おたふくかぜのワクチンが、いま不足しています。ただし、接種希望者が急増しているわけじゃありません。
このワクチンは武田薬品と第一三共で製造していますが、武田の工場で不具合が見つかり製造中断中なのです。
当院は第一三共の方を使っていたので大丈夫でしたが、武田を使ってた医療機関では接種に影響が出ています。
おたふくかぜに罹ると、髄膜炎や難聴などの合併症が問題になります。
先進諸国の中では日本だけ、ワクチンの接種率が低いせいで<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2219.html" target="_blank" title="毎年多くの子どもたちが難聴">毎年多くの子どもたちが難聴</a>になっています。
以前起きた副反応がトラウマになっていて、定期接種化が遅れに遅れているのです。まさに日本的怪現象です。
さらに加えて、世の中でまかり通っている次のような考え方も、予防接種率が上がらない理由のひとつです。
(1)おたふくかぜは、かかった方が、予防接種よりも強い免疫が付く
(2)だから予防接種を受けるよりも、かかって免疫を付けた方が良い
大事なことなので、2度3度、いやたぶん5回以上言っておきます。いや、お尋ねします。
おたふくかぜにかかって強い免疫が付いたら、それが何の役に立ちますか。強い免疫を付ける目的は何ですか。
強く確実な免疫を付けて、おたふくかぜにはもう、2度とかからないようにする。それが目的ですか。
であるなら、2度かかるのを確実に防ぐために、1度かかっておくのですか。
2度目の罹患による合併症を、1度目の罹患による合併症よりも怖れる理由がありますか。
おわかりのように、「かかって免疫を付ける」という戦略は、残念ながらまったく矛盾に満ちているのです。