さて、検査センターBから来る予定の、12件分の結果報告FAXが、22時半の時点でまだ届きません。

検査センターに尋ねたら、夜中を過ぎるか、場合によっては明日の朝になりますと。

というわけで、22時半から皆さんに「結果は明日になります」と、お断りの電話をかけて回りました。

検査結果がもう少し早く出るといいのですが、センターの人たちだって精一杯なのでしょうね。わかってます。

祝日の発熱外来

怒涛の2連戦が終わりました。

この日曜・祝日の2日間に行なったPCR検査は全部で102件。それ以外に11件の抗原検査を行いました。

とくに今日のPCR検査数65件は、過去最多だった1月30日の63件を上回る新記録です。

順調な2連戦ではありませんでした。

昨日は朝からクリニックのレジスターが故障して、ウンともスンとも言わなくなりました。

待合室では水漏れ事案が勃発し、それとは無関係だとは思いますが、男性用トイレの水が出なくなりました。

祝日は、日曜以上に発熱外来の受診希望者が殺到します。

朝の9時すぎには、夕方までの予約枠が埋まってしまいました。

それ以降の受診予約の電話は、一部の例外を除いてほぼすべて、お断りすることになりました。

断る際には私が直接電話で事情を説明する方針でしたが、あまりに多いので途中からスタッフに任せました。

102人のPCR被験者のうち81人が、今回当院を初めて受診した方でした。

県内一円から、新型コロナ相談センター等からの紹介を受けて、当院での検査のために来院されました。

受診をお断りした方々も、おそらくは遠隔地から当院までやってくるつもりの患者さんだったのでしょう。

熊本には、日曜祝日の発熱外来が少なすぎます。

通常の休日当番医とは別に、休日発熱外来当番医の制度があっても良いのではないでしょうか。

長期的観点はともかく、今は目の前の仕事をするのみ

世の中は昨日から3連休中なんでしょうけど、当院は今日から2連戦です。まさにコロナとの戦いです。

発熱外来の予約は朝のうちに満杯になり、その後の電話予約はお断りしなければなりませんでした。

コロナ相談センターから紹介を受けて電話してるのに断るとは何事かと、お叱りも受けました。

そんな異常な感染拡大でありながら、世の中の人々の動きは緩んだままです。今後の感染爆発は必至でしょう。

しかし、果たしてこの状況を危惧すべきなのかどうか、長期的な視野に立ったとき、正解はわかりません。

欧米のように、ウィズ・コロナに舵を切り、もはや感染拡大は甘受すべきなのでしょうか。

某国のように、ゼロ・コロナを目指して社会・経済活動の強力な制限を続ける段階でないことは確かです。

つまり日本は、ゼロではないけどウィズとまでは踏み切れない、中途半端なアンチ・コロナ体制なのです。

ある英国在住の日本人は、英国から見た日本は、日本から見た中国と同じだと言います。そこまで言いますか。

欧米はやがて、全国民が感染して集団免疫が付く段階にまで達するのかもしれません。

一方で日本は、いつまでたっても新規感染者数の増減に一喜一憂する日々を続けるのでしょう。

いや悪く言えばそうなのですが、案外バランスのとれた、最小被害で乗り切れるパターンなのかもしれません。

ともかく今は、必要なPCR検査を行うのが私の役目。明日も発熱外来が忙しいことは間違いありません。

心配蘇生はとにかく、ためらわないこと

安倍元総理大臣が銃で撃たれた時、現場路上では心臓マッサージとAEDによる救命処置が行われました。

「どんな状況でも心停止を疑ったら直ちにAEDを使用して指示に従ってほしい」と言うのが日本AED財団。

AEDがその場に届いたとしても、いざ使うとなるとためらいがあるかもしれません。

患者さんの衣服をはがすことへの抵抗や、AEDを正しく使える自信がないという方も、多いはずです。

必要のない方にAEDを使ってしまったり、使い方を誤って患者さんを傷つける可能性を怖れるのです。

大丈夫です。AEDは患者さんの心電状況を判定し、AEDを作動させるべきかどうかを指示してくれます。

その指示に従ってスイッチを押しさえすればいいので、使い方を誤って後で責任を問われることはありません。

問題になる可能性があるとすれば、「そこにAEDがあるのに使わなかった」という場合です。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2375.html" target="_blank" title="心臓マッサージ(心マ)">心臓マッサージ(心マ)</a>も同様で、そこに意識の無い方がいれば、すぐに心マすることが救命の決め手です。

ただ、必要のない方に心マして、かえって患者さんにダメージを与える可能性がどうしても気になります。

しかし躊躇している間に救命率がどんどん低下します。心肺蘇生が必要と思うなら、ともかく始めることです。

そのような観点から、迅速な救命行為によって患者さんに与えた不利益は、免責されなければなりません。

残念ながら日本では、その免責を認めるいわゆる<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2534.html" target="_blank" title="「善きサマリア人の法」">「善きサマリア人の法」</a>は、明確には規定されていません。

今回の事件を機に、AEDや心マ実施のハードルを下げる動きがもっと乗り上がってほしいと思っています。

たまには接種専用日も

毎週金曜日は休診日ですが、今日は特別に、予約者を集めて新型コロナワクチンの4回目の接種を行いました。

当院で3回目接種を2/14までに行った高齢者の中から、82人にモデルナのワクチンを接種しました。

待合室での「密」を避けるため、予約時間通りに来院していただき、接種15分後にお帰りいただく流れでした。

ですが皆さん、早め早めにいらっしゃる。10分前なんてのは遅い方で、たいていは20分前には到着されます。

1時間近く前にやって来る方も珍しくありません。たぶん、起床時刻から何からすべてが、早い方なのです。

徒歩で来院する方も多く、時間まで車でお待ちいただくこともできず、結局、予定より早めの接種となります。

このようにして、「早めに行ったら早めに診てもらえた」という記憶が強く定着していくのでしょうね。

接種(筋肉注射)はすべて、私が行いました。左利きの方1名以外全員が左肩への注射です。

登録作業や確認作業のうち私が行うのは、電子カルテへの記載と、院内データベースの確認と登録です。

私の作業内容だと、1人3分あればこなせますが、他のスタッフの作業を考慮すると1人4分ペースが妥当です。

なので1時間に15人、これはちょうどモデルナ1バイアルからとれる本数(公称値)に相当します。

実際には、ローデッドシリンジなら1バイアル20人分とれるし、慎重にやれば21本、ギリで22本いけます。

ただしワクチンは配給制で無料だし、とくに流通量の多いモデルナでは、あまり無理なことはしません。

一方でファイザーは品薄です。8月分の当院の配給数はたった5本でしたが、9月に至ってはわずかに2本です。

そんなわけで、これまでファイザーを3回打ってきた方も、4回目はほぼモデルナですのでご了承ください。

万一自分が感染した場合の診療マニュアル

「コロナを一疾患として日常的な医療提供体制の中に位置づける」ための検討も始める必要がある。

オミ会長は今夜の会見で「第7波に向けた緊急提言」を行い、このようにまとめました。

またワクチン接種の加速化などに加え、行動制限を含めた強い対策が必要になることもあるとも言及しました。

当院は今後も、「通常診療」に加えて、「発熱外来」と「ワクチン接種」にも注力していきます。

しかしこれだけ感染者が増えてると、自分やスタッフが感染するリスクも考えておかなければなりません。

もしも私が感染したら診療をどうするか。その場合は一定期間休診しようと、以前は考えていました。

しかし急な休診をすれば、かかりつけの患者さんには多大な迷惑をおかけすることになります。

定期処方や検査や予防接種で予約済みの方をどうするか、工夫をしなければなりません。

そこで今では、私が感染したら院長室等に引きこもって「遠隔診療」を行うつもりです。

生活習慣病の方などへの処方が可能です。スタッフを使って、血液検査や尿検査や心電図検査も実施できます。

慎重に動線を確保すれば、発熱外来だってできそうです。

この時の防護具はもはや、自分を守るためではなく患者さんを守るための装備となるかもしれません。

隔離診察室や駐車場へのアクセスを考えると、私の居所は院長室よりもレントゲン操作室の方が良さそうです。

レントゲン操作室には医用画像システム(PACS)があるので、院内LAN環境には容易に接続できます。

今は半分物置になっていますが、この部屋を新サーバー室にリフォームするのも一興でしょう。

などと思いを巡らせるだけでなく、「院長感染時の診療マニュアル」の構築が必要ですね。

「4回目接種」の対象がようやく拡大へ

熊本に限らず、全国すべての都道府県で、新型コロナの新規感染者数が前の週を上回っています。

この感染拡大は、オミクロン株の亜系統「BA.5」への置き換わりが進んでいるためだと考えられています。

「BA.5」は「ビーエーファイブ」と読みます。ニュースでそれを聞くたびに、「VO5」を思い出します。

オミクロン株という変異株が登場したのは昨年11月。日本に上陸したのは年末でした。

その後、さらに感染力が強く、一部の検査法では検出されにくい「ステルスオミクロン」が登場しました。

この亜系統は「BA.2」とも呼ばれ、オリジナルのオミクロンは「BA.1」という名称になりました。

その後、私はよく把握していませんが「BA.3」や「BA.4」を経て現在、「BA.5」が猛威を振るっています。

さらに昨日、「BA.2」の亜種である「BA.2.75」が国内で初めて確認されました。

「ビーエーツーセブンファイブ」と読むそうです。スケートボードのトリックかと思うような名称です。

もしも「BA.5.40」という亜種が出現したら、「ビーエーファイブフォーティー」ということになるでしょう。

「BA.5」はワクチンが効きにくいと言われますが、打たないよりマシなので、接種が推奨されています。

今後、高齢者など以外に医療従事者や高齢者施設職員などにも、4回目接種の対象を拡大する方向のようです。

接種の目的は「重症化予防」だとしてきた方針を変更して、いまさら「感染予防」も加えようとするものです。

医学的に正しい判断かどうかはともかく、感染リスクの高い医療現場には好意的に受け止められるはずです。

希望者だけが接種を受けるワクチンなので、対象を拡大して選択の幅を広げるのは、良いことでしょう。

つい最近まで「統一協会」かと思ってました

大学に入学した頃の私は、右も左も分からない「ノンポリ」な人間でした。昭和54年(1979年)のことです。

そんなウブな新入生が最初に受ける洗礼は、新歓コンパの一気飲みと、政治・宗教団体からの接近でした。

共産党系の団体に所属する先輩方は、基本的に「市民目線」なので親切で面倒見が良く、常識的で穏やかです。

彼らが私たちに、警戒するようにと口を酸っぱくして教えたのは、「反共」団体である「勝共連合」でした。

そしてその団体が学内で活動している組織「原理研」には、決して近寄ってはならぬと言い聞かせられました。

勝共連合も原理研も、実態は「世界基督教統一神霊協会」(当時)でした。

日本での黎明期には、笹川良一・児玉誉士夫・岸信介という、いかにもな人たちが関わっていたようです。

「教会ですらなく協会だからね」とかつて教えられましたが、通称は「統一教会」という不思議な団体です。

私は全く存じませんが、統一教会によって人生を狂わされた人は大勢いることでしょう。

今回はその事実が飛躍して、岸信介の孫である安倍晋三・元総理大臣に、恨みの銃弾が向けられたわけです。

容疑者のとった行動は、いかなる理由があろうともアウトですが、事件の背景はもっと知りたいところです。

メディア(とくにNHK)の報じ方に、統一教会に対する微妙な遠慮を感じてしまうのは、なぜなのでしょう。

日本の政治・社会の中に今なお、迂闊に触れてはならない深い闇があるのでしょうか(陰謀論)。