妊婦さんへの新型コロナワクチン接種も、当院では積極的に行っています。
十分な説明のもと、本人の希望があれば妊娠初期であっても接種をしています。
妊娠中の新型コロナ感染は重症化しやすいことが分かっているので、接種にはメリットが大きいからです。
米CDCが、妊婦のワクチン接種に懸念なしとする分析結果を公表し、接種を強く推奨する声明を出しました。
つまり、デメリットが無かった以上、もはやメリットしかないよ、というわけです。
これを受けて日本産婦人科学会は昨日、次のような見解を示しました。
「妊婦さんは時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします」
しかし同学会の6月17日の発表は、少しトーンが違って、こうでした。
「希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます」
さらに1カ月ほどさかのぼった5月12日には、次のように発表していました。
「妊婦をワクチン接種対象から除外しない」「器官形成期(妊娠12 週まで)は、ワクチン接種を避ける」
もっとさかのぼれば、1月27日には、次のように強調していました。
「⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していない」
世界中で妊婦への接種事例とその分析結果が蓄積し、だんだんと安全性が分かってきた経緯があります。
しかしながら当初、「安全性は確立していない」と発表したことが、今なお尾を引いている面があります。
見解を軌道修正する際には、よほど大きな「訂正記事」を出さなければ、古い情報をくつがえしきれません。
学会もメディアも医療機関も、妊婦への接種の安全性を、もっとしっかり宣伝しなければなりません。