切り札のワクチンが、なかなか届きませんが

当院としては2回目の、新型コロナワクチンの「大規模接種」を、今日の午後から行いました。今日も60人。

当院のような小規模医療機関での、まとまった人数の接種に際しては、さまざまな点を考慮しています。

・院内待機者がなるべく少人数になるよう、予約時間枠を細かく分け、できるだけ時間通りに来てもらう

・ワクチンの希釈調整時間と接種時間の間隔を意識して、綿密なタイムスケジュールを組む

・調整ミス等によるワクチン不足を避けるため、予備ワクチンを確保しておく

・急なキャンセルに対応できるよう、キャンセル待ちの方を確認しておく

今日も体調不良によるキャンセル1名と、熱がある方の見合わせが1名。別の方にすぐ来ていただきました。

しかしこのような綱渡りが、いつもうまくいくとは限りません。

このワクチンは、6の倍数の人数で接種する必要があるので、キャンセルした方たちの振替が難しいのです。

さて9月以降は、ワクチンの供給量がまだ定まっていません。

熊本市からは、「新型コロナワクチン接種に関する意向調査」なる問い合わせFAXが届きました。

9月13日以降の接種を希望するのであれば、接種可能上限量は接種実績を元に算定する、という内容です。

意向を表明しても、何人分のワクチンが届くのか、わかりません。予約者に全員接種できるかどうかも不明。

菅首相は、ワクチン接種が切り札だと言いますが、それなら必要量をさっさと現場に届けて欲しいものです。

手指消毒液の添加剤でサラサラからのヌメヌメ

新型コロナ感染急拡大の中、熊本城ホールの新型コロナワクチン大規模集団接種会場へ出動してまいりました。

今週は火曜と金曜の出動なので休診日丸潰しですが、今日の通算8回目でついに、出動は最後です。

熊本城ホールでの大規模集団接種自体が、今週で終了となり、来週からは小規模接種会場となるようです。

今日の来場者は約2,000人。私が予診を担当したのは、過去最多の170人でした。

単純計算では、全体の12分の1を問診したことになります。今日は出動医師数が少なかったのかもしれません。

今日も全員が2回目の接種で、やはり大半(106人)が基礎疾患のない60歳未満の方でした。

予診を一人終えるたびに、備え付けの手指消毒液「ステアジェル(カワモト)」を手指にしっかり塗布します。

このようなジェルタイプの液は、最初はベトベトしますが、しばらくするとスッと乾き、サラサラになります。

成分を見ると、エタノールの他、ヒアルロン酸Na、PG、カルボキシビニルポリマー、TEAが含まれています。

ヒアルロン酸は、よく知られた保湿剤。PG(プロピレングリコール)も、よく使われる保湿剤のようです。

カルボキシビニルポリマーも代表的な高分子ポリマーらしく、TEA(トリエタノールアミン)はpH調整剤。

なんと、ジェルタイプの消毒液って、保湿剤だらけじゃないですか。

エタノールが揮発しても保湿剤は残るので、ジェルを使うたびに、手指に保湿剤が残留していくはずです。

その多量の保湿剤が皮膚に厚く付着しているのを、サラサラ・スベスベに感じて有り難がっているわけです。

ところが、トイレに行って手を水洗いした瞬間、皮膚に堆積していた保湿剤が突然、存在を露わにします。

保湿剤が一気に水を含んで手がベトベト・ヌメヌメになるのです。洗っても洗ってもヌメリがとれません。

手指消毒液は、仕事柄、毎日100回も200回も使うので、手荒れを防ぐための保湿剤の配合は有益です。

しかしジェルタイプは、携帯用には便利だとしても、医療現場で固定的に使うには添加剤が多すぎますね。

新型コロナワクチンは、全集中で接種しましょう

和歌山県の医療機関で、11歳の小学生に誤って新型コロナワクチンを接種した事例が、報じられました。

11〜12歳が対象の「2種(ジフテリア・破傷風)混合ワクチン」を接種する予定の児童への、過誤接種です。

「児童は微熱があるほか接種した腕が腫れているということで、健康状態の確認を続けています」とのこと。

12歳なら接種できるワクチンを11歳に接種することが、医学的な大問題を引き起こすとは思えません。

それに元々新型コロナワクチンは、12歳以上でも成人でも、腫れたり痛んだり熱が出やすいワクチンです。

それよりも、当該医療機関の接種体制が問題です。ワクチンを取り違えた経緯がとても気になります。

新型コロナワクチンは、冷蔵庫から出したバイアルを室温に戻した後、希釈して調整する必要があります。

一方で2種混合ワクチンは、冷蔵庫から出したバイアルからそのままシリンジに吸い取って注射するだけです。

面倒な希釈作業が必要な新型コロナワクチンと、準備不要な2種混合ワクチンを、なぜ間違えたのか。

考えられることは、ワクチンの間違いではなく、被接種者の取り違えでしょう(あくまで推測ですが)。

たとえば、同じ時間帯に、新型コロナと別のワクチンの接種作業を並行して行っていた可能性があります。

当院でも、やろうと思えばできることですが、敢えて、やっていません。接種の流れが悪くなるからです。

というか、新型コロナワクチンを接種する時間帯は、このワクチンに集中したいのです。

件の医療機関のように新型コロナと他のワクチンの接種を並行して行うなど、私にはとてもできません。

五輪の盛り上がりとコロナの増え方が、ここまでシンクロしますか

新型コロナについては連日書きたくもないのですが、感染者が増えすぎて触れないわけにはいきません。

予想はしていましたが、東京ではついに3千人超え。全国各地で感染者が過去最多レベルです。

多くの医療従事者が緊迫した雰囲気で、病床ひっ迫への危機感を露わにしています。私も同感です。

ところが政治家となると、反応が違うんですね。

・連休中に減っていた検査数が連休明けに増えたので、感染者数が(見かけ上)増えた(だけだ)

・人流は減っている(ホントかね)

・感染者のうち高齢者の割合が減っているので、ワクチンの効果が出ている

どうして彼らは、一大事なのに平静を装い、物事を真正面から受け止めようとしないんでしょうね。

責任を回避したい一心なのか、政治家はどうしても、自分たちに責任のある危機を矮小化しがちです。

その不誠実な態度が、国民感情との乖離を招き、政治家は信頼を失うのです。

感染者数が増えたのなら、「これはもう、大変なことになってます」と、素直に認めましょうよ、市民目線で。

「このままでは、東京五輪の継続も危ぶまれます」とまで言ってもいいでしょう。

その上でしかし、よい情報も取り上げつつ建設的な解決策を提示し、国民の協力を求めればいいのです。

「人流も減っていますし、そこ(五輪中止)はありません」という菅首相の言い方は、国民の反発を招くだけ。

「私は五輪を中止したくありません。みんなで人流を減らしましょう」とでも言えば、まだマシなのに。

ワクチンの予診票には医師の署名欄が2カ所

新型コロナの感染確認数は、東京で過去最多の2,848人になってしまいました。熊本でも増えています。

そんな中、熊本城ホールの新型コロナワクチン大規模集団接種会場へは、本日7回目の出動です。

今日の来場者は約2,070人。私が予診したのは134人。その全員が、2回目の接種でした。

高齢者は6人だけで、大半は一般の方(基礎疾患のない60歳未満の方)でした。

出動医師は予診票に2カ所署名する必要があるので、今日は268回ほどサインしたことになります。

過去7回分を合計すると、2千回近い数です。これだけ繰り返すと、サインもそれなりに成熟してきますね。

自慢ではないですが、私は字がヘタです。それなのに速く書くクセがあり、汚く雑なミミズ文字になります。

予診票への署名はしかし、ヘタはヘタなりに楷書で丁寧に書いていました、最初の頃は。

でも、丁寧に書けば書くほど、字本来のヘタさが際立つんですよね。

そこで字を行書体、さらに草書体(風)にして、「達筆」な雰囲気の署名をすることに方針転換しました。

以後、日を追うごとに「達筆度」が増し、字が崩れ過ぎて妙な具合になるので、ときどき立て直します。

このように、崩壊と再建を何度も繰り返して現在に至りますが、いまだに納得のできるサインではありません。

ところで、予診室に備え付けのボールペン(ゼブラのゲルインク、0.4mm)が、ひどく書きにくいのです。

細すぎるんでしょうね、0.4mmって。複写式の予診票なので強めの筆圧で書くと、やたらに引っかかります。

こんなの耐えられない、そうだ、マイ・ボールペンを持って来ればいい。そう思いついたのが1カ月前のこと。

ようやく今日、忘れずに持って来ましたよ、私の好きな0.7mmの「ジェットストリーム」を。

その滑るような書き味に大満足。今日のサインが過去最高の達筆度であったことは、言うまでもありません。

東京五輪、見応えあり

地デジとBSとBS4Kの五輪中継を、あちこち見たり録画したりしながら暮らしている今日このごろです。

ちょうどいま見ているのは、今大会から導入された新種目「卓球混合ダブルス」の3位決定戦からの決勝戦。

ゲームでは「チキータ」が多用され、さらに「逆チキータ」も出てきます。「チキチータ」ではありません。

フランスの選手は、ポイントを取ったときに「よっしゃ〜ぁ!」と叫ぶんですね。これはもう、国際語?

対する台湾勢は、同じ髪型の男女(それ以上は言いませんが)ペアが、世界ランク1位だけに、強かった。

その台湾を打ち負かして決勝に出たのが、我が日本勢。伊藤美誠/波田陽区ペア。ちがう、水谷。

相手は中国。たしかに上手い。しかしそれ以上に、だんだんと水谷にエンジンがかかり、しかも伊藤が怖い。

最終ゲームまでもつれ込んだ末の金メダル。宿敵中国を打ち負かした、すばらしいチャンピオンの誕生です。

柔道も、スケボーも、テニスも、バレーも、それ以外の競技も、それぞれすごく頑張ってる。

いろんな意味で自国開催って、力が出ますね。ホントに見応えがあります。

時差の問題は無いのに、録画を夜遅くまで見るものだから、結局寝不足になりますけどね。

五輪は盛り上がり、コロナも増えています

東京五輪は、各競技での日本人選手のすばらしい活躍のニュースが次々に飛び込んで来ます。

それと並行して、全国各地の新型コロナ感染者数が軒並み増えている様子も、報じられます。

五輪・コロナ・猛暑のニュースで大忙しなのに、イグアナ逃がすなよ、って話です。

東京では、日曜日としては過去最多の1,763人という新規感染者数を記録しました。

熊本でも、今日は31人に激増しています。当院の発熱外来も、明らかに受診者が増えてきました。

発熱外来をやっていて困るのは、自家用車ではなく、徒歩や二輪車やタクシーで来院される方です。

診察の順番待ちをしてもらうための隔離室が足りません。

以前は、屋外でイスにかけて待ってもらったこともありますが、今日のような猛暑ではそれもできません。

空調付きの屋外隔離室が複数あれば良いのでしょうけど、当院にそこまでの設備はありません。

自家用車で来られた方は、車内で順番待ちをしていただきますが、今日のような日は、駐車場も混みます。

診察や検査の順番は、原則として予約順ですが、重症度等に応じて臨機応援にやりくりしています。

ということは、遅い予約なのに早めに来院した軽症の方が、ひどく待たされることになります。

待ち時間が長ければクレームも出てきますが、クレーム順の診療、というわけにはいきません。

今日はそれ以前に、当院のキャパオーバーのため、受診予約の電話をお断りするケースがかなりありました。

日曜祝日にはいつものことですが、当番医に断られたから診て欲しい、と電話してくる方も多いのです。

今後本格的に新型コロナの第5波が訪れると、また第4波の頃のようなひどい状況になるのでしょうか。

あの頃とは異なり、いま新型コロナワクチンの接種も行っているので、やりくりはとても大変になりそうです。

注目選手の予選敗退は残念

「柔道・渡名喜風南が銀、日本勢メダル第1号 女子48キロ」という速報テロップが流れました。

いやいや、いままさにその競技の生中継を見てたのに、その中継画面にテロップ要りますか。

でも、「メダル第1号」とポジティブに報じてくれたことで、渡名喜選手の偉業に気付かされました。

しばらくして流れたのは、「日本最初の金メダル 柔道男子60キロ級 髙藤直寿選手」というテロップです。

だから、その試合も見てましたって。しかも相手が「指導」によって敗れてしまうという、消化不良な結末。

でも「豪快に勝つことはできなかった」という髙藤選手の泣き顔&笑顔は良かった。

柔道は「一本」と「技あり」だけが判定対象のはずですが、延長戦中には指導の数が問題になるようですね。

もっとも、「効果」とビデオ判定だらけの、2012年の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-299.html" target="_blank" title="ロンドンオリンピック">ロンドンオリンピック</a>の時よりは、ずっとマシです。

この際、きちんと礼をしなかったら失格、畳の上でガッツポーズしたら逆転反則負けでもいいでしょう。

注目していた鉄棒の内村航平選手とか水泳400m個人メドレーの瀬戸大也選手は、予選敗退してしまいました。

内村選手は、3つの手放し技を決めたのに、その後の演技で落下しました。

瀬戸選手も、300mは絶好調だったのに、最後の100mで失速しました。

油断したとか、予選突破を意識したとか、そんな安易なレベルではないんでしょうけど、残念です。

いろんな種目が同時進行してて、カバーするのも大変。てな感じで、東京五輪ってやっぱり楽しめますね。

東京2020開幕

東京五輪が開幕しました。もはや今日からは、選手らを応援し、楽しむしかありません。

この日のために買った4K有機ELテレビの前に座って、今夜は開会式の中継を見守りました。

プロジェクションマッピングの映像とダンサーのパフォーマンスは、比較的あっさり。

その代わり入場行進では、選手たちの様子や服装が、それぞれのお国柄を(延々と)楽しませてくれました。

五十音順の入場ということですが、ア行が終わっても「アメリカ」が登場しません。

と思ってたら、イギリスが「英国」として登場。なるほど。ではアメリカは「米国」ですか。

いや、ハ行にも現れませんね。と思ってたら、今後の開催国が最後に登場する方式ですか。知らなかった。

どの選手たちも楽しそうで、興奮しています。とくに最後の3カ国(米国→フランス→日本)は大盛り上がり。

海外の方々、よくぞはるばる日本まで来てくれました。日本人選手たちの幸せそうな姿にも打たれます。

この人たちの競技の機会が潰れなくて良かったと、素直にそう思います。

後半のショーとドローンパフォーマンスはともかく、関係者の挨拶はもうちょっと短くして欲しかったな。

選手たちが入場後ずっと立っているのが(座り込んでいる人もいたけど)、少々辛そうに見えました。

ともかく、聖火台に火が灯りました。競技場が燃えやしないかと、心配になるほどの花火も上がりました。

紆余曲折はあったし、今もまだ問題の渦中ですが、素晴らしい競技大会となることを祈っています。

当院初の、大規模個別接種

新型コロナワクチンの「大規模」接種を、本日の午後、当院で敢行しました。といっても60人ですけどね。

以前から、土日祝日の接種を希望する方がとても多かったため、今日の設定となりました。

そのかわり、一般診療は午前中のみとなってしまい、地域の皆様にはご迷惑をおかけしました。

厚労省はこれまでに、医療機関への様々なインセンティブを繰り出して、接種を推進してきました。

休日の接種単価を上げたり、接種数に応じてボーナスを出したりと、医療機関の尻を叩いてきたわけです。

ところが自治体や医療機関が頑張ると、今度はワクチンが足りない、接種ペースが速すぎると言い始める。

朝令暮改の政策に振り回されて、各地で集団接種中止や予約キャンセル騒動が起きているのはご存じの通り。

当院でも、新規予約受付を停止し、1回目が済んでも2回目が出来ない可能性を告げることになったのでした。

ようやく昨日の午後、ワクチンの供給が改善したというメールが熊本市から届きました。その内容は、

・インターネットでの予約分は、原則3週間後に同じ会場での2回⽬の接種を速やかに案内する予定

・各医療機関様の独⾃受付分も、医療機関の計画に基づいて接種を⾏うことができる

・ただし、今後の予約⼈数の拡⼤については対応できない

・第6期(8/16〜)以降は、各医療機関のこれまでの接種実績と国からの供給量を勘案して配分を決める

ということで、本日1回目の接種をした方は全員、来月2回目の接種が出来る見込みです。とりあえず、朗報。