東日本大震災から10年

大地震、大津波、原発事故。あの悲劇から10年。復興しつつあるとは言え、亡くなった人は帰って来ません。

ちょっとした避難の兼ね合いが、子どもたちの生死を分けたことは、返す返すも悔しいですね。

では次の地震、次の津波に対して、すべての日本人が我が事のように今備えているかと言えば、そうでもない。

私にとって、東日本の惨状はややもすると他人事でした。が、熊本地震を経験して、少し考えが変わりました。

熊本地震は、津波も原発事故も起きませんでしたが、私の生き方や価値観を変えるのには十分な一大事でした。

贅沢な夢は捨て、職場を守り、堅実に生き残り、それで生涯を終えればそれでいいと、そこまで意識しました。

さいわい熊本の復興は早く、私もやがて元気を取り戻したわけですが、コロナ禍でまた、少々萎え気味です。

東日本大震災が今も引きずる大問題は、人災の側面もある、東京電力福島第一原発の事故です。

責任ある立場の人たちには厳しい沙汰があるべきだと、直接の被害者でもない私ですが、思ってしまいます。

いまなお、水を注入して冷却し続けてやっとのこと抑えられている(とされている)原子炉内の核燃料デブリ。

それが先日の地震で、さらに水の注入量をアップしなければならなくなったという、けっこうギリギリな状況。

私はときどき、地震で核燃料プールが損壊して、燃料棒がゴロンゴロンと地面に落下する状況を想像します。

すべての燃料棒がメルトダウンを始めてしまい、もうみんな、逃げ出すしかありません。

10年前に、同様の破局的状況が想定され、東京や横浜まで人が住めなくなることが示されたといいます。

そうならなかったのは、単に幸運が重なったからだとすれば、次も幸運が続くとは限りません。

ついに「8回接種できる注射器」が登場?

「ファイザー製の新型コロナワクチンが8回接種できる」という触れ込みで注射器を販売していた男(52)が、逮捕されました。

医療用品販売の正規ルートではなく、メルカリに出品されていたものを都内の医師(46)が発見し、購入してみたら8回接種はできないことがわかったため、警察に通報して発覚したものです。

医師によると、注射器は8本入りパックが2,040円で出品されており、1本単位でも300円(いずれも送料込み)で購入できたようです。

はじめは1本だけ購入したそうですが、その後、8回分接種するためには8本必要だと気付いて追加発注したため、医師の元には合計9本の注射器が届いたとのこと。

注射器は、外見上はテルモの正規品で包装に破れ等はないものの、そのまま使用して8回接種できる気がしなかったため、医師が出入りの納入業者に見せたところ、悪質な転売だと判明。警察に連絡したそうです。

警察の取り調べに対して、出品した男は「8本使えば8回接種できる。どこがおかしい」という供述を繰り返しており、また「12回接種用の1ダースパックも出品している」とも言っていることから、警察は余罪を追及しています。

(注)虚構新聞風のフィクションです

ひと瓶から8回分以上吸い出せたら、手品師

ファイザーの新型コロナワクチンを、1バイアル(瓶)から7回分接種できた、という朗報が今日の話題です。

ついこの前まで5回か6回かと言ってたのに、7回が可能だとすれば、これまでの議論は何だったのって感じ。

ワクチンの自国開発では残念ながら日本は「後進国」ですが、器具と工夫なら「技術立国」の面目躍如ですね。

ファイザーも想定外の「用法」ですが、薬の効果には無関係なので問題ありません。日本の作戦勝ちでしょう。

7回接種を可能にしたのは、インスリン注射用の特殊なシリンジ。たしかにデッドスペースが無いし針も極細。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3422.html" target="_blank" title="ワクチンの容量">ワクチンの容量</a>0.45mlに希釈液1.8mlを加えると2.25mlなので、0.3mlの注射量だとたしかに7回可能です。

溶液を希釈した場合、合計量は単純計算通りにはいきませんが、少なくとも2.1ml以上はあったわけです。

河野大臣などは、「大いにやっていただきたい」と大喜びしていますが、そう軽く言わないでください。

なにしろ針が短いので、いま報じられている製品では、誰に使っても針が筋肉まで届くとは限りません。

うっかり浅く接種して筋肉まで届いていないと、せっかくのワクチンが効果不十分となるリスクがあります。

このワクチンは、起死回生の期待の星です。接種法が悪くて効果不十分となることは、許されません。

その点を考慮してテルモは、針を長くした製品を量産するとのこと。でも市場に出回るまでに時間がかかる。

今後1年で2千万本生産するそうですが、それとて1千万人分にすぎません。なかなか戦力にはなりませんね。

また、従来のインスリン用注射器が不足するようなことになると、糖尿病の患者さんが困ります。

やはりここは、妙な色気を出さず、規定通りに確実に接種するのが肝要。無理をしないでいきましょうよ。

とは言え、7回打てると聞かされてしまうと、5回しか接種できないシリンジを使うのは気が引けますね。

井の中の蛙、共通語を知らず

手指消毒用エタノールの押売り(国による優先供給スキーム3月分)メールが届きました。懲りませんね。

いつもの「サラヤ ヒビスコールSH ポンプ付1L 1本4,378円(1〜4点ご購入時、税込、配送料込)」です。

どうしてこのような、市場価格よりも格段に高い製品を、優先だと公言(広言・巧言)して売りつけるのか。

最初に設定した価格から変更することが、お役人にはできない事情でもあるんでしょうか。

だいたい、スキームなんてエラそうな言葉遣いがもう、いただけません。計画とか政策とか言えばいいのに。

「スキーム(scheme)」に近い言葉に「スキーマ(schema)」があります。図解とか計画の意味です。

そのドイツ語「シェーマ(Schema)」なら、私は以前からよく使ってきました。

一般的なのかどうかは知りませんが、「シェーマで示します」なんて表現を、医者や研究者は頻繁に使います。

それと似た音がするドイツ語に「シェーレ(Schere)」があります。手術用のハサミのことです。

大学や医局による違いもありますが、私が育った医学部では、この表現が標準でした。

いや、「シェーレ」と正しく言う医者は少数派で、おおかたは「セーレ」と言ってました。

前者が方言っぽく聞こえるので、勝手に「洗練」させた歴史があるのかもしれません。

ところで20年以上前、私と先輩医師が2人で九州を出て、四国の医科大学(当時)に一時赴任したときのこと。

手術中に「セーレ!」と言っても、まったく通じない。この時、セーレが共通語じゃないことを悟りました。

狭い社会にずっと留まっていてはいけない、外に出なければわからないことがあると、思い知った話です。

地図を眺めて妄想に入り込む

幼少期から地図を見るのが好きでした。なので今でも時々、GoogleMapであちこちトリップしています。

ジブラルタル海峡と津軽海峡、どっちが狭いんだろう。今日はその疑問を、Google先生にぶつけてみました。

検索窓に、「ジブラルタルか」まで入れたら、「ジブラルタル海峡 距離」っていう項目が出現。これは親切。

それを選択してみると、最上段の「回答」には地図入りで「11,119km」とありました。1万?km?

よく見ると、熊本県熊本市東区上南部からジブラルタル海峡までの距離らしい。そんな情報は要りませんが。

気を取り直して2段目の回答(Wikipedia)を読むと、14kmだと判明。やっぱり津軽海峡より狭いんですね。

こう狭いと、橋を架けるかトンネルを掘りたくなりますよね。と思ったらすでに工事中ですか。

九州で言うなら、橋を架けたいトップは天草(下島)と島原の間でしょうね。あと天草–長島間も捨てがたい。

平戸から五島は、ちと遠いか。陸路で繋げたらまさに「Goto(五島)トラベル」(これが言いたかった)。

プレートが移動しているので、海峡は今後、徐々に広がるか逆に狭くなって衝突するかの、いずれかでしょう。

そんな風に地図を眺めていたのか、アフリカの左側に南米の右側がピッタリはまることに気付いた人がいます。

ある学者のアイデアだそうですが、ウェゲナーが「大陸移動説」を提唱するのはその300年後のことらしい。

でも大陸移動説ですら、世の中で広く認められるようになったのはウェゲナー没後、つい数十年前のことです。

「パンゲア大陸」が分裂していまの大陸を形成したというのが定説ですが、また数億年後には再結合するとか。

大西洋が閉じるか太平洋が閉じるかの2説あるそうで、後者の場合、超大陸「アメイジア」ができます。

アメリカ大陸とアジアが結合するとなると、日本は米中間の緩衝帯としての重責を担うことになるでしょう。

もうその時は、日本国内の全ての海峡も島もくっついて海は消失しているので、橋もトンネルも不要です。

天災は、いつ来るか

「熊本市ハザードマップ」が、クリニックに今日届きました。

コロナ禍のさ中、なぜ今なのか。熊本地震から5年、東日本大震災から10年の節目だからでしょうかね。

市のサイトを見ると3月5日付で、「ハザードマップを令和3年3月中に全戸配布します」とありました。

コロナで市役所も忙しいでしょうに、恐れ入ります。

その大きな冊子をパッと開くとちょうど、「布田川・日奈久断層帯地震」のマップが目に付きました。

この断層こそまさしく、あの熊本地震を引き起こした断層じゃないですか。久しぶりにその文字を見ましたね。

なんとマップは、平成23年3月作成。熊本地震よりも前、たぶん東日本大震災の直後に作られたようです。

ほほう。熊本地震よりも5年も前にはすでに、あの断層は危険視されていたというわけですか。

ところがよく見ると、マップの上には「今後30年以内の地震発生確率 ほぼ0%〜6%」とある。ありゃりゃ。

せっかくマップで「ココが危険」と言いながら、「でも地震は起きませんけどね」と付け足してるのと同じ。

熊本で巨大地震が起きることなんてほとんど想定させない、むしろ油断しそうな数値じゃないですか。

どうして地震後にマップを修正しなかったのでしょう。しかも今になってそのまま配るとは大胆ですね。

でもその「ほぼ0%〜6%」を見ていると、天災って予測するのが難しいんだなと、改めて思いました。

想定不足を反省する意味で敢えて残した、他山の石としての「ほぼ0%」表示なのかもしれません。

緊急事態宣言は、ただ延長するだけじゃダメですからね

東京、神奈川、埼玉、千葉に発令されていた緊急事態宣言はやはり、21日まで再延長されることになりました。

宣言が出された1月7日頃に比べれば感染者数は激減していますが、いま解除すべきじゃないという判断ですね。

病床使用率がまだ高いことや、感染者数の減少が鈍化していることを考慮したものでしょう。

この緊急事態宣言や、それに伴う時短営業や自粛が守りの感染対策なら、攻めの対策はワクチン接種です。

全国に人口比例で配分しつつあるワクチンですが、この際、思い切って首都圏を優先したらどうでしょう。

もちろん、熊本にも十分に配分してもらいたいところですが、日本全体の感染抑制の方がもっと大事です。

ワクチンは、人口比ではなく感染者数に比例した配分の方が理にかなってると、私は思います。

さて、緊急事態宣言を延長したからには、その2週間で何をするのか、その具体的な内容が重要です。

首相は「状況を慎重に見極めるための2週間」だと言いますが、まさか言葉通りの様子眺めじゃないですよね。

国民はもう、今まで通りの生活しかできませんから、国や自治体が変わらなきゃだめですよ。

PCR検査や積極的疫学調査の規模を拡大するなんて言ってますね。それが本当に具体的に進むことを願います。

延長は困ると嘆く人もいれば、2週間程度の延長では生ぬるいという専門家もいます。

何が正しいかは分かりませんが、あの延長は有意義だったね、と後で思える2週間であってほしいですね。

目を休めれば脳も休まる

診療中の電子カルテ操作を含めると、驚いたことに私は毎日16時間以上、Macを触り続けているようです。

もちろんパソコンのMacです。バーガーを触り続けてたらオカシイでしょう

いまの世の中の人々(とくに若者)の多くは、パソコンではなくスマホを、ほぼ一日中触っていますね。

ごくまれに電車に乗ると、乗客の9割方がスマホをいじってる。他の場所でも、似たり寄ったりです。

SNSか、音楽聴いてるのかゲームしてるのか、とにかく、何もしないでボーっとしてる人などほぼ皆無です。

私はそんな時、たまにメールチェックなどすることはあっても、基本的には目を閉じて黙想するタイプです。

視覚からの情報量はとても多いので、閉眼するだけで脳はずいぶん休まり、疲れもとれます。

環境音は聞こえているのだけど、それが気にならなくなって眠くなります。これはまさしく至福の時です。

それなのに今の人はどうして、時間さえあれば目からの情報を吸収し続けるという苦行を選択するのでしょう。

あ、そうか。私も自宅ではずっとMacしてますから、人のことは言えませんか。

スマホもケータイも無かった頃の電車や待合室などでは、人は本や雑誌を読むか、閉眼するかの二択でした。

その頃から比べると、現代人の脳に入る視覚情報量は飛躍的に増えたわけです。そりゃ、疲れるでしょう。

最近、朝の二度寝をしてる時などに、覚醒度が高まるまで目を閉じたまま、Clubhouseを聴いたりしています。

情報密度が低い分、ボンヤリした頭でも楽に聞けるので、早朝にうってつけのSNSだと見直したところです。

家で機内食を食べたっていい!(ぺこぱ風)

ANAの国際線エコノミークラスの機内食のネット販売が、大ヒットしています。

最初は、わずかでも利益を上げるとともに、雇用維持やフードロス対策も兼ねた取り組みだったはず。

ところがこれが図らずも、ANAファンあるいは航空旅行ファン(機内食ファンも?)の心を捉えたようです。

昨年12月11日発売の第1弾は、和食・洋食・子ども用のメインディッシュが4つずつ、計12食のセットでした。

この2100食分が数日で完売し、12月22日と1月18日の発売分各1000セットも、すぐに売り切れました。

1月の分は私も買いました。自宅で冷凍保存し、ときどき食べています。

「脳内旅行」をしながら食べれば、それなりに楽しい、一種の「行楽弁当」のようなものです。

あまりにも大人気なので、最近は毎週水曜日に発売していますが、いつも1時間以内に完売となるようです。

今日もすぐに売り切れ。アクセスが集中して買うことができなかったANAファンからは、苦情が出ています。

次は3月10日(水)発売らしいですけど、そんな風に日付を予告するからアクセスが集中するんじゃないの。

混雑緩和策は簡単。次回の販売が何月何日であるかを、あらかじめ伝えないことです。

ところで、ANAは「潜入!ANA機内食工場見学と機内食の秘密ツアー」なんてのも、企画してしまいました。

オンラインツアーです。機内食の製造工程をビデオで見たり、ANA総料理長とZoomでチャットするとか。

一般視聴者枠300人のほかに、機内食付き100人枠があり、あらかじめ機内食が送られてくるようです。

昼に気付いたツアーですが、夜帰宅後に見たら、その100人枠は埋まっていました。ま、悔しくはないけど。

「わざわざあまり美味しくないものを食べたいというのは、理解に苦しみます」とホリエモンは言います。

美味しいかどうかの問題じゃないのです。それどころか、ファンにはそれなりに美味しく感じるのです。

プライベートジェットを乗り回す人間から見れば、ANAに乗る人間の気持ちすら、わからないのでしょうね。

温度が上がってダメになったワクチン

新型コロナワクチンを保管していた冷凍庫が故障して、172バイアルがムダになったとは残念なニュース。

(追記:その後の調査では、冷凍庫の故障ではなく、電源に問題があったようですが)

この手の特殊な冷凍庫や冷蔵庫は、庫内温度の記録が残るようになっています。

それによると、金曜の深夜から温度が上がり始めていたようで、月曜には27度。これはどうしようもない。

このワクチンの保管条件は、マイナス25〜15度でも2週間まで保管できるように緩和されたばかりでした。

土曜の朝、誰かが温度計を見ていれば、もしかするとまだマイナス15度以下で、間に合ったかもしれません。

月曜まで気付かなかったのはなぜなのか。先行接種を実施するレベルの医療機関にしては、お粗末です。

いったん「解凍」すると、2〜8度の保冷庫(冷蔵庫)で5日以内の保管が可能ということになっています。

一般の医療機関では、配送されたワクチンを冷蔵庫に保管して、その4日後までに使い切ることになります。

熊本市では、各医療機関での保管期間が最長でも4日以内となるよう、週に2回の配送が計画されています。

最終的に問題となるのは、接種する医療機関の冷蔵庫の品質は確かか、取り扱いは大丈夫か、ということです。

当院ではコロナ専用の冷蔵庫を準備する余裕はないので、他のワクチン用の保冷庫を共用することになります。

最大でも4〜10バイアル程度の保管ですが、扉の開け閉めは最小限にして、庫内温度に注意したいところです。

保冷庫の中に、さらにクーラーボックスを入れるなどの工夫も有効かもしれませんね。

残念ながら、当院の保冷庫では庫内温度の記録が残りません。いま現在の温度が分かるだけです。

なので夜間や休診日に停電が起きてなかったか、その確認が重要だと思っています。

知らぬ間に一時的に温度が上がってワクチンがダメになっているのに、それに気付かず接種するのが最悪です。