季節はずれのRSウイルス感染症大流行

「RSウイルス感染症」がいま、熊本で大流行しています。

この感染症は例年、秋口から冬に流行し、インフルエンザが流行り出すとまるで道を譲るように影を潜めます。

ところが今期は、そのライバルのインフル不在をいいことに、年明けからぐんぐん増えてきました。

いま3歳以下の、高熱+ひどい咳、のお子さんの大半は、RSウイルス感染症かもしれません。

いや、大きな子でも大人でも、病状は軽くてもRSウイルス感染による咳をしている方がいるかもしれません。

あちこちの保育園で流行しているので、「園で検査するように言われた」と来院する方が毎日何人もいます。

しかし、要望されたからといって検査(鼻咽腔ぬぐい液による迅速検査)するわけではありません。なぜなら、

(1)1歳以上では(原則として)検査に保険がきかない

(2)RSウイルス感染に特効薬はなく、RSであろうとなかろうと治療法は病状に応じた対症療法になる

ということで当院の場合、すぐに検査をするのは、0歳で高熱で呼吸音や顔色が悪い子などに限定しています。

3歳未満の子は医療費がタダなので、気軽に検査を希望する親御さんがいますが、そういう訳にはいきません。

1歳以上だと保険がきかないので自費診療となり、乳幼児医療の恩恵もなくなって窓口負担が生じます。

自費診療と保険診療を併用する「混合診療」は禁じられているので、規定により医療費は全額自費になります。

RSウイルスの検査をしたばっかりに、驚くほど高額な医療費を窓口で支払うことになりかねないのです。

そのような医療制度でありながらしかし、現実には必要に応じて1歳以上でもRSの検査を行うことはあります。

保険が利かないし、しかし混合診療にもできないので、結局、医療機関がサービスで検査しているのです。

園の要望だから検査するのではなく、その子の診断を確定させて納得して治療をしたいがための検査です。

当院に限らず多くの医師が、そのようなサービス検査をしているのが現状です。これは本当に問題なのです。