エアロゾル感染を意識するなら、十分な換気を

「新型コロナは『空気感染』すると感染研が認めた」

センセーショナルに報じられていますが、驚くほどでもないニュース。何を今さら、という反応が適切です。

たしかに以前は、新型コロナの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」だと感染研は言ってきました。

しかし最近になって、「エアロゾル感染」も否定できない、と言い始めました。

そして3日前に、主な経路は「エアロゾル感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つであると改めたわけです。

「飛沫」は、感染者の口から飛び出した、ウイルスを含む液体の大きな粒子で、数分以内に床に落下します。

「エアロゾル」は、飛沫が乾燥した小さな粒子で、軽いので空中を長時間浮遊するとされています。

両者は、元をたどれば同じモノであり、飛沫の一部がエアロゾルとなって漂うことは、誰でも想像できます。

これまでに部屋の換気が推奨されてきたのもエアロゾル対策であって、飛沫対策ではなかったはず。

すでに分かっていたことを改めて感染研が認めたとしても、今からやるべき対策は変わらないのです。

ただし飛沫とエアロゾルでは、それぞれに適した対策をとるべきです。診療における私の基本的な考え方は、

(1)飛沫対策:感染者等と対面するときは、十分な防護具を装着し、距離をとり、真正面を避ける

(2)エアロゾル対策:感染者等が滞在している(いた)個室は、つねに十分に換気し、長時間の滞在を控える