新型コロナワクチンに限らず、似たような物を同時に使うとき、そこには必ず取り違えのリスクが発生します。
これまでファイザーとモデルナを同じ医療機関が同時には取り扱わないとしてきた原則は、そのためです。
なのに「追加接種 (=3回目の接種) 」では両方接種しろという国のご都合主義については、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3705.html" target="_blank" title="先日も書いた">先日も書いた</a>通り。
そこへ加えて、小児用(5〜11歳)ファイザー社ワクチンの接種も、来年2月から始まります。
同じファイザーなのに、バイアル原液の中身も、希釈法も、接種量も、12歳以上用とはまったく異なります。
またモデルナの場合、追加接種では接種量が1,2回目とは異なります(ファイザーは同量)。
ともかく来年は、種類や希釈法や接種量が異なる複数のワクチンの接種を、並行して行うことになるわけです。
過誤を防ぐためには、「それが起こり得ないシステムにする」というのが最も有効・確実な手段です。
次善の策としては、「取り違えが起きにくい運用を工夫する」ということになります。
いちばんダメなのが、「よく注意しましょう」という精神論です。
残念ながら今後の新型コロナワクチンは、「混同しないように注意して運用する」という体制で行われます。
具体的な工夫として厚労省が示しているのは、
・ワクチン毎に接種日時や接種を行う場所を明確に分けること
・同一の冷蔵庫内において保管する場合には、容器・管理を明確に分けること
・複数人での確認を徹底するとともに、接種関連器具・物品を区別し、責任者・担当者を置くこと
当院で最大限に運用を工夫するとすれば、曜日や午前・午後等で接種ワクチンを変えることでしょうか。
薬品用保冷庫なんて、ひとつしかありませんよ。ワクチン管理はなかなか厳しくなるでしょうね。
さらに、1バイアルで接種する人数は、ファイザー12歳以上用6人、同11歳以下用10人、モデルナ15人です。
接種対象者を、それぞれ6、10、15人の倍数になるように予約数を管理するなんて、できるんだろうか。