「第○波」というより、ずっと「潮位」が上がってますけど

ついに5日連続です。熊本も東京も福岡も、新型コロナ感染者数が5日連続で前の週の同じ曜日を上回りました。

発熱外来をやっていれば、このところ感染が再拡大していることが肌感覚でわかります。

ところが、今日のNHKニュースを見ていると、東京では発熱外来受診者が思いのほか減っているといいます。

もしかすると九州の感染拡大は、東京よりも先行しているのかもしれません。沖縄と宮崎は過去最多でしたし。

5/7-8の土日の当院の発熱外来のPCR陽性率は60%でした。これは2月の感染ピーク時に近い数字です。

陽性率が異常に高いときは、検査が追いついていない可能性を考慮する必要があります。

検査センターからPCRの結果連絡が入ると、診療を中断して患者さんに電話連絡し、次に発生届を出します。

この発生届をHER-SYSで入力しようとすると時間がかかるので、最近はFAXで送信するようにしています。

ところが今日、FAXで送信した場合にはあとでHER-SYSにも入力するようにと、保健所から連絡が来ました。

何言ってんの。そんな二度手間を課されるぐらいなら、診療終了後にまとめてHER-SYS入力しますよ。

そのかわり届出が何時間も遅くなりますけどね。それがイヤで私は、早さ優先でFAXを使っているのです。

保健所の事務作業を減らしてあげたい気持ちはありますが、その分を医療機関が負担するのは解せません。

医療機関の本分は、診療です。診察と検査と治療です。事務作業は最小限にさせていただきたい。

という私の考えを今夜、とてもやんわりと、極めて穏やかに、保健所に電話してご意見申し上げました。

ドーナツはやっぱり、固いヤツが好き

夕食後のデザート用にとっておいたミスドの「チョコファッション」を家人に食べられて、今不機嫌な私です。

学生時代に「ドーナツを食べれば穴もなくなる」という「格言?」を初めて聞いたとき、感動したのも私です。

当然、「穴だけ残してドーナツを食べるにはどうしたらよいのか」などと考えたりします。学生ですから。

昭和の時代、こんなどうでも良いことを、酒飲みながら車座になって朝まで語り合ったりしたものです。

ネットの時代になると、こういうネタで「掲示板」が盛り上がることになります。場合によっては荒れます。

スマホはおろか携帯やネットすらなかった学生時代、対面でなければ語り合えず、語るために会っていました。

ビールとツマミを何品か買って、夜遅くに友人のアパートを訪れます。もちろんアポなしです。

相手が何をしていたかに関係なく、いきなり上がり込み、飲み、語ります。重要な要件は何もありません。

考えてみると当時は、「文字で」語り合うという手段もなければ発想もありませんでした。

またそのような日常のワンシーンを、いちいち銀塩カメラで撮影する理由も準備もありません。

なので当時の語り合いの痕跡は互いの記憶の中だけに存在し、しかもほぼ消えつつあります。

いまは誰とでも、時間と場所に関係なく「意見交換」ができるという、便利だけどイヤな時代になりました。

文字で会話するので、その記録が残り、あとで読み返して確認もでき、なんなら保存し続けられます。

スナップ写真の枚数は、昭和の時代よりも桁違いに多く、あまりに多くて整理する気も失せるほどです。

でも、文字や画像・映像の情報量が劇的に増えた現在、脳内に刻まれる記憶情報の量はどうなんでしょうね。

外部デバイスに記録を頼りすぎた分、思い出が希薄になっていないか、いまの若い方のことが心配になります。

「4回目接種」はモデルナ主体で行く?

「新型コロナワクチンの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3863.html" target="_blank" title="4回目接種">4回目接種</a>の順番が回ってきたら、接種を希望されますか」

当院で3回目接種を受けた、当院のかかりつけの方に、最近このような質問をしています。

3回接種を済ませた方でも、ワクチンの副反応や必要性について多少なりとも疑問を感じている人はいます。

これまで3回はみっちり接種してきたけど、4回目は模様眺めしたいと、はっきりおっしゃる方もいます。

逆に、ワクチンの副反応が軽く、罹患すれば重症化しやすい高齢者は、接種を希望する傾向が強いようです。

さて、問題はワクチンの供給量です。

当院は、熊本市の予約システムを使わず、かかりつけの方だけに、これまでずっと接種を行ってきました。

3回目接種は、かかりつけの方のうちの希望者数を予測して、その人数に応じてワクチンを請求しました。

たとえば6/11〜7/10接種分は、接種希望者が約400人と考えて、68本のファイザーワクチンを希望しました。

ところが、当院への配分は4本になるとの通知が来ました。68本必要なのに、来るのはたったの4本。

熊本市が供給可能なワクチン1,000本に対して、全医療機関の希望数の合計が16,378本だったそうです。

この需給比率からの按分計算によって、各医療機関へは希望量の1/16が配分されました。なので当院は4本。

今回、当院での4回目接種(8月末までに接種する予定分)は、最大で300人程度になると予測しています。

では、市へ請求する希望数を300人分で出してよいものかどうか。配分量が大幅にカットされるのは必至です。

熊本市の担当者にこの件を尋ねましたが、あくまで、予測する接種の実数で希望数を出してくださいとのこと。

大幅に削減されるのを見越して水増し請求しちゃダメですよと、(暗に)釘を刺されました。

先生のところで接種できなかった方は、他院や集団接種会場で接種することになるでしょうと、冷たいお言葉。

どうしてそうなるんですかね。3回目を接種した医療機関で4回目も接種するのが、いちばん簡便・確実なのに。

ただしこれはファイザーに限った話。圧倒的に供給量が多いモデルナへ宗旨替えすれば、解決するんですよね。

休日の医療・検査体制の充実を

東京も熊本も福岡も、新型コロナ感染者数が2日連続で前の週の同じ曜日(つまり日曜日)を上回りました。

大都市圏と地方都市の感染者数が同じタイミングで増えるのは、本当の感染再拡大とは思えません。

昨日も書いたように、検査体制の不備によって抑え込まれていた感染報告が、連休後にまとめて出ただけです。

と思いたい気持ちとは裏腹に、今日の発熱外来受診者が異常に多かったのは、どういうワケなんでしょうね。

今日は朝9時台には「新型コロナ感染症専用相談窓口」に電話して、当院への紹介を止めていただきました。

残念ながら熊本では、休日診療している医療機関が少なく、当番医でも発熱外来をしないところがあります。

それに加えて、検査会社が休日体制でフル稼働していないので、PCR検査はたいてい休み明けに回されます。

という具合に昨日と同じことをまた書いてますが、それほどまでに私は、休日に弱い医療体制を憂えています。

しかし、検査会社が暦通りに休業するのは、役所や一般企業と同じで職員を休ませる目的があります。

ですが一方で小売店などのサービス業では、休日営業こそが重要で、従業員もそれを理解して働いています。

医療サービスも同じこと。年中無休でフル稼働する検査会社が、市内に1つぐらいあってもいいでしょうに。

それが無理でも、日曜祝日だけ検査をするような、休日に特化した検査センターがあれば、それで十分です。

土曜日にしては、新規感染者数が多いけれども

せっかく新規感染者数が減っていたところが、熊本も東京も今日は、1週間前の土曜日を上回る数字でした。

このように感染者数は前の週の同じ曜日と比較するのが常ですが、それは曜日による変動があるからです。

1週間のうち、新規感染者数が最も多くなるのは、たいてい火曜日(ときに水曜日)です。

その反対に、いちばん感染者数の報告が少ないのは、月曜日か日曜日です。

曜日によるこの変動は、検査実施数の偏りと検査センターの稼働曜日が限られることが、その原因です。

当院の場合、平日に採取したPCR検体は、時間帯にもよりますが、遅くとも翌日には結果が判明します。

ところが日曜日には検査センターが稼働していないので、日曜に採取した検体の検査は月曜に回されます。

今日のような土曜日に行ったPCR検査でも、多くの場合、検査は月曜にまわされます。

そしてそれらの結果が判明して私が発生届を出し、熊本県が発表する新規感染者に加わるのは火曜です。

つまり、休日やその翌日に発表される感染者数は少なく、その分、休日の2日後の感染者数が増えるわけです。

なので3連休の2日後に相当する今日は、通常の火曜日と同じ機序で、感染報告数が増えたとも考えられます。

今日発表の新規感染者数に限っては、検査態勢の「あや」による一時的な変動だと思いたいですね。

帯状疱疹予防策としての「水痘パーティー」の勧め

コロナ禍で<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2492.html" target="_blank" title="帯状疱疹">帯状疱疹</a>が増えていると、よく報じられます。

たしかに時々帯状疱疹の方が来院されますが、受診控えもあるのか、格段に増えた印象は私にはありません。

「コロナ禍で帯状疱疹が増えた」と思いたがるのは、「今年の夏は暑い」と毎年言ってるのと似ています。

例えばNHKの『ガッテン』が、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2836.html" target="_blank" title="急増中!風疹&帯状ほう疹 徹底対策SP">急増中!風疹&帯状ほう疹 徹底対策SP</a>」を放送したのは、2019年でした。

『ガッテン』を鵜呑みにはしませんが、コロナ禍の前から、近年帯状疱疹は増えてきているようです。

コロナ禍のストレスが帯状疱疹の増加とは無関係とは言いません。しかしやはり主因は別にあります。

最大の原因は、水痘ワクチンの定期接種化によって、世の中の水痘の患者が激減したことだといわれます。

水痘はきわめて感染力が強いので、かつては知らず知らずのうちに巷で水痘ウイルスに接触していたのです。

接触するたびに、弱りかけていた水痘の免疫が補強される「ブースター効果」が発揮されてきたわけです。

ところがその接触機会が減り、免疫が維持できず、帯状疱疹を発症する可能性が高まってしまいました。

その意味では、コロナ禍で人が集まらなくなったことも、あながち無関係ではないかもしれませんね。

なのでいまや、帯状疱疹を予防するためには、ワクチンの接種によって免疫を維持しなければなりません。

帯状疱疹を予防するためのワクチンは、従来の生ワクチンに加え、最近では不活化ワクチンもあります。

不活化ワクチンの方が強い免疫がつきますが、2回の接種が必要で、副反応がやや強く、しかも高額です。

いちばん有効なのは、水痘ウイルスに直接接触して免疫を高めることでしょう。なにしろ「無料」ですし。

近所に水痘のお子さんがいたら、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3206.html" target="_blank" title="水痘パーティー">水痘パーティー</a>」でも開いて、みんなで免疫をわけてもらいましょう。

知り合いが帯状疱疹になったら、見舞いがてら、水疱を触らせてもらいましょう。

なおこれは、水痘罹患歴のある方に限ります。罹患歴の無い方がこれをすると、水痘に罹ってしまいますので。

減ったと思うのはまだ早い感染者数

祝日だからでしょうか。今日の発熱外来は、10時前には夕方6時までの予約枠がほぼ埋まってしまいました。

これは、日曜日の当番医の時よりもハイペースです。

というわけで今日も、熊本県新型コロナ相談窓口に電話して、当院への紹介をストップしていただきました。

担当者はいつも、「あー、そうなんですねー」と寂しそうな声で応じてくれます。

全国の新規感染者数は減少傾向が続き、熊本も255人でした。木曜日としては明らかに減っています。

しかしながら何度も書いてきたように、検査態勢が手薄な日曜祝日後の数字は、アテにはなりません。

本当に減ったかどうかは、来週判断しましょう。

それにもしかすると、連休中の人の移動や行楽地等での密集で、翌週以降また感染者が増えるかもしれません。

とは言え、以前のように感染者数の数字の増減を見て一喜一憂することは、もうそろそろやめにしましょう。

病床のひっ迫率等は重要ですが、感染者数自体を以前と同じ重みで受け止めるべきかどうかは疑問です。

ただし、コロナ診療の玄関口とも言える当院のような発熱外来では、感染者数の推移にはとても敏感です。

とくに、発熱外来受診者の数、陽性率、濃厚接触者以外の感染者数などは、今後を占う重要な情報です。

なので、感染者の年齢と診断日など最小限の情報を、リアルタイムで登録・参照できる仕組みが欲しいですね。

いまの発生届は、感染者情報と将来の分析に必要な項目を盛り込みすぎて、迅速な入力には不向きなのです。

血圧は、けっこう日内変動しています

私は日頃、飲酒は必ず入浴後と決めています。飲酒後に入浴すると、溺れる危険があるからです。

日本人の溺水は圧倒的に入浴時(浴槽内)が多く、他の国とは全く異なる傾向が特徴的です。

しかもその多くが60歳以上で、温度変化による血圧変動や熱中症などの機序が考えられています。

風呂につかって温まると、皮膚などの血流が増えて血圧が下がります。

水圧によって血圧は保たれますが、浴槽から立ち上がろうとすると、血圧が急低下するわけです。

熱中症気味で脱力している時に、急な血圧低下で意識が低下すると、そのまま浴槽内で溺れかねません。

なので私は万一飲酒後に入浴する際は、温まりすぎず長湯せず、立ち上がる時はゆっくり、を意識しています。

少し早い時間帯から飲酒した今日、飲酒後の入浴となりましたが、その後血圧を測ってみると上が90台でした。

日頃の入浴後は110前後なので、やはり飲酒+入浴によって血圧はかなり下がっていました。

高血圧で治療中の方には、朝晩の血圧を測って記録して、可能ならグラフにしてもらっています。

朝の血圧測定はたいてい起床後か朝食後ですが、夜は人それぞれ。夕食前、夕食後、寝る前などさまざまです。

いつも同じタイミングで測ればそれで良いのですが、入浴後の夕食前や、飲酒後の寝る前は、低めになります。

治療上は、できれば高そうなタイミングの血圧を知りたいので、入浴前かつ夕食前の測定もお願いしています。

入浴前かつ夕食前だと、仕事から帰って来た直後になるので血圧が高く出てしまう、と言う方がいます。

なるほど。でもその血圧こそ、仕事の真っ最中の血圧に近いかもしれませんよ。それもあなたの血圧です。

コロナ前のような賑わいが悪いとは言わないけれど

今日は祝日ですが、火曜日なので定期休診日でした。さらに明日は、水曜日なのに臨時休診する予定です。

熊本市内で日曜祝日に発熱外来を行っている医療機関は多くないので、祝日に休診するのは心苦しい限りです。

東京の感染者数は着実に減っているようですが、沖縄はむしろ増え続けており、熊本はその中間。横ばいです。

2年間の感染者数推移のグラフを見ると、今の第6波の縮尺では、第1波はほとんど見えないほどの小波ですね。

その見えないほど小さな波(全国で1日数百人程度)で日本中が大騒ぎして、ついに緊急事態宣言が出ました。

昨年の1月に緊急事態宣言が出たのは、全国で数千人レベルの感染の時。これが第3波でした。

一段落したと思ったら春から第4波が始まり、ついにまた緊急事態宣言。感染者は全国で数千人程度でした。

東京五輪が開催される前から始まっていたのが第5波。ピークは全国で2万人レベル。そして緊急事態宣言です。

その後、ウソのように穏やかな11月・12月を経て、今年1月からとんでもなく急峻な感染拡大が始まりました。

これが今も続く第6波で、ピーク時の感染者数は10万人を超え、しかも今なお数万人レベルが続きます。

ところが、過去の緊急事態宣言時とは桁違いの感染者数だというのに、緊急事態宣言が出る気配はありません。

むしろ、人々はコロナ禍前の元気を取り戻し、行楽地は大混雑。もはやポストコロナを思わせる様相です。

さいわい第6波では、重症化率や死者率が以前の波よりは明らかに減っており、それも好材料なのでしょう。

感染の収束(終息)は必ずしも待たず、そろそろ自粛を緩和する方向にシフトする時期なのかもしれません。

とは言え、せめてマスクだけは、欧米のマネはせずに、しばらくはこれまで通りの装着をお願いします。

当院の発熱外来とワクチン接種も、まだしばらく続きそうです。その意味ではウィズコロナですね。

「4回目接種」の準備始まる

熊本市による、「新型コロナワクチン4回目接種の体制構築に関する希望量調査」が始まりました。

4回目接種の対象は、3回目接種から5カ月以上を経過した、60歳以上または基礎疾患を有する18歳以上の方。

6月から始まる4回目接種を6月中に受けることになるのは、ほぼ、60歳以上の医療従事者に限定されます。

たとえ医療従事者でも、60歳未満だと接種できません。当院職員で接種できるのは、幸か不幸か私だけです。

当院で1月までに3回目の接種を行った方のうち60歳以上は6名。ファイザーのワクチンちょうど1本分です。

年齢の条件をはずすと12名に増えますが、基礎疾患を有する人は含まれないため、やはり対象は6人だけです。

国は(市も)、ファイザーよりもモデルナを推奨しています。もちろん、ファイザーが足りないからです。

全国の対象者5,428万人に対し、ファイザー1,268万回分、モデルナ4,710万回分が供給される予定とのこと。

ざっと、ファイザー2割・モデルナ8割です。4回目は圧倒的に、モデルナを打たなければならなくなります。

3回目接種の時、ファイザーからモデルナへの「交互接種」を希望した高齢者は、ほとんどいませんでした。

高齢者であればあるほど副反応への警戒感が強いので、副反応が報じられたモデルナは敬遠されがちなのです。

ところが4回目では、その高齢者の8割が、モデルナを接種することになってしまいます。

当院ではなるべくファイザーを多く入手したいところですが、こればかりは思い通りにはいかないでしょうね。

でも逆に、私は4回目にモデルナを接種しようかと考えています。もちろん、接種後2日間は休診する予定です。