「ローデッドスペース」なのは、シリンジではなく注射針?

新型コロナワクチンとともに今朝届いた接種用シリンジが、前回までとはまるで異なる製品になっていました。

これまで使ってきた「T.H.Mアライアンス」の「SHINVAシリンジ1ml」については、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3534.html" target="_blank" title="前にも書いた">前にも書いた</a>通り。

押し子の先の突起がシリンジ先端内部に入り込み、デッドスペースがほぼなくなる特殊な構造です。

この「ローデッドスペースシリンジ」によって、1バイアルのワクチンから6回の接種が可能になるのです。

ところが、今日届いたのは「ミサワ医科工業」の「DISPOVAN」。なんと2mlです。太い。突起も何もない。

筒先にデッドスペースが確実に残ります。このシリンジで6回接種が可能なのか、というのが第一印象。

保健所に尋ねると、厚労省から支給された「6回接種用」シリンジなので大丈夫だとの返答でした。

たしかに厚労省のサイトには「6回採取」可能なシリンジとして掲載されています。でもホントかね。

どうやら、シリンジではなく注射針がスグレモノなのでした。どのシリンジを付けても6回採れるようです。

その「ミサワ医科工業」の「ローデッドスペース注射針」は、実はこれまずっと使ってきたものでした。

シリンジを装着すると、針のつけ根にスペースができないような特殊な構造なんですね。特許出願中とか。

だからシリンジの方は何でも良いと。じゃあ、これまで「SHINVAシリンジ1ml」使ってきた意味ないじゃん。

というわけで来週から「DISPOVAN」を使いますが、0.3mlの注射に2mlシリンジを使うのは抵抗があります。

なにしろこのワクチンは、希釈して6本のシリンジに取り分ける繊細な作業が、いちばん大変なのですから。

針だけ指定品を使って、普通の1mlシリンジを組み合わせた方がよっぽどやり易いんですけどね。

問題はデッドスペースだけじゃないのです。そういう現場の声は、厚労省には届いてないんでしょうね。

高齢者以外への新型コロナワクチン接種計画始動

菅首相が今日、「10月から11月にかけて、希望する方すべて(のワクチン接種を)を終える」と述べました。

党首討論で「マウント」をとるために広げた大風呂敷か、ともかく自治体はいま、てんてこ舞いでしょう。

「7月末までに高齢者の接種を終える」という前回の大風呂敷はしかし、意外なことにほぼ実現しそうです。

ただしそのために、多くの自治体が混乱し、市民が迷惑し、医療機関も振り回されました。

熊本市でいうなら、初期の予約システムの「運用ミス」が尾を引いて、まだ完全には収拾が付いていません。

そんな熊本市ですが、国の方針に沿う形(?)で、65歳未満への接種計画を本日発表しました。具体的には、

・第5期(7/26〜8/15):60歳以上、基礎疾患のある方、障がい者

・第6期(8/16〜9/5):45歳以上

・第7期(9/6〜9/26):30歳以上

・第8期(9/27〜10/17):30歳未満

3週間ずつ設定された各期はすべて1回目の接種期間であり、2回目はその「3週間後以降」となります。

つまり、第6期では第5期の2回目が、第7期には6期の2回目が、8期では7期の2回目が「かぶって」きます。

対象がかぶっている時に接種枠が足りるのか、「2回目難民」は出ないだろうかと、すでに私は心配です。

さらに言うなら第8期やその3週間後は、例年だとインフルエンザワクチン接種のピーク時期です。

互いのワクチンの接種間隔を2週間あけることが必須条件なら、かなり複雑な予約受付作業になりそうですね。

東京五輪まであと45日に迫り、大盛り上がり中

東京五輪開幕まで、あと45日。盛り上がってますね。ただし、開催できるのかどうかの議論で。

日本中が五輪一色に染まっているはずだったこの時期に、誰も予測できなかった展開が進行中です。

もはや五輪の再延期や中止を決断できずに突き進むしかない政府を、批判しながらも諦め半分に見ている国民。

新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が4日前に、こんな状況での五輪は「普通はない」と発言しました。

解釈は分かれます。普通はやらないほどの状況なんだから覚悟せよ、という意味で言ったのかもしれません。

しかしまた言葉通りに、普通はやらんぞアホか、と言いたいのかもしれません。

尾身会長はさらに、五輪開催に関する提言を準備していると発言したものだから、政治家が反応しました。

田村厚労相は、「(尾身氏の提言は)自主的な研究の成果の発表だと受け止める」と、突き放す言い草。

都合の悪い提言が予想されるため、何を言われても重要視はしませんからねと、前もって釘を刺したわけです。

専門家が何か言う前から、聞く耳を持たない姿勢を公言するとは、政治家としてまことに残念な態度です。

批判が相次いだためか田村氏は今日、「研究の自主性はいちばん重要」だと、苦しい釈明を始めました。

「誤解を招いたとしたら、言葉の使い方を改めなければならない」という言い訳はしかし、響きません。

最終的には、政治決断をしていただければそれで結構。どんな結果であれ、国民が選んだ政治家ですから。

それなのに政治家は、ごまかしたり、はぐらかしたり、国民に対して誠実じゃないからダメなんです。

国民も、政治家も、ともに新型コロナ感染症の被害者のはず。どうして同じ側に立てないんでしょうね。

筋肉注射自体は、意外なほどに痛くないのでご安心を

ある時はPCR検査を、また別の時間帯には新型コロナワクチンを接種、そんな毎日です。

以前から危惧していた通りの、一般診療+発熱外来+ワクチン接種の「鼎立」状態です。

ファイザーのワクチンは、週に2回、月曜と木曜日に、それぞれ火〜木と金〜月の接種分が納入されます。

解凍開始直後の状態で届くので、受け取ったらすぐに、薬品用保冷庫(冷蔵庫)に格納します。

接種用のシリンジと注射針、および希釈用生理食塩水と希釈用シリンジも、ワクチンと一緒に届きます。

シリンジはいつも、「SHINVAシリンジ1ml」が、ちょうど接種人数分だけ届きます。

発売元は「T.H.Mアライアンス」という日本の会社ですが、パッケージには「MADE IN CHINA」とあります。

注射液を押し出す「押し子」の先端が突起状であり、筒先の中の液まで押し出せる「ローデッドタイプ」です。

注射針もいつも、「ミサワ医科工業」の、25G × 1インチの、ショートベベルが、やはり人数分だけ届きます。

「G (ゲージ)」は針の太さを表します。今回の注射量が0.3mlなので、細めの25Gを選択したのでしょう。

針の長さ1インチ(25mm)はかなり長いですね。筋骨隆々な方以外では、根元まで刺したら深すぎます。

針の先端角度は、皮下注射の際には尖った「レギュラーベベル(RB)」を選ぶのが普通です。

しかし筋注用に届いたのは、比較的先端が鈍な「ショートベベル(SB)」のものでした。

実際に使ってみると、皮膚から筋肉を刺すのに適度な抵抗がありますが、意外と嫌いじゃないですね。

たぶん、SB針の方が筋肉組織の損傷が少ないのかな、と思って納得してますが、根拠はありません。

多くの被接種者が注射後に、「えっ、もう終わったんですか」と驚かれますから、この針で正解なのでしょう。

意外と痛くなかったでしょう。でも大丈夫。今夜から痛みますから、と余計な説明を加えておきます。

だんだんと優先順位が崩れてきましたが、いいんじゃないの

高齢者への新型コロナワクチンの接種が進む中で、並行して64歳以下への接種も始まる動きが出ています。

当初規定した優先順位にこだわっていると接種がなかなか進まないことに、国も気付いたわけです。

年齢を問わない「職域接種」が導入されるに至り、自治体接種における年齢制限は意味をなさなくなりました。

もう日本には、他国に輸出できるほどワクチンが十分あるのです。あとは打つだけ。工夫次第です。

「打ち手が足りない」という表現は、いかにも医師(医師会等)が協力的でないようにとられて、心外です。

政府の無策や自治体のヘマが原因で日本の接種率が低いのに、医者のせいにされてはかないません。

足りないのは「接種システム全体のスピード」であり、それを「打ち手」だというから間違って伝わるのです。

予約不要で地下鉄駅などでも接種している米国のようなことが、どうして日本でできないのでしょう。

外国人観光客にも接種してくれるので、ワクチンを打つために日本からハワイに飛ぶ日本人も出始めています。

厚労省は、ワクチンの余剰が発生した場合には、接種券を保有していない者への接種も認めています。

以前は、河野担当大臣の先走り発言のようにとられていましたが、いまは正式な通知文書も出ています。

しかし熊本市では、そのような場合には接種前に市への電話連絡が必要だということになっています。

たしかに、接種券を持たない方への接種は、接種回数や接種間隔に不安が残ります。できれば確認をしたい。

その方の記憶を信じて接種したら、実は回数がオーバーだったとかいうことにでもなれば、大問題ですから。

市に電話したら即座に照合作業をしてくれるというのなら助かりますが、でも実際はどうなんでしょうね。

当院ではまだ、接種のドタキャンや問診段階での見合わせ例は出ていませんが、やがて遭遇するでしょう。

接種券を持たない方への接種を行うことになった場合、市の対応はスムーズか、それとも面倒くさいか。

餃子の隠し味

昨夜のテレビ番組で美味しそうな「餃子」が出てたので、今夜のわが家は餃子(と麻婆豆腐)でした。

それは「ぴったんこカン★カン」という、見たこともない番組です。昨日は情報を聞いて、たまたま見ました。

久米宏の「ぴったしカン・カン」は好きな番組でしたが、少し見ないうちに司会者も番組名も変わっています。

番組に登場していたのは、会員制餃子レストラン「蔓餃苑」のオーナーシェフ・パラダイス山元氏でした。

山元氏は、先日の連休中に開催されていた「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3496.html" target="_blank" title="くまもと空博2021">くまもと空博2021</a>」に、ずっと駐在していらっしゃいました。

さまざまな「肩書き」をお持ちの多才な方なのですが、私との共通項は「飛行機好き」という点です。

他の客がほとんどいなかったので、私は山元氏に空博をガイドしていただくという、贅沢な体験ができました。

以前から山元氏は、餃子には隠し味で「栄養ドリンク」を入れると言ってました。実際、昨日も入れてました。

調べるとそれは「ゼナ」だとわかり、今夜のわが家の餃子には「ゼナ」を入れるようにと家人に告げました。

さらに調べると山元氏が使うのは「ゼナキング」だったのですが、家人はケチって「ニューゼナF-II」を購入。

それでもマツキヨで1本約1,000円だったそうですが、しかしゼナキングの半額に過ぎません。

さすがに、家庭で作る餃子の隠し味のためだけに、2,000円近いドリンクを使うのはちょっとアレですしね。

でも食してみると、ムイラプアマやニンジンなどの生薬が、隠し味どころか絶妙に主張しています。

薬膳的風味とでもいうのでしょうか。この手の料理には、生薬ドリンクはうってつけの調味料ですね。

新型コロナワクチンの接種間隔は4週間ぐらいがいいかも

千葉大学病院の研究で、新型コロナワクチンの接種後ほぼ全員に抗体価の上昇が見られたとのこと。

1,774人調べて1,773人に認められたといいます。ワクチンの接種に携わる者としても、心強いデータです。

抗体価の上昇だけが感染防止効果を表すわけではありませんが、とても重要な指標のひとつです。

でもそれよりも、今回の研究で判明した「抗体価が上がりやすい因子」に、とても興味が湧きます。

抗体価が上がりやすい因子:女性、ワクチンの接種間隔が長いこと、花粉症などで抗アレルギー薬の内服あり

抗体価が上がりにくい因子:年齢が高い、飲酒頻度が高い、ステロイドや免疫抑制剤の内服あり

毎晩飲酒する還暦男である私には、なかなか厳しいデータですね。せめて花粉症でありたかった。

あわてて休肝日を作っても手遅れでしょう。どっちみち私には無理な話です。

それよりも、1回目と2回目の接種間隔が長いほど抗体価の上がりが大きかったこと。これはとても大事です。

1回目の接種で獲得した免疫が低下していく絶妙なタイミングで、2回目を接種して活を入れる。

これが「ブースター効果」です。1回目の免疫がまだ十分残っている状態では、その効果は不十分です。

インフルエンザワクチンでも、2回の接種間隔が適度に長い方が良く効くことは、以前から知られています。

国の規定では、以前は1週間以上の間隔でしたが、いま子どもでは2週間以上の接種間隔が必要です。

米国CDCは4週間以上の間隔を勧告しています。私もそれに準じて、4週間以上の間隔をオススメしています。

新型コロナワクチンを私は規定通り3週間隔で接種しましたが、今思えば、もっとあければ良かった。

ワクチンの準備から接種の手順は、愚直なまでにワンパターンで

新型コロナワクチンの接種ミスには色んなパターンがあるもので、ニュースを見るたびに教訓になります。

使用済みバイアルに再び生理食塩水を注入し、新しいワクチンと間違えて注射するのがもっとも多いパターン。

空気を注射したために接種をやり直したケースもありました。どのように準備したらそうなるのか聞きたい。

さらに新たなパターンとして、ワクチン原液を希釈せずにそのまま注射したという事例が報じられました。

ここでもういちど、ワクチンの準備〜接種までの手順をおさらいしてみます。当院でのやり方です。

(1) 解凍後5日以内の冷蔵保存しておいたワクチンを保冷庫から取り出し、専用の容器内に置き、室温に戻す。

(2) それが「室温戻し中バイアル」であることがわかるように、容器に明記しておく。

(3) 時間が来たら、2人のスタッフが予防衣と手袋を装着して、「希釈作業」を開始。

(4) 定められた手順に従って、ワクチン1バイアルにつき6本の接種用シリンジを作り、専用のトレイに並べる。

(5) 6本準備できた時点で、元のバイアルは、「使用済みバイアル」と書かれたた廃棄専用の容器に入れる。

(6) 問診を終えた被接種者を接種用の部屋に入れ、先ほどのトレイから1本だけシリンジを取り出して接種。

(7) 打ち終わったシリンジは、どこにも置かず、接種を終えたその手で、そのまま専用の廃棄ボックスに投入。

このような一連の流れは、いくら慣れても省略はせず、面倒ですが毎回まったく同じ作業です。

手順を守る限り、使用済みバイアルを再使用することは不可能です。

空気を注射したり、原液のまま注射してしまう可能性も、入り込む余地はありません。

もしもミスが起きるとすれば、何らかの理由があって、いつもと違うイレギュラーな事をした時です。

担当者が途中で交代したとか、作業場所を急に変えたとか、訳あって慣れない人が急に作業を任されたとか。

そしてそのイレギュラーな状況の下で起きがちなのは、「伝達漏れ」か「思い込み」か「勘違い」です。

人間のうっかりミスは完全には防げないので、イレギュラーな事はしないことを愚直に貫くしかありません。

ワクチンの接種順位は、なし崩し的に撤廃へ向かう

政府は、職場や大学等での新型コロナワクチンの接種を導入しようとしています。

接種対象の優先順位を事実上撤廃し、打てるところから打つ戦略へ転換するわけで、その点には賛同します。

しかも、接種券が無くても接種可能、あとで登録すれば良いという、にわかには信じがたいほどの柔軟さ。

厳密に定めていた接種対象の制限ですが、ワクチンが十分に入手できたのなら、緩和しない理由はありません。

強いて言えば、予約の集中を避ける工夫が必要で、その一つが「職域接種」なのでしょう。

一方で、高齢者の接種予約の混乱がまだ収束していない地域では、接種対象急拡大への懸念があります。

たとえば熊本市。接種予約システムの「初期不良」を、いま手作業で懸命に修復しつつある真っ最中です。

熊本市の場合、予約受付開始当初、1回目と2回目の予約を同時に確保しなかった「運用」がトラブルの元凶。

本来、2回目の接種をすべき3週間後の枠が、別の人の1回目の予約で埋まってしまう事態が起きました。

ネットに不慣れな人が設定を間違えて、2回目用の予約枠に1回目の予約を入れたりもしました。

市は「2回目難民」を集団接種で救済する作戦をとり、そのかわり医療機関側の接種枠に空きが出ています。

医療機関が無理して構築した接種枠ですから、ムダにしてはなりません。何とか生かしてもらいたい。

例えば「基礎疾患を有する人」という優先枠を撤廃するなど、市には柔軟な取り組みをお願いしたいものです。

とは言え、接種券の無い接種を認めたら事務の負担が激増することは必至。さて熊本市はどこまでやれるのか。

済生会〜どう行くんかい、脂肪肝、サラダ館(ジョイマン風)

新型コロナ感染者がちょっと減り始めた(ような気がする)いまのうちに、今日は<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1704.html" target="_blank" title="人間ドック">人間ドック</a>に行きました。

昨年はタイミングを逸したので、今日の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2856.html" target="_blank" title="PET-CT">PET-CT</a>は2年ぶりです。

済生会まで行くのに、菊陽の自宅を何時に出たらいいのだろうと、今年もまた悩みながら家を出発しました。

前回、何時に出たら何時に着いたかを記録しておけば良かったのに、と後悔するのも2度目です。

Google先生に訊いたら、高速道路経由が最も早いと教えてくれましたが、それには従いませんでした。

ためしに高速に乗ったら、たまたま事故で大渋滞だった、というマーフィーの法則が気になるからです。

結局、だいぶ早く到着したので、駐車場の車内でしばらくTVニュースを見て時間を潰しました。

あれ、結局何時に家を出たんだっけ。今年もまた、所要時間が分からずじまい。

PET検査の結果、癌は見つかりませんでしたが、CTと超音波検査で脂肪肝が見つかりました。でしょうね。

毎晩アルコールを飲むことと、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2111.html" target="_blank" title="毎晩甘い物を食べ過ぎる">毎晩甘い物を食べ過ぎる</a>私の食生活が原因だと、厳しく指摘されました。

週に1回「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1563.html" target="_blank" title="休肝日">休肝日</a>」を作れと言われましたが、私にそれは辛すぎます。甘い物を食べない方がまだマシです。

保健師の方と交渉の末、甘い物を食べない日を作ることで合意。てことで私の課題は、週に1回の「休甘日」。