もしや感染者数が増加に転じてませんか

当院は火曜・金曜が休診日なので、「休前日」の高揚感に浸れるのが、月曜・木曜ということになります。

盆正月を除くと、臨時休診でもしない限り私に「連休」はありません。

たとえば世間で言う「ハッピーマンデー」は、当院では土・日・祝の「3連診」の最終日。疲れ果てる日です。

もう1年半以上「発熱外来」をやっていますが、日曜祝日はいつも、発熱者の受診で大変混雑します。

受診者の多くが、「発熱患者専用ダイヤル」等からの紹介で当院を初受診する、いわゆる「一見さん」です。

近所の方は少なく、いつかまた当院に来る可能性の低い方ばかり。ある意味「一期一会」な方々です。

昨日の発熱外来では、抗原検査を7人、PCR検査は22人に行いました。この29人のうち25人が初診でした。

その抗原検査では2人が陽性、PCR検査では陽性が15人(陽性率68%)と、いまだに高い陽性率です。

何度も書いてきたように、陽性率が高いのは検査数が足りていない証拠。実際の感染者はもっと多いのです。

今日の熊本県の新規感染者数は271人。週のなかで最も数値が減る月曜日としては、約1カ月ぶりの高値です。

東京都でも、3日連続で前の週の同じ曜日を上回る感染確認のようで、全国的に増加傾向かもしれません。

「大型連休の影響はあまり無かった」という分析結果を受けて、人々はますます開放的になっています。

そりゃ私だって、北海道とか沖縄に飛んでいきたいですよ。でもどっちみち連休が取れませんけどね。

この暑い中、防護具を着けて炎天下の駐車場をウロウロするのは地獄。早く終わりにしてもらいたい。

でも東南アジアや沖縄なんかに旅行したら、熱帯の猛暑を楽しめたりするんですよね。どうしてなんだろ。

MacBook Proの予備サーバー化は予想外に便利

日頃自宅で使っているMacBook Proに、試しに、電子カルテのサーバー(鯖)をインストールしてみました。

突然の「鯖落ち」に備えて「予備鯖」の準備が必要なことは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3896.html" target="_blank" title="2週間ほど前">2週間ほど前</a>にも書いた通りです。

あの緊急事態の際に予備鯖として急遽起用したクライアント機は、いまだに鯖として稼働し続けています。

なので現在、クライアント機が1台不足した状況が続き、診療に少なからず支障をきたしています。

これを打開するために、現在自宅で使用中のMacBook Proを予備鯖として使おうと考えたわけです。

実はこれは、簡単なことではありません。鯖用として使うPCには、厳しい条件があるのです。

基本的スペックはもちろんですが、余計なソフトがインストールされていないことが重要です。

たとえば、ウイルスチェックソフトが作動すると、確実に鯖トラブルの元です。

当院で採用している電カルシステムの場合、インターネットにつながっていないことも重要条件のひとつ。

余計なものを徹底的にそぎ落とし、電カル関連ソフトだけをインストールした状態が理想なのです。

2週間ほど悩んだ挙げ句に、ついに思いついたのが、Mac内に専用の「別アカウント」を作ることでした。

たったそれだけのことですが、使ってみると目からウロコ。鯖環境としてあまりに快適じゃないですか。

今日の診療後、現鯖のデータをUSBにバックアップし、帰宅後それを予備鯖にロードして起動してみました。

なんと、今日の診療内容がすべて閲覧できます。当たり前です。これはデータのバックアップにもなります。

もちろん自宅に予備鯖があっても意味が無いので、明日からは毎日クリニックに持ち運ぶことになります。

自宅で電カルをチェックしたり、診療集計などができるのは、かなり便利です。早くこうすりゃ良かった。

なお、重要データの持ち出しなので、盗難・紛失への備えとして、強いパスワード管理は必須ですね。

院内隔離室は、小さくてもたくさんあった方がいい

当院を受診される方を大別すると、

(1)コロナではない:生活習慣病等の慢性疾患で通院中の方や、予防接種のために来院された方など

(2)コロナではなさそう:呼吸器や消化器症状があるが、状況等により、コロナの可能性が低いと思える方

(3)もしかするとコロナ:症状と状況から、コロナの可能性を考慮すべき方

(4)たぶんコロナ:濃厚接触+有症状など、コロナの疑いが強い方

(5)コロナ:確定診断後の再診者など

発熱外来の経験上、(2)でも油断してはならないことはわかっています。極論すれば(1)だって同じ。

ほぼ全ての受診者が、濃淡はあれコロナの疑いがあるのであれば、全員を互いに隔離しなければなりません。

そのためいまは患者さんの自家用車を、個室待合室代わりに使わせてもらっています。

しかし院内での検査・処置・点滴等が必要な場合があり、院内隔離のやりくりで苦労することになります。

なので時々思うのは、隔離診察室をもっとたくさん作っときゃ良かった、ということ。

小さな診察室を10部屋ぐらいずらっと並べて、各部屋には駐車場から直接入れるようにドアを付けます。

その出入口の反対側には、スタッフがバックヤードから出入りするためのドアを付けます。

受診者がみな自家用車で来るとは限りません。徒歩や自転車やタクシーで来院される方もいます。

車が無いと順番待ちや検査結果待ちのための場所がないので、院内の隔離室を長時間占有されてしまいます。

そのような方のためだけでなく、採血や点滴などのためにも、個室は複数必要で多いほどいいのです。

いまから開業しようという方には、「駐車場から直接入れる多数の個室」を作ることをオススメします。

乳児の定期接種の「セット予診票」を望む

赤ちゃん(乳児)の定期予防接種は、満2カ月から始まります。いわゆる「ワクチンデビュー」です。

デビュー後には毎月、数カ月間、定期接種に「通う」ようになります。接種ワクチンの概略はこうです。

(1)2カ月:ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスワクチン

(2)3カ月:ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスワクチン・4種混合ワクチン

(3)4カ月:ヒブ・肺炎球菌・ロタウイルスワクチン・4種混合ワクチン

(4)5カ月:BCG・4種混合ワクチン

(5)6カ月:日本脳炎ワクチン

(6)7カ月:日本脳炎・B型肝炎ワクチン

保護者の方は、4種類5種類のワクチン接種のために、4枚5枚の予診票を書かなければなりません。

いちばん上の方に、住所・氏名(フリガナ)性別・生年月日・保護者氏名・体温・平熱を書く欄があります。

その下には、いくつもの質問事項が並ぶので記入したり、はい・いいえ、の該当する方を丸で囲みます。

1枚書き上げるのに数分程度を要します。複数のワクチンを接種する場合には、かなりの作業量になります。

昨日から鼻水が出ている場合、4枚5枚の予診票全てに、昨日から鼻水が出る旨を書かなければなりません。

それが面倒で、少々の体調不良は記載しない方がいるかもしれません。

1カ月以内に他のワクチンを接種したかどうかを問う設問もあり、ワクチン名をすべて書く必要があります。

4週間おきに複数のワクチンの接種を行っている方にとって、この欄の記載はかなり大変です。

それがイヤで、4週間ではなく31日間隔でのワクチン接種を希望する親御さんもいるほどです。

自治体によっては、複数のワクチンの同時接種時には、専用の予診票が準備されているそうです。

どうせ設問内容などは全く同じなのだから、複数のワクチン接種のために書く予診票は1枚で良いはずです。

「ワクチンデビューセット」とか「満3カ月セット」みたいな、わかりやすいセットの予診票がいいですね。

熊本でも早く採用していただきたい。

小児の新型コロナワクチン接種者が、これ以上増える気がしない

高齢者を中心に「4回目接種」の希望者は多く、当院の7月の予定枠はかなり埋まってきました。

ファイザーの供給量が少なくモデルナ主体になるので、それを嫌がる方が一部、接種を見合わせています。

しかし副反応の心配よりも、少しでも早い接種を望む方が、高齢者には圧倒的に多いようです。

それとは対照的に、小児(5〜11歳)の接種が低迷しているのは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3853.html" target="_blank" title="先日も書いた">先日も書いた</a>通りです。

少しでも接種数を増やそうと、熊本市の予約規定やシステムが変更されます。

予約日に制限を設けず、1回目接種も2回目接種も、接種間隔を守ればいつでも予約できるようになります。

また医療機関へのワクチン供給量の上限も撤廃され、医療機関は何人にでも接種できるようになります。

これで、予約が取れないために希望通りの接種ができない小児はいなくなるはずです。

ですが残念なことに、そもそも接種希望者がいません。当院への問い合わせも、最近はほとんどありません。

振り返ってみると、接種開始前の3月には、多くの熱心な問い合わせをいただきました。

勢いを感じて当院では、熊本市の接種開始日よりも1日前倒しして、3月27日(日)から接種を始めたほどです。

その後の接種希望者の出現具合を、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1260.html" target="_blank" title="イノベーター理論">イノベーター理論</a>」になぞらえると、次のようになります。

待ってましたと、初日の接種に24人の予約が入りました。これはある意味「イノベーター」な方々です。

その後の1カ月で、約30人の予約が入りました。これを「アーリーアダプター」としましょうか。

ところが、その後が続きません。「アーリーマジョリティー」も「レイトマジョリティー」も不在。

世の中の大半は、「ラガード」つまり「様子見」を決め込んでいる人たちなんですね。

夏休みの接種希望者も、いまのところ現れません。問い合わせゼロです。

残念ながら、予約を取りやすくしても接種率が改善するとは思えません。問題はもっと深刻なのです。

「4回目接種」後の副反応は過去最強、というわけでもない

私自身が新型コロナワクチンの「4回目接種」を受けて2日たちました。まずはその経過報告から。

2日前の接種当日の夜、上腕部から肩にかけての痛みが始まり、翌日さらに強まり、今朝まで続きました。

ただ、寝返りを打って左側臥位で寝ることは可能でした。これは3回目接種後には不可能だったことです。

そして今日の午前中ふと気が付くと、痛みがほとんど消えていました。突然に改善するんですね。熱なし。

熊本市から当院へ配給される、8月接種分の4回目接種用ワクチンの量(接種可能上限量)が通知されました。

当院は、かかりつけの方への接種数を計算して、ファイザー84人分、モデルナ135人分を申請していました。

ところが通知された配分量は、ファイザー30人分、モデルナ135人分。ファイザー大幅削減。モデルナは満額。

これは6月・7月も同様でした。なのでいま予約を受け付けている方は原則として、モデルナの接種となります。

接種希望者の方の反応は、(1)モデルナでもかまいませんよ、(2)ファイザーがいいですね、の2通り。

モデルナOKの方は、接種券が届いてなくても、当院での予約が確定し、接種日時を決定していきます。

一方でファイザー希望の方は、わずかな配給数でやりくりすることになり、接種予定日は決めにくくなります。

3回目でファイザーを接種した際に副反応が強かった方の、4回目接種に対する考え方は、3つに分かれます。

(1)こんどはモデルナを打ちたい:妥当な考え方

(2)やはりファイザーを打ちたい:モデルナを接種したら、もっとひどい副反応が起きそうなので

(3)もう、打ちたくない:そのような方には、無理強いはしません

「内閣感染症危機管理庁」発足へ

感染症対策の司令塔として、首相直轄の「内閣感染症危機管理庁」が、内閣官房に新設されるようです。

「今頃ですか」とは言いません。願わくば、形式だけじゃなく、本当に力のある組織にしていただきたい。

さらに専門家組織として、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合する計画も出てきました。

こっちの方が「日本版CDC」として機能することになるようです。

ところで私は、感染症危機管理庁のネーミングが気になります。通称はどうする。「感危庁」?「感管庁」?

前者だと「換気庁」と揶揄されかねませんね。あと「柑気楼」に似てるのも気になる。

後者では、響きがアレですね。トップの「感染症危機管理監」は略して「感管監」。すごく怒りっぽそう。

英語表記はどうなるんでしょうかね。

他の「庁」には「Agency」が使われているので、「Infection Crisis Control Agency」になるのでしょうか。

略称「ICCA」ですか。それで「イッカ」?

当初は「健康危機管理庁(仮称)」でしたが、政策目標を明確化するために「感染症…」に変えたようです。

でも例えば、ワクチンの供給や副反応対策までカバーするなら、「健康…」の方がしっくりきますけどね。

いずれにしても、省庁の寄せ集めの弊害(縦割りや縄張り争いなど)が起きないよう、お願いします。

初代管理監には、行動力・突破力のある方が必要ですね。最近見かけませんが、河野太郎氏なんて、どう?

「4回目接種」開始

新型コロナワクチンの「4回目接種」が始まっています。当院でも今日から、接種を開始しました。

その対象となるのは、3回目接種から5カ月以上を経過して、次のいずれかを満たす方です。

(1)60歳以上

(2)18〜59歳で、(A)基礎疾患を有するか、(B)新型コロナの重症化リスクが高いと医師が認める者

当院では今日、6人に接種を行いました。私自身も(1)の「高齢者枠」で接種しました。

4回目接種に限っては、たとえ医療従事者でも基礎疾患が無ければ、59歳以下の方は接種できない規則です。

コロナ病棟や発熱外来に従事する者よりも、高齢者や重症化リスクのある方への接種が優先されています。

ワクチン接種の目的が、感染予防ではなく重症化予防であることが、ここに来て明確になってきたわけです。

でも感染リスクよりも重症化リスクを重要視するのであれば、若者への3回目接種勧奨とは若干矛盾します。

「2回目きつかったし、コロナ罹っても軽いなら3回目は接種しない」という若者の意見は至極真っ当です。

新たな理論で開発されたばかりのワクチンが、治験もそこそこに、世界中で猛然と接種し続けられています。

私は基本的にはワクチン推進派ですが、このような激流に身を任せ続けて良いものか、時々考えてしまいます。

しかし他人に接種を勧める以上、とりあえず自分が打っておかねばと、本日率先して接種したところです。

さて、4回目接種後の副反応は3回目と比べてどうなんでしょうね。あー、そろそろ腕が痛み始めました。

「鶴」も「熊」も「柿」も常用漢字だけど「栗」はちがう

NHKが昨年11月に、次のような調査を行ったそうです。

「テレビの字幕スーパーとしては, どれがもっともよいと思いますか」

 a.「山で栗を拾う」

 b.「山でくりを拾う」

 c.「山でクリを拾う」

年齢層や学歴による差は少なく、約7割強の方が、漢字で書くのが良いと回答したようです。

これを踏まえてNHKの放送用語委員会は、今後は漢字の「栗」を使うことに決定する方向だと。

こんな簡単な漢字でも、常用漢字表に含まれていない漢字は原則として使わないのがNHKなのです。

お役所の作ったルールに盲従せず、メディアはわかりやすさを優先してほしいものですけどね。

そもそも、前回の改定で常用漢字表に「柿」が追加されたのに「栗」は見送られたのって、意味不明でしょう。

NHKの委員らの意見で私が気になったのは、読みやすいから漢字を使おうという、短絡的な議論です。

たしかに、「山で栗を拾う」 は読みやすいですが、もっと大事なのは漢字と仮名のバランスです。

漢字と仮名が適度に交互に並んでいるからこそ、日本語として読みやすいのです。たとえば、

 a.「昨日栗拾いをした」

 b.「昨日くり拾いをした」

 c.「昨日クリ拾いをした」

であれば、私が書くなら 「くり」か「クリ」ですね。漢字ばかり続けるよりは目に優しいからです。

漢字と仮名を使い分けて、読みやすい字面に「調整」できるのは、他の言語にはない日本語の特徴ですよね。

HPVワクチンの勧奨接種再開はたぶん、コロナのおかげです

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種の積極的勧奨が差し控えられて9年。もうそんなにたちますか。

世界中で幅広く、粛々と、平然と接種が行われているこのワクチンを、日本人だけが忌避し続けてきました。

最近になってようやく<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3820.html" target="_blank" title="勧奨再開">勧奨再開</a>となりましたが、現時点では、接種希望者が急増している雰囲気はありません。

それでも、キャッチアップ接種の希望者はそこそこいます。これからだんだん増えていくのでしょう。

日本人は、理屈よりも情緒の国民性。科学的事実よりも、衝撃的な映像などメディアの影響を強く受けます。

メディアは、そんな国民や各種団体に「ウケ」の良い報道を垂れ流し、あるいは扇動します。

国は、メディアや団体から叩かれるのを嫌い、また過去の判例にとらわれ、事なかれ主義の無策に徹します。

女性を子宮頸がんから守らなければならないことの重要性は、昨今どうしても無視できなくなってきました。

根拠をもって勧奨を止めたワクチンの接種を、一転して推し進めるためには、何かきっかけが必要です。

しかし、ワクチンの成分も有効性も安全性も9年前と同じ。何か新事実が出てくるとも思えない。

そんな時に、突如として現れたのが、新型コロナウイルス感染症であり、新型コロナワクチンなわけです。

日本人は、たとえ副作用があっても有用ならと争うようにワクチンを接種しました。筋肉注射にも慣れました。

この新型コロナワクチンの登場は、HPVワクチンの再開に向けての、追い風どころか神風に近いものでした。