「研究用」ではなく、正式な「医療用」新型コロナウイルス抗原検査キットが、薬局で買えるようになります。
ニュース画面に出ている大塚製薬の「クイックナビ-COVID19 Ag」はまさに、当院が日頃使ってる製品です。
10回分で定価66,000円(税込)と高額ですが、販売量が増えることで、今後の値下がりを期待しています。
検査キットの販売拡大はしかし、感染の早期発見には有用でも、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3643.html" target="_blank" title="陰性証明">陰性証明</a>としての利用が増えるなら問題です。
今朝の北村先生(日大の)は、抗原の自己採取方法が重要だと、次のように発言していました。
「(綿棒は)できるだけ鼻の奥の方にしっかりと、オエッとなるぐらい入れる必要がある」
あー、困りますねえ。北村先生は、発熱外来の現場、とくに抗原検査の実際をよくご存じないのでしょうか。
昨年10月、「鼻腔ぬぐい液」が検体として認められ、厚労省のガイドラインには次のように記載されました。
・鼻孔から2cm 程度スワブ(=綿棒のこと)を挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせる
・被検者自身が採取する際は、鼻出血が起こりやすい部位である点にも配慮し、医療従事者の管理下で実施する
・検体採取に当たり、医療従事者に一定の曝露があるため、個人防護具の装着による感染 防御を要する
・被検者自身による自己採取による場合においては、サージカルマスク及び手袋を着用することで対応が可能
このガイドラインは、第2版では次のような記載に変わっており、最新版(第4版)でも同じ内容です。
・鼻腔に沿って2cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度開店させ、5秒程度静置し湿らせる。
当院では、マスクとフェイスガードと手袋を着けた私が被検者に綿棒を手渡して、次の説明を行っています。
「その綿棒を、鼻に2cmほど入れて、ゆっくり5回ほど回して、5秒ほど待ってから、抜いてください」と。
「患者にやらせて大丈夫なのか」というクレームも時々頂戴しますが、正式な方法なのだと説明しています。
北村先生の言うようなオエッとなるまで綿棒を入れ込む方法は、医療機関での自己採取法では用いていません。
厚労省も、「検出感度には引き続き検討が必要だが、実用性と医療者の感染予防の面から有用」としています。
というわけで今後も、当院の抗原検査では、鼻腔ぬぐい液の自己採取を原則としますので、ご理解のほどを。