抗原検査は、陰性証明ではなく早期陽性診断にこそ使われるべき

「PCR検査ではなく、結果が早くわかる抗原(定性)検査をしてもらえますか?」 よく頂戴するご要望です。

約1年前までは、抗原検査とPCR検査を同じ日に両方行っていたので、話は簡単でした。

「まず抗原検査を行い、それが陽性ならコロナ感染確定。陰性なら、より感度の高いPCR検査をしましょう」

ところがある時、PCR検査を抗原検査と同じ日には行ってはならない、と保険者からクレームが付きました。

抗原検査が陰性であった場合、翌日まで経過を見て、必要なら翌日PCR検査をすればよいのだと言うのです。

それ以来当院では、抗原検査実施例では原則としてPCR検査は翌日行う方針とし、結果判明が遅くなりました。

2日間の受診となり医療費も増えました。医療費削減を目論んだ保険者による規制が、裏目に出た格好です。

いま、冒頭のような質問を受けた場合、次のようなお答えをしています。

「自分が陽性だということを早く確定させたければ抗原検査を、陰性証明を得たければPCR検査が適切です」

たとえば低酸素血症のあるような、陽性かどうかを早く知りたいケースでは、すぐに抗原検査を行います。

そうでもなければ私は通常、唾液が採れる年齢の方にはPCR検査を第一選択とします。

陰性証明を得たい理由で抗原検査を希望する方には、その限界をしっかり説明しなければなりません。