「2回目の方が痛い」と報じる意味ある?

新型コロナワクチンは、集団接種でも個別接種でも、とくに高齢者では2回目の接種の方が増えてきました。

2回目の接種に際しての予診は、先日も書いたように、「1回目はどうでしたか」という質問で始まります。

これに対して「どうもなかった」と言う人でも、問い詰めてみると意外に症状が重かったりします。

「痛くなかったんですね」「ちいと痛かった」「翌日ぐらいに?」「うん、2,3日腕が上がらんやったね」

メディア情報の影響を受けてか、「2回目の方が痛みが強いんでしょう?」と心配する方も多いですね。

そんな場合は、「2回目の方が軽かった人もいますよ」と話すと、皆さんホッとされます。

統計学的有意性などはどうでも良くて、「軽かった人もいる」という希望の持てる情報が大事なんでしょう。

「筋肉痛がひどかったぁ」という人には、「ワクチンがよく効いた証拠ですよ」とプラス思考で応じます。

逆に「痛くなかった」という人には、「痛みと効果は関係ないですからね」と説明。いいかげんなもんです。

アレルギー歴がある方は、接種後30分間の経過観察をします。その際の補足説明には、こう言っています。

(1)「これも用心のためです。用心しておけば、何か起きてもすぐに対処できますからね」

(2)「用心すれば意外と何も起きません。何か起きるのはたいてい油断したときです」

科学的(医学的)説明は(1)ですが、(2)のマーフィーの法則の方が、ウケがいいですね。

集団接種の合間に反ワクチン本を読んでみた

今日も懲りずに、熊本城ホールの新型コロナワクチン大規模集団接種へ、6回目の出動をしてまいりました。

来場者は約2千人。私が予診を担当したのは127人。ほとんどが高齢者(112人)の2回目(110人)でした。

10時から18時までの出動時間のうち、いつも17時半以降は予診がなく、接種後の急変に備える待機時間です。

したがって、休憩を差し引くと実労6時間半。いつもと同様、被接種者一人当たり約3分の予診ペースでした。

2回目の被接種者の予診に要する時間は、せいぜい1分間。よって、予診の間に2分間の小休憩が入ります。

この2分間の小休憩が約120回あるので、その合計は約4時間となります。これは結構な時間です。

と言うわけで私はいつも、合間に本を読んでいます。

今日は、最近有名な反ワクチン本である『新型コロナワクチンの正体(内海聡著)』を読みました。

内容に問題がありすぎて国民の利益に反する、と言う理由か、Amazonが一時「発禁」にした本です。

その後Amazonが販売を再開したので、いったいどんな本なのか、後学のためにさっそく購入しました。

集団接種の合間に反ワクチン本を読むのもホントどうかと思いますが、今日の勤務中にちょうど読了しました。

内容をここに書くのもアホらしいほどの「トンデモ本」ですね。でも、ダマされる人もいるのでしょう。

果てしないデタラメに、現実のワクチン問題(真実)を適度にまぶして書いてあるので、タチが悪いのです。

デマに負けない新型コロナワクチンの強さ

「セーファーインターネット協会」が開催した「ワクチンデマ対策シンポジウム」を、Youtubeで見ました。

総務省・厚労省が後援する、新型コロナワクチンにおける「デマ問題」についての、専門家による講演です。

その詳細は割愛しますが、講演を見ていて私が感じたことを、今日はとりあえずひとつ。

それは、メディアが仕掛けるミスリーディングに国の失策が加われば、最強最悪のデマとなるということ。

講演では、文脈の無い見出しがミスリーディングを誘発するような報道が問題だとしていました。

しかし私に言わせれば、そんなことはメディアの常套手段。故意にミスリーディングを誘っているのです。

たとえばHPVワクチンが、そうです。

「前後関係」しかない事実を、さも「因果関係」があるかのように報じたメディアに、第1の責任があります。

ひとたび「被害者」が出ると、メディアは「加害者」を追求し、検証もせぬまま、とりあえず叩くのです。

しかしそれを受けて、積極的勧奨を止めてしまった厚労省の方が、私は責任重大だと考えています。

国の判断は、メディアの報道内容を間接的に支持してしまうという、とても重い意味を持つからです。

一方で新型コロナワクチンの接種は、あれだけ副反応報道やデマが繰り返されてもなお、中断されていません。

HPVワクチンのときのような、「疑わしきは一旦停止」という態度がまったく見られません。

大臣のワクチン不足発言やその報道がかえって、国民には「飢餓商法」のように作用して接種を煽っています。

デマや反ワクチン運動をものともせず、日本人の多くが接種に向かっているなんて、不思議(不気味)ですね。

いま無理して接種しなくてもよいのです

喜ばしいことに、最近は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3555.html" target="_blank" title="HPVワクチン">HPVワクチン</a>の接種を受ける方が増えて来ました。毎週数人のペースです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3476.html" target="_blank" title="厚労省からのリーフレット">厚労省からのリーフレット</a>の個別配布が、昨年から始まったことも奏功したようです。

「まだ接種は勧めませんが、ワクチンの存在はお知らせしておきます」という、妙な趣旨のリーフレットです。

これを足がかりにして、今年の初めから当院でも積極的にHPVワクチンの接種を勧めてきたところです。

もうひとつ大きいのは、新型コロナワクチンの接種が広まってきたことでしょう。つまり、

(1)アナフィラキシーなどの重大な副反応が起きても、接種は粛々と進められることが国民にも理解された

(2)筋肉注射という、慣れない(痛そうな)接種法に、国民の抵抗がなくなった

もちろんどのワクチンも、副反応への不安を抱えたままで接種すべきものではありません。

接種のメリットはわかるが不安も大きい、という境界線上の意思表示がある場合も、考えどころです。

とくに新型コロナワクチンの接種においては、被接種者の意思の確認が重要です。

当院での個別接種では、これまでに2名の方が、接種直前に不安感を訴えられたので、接種は見合わせました。

熊本城ホールの集団接種でも、私が予診を担当した方で1人、不安を訴える方の接種を中止としました。

接種を見合わせた方はしかし今度は、接種しなくても大丈夫なんでしょうかと、不安を訴えられたりします。

そのような方に、じゃあやっぱり打ちましょうか、などと言って迷わせることはしないようにしています。

まあ焦らずゆっくり考えましょう。いまあなたが無理しなくても、やがて「集団免疫」で守られますよ。

データベースは、こまめなバックアップを

新型コロナワクチンの接種にあたっては、専用のデータベースで予約受付から接種実施まで管理しています。

先日、その日の接種予定者の接種券番号を、うっかりして一括削除してしまいました。

このような場合の、データ復旧法は2つあります。

(1)データ入力時に使った手書きのメモを頼りに、入力をやり直す

(2)データベースのバックアップファイルを、最新の作業ファイルと置き換える

さいわい、Macの「Time Machine」を使って前夜段階のファイルを引き出すことができました。助かった。

もしもバックアップがもっと古かったら、データはいくつか欠落してしまったかもしれません。

今回のようなヘマをするたびに、データの削除は慎重にやらねばという気持ちを新たにしますね。

かなりの労力を費やして入力したデータでも、削除してしまうのは一瞬ですから。

熊本市は最近、新型コロナワクチンを接種している医療機関への接種料金の支払いで、ヘマをやらかしました。

振込額は接種件数に比例した単純なものなのに、446の医療機関のうち444件で、振込額を間違えました。

医療機関のリストを並べ替えた際にデータが「ズレた」という、バカみたいな単純ミスだったようです。

当院は、貰いすぎていた差額を返還することになりますが、一方で、入金不足の医療機関もあったはず。

熊本市が正しいデータを復旧できたのは、さいわいでした。どんなデータも、バックアップは大事です。

有機ELテレビ、本日到着

旅行も外食も、映画館に行くのさえ控えている昨今、気分が乗らないので自宅BBQさえやってません。

では自宅生活をいかに充実させるか、ってわけで、東京五輪開幕前にテレビを買い換えました。

10年以上を共に過ごしてきた「愛機」を壁から取り外し、いざ、配線の入れ替えをしようとして、問題発覚。

壁の中に作られている配線用の通路が狭くて、ケーブルが1本しか通りません。

前機は、画面とチューナー部がセパレートタイプだったので、HDMIケーブルしか通す必要がなかったのです。

その結果、新機からローボードまでの間の配線が露出する事になってしまいましたが、これはもう仕方ない。

そんなことより、4K有機ELテレビです。綺麗・感動・興奮・快感の「4K」と言っても良いでしょう。

4KはNHK-BS4Kだけかと思ってたら、民放もネット配信もみんな4Kやってるじゃないですか。知らなかった。

リモコンには初めから、NetflixやらPrime Videoのボタンが付いてます。もう、そういう時代なんですね。

すっかり出遅れていたわが家ですが、今夜から急に、時代の最先端に追いついたので、もう大丈夫です。

新顔のテレビ君には、これから10年(あるいはそれ以上)、わが家のリビングに居座っていただきます。

さて、気が早いですが10年後(2030年代)のテレビはどうなってるでしょうね。

もはや4Kじゃ済まないことは確か。じゃ8Kか。人間の目にはもう、それ以上の高解像度は無意味です。

ディスプレイ技術としては、有機ELの次は「マイクロLED」だと言われます。たぶんそうなるのでしょう。

そもそも、テレビはそれ単体として存在するのか、壁に組み込んで一体化してしまう可能性もありかも。

などと、今日来たばかりの新しいテレビ君を前に、早くも次の買い換えを想像してしまいました。申し訳ない。

ワクチン接種予約の受付は強制的に中休み

新型コロナワクチンの「打ち手が足りない」というから皆が頑張ったら、やり過ぎだ、ペースダウンしろとは。

接種ペースを「最適化」せよという河野担当相の発言を受けて、今日は熊本市から「最適化指令」が出ました。

「ワクチン供給ペースに合わせた接種スピードの最適化について」という通知の要点は、次の通りです。

(1)第5期(7/26〜8/15接種分)の予約枠は一杯なので、今後の新規の予約受付は中止してください

(2)第6期(8/16〜9/5接種分)の予約受付は延期します。すでに予約した分は変更(延期)が必要です

(3)接種実績を国に迅速に知らせるために、医療機関は接種後速やかに予診票を提出してください

つまり、8/15までの予約分は認めるけど、もう増やさないでね。8/16以降分は延期してね、という話です。

保健所に電話で確認したら、8/15までの1回目予約分の、8/16以降の2回目は認めるとのこと。よかった。

というわけで、当院では今後しばらく、新規の接種予約の受付を中断します。

例外的に認められているのは、ワクチンの廃棄を防ぐための6人単位の「端数調整」だけです。

「ファイザー新型コロナワクチン当院で接種できます」という院内掲示物は、本日泣く泣く撤去しました。

熊本でもとうとう「デルタ株」が出たというのに、このタイミングでワクチン接種のブレーキは痛いですね。

東京五里霧中

東京都の新型コロナ新規感染(確認)者数は、昨年来ずっと、日本の新型コロナ感染の最重要指標のひとつです。

それが今日ついに千人越えの1,149人となったのは、予測されていたとはいえ、ショッキングですね。

緊急事態宣言下なのに都心の人流は必ずしも減っていない上に、東京五輪関連の動きも今後加わってきます。

やがて2千人越えするでしょう。果たしてどのぐらいの感染者数の中で東京五輪が開幕することになるのか。

五輪開会式のまさにその日に「東京2020(人)」、なんていう不謹慎な予測を思いついてしまいました。

感染者数の増減は、曜日による変動を考慮して、前の週の同じ曜日との比較を行う事が通例となりました。

それで言うなら、東京の新規感染者数は、25日連続で前の週の同じ曜日を上回っています。

そこで、過去1週間分の感染者数の平均値をとって、曜日の影響を除外した感染者数の推移を見てみました。

NHKのサイトからデータをとってきて表計算ソフトにコピペすれば、すぐに計算できます。

1週間の移動平均の推移を見ると、この24日間ずっと増え続けています。その増加率は、毎日約1.04倍。

この1.04倍が今後も続くとすれば、2千人超えは8月4日と出ました。あー、開幕には間に合わず(不謹慎)。

5月から6月にかけて韓国に出張した方の話を今日聞いて、驚きました。

韓国に行った時は、入国後2週間はホテルの部屋に完全に缶詰で、一歩たりとも出られなかったとのこと。

ところが日本に帰ってきたら、入国後2週間は自宅に待機するように言われただけ。危機感の違いは歴然です。

五輪関係者の入国後の行動も、どこまで管理できるのやら。バブル方式なんて、机上の空論にしか思えません。

先の見えない中を、もはや退くこともできず、ただ進むしかない東京五輪。奇跡が起きるのを祈るのみです。

大規模集団接種も、後半の3週間に入りました

熊本城ホールの新型コロナワクチン大規模集団接種への出動は、今日が5回目。もうそんなに来ましたか。

本日の来場者は約2,100人。私が予診を担当したのは132人。そのうち116人が65歳以上の高齢者でした。

先週は高齢者がほとんどいなくなっていましたが、打って変わって今日は、高齢者がまた増えています。

大規模集団接種が始まったのが3週間前。今日の高齢者116人のうちの113人が、2回目の接種なのでした。

2回目の方にはとっかかりに、「1回目の時は、どうでしたか?」という質問ができるところが良いですね。

「どうもなかった」か「腕が少しこわった」方が大半でしたが、高熱が出た方も2人いました。

「腕が丸太ん棒みたいに腫れた」という方もいました。「丸太ん棒」って、私は数十年ぶりに聞きましたよ。

「現在、何らかの病気にかかって、治療(投薬など)を受けていますか」の欄の「記入漏れ」も多いですね。

回答が「いいえ」の方に「持病は無いんですね」と確かめると、「ちっと血圧が高いぐらいかね」との返答。

ご高齢の高血圧の方はしばしば、内服薬によって血圧が落ち着いている場合には、病識が無くなるようです。

でもこれは、血圧管理が良好に行われている(だろう)証なので、いちいち目くじらは立てません。

軌道に乗っている熊本城ホールでの集団接種は、今週からの3週間(トータル6週間)をもって終了になります。

その次の8月1日からの6週間では、新たに市内の4つのホテルで集団接種が行われる予定です。

今後は、高齢者でも基礎疾患のある方でもない、「一般枠」の方への接種が中心となるのでしょう。

ワクチンの供給状況にはまだ先の読めない部分が多くて、自治体も医療機関も市民も翻弄され続けてますね。

ワクチン不足と言われる中、接種予約はほぼ満杯

今後のワクチン供給がどうなるかを心配しながら、ともかく今日も新型コロナワクチンの接種を行っています。

医療機関からみて、このワクチンの接種作業が従来の、たとえばインフルエンザワクチンと異なるのは、

(1)公的な予約システムが構築・運用されている(当院はあえて、そのシステムから一部離脱していますが)

(2)対象者に「接種券」が発行され、接種データはVRS(ワクチン接種記録システム)で国が管理している

(3)被接種者の費用負担がなく、医療機関の窓口や集団接種会場等での現金のやり取りがない

(4)接種機関には、ワクチンとシリンジが必要量だけ定期的に現物で配送される

(5)熊本市の場合、接種済の予診票を保健所に送付すると、市がVRSへのデータ入力を行う

(6)その予診票の実績を元に、熊本市が接種料金を医療機関に振り込む

VRSのデータ入力は市がとりまとめて行うので、実際の接種日と入力日にはどうしても時差が生じます。

この時差が大きいと、ワクチンに余計な在庫を抱えているように見られ、国からの供給量が減らされます。

ファイザーのワクチンは、もともとの供給計画を大幅に超えるペースで、全国で接種が行われています。

各自治体は接種対象を前倒しし、接種枠を拡大し、VRS入力を急ぎ、ワクチン獲得競争をしている状況です。

しかし最終的には、すべての自治体で、接種ペースを落とさざるを得なくなりそうです。

すでに受け付けた予約を取り消す羽目になった自治体もあります。熊本はどうなるのか心配です。

とりあえず当院では、8月以降の1回目の接種の予約受付は控えています。7月中の予約はほぼ満杯です。

今日の夕方、現時点での受付済の接種予約数を詳細に尋ねるメールが、熊本市から届きました。

おそらくその回答を集約して、各医療機関へのワクチンの配分を決めるのでしょう。さて、どうなりますやら。