HPVワクチンの「キャッチアップ接種」実施へ

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3295.html" target="_blank" title="HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)">HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)</a>の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3689.html" target="_blank" title="キャッチアップ接種">キャッチアップ接種</a>」の機会が設けられると報じられました。

積極勧奨の差し控えによって定期接種の機会を逃した、1997~2005年度生まれの女性に対する無料接種です。

このキャッチアップの対象設定が妥当かどうかは後日検証するとして、とりあえずひと安心しました。

日本の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1820.html" target="_blank" title="戦後の予防接種">戦後の予防接種</a>は、推進(新ワクチン導入)と後退(接種や積極勧奨の中断)を繰り返して来ました。

その根底にあるのは、ひとたびコトが起きると一気に反ワクチンに傾いてしまう、日本人の国民性でしょう。

科学的・客観的知見やデータよりも、その時の感情的な勢いの方が勝ることがあるのです。

HPVワクチンのような「効果」が見えにくいワクチンではなおさら、目先の不安が優勢になりがちです。

そして日本人は、たとえ因果関係が立証されてなくても、とりあえず怪しいモノは忌避する体質なのです。

ところがそこへ、新型コロナという強大な敵が現れました。優先すべき目先の不安=感染、となったわけです。

一部ではmRNAワクチンに「将来の懸念」を持つ人もいる中で、多くの国民は争うにように接種を受けました。

まさに、将来の不安よりも目先の利益を優先させる日本の国民性が、HPVワクチンとは逆向きに出た形です。

将来の懸念も、目先の不安も、どちらも正しい。そのバランスを、各個人が科学的にどのように捉えるかです。

そして科学的データはみな、HPVワクチンの有効性と<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3620.html" target="_blank" title="安全性">安全性</a>を支持しています。だから接種すべきなのです。

その事実を客観的に捉え、勧奨接種の再開に多くの国民が納得できるようになるまで、8年かかりました。

「新型コロナワクチン証明書アプリ」運用開始

スマホ用の「新型コロナワクチン証明書アプリ」の運用が、今日から始まりました。

こういうのは真っ先に入手して試したいタチなので、朝イチでアプリをインストールしました。

必要なのはマイナンバーカードと暗証番号(4桁)のみ。実に簡単。

「ワクチン接種記録システム(VRS)」に誤入力が多いと報じられていますが、私のデータは合っていました。

保険証などのアプリ「マイナポータル」とは異なり、毎回ログインする必要がないのが良いですね。

今後さまざまな局面で実際に用いることになる「接種証明書」の本体は、大きく表示されるQRコードです。

これがWalletに表示できれば便利なのですが、現時点ではそのような仕様にはなってないようです。

簡単に「カメラロールに保存」できるようなので保存して、それを「メモ」にコピペしておきました。

ところで、他人のQRコードを入手してスマホで表示させる「なりすまし」を防ぐ機能があるようですね。

詳細は不明ですが、QRコードに時刻情報が加えてあり、事前に保存された古い接種証明を見破る仕様とか。

なるほど。表示するたびに、最新の時刻情報が入ったQRコードに更新される仕組みなんですね。

だからWalletには対応できないのかもしれません。でもそうすると、カメラロールに保存できる機能って何?

このアプリに、「COCOA」のような愛称が無いのがさびしいので、ひとつ考えてみました。

「COVID-19 Vaccination Certificate Application」の頭文字で「COVaCA(こばか)」なんてどうですか。

追加接種はもちろんしますが、まだ予約はできません

「3回目の接種は、もう予約できますか」

このように私に尋ねる65歳以上の方が、今日だけでも3人いらっしゃいました。

追加接種の前倒しについては、岸田首相が力強く明言したので、これはもう、間違いなくそうなるでしょう。

厚労省も一昨日、正式に都道府県への指示を出したそうで、各自治体は対応に追われているところです。

熊本市では昨日、接種医療機関向けの「住民向け接種にかかる説明会(第4回)」が開催されました。

追加接種の概要をおさらいしておくと、次の3つです。

(1)追加接種の対象者は、2回接種を完了した18歳以上の方

(2)使用するワクチンは、ファイザーまたはモデルナ製のmRNAワクチン

(3)接種間隔は、2回目の接種から原則8カ月以上(例外規定等あり)

12歳〜17歳は、当面は追加接種ができず、沙汰待ちの状態になります。

ファイザーのワクチン不足のため、1,2回目がファイザーでも、3回目がモデルナということは起こり得ます。

2回目が月末などで8カ月後に同日がない場合は、翌月の1日になります。8/31の8カ月後は5/1、という風に。

一般の65歳以上の高齢者の場合、予約方法は1,2回目と同様に、ネット・電話・医療機関の3つあります。

当院ではいまのところ、かかりつけの方を優先するために、前回と同じく当院独自の予約受付を行う予定です。

したがって前回当院で接種を受けた方は、接種券が届いたら当院に電話して予約をとることになります。

接種券は、2回目の接種日順に、1週単位で発送されます。予約の集中を避けるための方策です。

具体的な前倒しスケジュールが決まったら、それに従って接種券が発行されるはずです。

国の前倒し方針が具体化したばかりなので、市も事務処理の修正でバタバタ、いや混乱していることでしょう。

医療機関への具体的な指示等は、今後明らかになるはずです。並行して、ワクチンの配分量も決まります。

それが決まるまでは、当院で何人接種できるのかがわかりません。冒頭の質問への回答も、それからです。

インフルエンザワクチンの接種はピークを過ぎました

インフルエンザワクチンのネット予約枠には、毎日空きが目立つようになりました。

その分、手を尽くして入手したワクチンの在庫にも、ずいぶん余裕が出てきました。

毎年のことですが、接種希望者の勢いがピークを過ぎるこの時期にようやく、ワクチンが流通し始めます。

その需給バランスの悪さによって、結果的に希望通りの接種を受けられない方が出てくるわけです。

幸い今シーズンは(昨シーズンも)、現時点ではインフルエンザはまだ、まったく流行していません。

万一、あとで大流行するとしても、早くて1月後半か2月以降。もしかすると春先かもしれません。

チラホラと流行のニュースが出てきた頃になってからワクチンを接種しても、たぶん間に合いそうですね。

開院以来ずっと、専用の予約サイトを利用して、インフルエンザの接種予約を受け付けてきました。

例外は、新型インフルエンザ(ブタインフルエンザ)が流行した2009年だけです。

ネット予約だと当院初受診の方も多く、来院時の事務作業がたいへんです。

お子さんの場合、定期接種ワクチンの接種履歴をすべて確認するので、初診の方は少し時間がかかります。

今シーズンは、県外の方からのネット予約も入りました。もちろん、間違い予約です。

他の医療機関と勘違いしても、そのまま予約はできてしまい、接種当日まで気が付かなかったりするのです。

いよいよ接種に出かけようという段になって、ありゃりゃ、他県のクリニックだった、ということになります。

例年とは異なり、来月また接種のピークが来るかもしれませんが、インフルエンザワクチンの在庫は十分です。

ただし来月は、新型コロナワクチンの追加接種も始まります。となると、両者の接種間隔の規定が面倒ですね。

いまのうちに、この日本独自の不可解なルールを撤廃していただきたいものです。

追加接種の前倒し案は、なかなか絶妙

新型コロナワクチンの追加接種(3回目の接種)の前倒し方針が、具体的に決まりそうです。

2回目からの間隔を、医療従事者等は6カ月、一般の高齢者は7カ月に短縮する方向とのこと。

なるほど。思いのほか現実的な修正策を打ち出してきましたね。絶妙と言ってもいいでしょう。

この前倒しに伴って必要となるワクチンは、現在確保している分で対応が可能だといいます。

つまり裏を返せば、これ以上に前倒し対象を拡大するのは不可能。ワクチンが足りなくなるということです。

岸田首相が今日、ファイザーのCEOと電話会談し、ワクチン供給の前倒しを要請したと報じられました。

ワクチンが足りないから前倒しがなかなか進まないことは、もう隠さずに公言する方針に転換したようです。

これで、前倒しはしたいが無い袖は振れないと、堂々と言い訳することができるようになりましたね。

しかし厚労省はこれまで、ある程度の前倒しが可能なワクチン在庫があるのに原則8カ月を譲りませんでした。

いったん決めた方針を変えるのは、見通しを誤ったことを認めることになるからでしょうか。

お役人は、施策の一貫性を重視します。五月雨式にできるとこからやるような、臨機応変さに欠けています。

いったん決定した優先順位は、医療機関には絶対に厳守させ、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="ワクチンが余ったなら捨てさせる">ワクチンが余ったなら捨てさせる</a>ほどですから。

さて、ファイザーは、他国への配分を減らしてでも日本向けのワクチン供給を増やしてくれるでしょうか。

世界でも奇跡的に感染者が少ない日本が貴重なワクチンを要求することに、はたして大義はあるのでしょうか。

日本は自国でのワクチン開発を怠ってきたのに、苦しいときだけは他国頼みというのも、いかがなものか。

マイナンバーカードで給付金を引き出す仕組みを

18歳以下への10万円相当の給付について、熊本市は全額現金給付を選択しました。それが賢明です。

机上の理論で「現金+クーポン」を打ち出した国(官僚・政治家)の浅慮には呆れます。

では、全額現金給付だとして、それが迅速・簡便に行われるためには何が課題でしょうか。

児童手当受給世帯へはルートが確立しているけど、それ以外の対象者への給付には手間がかかるといいます。

しかし、受給対象者が誰であるかというところまでは、すぐに抽出・確定できると聞きました。

となると当然、給付資格の情報はマイナンバーと紐付けされているわけですよね。で、思いついたのです。

マイナンバーカードを、銀行などのATMでキャッシュカードのように使うことって、できないんですかね。

いまセブン銀行のATMでは、マイナンバーカードを挿入して健康保険証利用の申込ができます。

ならばキャッシュカードのように、そのATMで国の専用口座から給付金を引き出すことなんて簡単でしょう?

自治体は、給付金の振り込み作業だとか、ましてクーポンの印刷・発送などを行う必要は一切ありません。

給付金は、国民が必要なときに必要な額だけ、勝手に引き出せばいいのですから。

この様な仕組みは、1年半前の「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3151.html" target="_blank" title="特別定額給付金">特別定額給付金</a>」の時からその必要性はわかっていたはずなのに。

何を恐れ誰に配慮しているのか知りませんが、日本は行政のデジタル化が遅すぎます。

環境はもちろん、楽しいことが何より大事

トヨタの昨日の発表の衝撃が尾を引いてます。どうして今、いきなりEVに舵を切った(ように見える)のか。

「カーボンニュートラル」を掲げてはいますが、それはあくまで、企業としての姿勢(方便)にすぎません。

もしそれが唯一の目的なら、街乗りに便利な、静かでキビキビ動く小型EVの開発に重点を置くはず。

空気も汚さないし騒音も出ない。街中なら充電スポットも作りやすい。絵に描いたような未来の車社会です。

ところがトヨタは、高級車セグメントへの導入を先行させ、まずレクサスを完全EV化すると発表したのです。

「今までのトヨタのEVには興味がなかった。そして、これから作るEVには興味がある」と豊田社長。

豊田社長といえば、レクサスのテストドライバーの頂点である「マスタードライバー」です。

EVの「レクサスRZ」を彼が運転する動画を見ていたら、謎が解けました。この人は運転が大好きなんですよ。

アクセルを踏み込んで、子どもみたいに「何コレ、別世界。ホーッ!」なんて叫んで大喜びしてるんですから。

つまりEVの、スポーツカーとしての高い性能と楽しさを再認識したのです。彼は次のように言っています。

「環境にもいいよ、だけど楽しいんだよ、乗ってよ!という車を是非、『Z』というブランドでやってほしい」

「排ガスゼロ」の意味とは言え、「Zというブランド」なんて口走っちゃって、日産が怒りませんかね。

トヨタがついに、電気自動車へシフト?

トヨタが今日、BEV(バッテリー電気自動車=狭義のEV)を大々的に発表しました。これには驚きました。

BEVへの移行が欧州メーカーより遅れていたのは、ハイブリッド車(HV)の成功体験のためだと言われます。

「BEVのみならず、HV、プラグインハイブリッド(PHV)、FCV、水素エンジンなど、“全本位”で臨む」

そう言い続けてきた豊田社長の言葉がこれまでは、未練がましく聞こえていました。

しかし何のことはない。BEVの開発はしっかりと進めてきてたんですね。そして絶好のタイミングで売り出す。

豊田社長も本心では、HVやPHVが過渡期の車だとわかってはいたんですよね。

2030年までにBEVを30車種展開し、レクサスブランドでは2035年にはBEV100%を目指すといいます。

これだって欧州などのメーカーの二番煎じではありますが、最後に勝てばいいということでしょう。

今後は電動化に対して8兆円投資し、そのうち半分の4兆円をBEVに投資するといいます。

少し出遅れたものの、こうなりゃ圧倒的な資金と開発力で世界の潮流に追いつき追い越すつもりなのでしょう。

ただ、今日発表された車のデザインが、あと一歩パッとしませんね。

ステレオタイプの未来形とでも言うのか、「未来感」を出そうとする余りにワンパターンなのです。

例外的に、スポーツタイプのコンセプトカーは、まずまずの出来。しかも0−100km2秒台前半を目指すとか。

まあ、豊田社長ならそこまでやるでしょうね、意地で。出遅れたけど挽回力は凄いのです。

「日本ほぼ沈没」の続編に期待します

TBSのTVドラマ『日本沈没 –希望のひと– 』(全9話)は、昨夜が最終回でした。(以下、ネタバレあります)

日本全土が沈没するかと思っていたら、北海道と九州だけは残るという予想外の結末。

正確に言えば、陸地が残ったのは、青森の一部と北海道全部と九州の西側の大半です。

福岡県はかなりの部分が沈みましたが、熊本は丸ごと生き残りました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3664.html" target="_blank" title="TSMC">TSMC</a>も良い場所に目を付けましたね。

ドラマの原作は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2028.html" target="_blank" title="小松左京のSF小説『日本沈没』">小松左京のSF小説『日本沈没』</a>(1973年) ですが、もちろん現代風にアレンジしてありました。

なにしろ最終回では、パンデミックや「変異株」が出てきましたからね、若干の取って付けた感はあったけど。

主人公に敵対する悪人らがみな、いつの間にか善良な味方になっていきます。こういう展開は意外と好きです。

一方で主人公を悲しくさせた人物が、悪人じゃないのに非業の死を遂げるのは、ちょっと『24』に似ています。

日本が沈没する際に日本人や日本政府ができることは、原作と比べてもほとんど進歩していませんでした。

それはすなわち、小松左京の描いた世界が、いまだにまったく古びていないということなんでしょうね。

さて、今回のドラマでは北海道と九州が残りました。これで続編への期待が、いやが上にも膨らみます。

海外に逃れていた日本人は、北海道か九州のいずれかに戻るか、そのまま海外に定住することになります。

福岡空港が沈んだとすれば、北海道と九州を結ぶ空路は、新千歳と熊本空港が重要な玄関口となるはずです。

当然ですが、熊本空港は日本を代表する国際空港となりますね。滑走路は早めに2つ3つ増やしておきましょう。

点滴から空気を注入

茨城県の介護老人施設で、入所者が点滴のチューブから空気を注入されて殺されるという事件が起きました。

この殺害手口って、昔はTVドラマなどでよく見かけましたね。

でも後に医者になってわかったのは、少しぐらい血管に空気を入れたって、人は死なないってこと。

心臓内に特別な異常でもない限り、静脈から注入した空気で人を死に至らしめるには、多量の空気が必要です。

裏を返すと、もしも今回の事件が報道通りであるのなら、注入した空気はかなり大量だったと推測されます。

点滴のボトルが空になって、チューブ内の液面がだんだん下がってくるのを気にする方が時々います。

このままでは空気が点滴されてしまうのではないかと、気が気で無いのでしょう。その気持ちはわかります。

しかし、液面の高さが静脈内の圧力に一致するところまで下がったら、もうそれ以上薬液は入りません。

自然滴下による点滴は、理論上、血管内に空気が入らない仕組みなのです。

たとえ点滴から気泡が血管内に流れ込んでも、解剖学的に異常な心内病変が無い限り、何も問題は起きません。

ただし、大静脈血が肺を介さず大動脈へ流れるルート(右左シャント)が存在する心臓の場合は、話が別です。

いわゆる「チアノーゼ性心疾患」のお子さんは、点滴へのわずかな空気の混入が脳梗塞につながりかねません。

そうでもなければ、正常な血行動態の人の点滴から空気を注入して殺害するのは、容易なことではないはず。

今回の容疑者は、シリンジを使って何度も何度も空気を押し込んだのでしょう。その所業に慄然とします。