新型コロナウイルス感染症の「抗体カクテル療法」について、厚労省は往診での使用を認める方向のようです。
この療法は重症化予防に有効で、当初は発症早期の軽症・中等症の入院患者にだけ使うことになっていました。
これが宿泊療養施設や外来での使用に拡大され、さらに今回、往診でも使えるようにしようというわけです。
自宅療養者への往診投与は、早期治療・重症化予防のためにはとても有用だと思います。
しかしこのようなとき必ず問題となるのは、自宅で副作用が起きたらどうするのかという懸念です。
実際に、数千人に投与した中の1%程度で、副作用が疑われる発熱や嘔吐等の症状が報告されています。
このような体調変化に、誰がどのように気付き、適切な対処が出来るのか、ということが心配になるのです。
でもそれを言うなら、そもそも自宅療養中の軽症中等症患者の体調変化こそ、もっと心配すべきでしょう。
重症化しても誰も気づかずに自宅で亡くなるような事例が、各地で起きています。
自宅療養者のフォロー自体が不十分なのに、治療後の副作用ばかり心配するのは本末転倒でしょう。
軽症中等症の患者を自宅療養と称してほったらかすほどなら、有効性のある治療をする方がよっぽどマシです。
治療薬の有益性よりも、その副作用の方を過剰に心配するのは、とりわけ日本人に特有のものかもしれません。
これはちょうど、感染症よりもワクチンの副反応を恐れる体質と同じです。
往診投与後の経過観察に懸念はありますが、コロナの場合、治療の有益性の方がずっと優先すると思います。