PCR検査の委託先を変えました

臨床検査センターは、概して日曜祝日の検査受入態勢が弱く、日祝診療をしている当院はいつも困っています。

そこで昨日から、PCR検査の委託先を、これまでとは別の業者(検査会社)に変えました。

その最大の理由は、新たに委託する会社なら、日祝日の検体回収をしてくれるからです。

これは当院にとってかなり大きなことで、日祝日のPCR検査の結果が判明する時間帯が大幅に早くなります。

結果判明が早ければ、患者さんへの連絡も早くなり、必要な治療も早くなり、保健所への届出も早くなります。

患者さんにとっては、出勤の可否や家族への影響も甚大ですから、一刻も早く白黒を付けたいはずです。

日祝日には、「新型コロナウイルス感染症専用相談窓口」で紹介を受けた、という方からの電話が相次ぎます。

昨日も今日も、そのような電話によって、朝の内に夕方までの予約枠が埋まりました。

当院の発熱外来では、唾液が採取できる方は原則としてPCR検査を行い、抗原検査は限定的に行っています。

高齢者や重症化のリスク因子をお持ちの方など、早く陽性診断を付けたい場合に限り、抗原検査を行います。

抗原検査で陰性の場合でも、それが偽陰性の疑いがあれば、あらためてPCR検査をすることになります。

このような場合、PCR検査は原則として抗原検査の翌日以降に行っています。

かつて両者を同日検査していた当院は、国保連にバッサリと<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3596.html" target="_blank" title="全症例の診療報酬をカット">全症例の診療報酬をカット</a>されてしまいました。

その苦い経験に懲りて当院では、抗原検査とPCRを同じ日に行わないようにして膾を吹いています。

患者さんには別日にPCR検査に来ていただくので、検査結果が出るのが遅れます。医療費もムダに増えます。

医療費削減をもくろむ国保連の狙いとは裏腹に、医療費は余計にかかり、患者さんの負担も増えているのです。

HPVワクチンの「積極的勧奨接種」、まもなく再開します

HPVワクチンは来月から、これまで差し控えられてきた「積極的勧奨接種」が再開します。

厚労省は、そのように決定するに至った議論を3つ、提示しています。

(1)HPVワクチンの安全性についての特段の懸念は認められない

(2)HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援を続けていく

(3)HPVワクチンに関する情報提供が広がった結果、国民の理解が進み、接種者数が増えてきている

まず、とくに新たなエビデンスが出たわけでもないのに、いまさらのように(1)を言い出すのは不誠実です。

さらに(2)は(1)と矛盾します。単に、いかにも国民に寄り添ってます感を出すための誤魔化しです。

挙げ句の果ては(3)のように、国民がこれまでワクチンの安全性を理解していなかったかの様に言う始末。

国は、その判断の誤りと、それによる国民の不利益については何一つ触れずに、やり過ごそうとしています。

毎年1万人以上が罹患し、3千人近くが死亡する「感染症」を、国が予防しない道を選んだ事実は消えません。

感染症から国民を守ることよりも、予防接種という「施策」による健康被害を防ぐことを優先させたのです。

これが愚策であることは、ほかならぬ厚生官僚がいちばんわかっていたのですが、ずっと動けませんでした。

これまでの経緯はどうであれ、積極的勧奨接種を再開するのであれば、私はもう何も申しません(たぶん)。

接種機会を失ってしまった方への「キャッチアップ接種」も、十分にやっていただけるのでしょう。

さらにその方が将来子宮頸がんを発症してしまった場合はもちろん、十分な対応をとっていただけますよね。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観ました。今年のアカデミー作品賞の最有力候補などと言われてますね。

話題まっただ中の映画なのに、観たければ家庭ですぐ観られるのが「Netflix作品」の良いところです。

(この映画、たぶんネタバレ厳禁だと思いますので、これから鑑賞予定の方は、以下は読まないでください)

この映画のジャンル、「ウエスタン・サスペンス」で、合ってますかね。

タイトルが「犬の力」なので、動物映画かと思ってましたうそ。でもたしかに、動物が重要な意味を持ちます。

しかし犬にそれほどの直接的な力はなく、兎でも馬でもなく、しいて言えば「牛の力」でしょうか。

ただし時々犬が吠えるので、そのたびに我が家の愛犬・花ちゃんが、画面に吠えかかります。

重要な登場人物は4人。みなそれぞれに被害者でありながら加害者で、今風に言えば全員が「クセツヨ」です。

雄大な西部の山々の描写のもと、最終的な「犯行」に至るまでジワジワと控え目な伏線が張られていきます。

私が感じとった解釈が本当に正しいのかどうか、自信はありません。実はもっと別の物語かもしれません。

見落とした伏線、描かれてすらいない真実、どこまで想像で補えば良いのか、考え出したらキリがありません。

例によって偶然が重なってこそ成り立つ展開ですが、そこは映画ですから、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2404.html" target="_blank" title="そういう事例を描いたまで">そういう事例を描いたまで</a>の話。

いずれにしても2度観が必要ですね。アカデミー賞の審査員が好きそうな映画だと思います。

PCR検査の診療報酬に、わずかばかりの救済措置

マンボウを予定通り21日にすべての地域で解除することを、政府は決定しました。

けっして感染が終息したわけではなく、むしろ感染再拡大の懸念の残る中で、あえて舵を切ったわけです。

発熱外来をやっていると、たしかにピークは過ぎたと感じますが、ダラダラと感染者が減らない印象です。

そんな中、4月からPCR検査の診療報酬がほぼ半減するなど、医療機関には大打撃が待ち構えていました。

以前は18,000円だったものが、12/31から13,500円、4月からは7,000円と、大幅に減額される予定でした。

診療報酬と検査用経費の差が医療機関の収入ですが、ヘタをすると赤字になりそうなぐらいの「改悪」です。

このままでは検査すればするほど損をする、ならばPCR検査なんてやめようかという人も出てくるほどです。

そう思っていたら、診療報酬の引き下げが少しだけ、ほんの3カ月間だけ、緩和されることになりました。

4/1から6/30までは8,500円という「経過措置」を、中医協(中央社会保険医療協議会)が提案したのです。

まったくケチな見直しですが、じゃなくて、中医協の皆さまには、格別のご配慮、痛み入ります。

一方で検査センターには、検査委託料のさらなる引き下げをお願いします。

ていうかそもそも、最初から委託料が高すぎたのです。医療機関が利に走っているわけではありませんので。

こんな時に大地震(こんな時でなくても)

東北地方で昨夜、福島県沖を震源とする地震がありました。

私はスマホのニュース速報で寝入りばなを起こされ、しかし東北の出来事と知って、また寝入りました。失礼。

東北新幹線の車両が高架の上で脱線しましたが、けが人がなかったのは地震対策技術のおかげでしょう。

東北地方の皆さまのご無事をお祈りしています。あと、原発の無事も。あと、今夜「本震」が来ないことも。

停電のために冷凍・冷蔵庫内の温度が上昇し、保管していた新型コロナワクチンが大量に廃棄されたとのこと。

報じられたのは自治体で保管していたものですが、おそらく、医療機関でも同様の損害は起きたことでしょう。

あるいは、停電中の温度上昇に気付かれないまま保管が続けられれてるワクチンも、あるかもしれません。

前にも書いたように、冷蔵保管中のワクチンは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3524.html" target="_blank" title="温度管理">温度管理</a>がいかにルーズでも外見上は何も分かりません。

医療機関等が、保管温度についてどこまで厳しく管理しているか、その熱意と良心がすべてなのです。

記者会見の報道で久しぶりに、気象庁の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2775.html" target="_blank" title="島田洋七">島田洋七</a>こと、中村雅基「地震火山技術・調査課長」の姿を見ました。

3年前に初めて拝見した「地震津波監視課長」時代よりも、島田洋七度がかなり低下しています。

しかも元気がありません。当然のことならが、徹夜なのでしょう。昭和40年1月生まれ。57歳ですか。

気象庁ではおなじみの、口元が透明なマスクを装着しています。これって、いつまでたっても慣れませんね。

子どものオミクロン

子どもの感染が増えていると言われる、新型コロナのオミクロン株ですが、当院でも小児例が増えています。

昨年1年間のPCRまたは抗原陽性例は97人で、うち15歳以下は18例 (19%)、11歳以下は10例 (10%)でした。

ところが今年はこれまでの陽性例449例のうち、15歳以下は121例 (27%)、11歳以下は104例 (23%)でした。

当院の0歳児の陽性例も、昨年1年間で1人でしたが、今年はすでに3人ほど出ています。すべて8カ月児です。

1人は、38度台の熱以外に症状もなく元気で、突発性発疹かと思いましたが念のため検査したら、陽性。

2人目は、38度台の熱と鼻水。兄弟がコロナに罹患していたので検査したら、陽性。

3人目は、熱も無く下痢のみ。両親がともに風邪を引いている状況を怪しみ、念のため検査したら、陽性。

このように、風邪か胃腸炎か突発性発疹かと思うような、比較的元気なケースが、コロナでした。

日本小児科学会が最近、過去2年間の国内の小児新型コロナ感染者5,129例の調査結果をまとめました。

コロナ流行初期と、デルタ株流行期と、オミクロン株流行期の症状などを比較分析したものです。

その結果オミクロンでは、発熱・咽頭炎・頭痛・嘔吐の割合が多いことがわかり、私の経験にも一致します。

すなわちオミクロン株感染は、上気道炎や胃腸炎など、普通の風邪に近い症状に向かいつつあるようです。

岸田首相は今日の会見で、一般の事業所での濃厚接触者の特定をやめる方針を示しました。

マンボウも解除されるし、もうそろそろ隔離一辺倒な対応は見直す時期かもしれませんね。

マスクを着けていても「Face ID」が使えるようになりました

このご時世、マスクを着けたままでiPhoneを使おうとしたら、Face IDが働かなくて苦労しますね。

しかしその不便ともおさらばです。今日(日本時間)配信された「iOS15.4」で解決です。

マスク装着時のFace ID機能が追加されたと聞いて(読んで)、さっそくアップデートしました。

再起動後、「マスク装着時にFace IDを使用する」という選択肢が出るので、タップして先に進みます。

いつものようなFace IDのセットアップが行われますが、その際にマスクを装着する必要はありません。

さらに、メガネを外して2回目の顔スキャン。設定を間違えたのか、なんのかんので計4回スキャンしました。

さて、大型のマスクを着けて試してみましたが、驚いたことに、一瞬にしてロックが解除されました。

目の周囲の特徴を認識しているそうですが、それにしても、これほど早い認証で大丈夫かと思うほどです。

メガネを変えたらダメでしたが、「メガネを追加」で追加スキャンすると、そのメガネでもOKになりました。

さらに、サングラスでも認証できました。マスク+サングラスでも認証できるとは驚きです。

ていうか、いったい何を認識しているのでしょう。逆にセキュリティが甘くなってないか心配になります。

でもともかく、明日から診療中にiPhoneを使いやすくなることは朗報です。皆さまもぜひどうぞ。

ワクチンでは、「副作用」と言わずに「副反応」を使います

「こないだのワクチン、どうでしたか?」

新型コロナワクチンの3回目接種後に初めて受診された方には、たいていこのような質問をしています。

「どうもなかった」という方もいれば、「高熱が出ました」「2,3日寝込みました」という方もいます。

このような「副反応」については、昨年来の周知徹底が行き届いているので、皆さんわりと冷静です。

「高熱が出ましたが、大丈夫でしょうか」と問い合わせて来る方は、滅多にいません(たまにいます)。

一般の医薬品で「副作用」と呼ぶような現象について、ワクチンでは以前から「副反応」と表現しています。

前者は薬の「薬理作用」に付随するもので、後者はワクチンの「免疫反応」に付随するものだからでしょうか。

敢えて言い換えるなら、副作用は薬の「異常作用」であり、副反応は生体の「異常反応」という解釈です。

しかしおそらくその両者には、厳密な意味での生理学・薬理学的な差はないでしょう。

以前「HPVワクチン」問題が起きたとき、副反応という言葉がごまかしのように捉えられたりしました。

「ワクチンのせいじゃなく、体の異常です」と、まるで責任逃れのように聞こえるからです。

コロナワクチンで市民権を得た「副反応」ですが、「副作用」とは言いたくないニュアンスはつねに感じます。

英語ではいずれも「side effect」であり、両者を使い分けているのは日本(語)だけだといいます。

日本人独特の婉曲表現というか、一種の本音と建て前なのかもしれませんね。

発熱外来受診者が減った気がしません

今日の発熱外来も思いのほか受診者が多く、午前10時台には予約受付を終了する羽目になりました。

「新型コロナウイルス感染症相談窓口」から紹介を受けた方が、次々に電話をかけてくるのです。

まずはその「相談窓口」に電話して、今日はもうこれ以上当院を紹介してくれるなと伝えなければなりません。

さらに当院のネット予約システムをストップし、お急ぎの方は電話でご相談くださいと、お知らせを出します。

かかってきた電話にはなるべく私が出て、今日の内に診察・検査等を行う必要のある方を絞り込みます。

それ以外の方は、休日当番医や救急病院を受診していただくか、明日まで様子を見ることになります。

どうしても当院でのPCR検査をご希望の方は、明日の午前中に来ていただきます。

実は、今日PCR検査しても明日の朝検査しても、その結果が判明するタイミングはほとんど同じなのです。

せっかく日曜日に検査をしても、検査センターの関係で、検査の実施自体が平日回しになるからです。

このように、曜日によって検査態勢に大きなムラがある問題は、コロナ禍の初期から続き、解決していません。

無料PCR検査所で検査を受ける方が増えていますが、「確定検査」が必要になるのであれば、二度手間です。

市販の抗原検査キットも、偽陰性が多いことへの周知が不足している点が問題でしょう。

いま望むのは、極めて高感度の抗原定性検査キットでしょうか。いやそれよりも、使いやすい経口特効薬かな。

小児(5〜11歳)用新型コロナワクチン、予約受付を始めました

モデルナの新型コロナワクチンを、遅ればせながら当院では今日初めて接種しました。

なにしろ、1バイアルで15人から20人に接種するワクチンですから、なかなか希望者がが集まらないのです。

ただし、ファイザーのワクチンのような「希釈」作業が必要ないので、準備作業はかなり楽です。

小児(5〜11歳)用のファイザーのワクチンは、熊本市では2日前に、対象者に接種券が発送されました。

その問い合わせや予約の電話が入り始めたので、さっそく今日から予約の受付を開始しました。

当院ではこれまで同様、熊本市の予約システムを使わず、独自の予約受付で接種を行う方針です。

熊本市の予約サイト経由では、3月19日から予約受付が始まり、接種開始は3月28日(月)となっています。

しかし当院では、お子さんの保護者の都合が付きやすい、3月27日(日)から接種を始めることにしました。

念のため今日、保健所に連絡して、当院では市の設定よりも1日前倒しすることを伝え、了解を得ています。

熊本市では、ホテルやスポーツセンター等でも、小児ワクチンの集団接種が行われる予定です。

学校での集団接種は、「個々の意向が尊重されず同調圧力を生みがち」との理由から、実施しないそうです。

当院では、接種対象年齢だからといって接種を強く推奨することはありません。

しかし、5〜11歳のお子さんも12歳以上の方と同様に、重症化リスクを軽減するためにはワクチンが有効です。

接種のメリットとデ メリットを十分に理解していただくために、これからも情報提供を進めてまいります。