同時多発テロから20年

アメリカ同時多発テロ事件が起きたのは、ちょうど20年前のことでした。

その日私は、市民病院で2例目の手術を終えて、ICUの休憩室のテレビで事件を知りました。

NHKはまだ、旅客機が世界貿易センタービル北棟に衝突した事故として報じ、生中継映像を映していました。

ところが、そのままテレビを見ていたら、あろうことか、2機目が隣の南棟ビルに突っ込みました。

この瞬間、旅客機が故意にビルに突入したこと、すなわちテロであることに気付かされ、戦慄したのでした。

それでもまだ、燃えている階層は限られていたので、ほとんどの人は逃げられると願って見ていました。

しかし願いもむなしく、突然、2棟のビルが相次いで崩壊。とても信じられない光景に言葉を失いました。

その時点でビルから避難できていなかった方の、ほぼ全員の死亡が予想される大惨事となりました。

最初に被害に遭った北棟と比べて、後で被害を受けながら先に崩壊した南棟の方が、被害者は少数でした。

南棟にいた人たちが、北棟の惨事を見て対岸の火事で済ませず、早めに避難を始めていたからです。

「事故」であるならば、慌てて逃げる必要はなかったのに、念のため逃げて助かったのです。

これは、日本の豪雨や地震、津波、噴火などの自然災害の被害を小さくするためにも、とても重要な教訓です。

念のため避難することは、臆病でも恥ずかしいことでもない、勇気ある賢明な行動なのです。

避難訓練やイメージトレーニングなど、すぐに体が動くような日頃からの準備が大事なんでしょうね。