「アルコール消毒」だけでは感染性胃腸炎は防げません

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3709.htm" target="_blank" title="「感染性胃腸炎」">「感染性胃腸炎」</a>が多いですね。このことは1カ月前にも書きましたが、それからずっと、一貫して多いです。

熊本市の「感染症発生動向週報」では、感染性胃腸炎が断トツで、RSウイルス感染症も増加気味。

先月と同様に、ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、ほぼゼロ状態。いま多いのはノロウイルスのようです。

(<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1331.html" target="_blank" title="野呂さん">野呂さん</a>には申し訳ないですが、お役所にならって、私も略称の「ノロ」を使わせていただきます)

ノロに限らずロタもアデノも、胃腸炎ウイルスの多くは「ノンエンベロープウイルス」です。

これは、ウイルスの本体である核酸を包む殻が、脂質の膜「エンベロープ」に包まれていないウイルスです。

コロナウイルスのような「エンベロープウイルス」はアルコールで失活するので、アルコール消毒が有効です。

一方で「ノンエンベロープウイルス」は、アルコールに強いのが特徴であり問題です。

いま、どのご家庭にもアルコール消毒薬が完備されているでしょうけど、感染性胃腸炎には役に立ちません。

手指消毒は速乾性のアルコール消毒薬が便利なので、つい手洗いを怠りますが、それが問題なのです。

昨日も今日も一昨日も、感染性胃腸炎で「全滅」したご家族が、何組か受診されました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-424.html" target="_blank" title="手軽なアルコール消毒を過信">手軽なアルコール消毒を過信</a>して、胃腸炎ウイルスが家庭内にまん延することになったのかもしれません。

このことについては、役所やメディアや、もちろん医療者が、市民に正しい知識を広めなければなりません。

とは言え、この時期に感染性胃腸炎が多いのは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1530.html" target="_blank" title="例年並">例年並</a>です。熊本市の資料では<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1897.html" target="_blank" title="2016年">2016年</a>とほぼ同じです。

なので、「アルコール消毒過信説」は、もっともらしいけど違うかもしれません。

考えてみたら、ロタウイルスによる感染性胃腸炎がまったく発生していないことにも、説明がつきませんしね。

でも私は、胃腸炎診療の後は、アルコール消毒→石けん・流水で手洗い、の2段構えです。面倒です。