新型コロナワクチンは、余っても規定外の利用は禁止

ワクチンの不足感が例年以上に高まるなかで、今年もインフルエンザワクチンの接種を行っています。

予約にギリギリ間に合うきわどい量とタイミングでワクチンが納品されるという、ホントに綱渡りの毎日です。

一方で新型コロナワクチンは、当院では今週土曜日で、1,2回目の接種は終了となります。

諸事情あって、その最終日にはワクチンが少し余ってしまうことになりそうです。

空き枠があることを数日前から診療予約サイト上に告知してはいますが、いまのところ応募者はありません。

さいわい本日、熊本市感染症対策課から次のような通知が来ました。

「今後新たに余剰ワクチンが発生し医療機関様において接種可能な方が見つからない場合は、やむを得ない廃棄分として適正に廃棄いただきますようお願い申し上げます」

もったいない話ではありますが、ワクチンの廃棄が許容されることが正式に認められ、ホッとしています。

でも廃棄するほどなら、少し早めですが、自分に「追加接種(=3回目の接種)」したい気がしてなりません。

もちろんそれは御法度。市は昨日、次のような「留意事項」を発出して釘を刺してきました。

「追加接種可能日より前に接種された場合は、『間違い接種』となり、国への報告が必要となります」

医学的には有効だとしても、2回目の接種から8カ月経たなければ接種させない杓子定規なルールなのです。

ワクチンが余っていても使わず捨てろという融通の利かなさは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="新型インフルワクチンの時">新型インフルワクチンの時</a>と変わりませんね。

HPVワクチンの接種機会を逃した方への救済接種対象はどうなる?

HPVワクチンの接種機会を逃した方への無料接種を厚労省が検討していることは、2日前にも書いた通り。

さっそく、その件でお尋ねになる親御さんもいます。メールでの問い合わせもいただきました。

未接種のまま対象年齢(高1まで)を過ぎた方や、3回の接種の途中で高2になってしまった方もいます。

自費で接種をした方もいれば、中断してしまった方もいます。任意接種するとかなり高額なワクチンです。

当院で、今年1月から現在までに接種したHPVワクチンの接種回数を集計してみると、合計90回でした。

1回目の接種だけ見ると、今年は39人でしたが、昨年の同時期には13人、2年前は2人、3年前は1人でした。

HPVワクチンは、2013年4月から定期接種となりましたが、実は2011年から無料接種が始まっています。

その無料化元年に、当院で接種を受けた対象者は、なんと164人。

ところが、定期接種化直後の2013年5月頃から副作用問題が高まり、6月には勧奨接種差し控えとなります

その翌年2014年に当院で接種を受けたのは、たったの1人。以後、同様の状況が2年前まで続いたわけです。

さて厚労省は、勧奨接種を差し控えた2013年時点で何歳だった方までを、無料接種の対象とするでしょうね。

最大限に救済するなら、2013年で高1だった方までが対象なので、8学年分に相当します。

しかし、標準的な接種年齢は中1だとケチな理屈をこねて、救済対象は5学年分程度になるかもしれません。

国の判断ミスで接種機会を逃したのだから、国の責任で幅広く救済すべきですが、さてどうなることやら。

コロナ禍だからこそ、インフルワクチンなのに

インフルエンザワクチンを毎日数十人に接種していますが、気になることや心配事はいくつもあります。

予定通りにワクチンが納入され続け、予約済の方全員に接種を行うことができるのか、というのが最大の懸念。

そもそも今シーズン、インフルエンザが流行するのか、はたまた空振りに終わるのか、それも未知数です。

来月から新型コロナワクチンの追加接種(3回目の接種)が始まりますが、同時進行となればまた面倒です。

今後インフルエンザが流行しても新型コロナがまた流行しても大変ですが、両方流行すればなおさら大変です。

2009年に新型インフルが流行したとき、ワクチンの接種をインフルの流行が追い越し、混乱しました。

今期はさいわい、インフル流行の兆しはまだ見えませんが、予防接種の方が滞りがちなのが心配です。

インフルとコロナの、予防接種と流行がすべて並行して起きるのが、この冬に想定される最悪の事態です。

であるならば、できることから順にやっておくとするなら、いまはインフルエンザワクチンの接種なのです。

ところがそのワクチンが、足りない。もう、堂々巡りです。

今シーズンのインフルワクチンは、製造効率が悪いなどの理由で、供給量が昨年よりも激減しています。

ところが厚労省は、(一昨年以前の)「例年の」使用量に相当する程度は供給される見込だと、言うのです。

使用量と同程度の供給量ということはつまり、100%使い切ってやっと、例年並みの使用量ということです。

バカな話ですが、予算を余らせたら翌年度の予算を減らす、というお役所の理屈と同じ発想なのです。

そもそも、このようなコロナ禍にあって、一昨年までと比較するのはナンセンス。比較するなら昨年でしょう。

この冬こそインフルが大流行する、と懸念して準備しているのに、ワクチンの製造を減らしてどうしますか。

本来今期は、昨年の使用実績から大幅に乖離しないように、周到に準備してワクチンを製造供給すべきでした。

HPVワクチンは、ついに勧奨接種再開へ動き始めるのか

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)はようやく、接種の積極的勧奨再開が見え始めてきました。

「接種はお勧めしません」から「お勧めします」への手のひら返しですから、相応の理由が必要です。

厚労省が審議会で示した理由は、

(1)HPVワクチン接種後に生じた症状とワクチン接種との関連性は明らかになっていない

(2)HPVワクチン接種による、子宮頸部異形成や子宮頸がんの予防効果も示されてきている

(3)HPVワクチン未接種の女性や男性においても、HPV感染に対する集団免疫効果が報告されている

以上はすべて周知の事実であって、厚労省の方針を覆す新たな知見が得られたワケでも何でもありません。

そろそろやらねばと感じてきた厚労省の科学的良心が、勇気をもって立ち上がったというところでしょう。

厚労省は、これまでに接種を逃して対象年齢を過ぎた人たちへの救済接種を検討中だとも報じられました。

当然のことでしょう。かつて勧奨接種を見合わせたことのある日本脳炎ワクチンの「特例接種」と同じです。

日本脳炎は、年間の国内感染者が数名程度なのに、特例接種は広い年齢層を対象に今も行われています。

子宮頸がんの発症者は毎年約1万人ですから、重大性は桁違い。特例接種は一刻も早く開始すべきでしょう。

英国の研究グループが最近発表したように、HPVワクチンの接種年齢が若いほど、がんのリスクは減らせます。

特例接種も大事ですが、それと同時に本来の定期接種を、できるだけ早く元の形で推進してほしいものです。

思春期の心雑音

学校検診をしていると、しばしば心雑音が聞こえる子に遭遇します。

小学校の高学年で初めて指摘された心雑音では、心臓病は希で、たいていは貧血による「機能性心雑音」です。

よく尋ねてみると、立ちくらみがするとか、体力が落ちたとか、朝起きるのが辛くなった等の訴えがあります。

あるいはまた、微熱や舌の荒れなどの、明らかな貧血兆候が出ているお子さんもいます。

眼瞼結膜がまっ白な貧血例は多くなく、血液検査でわかる程度の軽い貧血と鉄欠乏を認めます。

あるいは、ヘモグロビンは正常だけど貯蔵鉄量を示す「フェリチン」が低値のケースにもよく遭遇します。

体内の鉄分が少ないと、すでに貧血の症状が出てきます。これが「潜在性鉄欠乏」です。

一般的な血液検査では貧血とは診断されないので、見逃されることも多いようです。

小学高学年から中学生は、からだの発育や運動量の増加によって、鉄やその他の栄養素が欠乏しがちです。

急に身長が伸びつつある時期や、部活で激しく運動しているお子さんは、しばしば鉄欠乏になっています。

それに加えて思春期は、月経が始まったりメンタル不安定だったりダイエットしたりと、鉄欠乏の要因だらけ。

鉄欠乏症状のお子さんの体調は、造血剤によって目に見えて改善し、たとえば部活の成績が向上したりします。

ただし薬の副作用で、下痢や便秘、食欲不振や吐き気を起こし、薬の中断を余儀なくされることもあります。

日頃から、鉄分を多く含む食品(たとえば赤みの肉や魚)を多く摂るような食生活を心がけるのが肝要です。

ちなみに私が中学生の頃、今風に言うと「鉄分が濃い」時期がありました。鉄道ファンだったということです。

そんな私も市民病院時代には、軽い貧血になったことがありました。4カ月で16キロ減量したときです。

いまでは「鉄分」(=鉄道への興味の度合い)はすっかり薄れていますが、体重は維持し貧血はありません。

リスタートが増えたら要初期化のサイン?

テレビが映らん、と家人が言うので、リモコンボタン長押しによるリスタートを提案しました。直りました。

つい先日は、AirPodsがつながらん、というので、iPhoneのリスタートを提案したら改善したばかりです。

IT機器なんてのはパソコンと同じで、エラーが起きたらリスタート、というのが寺田の鉄則です。

私など、おもにMacで、これまで何百回、いや何千回リスタートしてきたことか。

まさにリスタート人生なのです。人生リスタート。リスタートを憚ることなかれ。だって人生だもの。

最近のMacは比較的安定していますが、それでも時々リスタートや強制終了を要することもあります。

ちょっとしたトラブルが「おり」のように溜まってついに、Macが音(ね)を上げるのです。

単にリスタートで改善する場合もあれば、SMCリセットとかPRAMクリアなんて方法も、たまに行います。

それでもスッキリしないとき、究極の根治療法は「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1777.html" target="_blank" title="HDDの初期化+OSクリーンインストール">HDDの初期化+OSクリーンインストール</a>」ですね。

これでMacを完全に初期状態に戻し、必要なソフトを全部、手作業で再インストールしていきます。

すべての設定を整え、最後にバックアップデータをリストアするという、ほぼ丸1日を要する作業になります。

以前は、年に1回は定期的に初期化を行うほど私は初期化好きでしたが、最近はほとんどやらなくなりました。

それだけMacが安定してきたことと、初期化作業を行うために必要な体力・気力がなくなってきたのです。

ですが初期化は、Macの「おり」を除去するためには最も抜本的な方法です。おまけにOSの更新もできる。

考えてみると、1台初期化するのも、何台かのMacを同時に初期化するのも、要する作業時間はほぼ同じ。

ならば、ということで、こんどの年末年始には、久々に何台か初期化してやろうかと思っているところです。

インフルワクチン、ケチケチ大作戦

インフルエンザワクチンが不足している中で、あちこちの医療機関で行われつつある「工夫」があります。

それは、「ローデッドスペース」のシリンジを使って、ワクチンのムダを徹底的に無くして節約する方法です。

ローデッドを使わなければ規定人数の接種が不可能になる新型コロナワクチンを、医療従事者は経験しました。

じゃあその作戦でインフル接種人数を増やせる、と誰でも思いつくことを、実は私は思いつきませんでした。

もちろん日頃から薬液の節約には心がけてきましたが、ローデッドをインフル接種に使ったのは今日が初めて。

1本1ml入りのはずのバイアルから2人分 ( =1.0ml ) 吸引してもまだ、乳児1人分 ( 0.25ml ) ほど残りました。

どこから湧いたの。そこまでひねり出せますか。これぞまさにローデッドマジック。大幅に節約ができますね。

インフルワクチンのバイアルの薬液量が規格量よりもかなり多めであることは、以前から分かっていました。

これはおそらく、薬液吸引用と接種用の針を付け替える際や、エア抜き時の薬液ロスを考慮したものでしょう。

ところが新型コロナワクチンではその「遊び」がほとんどありません。

なので、ローデッドではなんとか6人分吸引できても、通常のシリンジでは5人分しか取れないのです。

ローデッドシリンジを使うような場合、ロスを徹底的に排除するために、基本的には針の付け替えはしません。

バイアルから薬液を吸引したときに使用した針を装着したまま、その針で接種を行います。

いちどバイアルのゴム栓を貫いた針なので、わずかながら針が鈍っています。

なので、皮膚を貫くときに抵抗があり、痛みも若干強いでしょうね。ケチケチ作戦の避けがたい問題です。

温室効果ガスとしてのメタン

「COP26」が開催されて地球温暖化に目が向く中で、メタンガスの問題がクローズアップされています。

地球温暖化に影響してるガスって、むしろメタンの方がメインじゃないの?、って思うぐらい重大なんですね。

しかもメタンの発生源は「牛のげっぷなど」だと今朝のNHKニュースが言うものだから、私も食いつきます。

メタンガスといえば、昔からおならの主成分として知られますが、こうなるとオチオチおならも出せませんね。

おなら出したら罰せられたり、「放屁税」が課されたりするかもしれません。(コレが言いたかった)

できれば私の場合は、お腹が弱いので、軽減税率の適用をお願いしたいところです。

いやいや、お前のは格段に臭いから、臭加算税じゃ、なんて言われるかもしれません。

などとアホなこと書いてますが、ググってみると「放屁税」の発想自体はもう古くからあるようですね。

家畜が排出するげっぷとおならに含まれるメタンが地球温暖化をもたらすこと自体、新しい話ではないのです。

NHKは「牛のげっぷ」としか書きませんでしたが、正確には「牛や羊のげっぷやおなら」だったんですね。

朝から「おなら」のテロップは出しづらかったのでしょうか。

牛や羊は、放屁量が多いと言うよりも(多いかもしれませんが)、飼育している頭数が多いんでしょうね。

牧場で耳を澄ませると、ゲーップゲップ、プップカブーブー、あちこちから聞こえくるのかもしれません。

電気自動車(EV)を試乗する

「電気自動車『に』試乗する」なのか、「電気自動車『を』試乗する」なのか、悩んだ挙げ句の投稿です。

「試乗車『に』同乗」したのではなく、「試乗車『を』運転」したというニュアンスを出したかったわけです。

ていうか、四の五の言わずに試乗記を早よ書けや、という声が聞こえてきます。

今日は某社の(あえて秘す)、わりとパワーのある電気自動車(EV)に試乗する機会がありました。

ガソリン車→ハイブリッド車(HV)→プラグインハイブリッド車(PHV)という流れを経て、EVは車の最終形。

燃料電池車(FCV)というのもありますが、まあ傍流でしょう。

ずっとガソリン車に乗ってきた私でも、HVの発進時のスムーズさは、何度か試乗して知っています。

しかしEVの、スピードを上げてもエンジン音もせずに加速し続ける走りは、初めての不思議な体験でした。

そのかわり、ロードノイズと風切り音がやたら目立つので、逆に耳障りですね。人間の耳も勝手なものです。

フル充電で500km以上走れるのは、現在の愛車が満タンで約600km走れるのと比べても、遜色はありません。

自宅に充電設備を造設する必要がありますが、隣のサンピアン駐車場でも充電できるので、しばらくはそれで。

欧州の主なメーカーは2030年までに、なかでもAudiは2026までに、新車販売をすべてEVにする方針です。

日本でも経産省が、2035年までに新車販売に占める乗用車を電動車100%とする目標を掲げました。

しかし残念ながらこの「電動車」にはPHVも含まれています。日本はまだ、思い切りが悪いようです。

新型コロナワクチンの接種制度は、改善の余地大

新型コロナワクチンの当院での個別接種(1,2回目)は、残すところあと2週間となりました。

このワクチンが、いまの日本の感染者の減少に貢献したことは間違いないでしょう。

遅れていた日本の接種を挽回すべく一気に進めてきたので、何かと不備が目立ったのは致し方ないですね。

予約システムは各地で混乱し、ワクチン供給ではドタバタしたし、接種会場でもあれこれ問題が起きました。

さらに、個別接種を行う医療機関での、ワクチンの入手と接種に厳密な紐付けができていない点も問題です。

ワクチンは、医療機関が受け付けている予約数に応じて、必要な分だけ(上限あり)、市から供給されます。

届いたワクチンは保冷庫で適切に保管し、予定日に予定通りに希釈調整して接種をします。

接種後、その予診票を市に提出すると、市が国のシステムにその方の接種歴を登録します。

また市は、その予診票の枚数に応じて、医療機関に接種費用を振り込みます。

問題は、市が医療機関に配給したワクチンの本数と、実際に使用された本数とを照合できないことです。

ワクチン1本で必ず6人に接種できるとは限りません。急なキャンセルで、ワクチンが余ることもあるのです。

バイアルやシリンジの不具合等でワクチンをボツにしたことも、当院だけでもこれまでに3回ありました。

現行制度では、医療機関が受け取ったワクチンのうち何本使ったかを、報告する義務も手段もありません。

ワクチンを一部横流しする、なんてことは誰もやらないはずだ、という性善説なシステムなのです。