エアロゾル感染を意識するなら、十分な換気を

「新型コロナは『空気感染』すると感染研が認めた」

センセーショナルに報じられていますが、驚くほどでもないニュース。何を今さら、という反応が適切です。

たしかに以前は、新型コロナの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」だと感染研は言ってきました。

しかし最近になって、「エアロゾル感染」も否定できない、と言い始めました。

そして3日前に、主な経路は「エアロゾル感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つであると改めたわけです。

「飛沫」は、感染者の口から飛び出した、ウイルスを含む液体の大きな粒子で、数分以内に床に落下します。

「エアロゾル」は、飛沫が乾燥した小さな粒子で、軽いので空中を長時間浮遊するとされています。

両者は、元をたどれば同じモノであり、飛沫の一部がエアロゾルとなって漂うことは、誰でも想像できます。

これまでに部屋の換気が推奨されてきたのもエアロゾル対策であって、飛沫対策ではなかったはず。

すでに分かっていたことを改めて感染研が認めたとしても、今からやるべき対策は変わらないのです。

ただし飛沫とエアロゾルでは、それぞれに適した対策をとるべきです。診療における私の基本的な考え方は、

(1)飛沫対策:感染者等と対面するときは、十分な防護具を装着し、距離をとり、真正面を避ける

(2)エアロゾル対策:感染者等が滞在している(いた)個室は、つねに十分に換気し、長時間の滞在を控える

発熱外来は、来月もやるしかなさそう

熊本市の保健所は最近、無症状の濃厚接触者の積極的なPCR検査を行わない方針に切り替えています。

発症したら検査を考えましょう、という姿勢です。検査態勢のひっ迫を考慮したものかもしれません。

しかしそのおかげで、濃厚接触者の感染の有無が不明のまま、自宅療養が解除されていきます。

遅れて発症した濃厚接触者に遭遇することも多く、検査を抑制することの弊害は、すでに出始めています。

「オミクロン株」の派生型「BA.2」の感染者が、昨日熊本県内で初めて確認されました。

お隣の鹿児島県では、熊本よりも11日早い今月18日に初感染が確認されています。

その鹿児島は、先週から新規感染者数が上昇に転じており、昨日からは2日連続で過去最多を更新しています。

これがBA.2の拡大によるものであるのなら、熊本でも同様の事態が今週末ごろから始まることでしょう。

ちょうど春休み・新年度の人の移動(異動)の多い時期なので、タイミングとしては最悪かもしれません。

感染の再拡大があろうとも、発熱外来の診療報酬は4月から大幅に引き下げられることになっています。

なので当院の発熱外来も規模を縮小しようかなと思っていましたが、しばらくはまだ無理そうですね。

数字で個性を出してみる

保険会社の「チューリッヒ」が、ロシア支持を誤解されぬよう、企業ロゴ「Z」の使用をとりやめたとのこと。

そう聞いてすぐ同社のサイトを見たら、まだ出ています。どうやら、SNS上での使用だけ中止したようですね。

さて「Z会」はどう出るか。

「Z」の文字を書くとき、真ん中の斜めの線を横切るように、短い線を書き加えることがありますよね。

あれは「ストローク」といって、私も格好付けに書いてます。でも本来は「2」と区別するためのものですね。

いや確かに、ストローク抜きで「Z」を書いたら、よほどカクカク書かない限り、2との区別が付きません。

「D」や数字の「7」にストロークを付ける人を見かけますが、これはちょっと気取った感じが私はイヤです。

もちろんそれぞれ、本来は「O」や数字の「1」と区別しやすくするためなんでしょうけどね。

そもそも外人の書く「1」は、頭がやたらに大きく折れ曲がっていて、ほとんど「逆V」になってますからね。

これは「1」と「l (Lの小文字)」を区別するためなのでしょうけど、日本人にはあまりピンと来ません。

しかしおかげで「1」と「7」を区別する必要が生じ、「7」にストロークを付けることになったと推測します。

でも公的な文書でもなければ、わざとストローク付きで数字を書くのも個性的かなと、急に思い始めました。

数字の「4」は、横棒が縦棒の右には突き出さない書き方をすると、いかにも外人(かぶれ)風になりますね。

「2」の左下を丸くしたアヒルみたいにするとか、「3」の上を平らにして「ろ」みたいにしてもいいかも。

新型コロナワクチンもMRワクチンも大事です

新型コロナワクチンは、他のワクチンとの接種間隔が2週間必要です。

しかしその他のワクチンにおいては、生ワクチン同士の注射を除いて、接種間隔に制限はありません。

これは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3284.html" target="_blank" title="わりと最近決まった規定">わりと最近決まった規定</a>なので、以前のルールをご存じの親御さんに、驚かれることがあります。

かつて、不活化ワクチン後には1週間、生ワクチン接種後には4週間、他のワクチンが打てませんでした。

日本以外でそのように規定している国はなく、言うなれば日本だけの「ローカルルール」でした。

ワクチン接種後に一定期間だけ、他のワクチンを打てなくしていた理由は、副作用の観察のためでした。

近接した日程で接種をすると、最初の接種の副反応が次の接種の時期と重なる可能性があります。

ワクチン接種の副反応の有無を十分観察して、それから次の接種を行うべきだと、慎重に考えていたのです。

その観察に要する期間が、不活化ワクチンなら1週間、生ワクチンなら4週間あればよかろうという考え方です。

しかしながら近年、定期接種の種類も増え、複数のワクチンを同時接種するのが当たり前になりました。

同時接種するということは、そろぞれのワクチンの副反応を個別に観察することをやめたということです。

であるならば、副反応の観察のために間隔をあけて接種する意味も無い、ということになります。

やがて撤廃されるとは思いますが、新型コロナワクチンの接種前後には2週間の間隔をあける規定があります。

来月から本格的に始まる、5〜11歳の新型コロナワクチン。年長児ではMRワクチンの接種開始と重なります。

旬のワクチン(=コロナ)を優先するなら、コロナ→ ( 3週間 ) →コロナ→ ( 2週間 ) →MR、の順でしょうね。

いや、MRが大事だと思うなら、MR→ ( 2週間 ) →コロナ→ ( 3週間 ) →コロナ、でもいいと思います。

どっちも早く打ちたけりゃ、コロナ→ ( 2週間 ) →MR→ ( 2週間 ) →コロナ、もアリでしょう。

花粉症になりました

晴天に恵まれた今日、花粉の飛散量も多かったのでしょうか。かなり厳しい一日となりました。

元々花粉症とは無縁の人生を歩んできた私ですが、2,3年前から怪しくなり、今年はもう、いけません。

鼻水だけなら風邪でも引いたかと思うところですが、コロナ禍の今、逆に風邪など引かないはずです。

それに加えて目が痒い。むしろ痒い。これはもう、花粉症を患ったと考えるしかありません。

私もついに、この歳になって、そちら側の人間になってしまったことを潔く認めざるを得ません。

マンボウが終わり、年度末になり、人の移動が増え、各地がコロナ前のように盛り上がっているようです。

発熱外来の受診者はしかしまだ多く、第6波の収束が見えません。まさかこのまま第7波に向かうのでしょうか。

診療報酬が、4月から大幅に削られることが決まっています。厚労省のやり口にはガッカリします。

マスクを装着していても鼻水が垂れます。花粉が防げてないのにウイルスを防御できるのか、不安になります。

我慢できずにアレグラを飲みました。しばらくすると鼻水は止まりましたが、鼻の奥がツンツンします。

いまのところ、私の鼻炎症状は左の鼻だけです。なのでまだ「左花粉症」です。なんなら半人前の状態です。

これが両側になってやっと「花粉症で辛いねぇ」と顔をしかめることができるのでしょう(個人の見解です)。

「順列組み合わせ」が好き

「ファイザー」と言えば、いまや誰もが知る製薬会社です。新型コロナワクチンの代名詞とも言えるでしょう。

あるとき、「ハイザー打てますかね」と尋ねる高齢の方がいました。モデルナの副反応が気になるようです。

でもそれ以前に、「ハイザー」の響きが懐かしくて、言葉を訂正するようなことはしませんでした。

子どもの頃(60年代)、わが家に「ハイザー」がありました。「自動計量米びつ」のことですね。

当院スタッフの自宅や実家では、まだ大切に使っているお宅もあるようで、その寿命の長さには敬服します。

1・2・3のレバーがあって、押すとそれぞれ1合・2合・3合のお米が、はい、ザーッ、と出てきます。

4合以上必要なら、レバー操作を何回か繰り返せば目的量のお米が得られるという、画期的な台所用品です。

その、小さな数のたし算が必要だというところが、幼少期の私にはとても興味深い学習機材でもありました。

子ども心に、5合のときはどのレバーを押そうか、6合ならどうしようかと、シミュレーションしていました。

5合だと3→2の順なんですよね、2→3じゃなくて。最初になるべく多く確保したい気持ちのせいでしょうか。

6合は3→3が順当だけど、1→2→3もアリなはず。いや、3→2→1だって、2→1→1→2だってあるはず。

私は昔から、「数列」とか「順列組み合わせ」とかが好きでした。もちろん「純烈」とは無関係です。

でも、純烈のメンバーから2,3人のユニットが何通りできるか、という問題なら「純烈組み合わせ」ですかね。

新型コロナワクチンの間違い接種事例

新型コロナワクチンの接種が進められているなかで、「間違い接種」も起きているようです。

熊本市が今日、注意喚起の一環として「間違い接種事例集」を医療機関に送って来たので、ご紹介します。

(1)接種間隔の間違い

2回目の接種から6カ月を経過しないうちに3回目接種をした事例は、たぶんかなり多いと思われます。

対象者の利便性のため、まだ6カ月たっていないうちに3回目用の接種券が届くので、誤解されるのでしょう。

接種当日というよりも、予約段階で気付かないのでしょうか。そこがいちばん大事なポイントですけどね。

(2)接種器具の扱いが適切でなかった

接種時に針とシリンジが外れて薬液が漏れるアクシデントは、すべての注射作業に起こり得ることです。

某大学病院で、私自身がまぶたに注射された時、針が外れて液が散り、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-350.html" target="_blank" title="ひどい目に遭った思い出">ひどい目に遭った思い出</a>があります。

注射を行う医師(または看護師)には、注射の直前に、針をシリンジに押し込む癖が必要です。

(3)期限切れワクチンを接種した

ワクチンの製造から9カ月の「有効期限」のほかに、解凍からの日数で決まる「保管期限」があります。

保管期限はファイザーが解凍から31日間、モデルナは30日、小児用ファイザーは10週間と、微妙にバラバラ。

さらに、室温に戻したりシリンジに吸引した後の使用期限にも細かい規定があり、じつに面倒なワクチンです。

(4)2回目の接種の方に、3回目として接種した

モデルナの3回目は半量だけ接種するので、2回目のモデルナも同時に扱っていると、間違いの元です。

当院では、1回目も2回目も3回目も行っていますが、間違いを防ぐため、モデルナは3回目だけにしています。

誰かがウッカリしても、確認が不十分であっても、原理的に間違えないような仕組み作りが、何より重要です。

新型コロナワクチン4回目接種実施へ

「また接種しなきゃならないんですかね」と尋ねる方が、ちらほら出てきました。

新型コロナワクチンの4回目接種について、厚労省が議論を始めたと報じられたからです。

皆さんの意見は賛否分かれていて、「もううんざり」の方もいれば、「するなら早めに」という方もいます。

厚労省のワクチン分科会では今日、次の4点について議論がなされました。

(1)オミクロン株へのワクチンの有効性

(2)12-17歳に対する3回目接種

(3)4回目接種

(4)武田社製ワクチン(ノババックス)

その結論は、こんな具合です。

(1)デルタよりは有効性が劣るけど、オミクロンにもわりと効くよ。でも子どもでは効きが弱いかもね。

(2)12-17歳でも有効で、副反応も許容範囲。とりあえず、ファイザー限定でリスクのある子に打とうか。

(3)4回目を推奨している国は限定的だけど、日本はやるよ。全ての者に4回目接種の機会を提供しよう。

(4)有効性も安全性もまずまず。接種する国は増えているようですな。

欧米諸国では、高齢者や医療従事者等を対象に、限定的に慎重に、4回目接種が行われているようです。

一方で日本は、「全ての希望者への接種を想定する」と前のめっています。

3回目接種の方針が二転三転したために進捗が遅れたと批判されたため、ムキになっているのでしょうかね。

ゼレンスキー大統領

ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本でオンライン演説をしました。Tシャツ姿ではありませんでした。

この人は各国で、その国の国民感情を意識した内容の演説を行ってきています。なかなか巧みです。

「真珠湾を思い出してください。(略)9月11日を思い出してください。(略)私たちの領土は毎日これを経験しているのです」

米連邦議会に対してそう語りました。「真珠湾」と「9.11」が同列に米国人ウケするのかと愕然としました。

「ロシアは核物質の処理場を戦場に変えました。戦争のあとこの処理にどれほどの時間がかかるか想像してみてください」

日本に対しは、フクシマの事故以来、実は日本人がとても苦しんでいるところに、きわどく踏み込んで来ます。

「ロシアがサリンなどの化学兵器を使った攻撃を準備しているという報告を受けています」

敢えて「サリン」を盛り込んできます。ロシアの極悪非道ぶりを日本人に訴えるには、効果的な言葉でしょう。

演説を批判しているわけではななく、ただ、上手いなあと思うのです。もちろん応援・支持しています。

大統領がすごいのか有能なスピーチライターがいるのか、「言論」で「武力」に立ち向かう姿が鮮明です。

ドラマの「大統領役」俳優から本物の大統領に転身するという、まるで冗談のような経歴ですからね。

いまなお彼は、大統領を演じているのかもしれません。もちろん、良い意味で、です。誤解の無きように。

意外と減らない熊本のコロナ

最近1カ月間で、熊本県で新型コロナ新規感染者数が最も多かったのは、2週間前の火曜日(861人)でした。

その後、水>木>金>土>日>月と減り続けた後、火曜日にまたポーンと感染者数は増えました(699人)。

そしてまた、水>木>金>土>日>月と減り続けた後、火曜日なのに今日も減っています(239人)。

週末の検査態勢等の低下によって報告数が減っているだけの話だということは、誰もが分かっていることです。

今回は、日・月が連休だったので報告数の減少が長引きました。明日はきっと、ポーンと上がることでしょう。

当院では、3/20(日)のPCR検査23人中の陽性は18人 (78%)、3/21(月)は38人中で陽性19人 (50%)でした。

それらの検査結果が判明したのが今日の午後だったので、発生届を保健所に出すのは今日の夕方になりました。

結果的に、新規感染者数として日・月の検査分がカウントされるのは、明日・水曜日になります。

そんな具合に、休日に行った検査の結果は、平日よりも遅れて表に出ます。これは全国共通の現象です。

いまだに驚くべき陽性率です。検査数を増やせば、もっと感染者数が増えることは間違いないでしょう。

それに加えて、感染者のプロフィールが先月までとは少し異なる様相だと感じます。

家庭内感染があいかわらず多い一方で、どこで感染したのかはっきりしない人が増えているのです。

強い咽頭痛を伴う傾向は変わりませんが、以前より高熱が続く人が増え、遅れて下痢が始まる人も目立ちます。

もしかすると、ウイルスが少し変異しているのかもしれません。いずれにせよ、まったく油断ができません。

ワクチンを3回接種した方の感染も、残念ながらよく目にします。重症化はしないはずだと思いたいですね。