くまもと県北病院が、保健所から委託された濃厚接触者のPCR検査について、医療費を誤って請求していた件。
検査料は徴収しなかったものの、初診料などの医療費を請求していたことが問題となっています。
つまりこの病院は本来、委託された「検査」のみを行い、それに伴う「診療」への請求はできなかったのです。
最近は減りましたが2月頃までは、濃厚接触者は原則として全員PCR検査を行うよう保健所は勧めていました。
当時は毎日のように、保健所からPCR検査をするよう言われた方が何人も、当院の発熱外来に来ていました。
ところがその中には少数ですが、会計の段になって「えっ、料金がかかるんですか?」と驚く方がいました。
おそらく保健所は、「PCR検査は無料で受けられますよ」と説明していたのでしょう。
たしかに当院で行うPCR検査は「行政検査」扱いなので無料ですが、初診料などは別途かかります。
しかし保健所の説明では、「完全無料」だと誤解してしまう可能性があったのです。
その反対に、一般の医療機関のように「診療」してしまったのが、今回のくまもと県北病院の誤りなのでした。
となるとポイントは、本件でのPCR検査の「委託料」がいくらだったのかという点ですね。
保険診療でPCR検査をした場合の診療報酬の総額と比べて、格段に低額だったのかもしれません。
病院には委託検査の制度解釈を誤った非があるとしても、低料金で買い叩かれていた背景はないのでしょうか。
それなりのリスクを負って検査を行うのですから、医療行為全体への報酬はキッチリ認められるべきです。