政府は、職場や大学等での新型コロナワクチンの接種を導入しようとしています。
接種対象の優先順位を事実上撤廃し、打てるところから打つ戦略へ転換するわけで、その点には賛同します。
しかも、接種券が無くても接種可能、あとで登録すれば良いという、にわかには信じがたいほどの柔軟さ。
厳密に定めていた接種対象の制限ですが、ワクチンが十分に入手できたのなら、緩和しない理由はありません。
強いて言えば、予約の集中を避ける工夫が必要で、その一つが「職域接種」なのでしょう。
一方で、高齢者の接種予約の混乱がまだ収束していない地域では、接種対象急拡大への懸念があります。
たとえば熊本市。接種予約システムの「初期不良」を、いま手作業で懸命に修復しつつある真っ最中です。
熊本市の場合、予約受付開始当初、1回目と2回目の予約を同時に確保しなかった「運用」がトラブルの元凶。
本来、2回目の接種をすべき3週間後の枠が、別の人の1回目の予約で埋まってしまう事態が起きました。
ネットに不慣れな人が設定を間違えて、2回目用の予約枠に1回目の予約を入れたりもしました。
市は「2回目難民」を集団接種で救済する作戦をとり、そのかわり医療機関側の接種枠に空きが出ています。
医療機関が無理して構築した接種枠ですから、ムダにしてはなりません。何とか生かしてもらいたい。
例えば「基礎疾患を有する人」という優先枠を撤廃するなど、市には柔軟な取り組みをお願いしたいものです。
とは言え、接種券の無い接種を認めたら事務の負担が激増することは必至。さて熊本市はどこまでやれるのか。