ワクチンでは、「副作用」と言わずに「副反応」を使います

「こないだのワクチン、どうでしたか?」

新型コロナワクチンの3回目接種後に初めて受診された方には、たいていこのような質問をしています。

「どうもなかった」という方もいれば、「高熱が出ました」「2,3日寝込みました」という方もいます。

このような「副反応」については、昨年来の周知徹底が行き届いているので、皆さんわりと冷静です。

「高熱が出ましたが、大丈夫でしょうか」と問い合わせて来る方は、滅多にいません(たまにいます)。

一般の医薬品で「副作用」と呼ぶような現象について、ワクチンでは以前から「副反応」と表現しています。

前者は薬の「薬理作用」に付随するもので、後者はワクチンの「免疫反応」に付随するものだからでしょうか。

敢えて言い換えるなら、副作用は薬の「異常作用」であり、副反応は生体の「異常反応」という解釈です。

しかしおそらくその両者には、厳密な意味での生理学・薬理学的な差はないでしょう。

以前「HPVワクチン」問題が起きたとき、副反応という言葉がごまかしのように捉えられたりしました。

「ワクチンのせいじゃなく、体の異常です」と、まるで責任逃れのように聞こえるからです。

コロナワクチンで市民権を得た「副反応」ですが、「副作用」とは言いたくないニュアンスはつねに感じます。

英語ではいずれも「side effect」であり、両者を使い分けているのは日本(語)だけだといいます。

日本人独特の婉曲表現というか、一種の本音と建て前なのかもしれませんね。