高齢者向けワクチン、ついに予約受付へ

「医療関係者の協力が足らず、65歳以上だけに限定しても今年いっぱいか、場合によっては来年までかかる」

昨日も取り上げた、下村政調会長のムカつき発言。ガッカリなのは、メディアも賛同傾向だということです。

モーニングショーでは、医師会何してる、町医者が接種すればいいんだ、みたいな発言が相次いでいました。

何言ってるんですか。少なくとも熊本市では、医師会も開業医も保健所も、みな精一杯協力してますよ。

一般向けの新型コロナワクチン接種について、当院はこれまでに、次のような手続等を行ってきました。

(1)1月30日、熊本市保健所と医師会による、一般向けワクチン接種についての最初のWEB説明会

(2)2月5日、保健所の「住民向け接種に関する調査票」に、当院は4月から一般向け接種が可能であると回答

(3)2月19日、厚労省の専用フォームを使って「集合契約の委任状」を作成、印刷して保健所に郵送

あとは厚労省から、「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」のIDが付与されるのをずっと待っていると、

(4)3月15日、厚労省から<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3450.html" target="_blank" title="ID連絡メール">ID連絡メール</a>。ずいぶん待たせたくせに、24時間以内に手続きせよとせかします。

(5)そして本日、熊本市から「住民向け接種に係る予約受付の事前準備について」という書類が届きました。

同時に本日、熊本市では高齢者の接種を5/19に開始することが発表されました。予約受付は5/6からです。

ワクチンの確保がこれほどまでに遅いのは、日本がワクチン後進国(=ワクチンを軽視する国)だからです。

しかし自治体は、着実に準備を進めています。コロナ感染対策とワクチン準備を同時にこなすのは大変です。

多くの医療機関が、住民への接種を行う旨を早くから表明し、保健所の準備が整うのをずっと待ってきました。

その予約受付システムがようやく完成し、今日、接種日時や人数を具体的に計画できる段階に入ったのです。

医療関係者はみな「待ってました〜!」と叫んでますよ。「協力が足りない」などと言われる筋合いなどない。

与党の方々は、コロナを本気で収束させる気があるのか

全国的にも熊本的にも、やばみが増してきましたね。大阪や東京は、緊急事態宣言に向かっています。

医療機関の機能や市民生活が制限されれば、遅れがちなワクチン接種がさらに遅れることになりかねません。

いわんや東京オリンピックをや。

与党の政治家の方々。あんたたちはいったい、本気で新型コロナを収束させる気があるんですかね。

「(国内の全対象者分のワクチンが)9月までに供給されるめどが立った」

菅首相は、ファイザーのCEOに電話でワクチンの追加供給を要請した後に、そのように大風呂敷を広げました。

国民は誰も期待しちゃいませんよ。CEOは単に協議を進めたい(=ま、考えとくわ)と応えただけなんでしょ。

どうしてそのように、確証の無いことを勝ち誇ったように言えるんでしょうね。

「医療関係者の協力が足らず、65歳以上だけに限定しても今年いっぱいか、場合によっては来年までかかる」

下村政調会長の、今日いちばんムカついた発言。あなた、全国の医療従事者を敵に回しましたね。

菅首相の発言を踏まえた上で、しかし医者が協力的じゃないから接種計画が進まないとは、言語道断。

コロナはちっとも収束せず、医療従事者への接種もなかなか進まない中で、政治家は言うばっかりですか。

「緊急事態宣言を出したら病床が増えて重症者が助かるって話はない」

田村厚労相の発言にはガッカリです。重症者を増やさないための緊急事態宣言でしょ。あなたわかってる?

いいこと言うなあ、と思った事もかつてあったけど、撤回。あれは田村氏が閣外のときだけでした。

緊急事態宣言をいつ出していつ解除すれば、感染者数と重症者数の波がちょうど五輪前に底を打つか。

そんな計算ばかりしてきたのでしょうけど、与党のみなさん、たぶん無理。タイミングは最悪でしょうね。

発熱外来への苦情に反省

新型コロナ第4波が熊本にも迫っていることは、最近の当院の発熱外来受診者数を見てもよくわかります。

そんななかで昨日、受診された1人の方から、当院の発熱外来の診療に対して厳しい苦情をいただきました。

他にも多くの方が同様の思いかもしれません。今日はこの場を借りて、私の反省文を転載させていただきます。

(以下、引用。一部改変)

○○様。

このたびは当院の診療で不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。

ご不満の点、よくわかりました。今後どのようにすれば少しでも不満の少ない診療になるか、改善策を考えていこうと、今朝、スタッフを集めて話し合いました。

昨日○○様が来院された時間帯は、7人の発熱患者さんのうち乳幼児2名を院内で、○○様を含む5名の方を駐車場で、並行して診療を行っているところでした。

当院では、COVID-19の疑いのある方は、院内の隔離診察室か、それが埋まっている場合には駐車場で診察と検査を行っており、それに先だって可能な限り電話で問診をしています。

しかしそのような電話問診ではニュアンスが伝わりにくい点は、たしかに改善の余地があると感じます。

駐車場で長い間お待たせしたあげく、防護具を着けて行う短時間の診療のやり方についても、再検討をする必要があると思いました。

そして何より、当院の発熱外来では現在そのような診療の流れであることを、あらかじめ丁寧にご説明しておかなければなりませんでした。この数か月の間にだんだんと説明不足になって来たことを、いま素直に反省しています。

○○様。このたびは貴重なご意見をありがとうございました。さっそく今日から、改善してまいります。

つるはらクリニック 院長 鶴原由一

(引用終わり)

当院では、過去5カ月で25名の新型コロナ感染者を、抗原検査やPCR検査で診断してきました。

そのうち約半分の方が来院時は微熱または平熱だった経験から、軽症でもけっして油断せずに診療しています。

不愉快な印象をもたれる受診者の方もいらっしるかもしれませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

ネット予約と電話予約を併用する場合の注意点

新潟県津南町の高齢者向け新型コロナワクチンの予約受付で、電話申し込みを一件も受理できなかった件。

午前0時からネットで、午前10時から電話での受付を開始したと言いますから、そりゃそうなるでしょう。

ネットと電話を併用する場合、ネット予約の方を先行させると、このような結果を招くのは当然のことです。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1845.html" target="_blank" title="医療機関の診療予約">医療機関の診療予約</a>を受け付ける場合でも、同様の注意が必要です。

当院では、電話予約用にいくつか枠をとっておき、残りの枠の範囲内でネット予約を受け付けています。

そうすれば、朝8時からのネット予約で午前中の枠が埋まったとしても、電話予約用の枠は残るわけです。

次いで8時半から電話予約の受付を始めます。予約者には、電話受付用に取っておいた枠をあてがいます。

他の医療機関では、ネットよりも電話予約の方を先行させる方式のところも多いようです。

順番取りとしてはシンプルですが、朝の電話が混み合って繋がりにくいと、不公平を生じることが問題です。

なので当院では公平なネット予約を先行させ、ネットが不得意な人向けに電話用の枠も確保しているわけです。

津南町もおそらく、電話受付の混乱を減らそうとネットを先行させたのでしょうが、むしろ混乱を招きました。

ネットと電話を併用するなら、それぞれを別枠で受け付けるような工夫が必要だったのかもしれません。

どの自治体がどんなやり方をもってしても、新型コロナワクチンの予約に際して混乱はさけられません。

なぜなら、ワクチンの供給数があまりにも少ないからです。問題は結局ここに行き着きます。

どんな方法なら混乱が最小限か、国が具体的には何もしてくれないので、自治体が智恵を絞る必要があります。

医療従事者へのコロナワクチン接種の予約受付が、ようやく始まる

熊本市では、一般の医療従事者の新型コロナワクチン接種のネット予約の受付が、昨日から始まりました。

驚かないでください。医療従事者のほとんどは、一昨日までは接種の予約すらできていなかったのです。

昨日はサーバーダウンしてなかなかつながりませんでしたが、今日の予約サイトはすっかり落ち着いています。

システムは落ち着いていますが、当院職員が申し込める地域の接種会場の予約枠は、すべて埋まっています。

ワクチンの供給が遅れているので、いまだに医療従事者全員が接種を「予約」できる状況ですらないのです。

と思いきや、指定外の地域の接種会場の予約状況を見てみると、驚いたことに、けっこう空きがある。

どうやら、接種希望者と接種会場のマッチングがうまくいってないようです。これにはガッカリします。

マッチングが悪いせいで、接種したい人が接種できず、一方でワクチンが余ってしまうリスクが出てきます。

こんな時は、指定された地域外の、空いてる会場の接種を「越境」して予約できれば、解決するんですけどね。

県の「コロナワクチン接種体制構築事務局」に電話してみると、現時点では越境OKとは言えませんとの返答。

「河野大臣は、ワクチンを有効利用するために柔軟に対応せよと言ってますよ」と食い下がってもダメでした。

厚労省の「新型コロナワクチンコールセンター」に電話すると、「趣旨はわかるから運用は医師会に聞け」と。

河野大臣の話を持ち出したら、「その件はまだ、降りてきておりません」と。何ソレ。柔軟性ゼロじゃん。

医師会に聞いたら、現時点では、指定された地域での接種を守ってくれと、越境は不可だとの返答でした。

お役所も医師会も、柔軟な運用や臨機応変な対応というのが、どうしてもできない体質みたいですね。

でも、ワクチンを余らせることだけは避けなければなりませんから、そのうちきっと動きがあるんでしょう。

ブログ連続投稿9年

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3116.html" target="_blank" title="ブログの連続投稿">ブログの連続投稿</a>が、今日で9年に達しました。2012年の4月16日から、毎日書き続けています。

雨垂れ石を穿つがごとく、医療界に風穴を開けたつもりです(うそ)。単なるチリツモです。

連続投稿の記念日である4月15日はしかし、5年前に<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1666.html" target="_blank" title="熊本地震">熊本地震</a>に飲み込まれて以来、存在感がありません。

9年前までの約4年間の投稿は193回とほぼ週1ペースだったのに、その後9年間は連続投稿というのも不思議。

何がきっかけでスイッチが入ったのか、もはや覚えていません。

当初は、根性とか意地だったかもしれませんが、いまや、中断する勇気がないので連続投稿している状況。

一種の強迫神経症なのか、書かなければ良くないことが起きる、みたいな恐怖心が私にあるのです。

ブログの連続投稿を中断した翌日に大地震でも起きたら、たぶん一生後悔します。

そういう風に、無関係なことなのに結びつけてしまう考え方は、「言霊」に通じるものがあります。

と言いながら、ブログを中断してないのに熊本地震が起きたし、コロナ禍なのですが、そこは結びつけない。

いや、中断してたらもっとひどいことが起きた、と考えるのがまた、日本人なんでしょうかね。

ともかく、コロナ禍で微妙な時なので、いま事を起こさず、息を潜めてブログを書き続けることにします。

そんなわけで私は、日本や世界のために書いてますので、内容は二の次であることをご了承ください。

熊本地震から5年

熊本地震から5年。被害を受けた重要な建造物が、それぞれ息を吹き返しつつあります。

熊本城天守閣の再建工事は、ついに先月完了しました。これこそまさに復興のシンボル。

阿蘇大橋も先月開通しました。場所を変えての架け替えですが、立派な美しい橋が完成しました。

熊本市民病院は堂々たる新病院が建ちました。その内部はまるで、後のコロナ禍に備えたかのような造りです。

当院の建物の被害はわずかでしたが、診療ではずいぶん苦労しました。(それもコロナ禍よりはマシですが)

自宅もクリニックも、地震による壁紙の亀裂の一部は、今もそのまま残しています。一種の遺構なのです。

断水や停電や機器の破損が起きたとき、できるだけ迅速に復旧するための備えの必要性を痛感しました。

しかし、喉元過ぎれば何とやらで、当院の停電対策はいまだに完璧ではありません。いま反省すべき点です。

私事で言えば、この5年の間に子どもたち3人がみな結婚し、孫が4人ほど生まれました。

どういう心境の変化か説明が難しいのですが、飛行機によく乗り、海外旅行に何度も行くようになりました。

ほかの人でも同様だと思いますが、熊本地震は私の価値観を大きく変えてしまう一大事でした。

人生、何が起きるのかわからない。やりたい事はやりたい時に。後悔の無い生き方を考えたものでした。

と思っていたらコロナです。今からやろうと思っていた事がことごとく潰され、意気消沈です。

地震とは違い、時間とともに必ず着実に復旧復興する、という保証がないのが辛いですね。

余ったワクチンの扱いが硬直でも柔軟でも、それぞれ現場は大変

大阪府はついに、感染確認者数が1,000人越えですか。今後しばらくは減る要素もありませんね。

そんな大阪の万博記念公園内の周回コースで、一般の観客を入れずに聖火リレーが実施されました。

東京五輪が開催されるかも不透明な中を、笑顔でグルグル走る片岡愛之助さんらの姿があまりにも痛々しい。

昨日始まった、新型コロナウイルスワクチンの高齢者への接種でも、やはり問題が起きています。

例の、先着順に予約を受け付けた八王子市です。その経緯をまとめれば、こうでしょう。

(起)供給ワクチンがあまりにも少ないので、公平のために、先着順に予約を受け付けた

(承)予約してないのに、接種会場を訪れた高齢者が、数名いた

(転)予約していたのに、当日キャンセルした高齢者が、2名いた

(結)混乱を避けるために、キャンセル分のワクチン(2名分)は廃棄へ

余ったワクチンを、予約してない高齢者に流用するという臨機応変な判断が、八王子市にはできませんでした。

何が何でも予約通りに公平を維持するという硬直化した態度は、コロナ予防の観点からは本末転倒です。

まさに、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3455.html" target="_blank" title="危惧していた">危惧していた</a>ことが現実のものとなりました。<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-19.html" target="_blank" title="2009年の新型インフルワクチンのとき">2009年の新型インフルワクチンのとき</a>と同じ愚です。

この一件を受けて河野担当相は、余ったワクチンをムダにせず柔軟な接種をするように、と述べました。

接種券がなくても、高齢者ですらなくても、さらに他県の方に打っても、「一向に構わない」と。

実にアッパレな発言ですが、接種会場は混乱するかもしれませんね。お役人も渋い顔してることでしょう。

高齢者向け優先接種が始まりましたが、ごく一部です

新型コロナワクチンの高齢者向け優先接種が、今日から全国で(ただし、その一部地域で)始まりました。

ワクチンの供給量が当初はとても限られるので、予約の受付方法と具体的な接種順は自治体任せです。

先着順の予約受付での混乱が先日報じられた八王子市は、大騒ぎした割に今日の接種者はわずか248人でした。

東京都内で今日から高齢者への接種が始まったのは、八王子市と世田谷区だけというのも驚きます。

多くの自治体は、少ないワクチンを誰から順に接種すべきか、なかなか決めきれないのかもしれません。

まとまった量のワクチンを確保してから接種を開始した方が、ある意味公平な割り振りができるでしょう。

しかしその考え方では、対象者へは1日でも早く接種をするという本来の目的には反します。

そんな中で熊本市では、本日61人の高齢者に接種が行われたそうです。これは予想外に早い動きですね。

熊本市は、接種を効率的に行う観点から、高齢者施設入所者及び従事者から接種を実施する方針です。

なかでも透析施設に併設した施設を最優先とし、次に入所者及び従事者数が多い施設から実施するとのこと。

限られたワクチンを混乱なく接種する手段として、熊本市のやり方はなかなか賢明かもしれません。

一方で、そんな報道を見てヤキモキしているのは、高齢者施設に入所していない一般の高齢者の方々でしょう。

自分はいつ接種できるのかと私もよく尋ねられますが、高齢者への接種券の発送は今月下旬になるようです。

ただし、その後の具体的な予約方法(予約サイトの利用法など)が、いまひとつ固まってないみたいですね。

当院も、一般向けの接種医療機関として登録していますが、ワクチンの配分時期や配分量の連絡はまだです。

具体的な予約がまったく動き出していないので、私自身、当事者としての実感がまったく湧きません。

慣らし保育で風邪の洗礼

学校は新学期が始まり、乳幼児には「慣らし保育」の時期です。

これは園児が園生活に慣れるためだけでなく、母親が仕事と育児の両立生活に慣れるための期間でもあります。

その過渡期においては、夫や実家の協力は必須で、また職場では勤務シフトの調整が必要となります。

慣らし保育開始から数日のうちに受ける洗礼のひとつが、子どもの発熱でしょうか。

「慣らし保育で風邪をもらいました」と来院するお子さんが、先週からおおぜいいます。今日も数人来ました。

「今後半年の間に、10回ぐらい風邪を引きますよ。そうやって、ひとつひとつ、免疫を付けていくのです」

私はお母さんにそのように説明していますが、そう言えるのは病状が軽くて元気なお子さんの場合です。

高熱で咳がひどく、聴診で喘鳴を聴取するようなRSウイルス感染のお子さんにも、最近しばしば遭遇します。

肺炎などを疑うような症状と検査所見があれば、日赤などの病院に紹介することになります。

病状によってはそのまま入院となり、退院してもしばらくするとまた風邪を引いて、そこそこ手こずります。

ようやく園に復帰したと思ったら、2,3日後にはまた発熱したり下痢したり。親御さんの心配は尽きません。

かように慣らし保育というのは、子どもの病気に保護者が慣れるための期間でもあるんですね。