B型肝炎ワクチン、一部の製剤が品薄です

KMバイオロジクス製のB型肝炎ワクチン『ビームゲン注0.5mL』の、出荷調整が行われることになりました。

このワクチンに「想定を上回る注文」が入り、すべての受注に対応できない状況になったからだといいます。

B型肝炎ワクチンを製造しているのは、KMバイオロジクス(KMB)とMSDです。

KMBの「ビームゲン」にも、MSDの「ヘプタバックス–II」にも、0.5mL製剤と0.25mL製剤があります。

ビームゲンは薬液が薬瓶に入った「バイアル製剤」であり、ヘプタはシリンジに入った「シリンジ製剤」です。

バイアル製剤は、接種前にバイアルから薬液を「必要量だけ」吸い出して使用しなければなりません。

一方でシリンジ製剤は、そのシリンジを使ってそのまま接種できるメリットがあります。

接種量は、10歳以上が1回0.5mL、10歳未満は1回0.25mLなので、小児の定期接種に使う用量は後者です。

正確な統計データは知りませんが、私の感覚では、このワクチンの接種対象は圧倒的に小児です。

でも、小児用量である0.25mLの製剤が不足しているのではなく、いま品薄になっているのは0.5mL製剤です。

実はこの「需要偏重」の原因には、思い当たるフシがあります。

ワクチンの値段(納入価格)は、0.25mL製剤と0.5mL製剤とでは、あまり変わらないのです。

おそらく、薬液自体のコストの差よりも、バイアルやパッケージや流通コストの方がずっと大きいのでしょう。

よって、たとえば小児2人へは、0.5mL製剤を使って0.25mLずつ吸い出して接種を行うのが一般的です。

この「節約策」は、一度針を刺したバイアルを24時間以内に使い切るのであれば、正式に認められています。

ただし、シリンジ製剤(ヘプタ)ではこの手法が使えません。使えるのは、KMBの0.5mL製剤だけなのです。

というわけで、このワクチンが大人気となり、注文が増えたのだと私は推測しています(個人の意見です)。

だったら、出荷調整などするよりも、0.5mL製剤を大幅増産してくれた方が、よっぽど嬉しいですけどね。