接種も大事だけど、発熱外来も大事

当院では4回目の、新型コロナワクチンの「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3600.html" target="_blank" title="大規模接種">大規模接種</a>」を、今日の午後から行いました。今日は60人。

ほとんどが3週間前に1回目の接種をした方々なので、予診はいたってスムーズです。

これだけの人数の接種を計画すると、何人かはキャンセルが出ますが、その理由が様変わりしてきました。

以前は、接種が不安になった方のドタキャンが目立ちました。体調不良でキャンセルする方もいます。

ところが今日は、家族がコロナに感染したとか、濃厚接触者になったとか、そういう理由の方がいました。

一般の診療でも、そのような理由で受診をキャンセルする方が、最近とても増えています。

あるいは、先月新型コロナに罹ったんですけど、今日は接種できますか、という方も現れ始めました。

治癒から十分に時間がたって体調がよければ、ワクチンは予定通り2回接種していただきます。

自然に感染するよりもワクチン接種の方が強い免疫がつく(抗体価が高い)、という報告もあるからです。

さらに最近は、コロナに罹って「抗体カクテル療法」を受けた方からの相談も受けます。

熊本でもすでに、この治療法が普通に行われていたんですね。

注射された抗体がワクチン接種の効果を減弱させてしまうので、接種まで90日あけることになっています。

今日の接種の最中に、PCR検査を依頼する電話が何本もかかってきましたが、すべてお断りしました。

そのかわり明日の日曜日は接種なしで、目一杯発熱外来をする予定です。

ワクチン接種と発熱外来はニアミスが許されないので、土日の診療体制は、いつもこのようになるのです。

戸籍関係のネット申請希望

今日は、役所回り第1弾。と言っても、行った役所は託麻総合出張所だけで、あとは全部、電話と郵送です。

身内の死亡後に行うべき手続等を、申請する部署ごとに記載すれば、概ね次の通りです。

・居住地の市役所(区役所や出張所)

・本籍地の市役所

・年金事務所

・県庁

・法務局

・税務署

・銀行

・その他

あらかじめネットで予習しておいたのち、今朝はまず、託麻総合出張所に電話したうえで出かけました。

いまどき多くの手続きは郵送でできるのですが、なにしろ不慣れなもので、私は直接役所に出向いたのです。

コロナ禍のせいなのか、役所の方々の対応は以前よりもさらに優しく親身で、待ち時間もほとんどありません。

本籍地が他県なので、戸籍謄本などはすべて、本籍地の役所に郵送で申請する必要があります。

居住地で死亡届を出した情報が本籍地の戸籍に反映されるまで、いまは2週間近くかかるようです。

除籍謄本の必要な年金関係などの手続期限は死亡後14日以内となっていますが、それは理論的に不可能ですね。

電話で問い合わせたら、1カ月後ごろでもいいです、との返答。だいぶフレキシブルですね。

戸籍関係は独特の面倒臭さMAXです。どうにかなりませんかね。戸籍もそろろろIT化しましょうよ。

「院長は濃厚接触者ですが大丈夫です」

医療従事者が濃厚接触者になっても、医療に従事する目的であれば、自宅待機は不要で外出可能になりました。

悪く言えば、感染の疑いがあっても働けと言うことですが、医療者にしてみれば動きやすくなったと思います。

ただし万一感染していた場合は、医療に従事することで患者さん等への感染拡大が懸念されます。

なので濃厚接触者が働く場合には、周囲の人の感染を防ぐために、個人防護具を使わなければなりません。

コロナ禍の初期の頃から、もしも自分がコロナに感染した時、どのように振る舞うべきかを考え続けています。

体調さえ許すなら、院長室にこもって電子カルテを操作すれば、患者さんの診療や処方を行うことができます。

同じ院内にいながらも、遠隔診療や電話診療と同様の手順です。なんなら酸素を吸いながらでも診療できます。

そんなアホな診療アルカイダと思うかもしれませんが、濃厚接触程度で診療に穴を開けてはならないのです。

厚労省はつい6日前に、濃厚接触者となった医療従事者が新型コロナ診療を行う事を認めたばかりでした。

それが昨日になって、新型コロナに限らず、全ての医療行為に拡大して認めることになったわけです。

濃厚接触者でありながら従事する場合は、毎朝PCR検査か抗原検査を行い、陰性を確認する必要があります。

しかし実際に院内で、どのような体制で診療等にあたるべきか、明確な指針は示されていないようです。

厚労省が認めたからといって、自分が濃厚接触者であることを隠して診療するのは問題でしょう。

「院長は濃厚接触者ですが、感染に注意して診療を行っています」みたいに院内掲示しなければなりません。

それでも通常通りの対面診療は難しいかもしれませんね。やはり安全を考えたら「院内遠隔診療」になるのか。

ていうかそれ以前に、来院者があるのかどうか。

乳幼児でもコロナを警戒する事態になりました

PCR検査の陽性率が上がっていると先日書いたら、先生方は大丈夫なんですか、と心配する方がいました。

おそらくは、先生のクリニックに行っても大丈夫ですか、という気持ちもお持ちなのでしょう。

当院の発熱外来においては、動線と時間帯は徹底的に分離しています。だから大丈夫、なはずです。

何とも頼りないお答えですが、もはや「絶対大丈夫」とは言い切れない状況なのです。

軽い風邪症状で微熱の方でも、本人は鼻炎だと思っている平熱の方でも、コロナではない保証はありません。

これまでは、おもに症状のある大人に注意していましたが、いまは小中学生でも油断できません。

近隣の幼稚園(2カ所!)では園児の感染者が出ています。乳幼児の診察も、なかなか厳しくなってきました。

さらに、電話でご説明しても玄関前に掲示物を出しても、ズカズカと待合室に入ってくる発熱者がいます。

発熱外来は完全予約制なのですが、早く診てもらいたい方が予約せずに来院されることもあります。

何度も言わせてください。発熱外来には時間通りに、できるだけ自家用車で来院してください。

コロナ病棟の従事者の方々の苦労に比べれば、発熱外来従事者などまだ甘っちょろいものかもしれません。

しかし、コロナか風邪か区別のつかない方が毎日何人もやって来る発熱外来は、けっこうな緊張感があります。

初めての手続きが目白押し

スタッフが買ってきた柑橘系アロマの香りが、私にはまったく感じられませんでした。

まさか嗅覚障害? あわてて熱を測ってみたらなんと、38度8分。えっ!!

ちょうどそこで目覚ましが鳴りました。もうホント、心臓に悪い夢です。

こんなことなら、あと5分早い時間に目覚ましをセットしておくべきでした。

今日は「初七日」の法要を営みました。本来は明後日が七日目ですが、私の仕事の関係で2日ほど早めました。

大雨が続き各地で川が荒れていますが、こんなときの三途の川の流れは、いかがなのでしょう。

役所等で行うべき手続きがやたらに多くて、今後テキパキと計画的に進めていく必要があります。

今日はとりあえず、健康保険や年金関係、税金関係、銀行関係など、手続きを急ぐ順にリストアップしました。

それから、香典や弔電などを整理して、パソコンに入力し、今後のための一覧表を作りました。

今週金曜日に予定していた人間ドックは、延期しました。

「四十九日」までは毎晩お参りするつもりでしたが、さっそく昨夜は仕事で遅くなり、果たせませんでした。

今後は、毎晩顔を出すつもりです。父のためというより、母のためです。

PCR陽性率の急上昇がヤバい

当院の発熱外来でのPCR検査を希望する方が増えていますが、曜日や時間帯によっては、お断りしています。

人員や診察室や駐車場のキャパオーバーのためです。それに検査センターへの検体提出時間帯も限られます。

8月9日の振替休日には32人のPCR検査を行いましたが、そのうち5人が陽性で、その陽性率に驚きました。

報告を受けた保健所の方も、「げっ、先生のおかげで熊本市100人越えですよ」とやんわり苦情を口にします。

ところが、昨日の日曜日に行った22人のPCR検査では、8人が陽性であることが今日判明しました。

保健所の反応は「げげっ!」ですね。陽性率36%は、首都圏並みにヤバい数字です。

PCR検査の結果が出たらまず、陰性判明者への電話連絡をします。今日はそれが、午後7時頃でした。

「はい、そうですか」という方から、「えっ、陰性!良かったぁ〜」と歓喜する方まで、反応はさまざま。

続いて、PCR陽性者8人に対して一人一人、ある意味で「不幸の電話」をかけていかなければなりません。

「あー、そうですか」みたいな弱い反応が意外に多いのは、コトの重大さにピンと来てないのかもしれません。

病状を聞き直し、持病の有無や行動歴などを確認し、「発生届」に必要な情報を得ていきます。それを8人分。

ついで、なじみの保健所に電話します。それが前述したような反応なのです。

それから、厚労省のHER-SYSへのデータ入力です。これが自動的に、保健所へ提出する発生届となります。

その次は、「入院チェックリスト」の作成。8人分作り、印刷して、保健所にFAXしました。

ここまでの手順でようやく作業終了。時刻は午後8時40分。今日の診療自体は6時に終わったんですけどね。

日本各地がそうであるように、熊本もいま大変な状況になりつつあります。絶対に油断はできません。

妊婦の新型コロナワクチン接種

妊婦さんへの新型コロナワクチン接種も、当院では積極的に行っています。

十分な説明のもと、本人の希望があれば妊娠初期であっても接種をしています。

妊娠中の新型コロナ感染は重症化しやすいことが分かっているので、接種にはメリットが大きいからです。

米CDCが、妊婦のワクチン接種に懸念なしとする分析結果を公表し、接種を強く推奨する声明を出しました。

つまり、デメリットが無かった以上、もはやメリットしかないよ、というわけです。

これを受けて日本産婦人科学会は昨日、次のような見解を示しました。

「妊婦さんは時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします」

しかし同学会の6月17日の発表は、少しトーンが違って、こうでした。

「希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます」

さらに1カ月ほどさかのぼった5月12日には、次のように発表していました。

「妊婦をワクチン接種対象から除外しない」「器官形成期(妊娠12 週まで)は、ワクチン接種を避ける」

もっとさかのぼれば、1月27日には、次のように強調していました。

「⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していない」

世界中で妊婦への接種事例とその分析結果が蓄積し、だんだんと安全性が分かってきた経緯があります。

しかしながら当初、「安全性は確立していない」と発表したことが、今なお尾を引いている面があります。

見解を軌道修正する際には、よほど大きな「訂正記事」を出さなければ、古い情報をくつがえしきれません。

学会もメディアも医療機関も、妊婦への接種の安全性を、もっとしっかり宣伝しなければなりません。

家族葬

このご時世でもあり「家族葬」です。

父は私のクリニックの外来患者でもあったので、スタッフが数名、昨日の通夜の弔問に来てくれました。

ですが今日の葬儀は、まったく身内だけの、こぢんまりした集まりでした。

「御斎(おとき)」は、法事の時の精進料理を指す言葉だそうですが、今日は実質的に身内の食事会でした。

これに先立って「箸割りの儀」が行われました。父の代わりに母が、食べ物に箸を付ける儀式です。

このような儀式には、それぞれに意味があり、作法に則って行うことが大事なのでしょう。

葬儀と通夜の、お経の内容の違いがよく分かりませんでしたが、いずれも厳粛な雰囲気で行われました。

手を合わせている間の私は、父の遺影をじっと見つめても、何も考えられなくて、空っぽな気持ちでした。

「弔辞」は私が読みました。息子としての大事なお務めです。思いの丈を綴りました。

原稿を書いているときはそうでもなかったのですが、本番で読んでいるとき、こみ上げるものがありました。

「出棺」に際して、父の身の回りの品を、副葬品として棺に入れました。

あの世で不自由しないようにと、母がどっさり用意してきた日用品を、杖以外は全部、入れました。

火葬場では、どのぐらいの温度で焼いているのだろうかと、母が私に尋ねました。

ググって900度ぐらいだと答えましたが、母がそんな数字を知りたいわけじゃないことは、わかっています。

とにかく気を紛らわせたいのでしょう。ひどく情緒が不安定なので、しばらくはフォローが必要です。

なお、お通夜と葬儀を行ったこの2日間は偶然にも、お盆休みとしてもともと臨時休診日にしていました。

診療や予防接種等の予約患者さんに迷惑をかけないようにと、父が配慮してくれたのだと思えてなりません。

父の存在の大きさ

父が亡くなりました。今朝のことです。享年93。

5月から入院していましたが、体調も改善しリハビリも進み、退院の話が出始めた矢先の、誤嚥性肺炎でした。

峠は越えたと聞いていたのに、実は3日前から意識がなくなっていたことを、今日、主治医から聞きました。

母は泣いています。病院の規則によって、入院後は一度も父に面会することがかないませんでした。

退院まで面会が許されず、寂しさが募り不安が溜まります。これもコロナ禍の医療崩壊の一面かもしれません。

臨終にも間に合いませんでしたが、それでも母が駆けつけたとき、父はまだ温かかったそうです。

ずっと前から覚悟していたとはいえ、私は悲しくて悔しくて申し訳なくて、父の亡骸に泣きすがりました。

こんなことしとけば良かった、あんなこと言わなきゃ良かった、そんな思いが止めどなく溢れ出てきます。

私の60年の人生の様々な場面で、私に指針を示した父の姿や言動が、次々と思い出されます。

本当に大きな存在だったことを、あらためて思い知りました。

医療機関でのワクチン接種は、そこそこ綱渡り状態

当院では3回目の、新型コロナワクチンの「大規模接種」を、今日の午後から行いました。今日は54人。

日頃は1日18人程度の接種を行っていますが、ときどき今日のように、まとめて接種する日を設けています。

ワクチンは毎週月曜と木曜に、熊本市の供給ルートに従って、某薬品会社の拠点から配送されます。

配送当日に冷凍庫から出されたファイザーのワクチン「コミナティ」は、保冷バッグに入れられて届きます。

かなり本格的なバッグですが、当院に届く頃には、ワクチンはマイナス80度よりは温まっているでしょう。

配送業者から受け取ったら、金属ホルダー内のバイアル数を確認して、すぐに専用の薬品保冷庫に格納します。

当院の保冷庫は、旧三洋電機(現パナソニック)製のもので、内部温度は4度に設定しています。

こうして、保冷庫に移した瞬間から、ワクチンの解凍が始まることになります。

BBQ用の肉の場合には、冷蔵庫解凍はあまり推奨されませんが、ワクチンではこの方法が簡便で確実です。

ワクチンは、届けられた当日には使用しません。前日までに届き、冷蔵庫内で安定保存中のものを使います。

現在の規定では、使用期限は解凍後31日以内なので、前の週に届いたワクチンを古い順に使うのが通常です。

接種前調整時の破損等を考慮して予備ワクチンを保有しているので、保冷庫には常に十分な在庫があります。

ところが今日、保健所から連絡があり、予備ワクチンの放出を命ぜられました。

来週配送予定のワクチンは、来週以降に使用する予定本数よりも減らされました。足りない分は予備を使えと。

医療機関向けのファイザーのワクチンの供給が、今後かなり厳しくなりそうなのです。

それもこれも、グランメッセの「県民広域接種センター」で、大量のワクチンが使われているからです。

広域接種センターはモデルナで、医療機関はファイザーじゃないの、と思いがちですが、カラクリがあります。

国は、モデルナとファイザーの合計で、都道府県への供給量を管理しようとしています。

グランメッセの接種は「好調」だそうなので、医療機関にはますます厳しい状況になりそうです。