「家庭内濃厚接触」には、やはり早期PCR検査かな

毎週火曜の休診日は、日曜と月曜に行ったPCR検査の結果報告と届出を行う日として、完全に定着しています。

今日、PCR検査の結果を電話で伝えた方は77人。検査数自体は、先週より減ってます。

このうち陽性は34人。陽性率は44%。これほど陽性率が高いうちは、まだ流行がおさまる気がしません。

電話では結果を伝えるだけではなく、この1日2日の病状の変化を尋ねます。

それらの情報をもとに、発生届をHER-SYSに入力し、入院チェックシートをFAXするまでが今日の仕事です。

あいかわらず家庭内感染が多いですね。

先週ぐらいまでは、家族内に感染者が1人出たので、他の家族のPCR検査を求めるケースが主流でした。

ところが今週は、家族に複数の感染者が出たので、残り全員のPCR検査を希望するような例が増えています。

家族の場合はたいてい「濃厚接触者」となりますが、その中にはしばしば、無症状の方が含まれています。

しかし実際に今日もPCRの結果を電話で伝えていると、無症状だった濃厚接触者が何人か発症していました。

「家族内感染者との濃厚接触→無症状だけどPCR検査→その後発症→PCR陽性が判明」というパターンです。

検査・医療資源の節約をうるさく言うなら、無症状濃厚接触者の検査は控えるべきだという考え方があります。

しかし私は、感染者が多数勢力であるような家庭では、残りの家族全員のPCR検査を原則として行います。

前述したように、診察時にはたとえ無症状でも、やがて大半が発症することが経験上わかっているからです。

あとで陽性とわかるほどなら、一刻も早く「陽性判定」を出した方が、医学的にも社会的にも有益です。

家庭内での面倒な隔離・動線分離や消毒等は、家族全員が感染したことがわかった時点で、もう不要ですし。

「6カ月間隔で1日100万回」の実現へ

「新型コロナワクチンの3回目接種1日100万回」を、今月の後半には達成したいと、岸田首相が述べました。

野党議員から突き上げられて答弁したような流れです。たしかに、もっと早く表明して欲しかった。

首相が何をぶち上げたところで、自治体が従うのはあくまでも、中央省庁(厚労省)からの指示です。

厚労省は、これまでの政策との整合性をとりながら理屈を付けて次の施策を決定するので、時間がかかります。

自治体は、厚労省からの指示を元に、大慌てで動き出します。医療機関への通知が出るのもその頃です。

ところが国民は、首相が言ったのなら明日からでも実現するのだろうと、そのぐらいの感覚でとらえます。

「今月中に100万回」と急に言い出すのではなく、「来月中に100万回」と1カ月前に言っといてほしかった。

2回目の接種からの間隔も、ようやく「全対象者で6カ月」ということになりそうです。

熊本市でも今週木曜日から、64歳以下であっても6カ月以上の間隔で実施、という規定に変わる予定です。

市の予約システムにおける予約受付も前倒しされ、「接種券が届き次第可能」とする運用に変わります。

しかも実際には、たとえ接種券が届いてなくても、2回目から6カ月経っていれば接種は可能です。

ただし、予約の混乱を回避するために、市は接種券を段階的に送付しています。

市民の皆さまにおかれては、混乱を避けるべく、「接種券が届いてから予約を入れる」ようお願いします。

「逆に」の用法

「何か処方しましょうか?」

「逆に、何がありますか?」

今日の発熱外来で、PCR検査用の検体を採取した後、何か解熱剤でもご希望かとお尋ねしたときの会話です。

【逆に】

(1)反対に、あべこべに(←原義)

(2)むしろ、かえって(←最近の用法)

(3)それよりも、そんなことより(←マウント)

(4)まあ(←なんとなく言葉をつなげる)

逆にこんな感じでしょうか。

昨今の「逆に」は、応用範囲が広がってますね。これを用法が誤りだと目くじらを立てたりはしません。

逆に自分でも(2)などは「効果的に」使ってみたいですね。

冒頭の「逆に」は (1), (2), (3) の混合で、「それよりも、むしろ、反対に、尋ねますけど」の意味でしょうか。

私はその想定外の質問に戸惑ってしまい、「解熱剤とかあります」と応えるのがやっとでした。

逆に、「何か焼きましょうか?」「オススメ何かあります?」みたいな、焼き鳥屋の会話も思い出しました。

保健所の仕事が早くなってる!

PCR検査を委託している検査センターで昨日また、機器のトラブルがありました。

昨夜のうちには判明する予定だった検査結果が、翌朝(つまり今朝)になるという連絡が昨夕ありました。

以前にも経験済みのことなので、対処法は心得ています。まずは連絡を待つ患者さんへお詫びの電話連絡です。

PCR陰性か陽性かで家庭生活が大違いになりますが、結果判明が延びると言われたら待つしかありません。

その待ち時間をできるだけ減らそうと、今朝は6時台に出勤して、7時から電話連絡を始めました。

検査した11人のうち8人が陽性でしたが、8人といっても3家族です。家庭内での複数感染が多いのです。

診療開始までに、電話連絡と追加問診と、発生届の入力と、保健所へのFAXを終えなければなりません。

バタバタしたものだから、発生届(HER-SYS入力)のうち1件の送信ボタンのクリックを忘れてしまいました。

そしたら朝のうちに保健所から電話が入り、FAXと比較して発生届が1件足りません、と。

驚きました。保健所の仕事が早くなってる!(失礼)

入力した発生届なんていつ読んでくれるのやらと、以前は思っていましたが、認識を改めなければなりません。

発生届が迅速に処理されているところを見ると、その後の動きもきっと、早くなっていると期待できます。

感染者数が千人レベルにも耐えうるまでに、保健所のマンパワーが増強されているのでしょう。

昨日は、感染者の住所確認で保健所から電話がかかりましたが、市内の有名な町名の読みを間違えていました。

もしかすると、市外(あるいは県外)からの応援の方かもしれませんね。

「家庭内濃厚接触」は、なかなか避けがたい

家族に陽性者が出た、という方の受診が増えています。新型コロナはもう、身近な感染症になってきました。

発症の前から感染力が強いのがコロナの特徴なので、発症後に対策を始めても家庭内ではほぼ手遅れです。

もちろん発症後の隔離がムダだとは言いませんが、現実的には難しい場合も多く、結局、感染が広がります。

「濃厚接触者である同居家族等の待機時間について」という通知が、2日前に厚労省から出ています。

エッセンシャルワーカーかどうかにかかわらず、待機期間については次のように規定されています。

(1)陽性者の発症日(無症状なら検査日)か住居内で感染対策を講じた日の、遅い方から8日目に解除する

(2)別の家族が発症した場合は、改めてその発症日を0日として起算する

家族内で新たに「発症者」が出たらその都度、待機期間がリセットされ、8日間のカウントをやり直しです。

それを考えると、とくに人数の多い家庭では、感染対策(動線分離等)の迅速な導入が本当に重要になります。

さらに、住居内感染対策が難しいご家庭では、濃厚接触者の待機期間は毎日リセットされてしまいます。

PCR検査で陰性だったとしても、検査日以降に新たに感染するリスクが高いのが、家族内濃厚接触の特徴です。

感染しているのなら早く発見してあげることが、家庭全体の感染症管理に役立つだろうと私は思っています。

どちらでもいいなら、モデルナの積極的選択もアリです

全国的に感染者が増え、医療体制のひっ迫が叫ばれ続けています。

そんな中ですから、新型コロナワクチンの追加接種を終えた方々はみな、安堵の表情で帰って行かれます。

このような比較的早い時期に3回目の接種を受けているのは、1,2回目の接種も早い時期に受けた方です。

高齢者のなかでもとくに、ワクチンの接種には以前から積極的で、追加接種を待ち焦がれていた方です。

「ファイザーですか?」

昨日と今日の2日間に追加接種を受けた36人のうちの多くから、しばしば聞かれた言葉です。

ほぼ全員が、絶対にファイザーを打ちたいという方でした。接種終了後に再確認する方もいらっしゃいました。

ところが、今後の接種を計画してる65歳未満の方の中には、3回目にはモデルナを希望する方が時々います。

「交互接種」の効果への期待でしょうか。「モデルナの方が効果が強い」というのはほぼ定説ですからね。

私もそれは否定はしません。私自身、追加接種はモデルナにしようかと少し考えたこともありました。

当初は、モデルナの供給は2月以降になるとされていたので、早く接種したい私はファイザーを選びました。

ところが年末に、モデルナの緊急配送ができるけど希望する?、という連絡が熊本市から届いたのです。

ただ、被接種者を15人集めるのも難しいし、時間もかかりそうだし、結局さっさとファイザーを打ちました。

しかし今後は一般の方には、モデルナの接種も積極的に進めて(勧めて)行こうと思います。

それはファイザーが足りないという消極的理由ではなく、モデルナ希望者が意外に多いと気付いたからです。

一般の高齢者への「追加接種」始まる

一般の高齢者への新型コロナワクチンの「追加接種(3回目接種)」が、熊本市でも昨日から始まっています。

休診日の関係で当院では今日から接種開始ですが、今週は毎日18人ずつ、接種の予約が入っています。

しかし発熱外来もいまがピーク(と思いたい)で、今日も時間帯分離はなかなかアクロバティックでした。

一日の診療の流れはほぼ、生活習慣病→発熱外来→コロナワクチン→小児ワクチン→発熱外来、の順でした。

お気付きのように、生活習慣病でも発熱外来でもない、普通の疾患の診療を行う余地がほとんどありません。

受診を希望して電話予約をされた何人かの急性疾患の方には、他院を受診していただきました。

ファイザーのワクチンの場合、その「調整」に時間を要します。これは人手と場所をとるクリーンな作業です。

その重要な準備作業を発熱外来と並行して進めなければならない点は、今後工夫の余地があるかもしれません。

報じられているように、2回目までのワクチンと3回目とでは、ファイザーとモデルナの配分が異なります。

2回目まではファイザーが大半だったのに3回目はモデルナの方が多く、必ず「交互接種」が必要となります。

「交互接種の方が強い免疫が付く」というのは、ワクチンの手配に失敗した政府の詭弁にしか聞こえません。

とは言え、交互接種が悪いとも思いません。当院でも今月下旬には、モデルナを始めることになるでしょう。

「打ちたいワクチンを被接種者が選べる」なんて言ってますが、やがて「モデルナ一択」の時期が来るのです。

PCR検査の結果だけは、絶対に間違えて伝えないように

日曜日の発熱外来で採取したPCR検査の「検体」は、冷却保存しておき、月曜日の朝検査センターに出します。

月曜日の朝出したら、以前はその日の夕方には結果報告のFAXが来ていたのですが、いまは夜中になります。

夜中の何時に結果が届くかも分からないので、患者さんへの結果報告は一律、火曜日に後ろ倒ししました。

というわけで、休診日の今日・火曜日は、朝から検査結果の確認と連絡に明け暮れる日となっています。

本日、PCR検査の結果連絡を行ったのは、日曜と月曜の2日分、あわせて103人分でした。過去最多です。

PCR陰性だった方には、1人平均1分程度の電話で済みますが、陽性の方はそうはいきません。

ともかく全員に結果をお知らせした上で、陽性の方にだけもう一度、じっくりと電話をかけていきます。

現在の体調や症状の変化、熱、わかるなら酸素飽和度、新型コロナワクチンの接種日についても確認します。

感染に関して思い当たるフシや、持病等についても改めて尋ねるので、通話時間はだいぶ長くなります。

PCR陽性の方は、今日は49人でした。陽性率は49/103=47.6%です。驚異的な陽性率です。

そしてその49人に、一人当たり数分かけて電話していくのは、なかなか骨の折れる作業でした。

電話のあとは、厚労省のサイト「HER-SYS」へ発生届を入力します。これもまた時間がかかります。

折しも今日は、市内の無料PCR検査所で起きた「結果取り違え」事例を耳にしましたが、まさに他山の石です。

PCR検査の結果というのは、その患者さんや家族にとっては、医学的のみならず社会的にも一大事です。

なので絶対に間違った結果を伝えないよう、細心の注意と厳重な確認の上で、いつも電話をしています。