新型コロナワクチンは各地で「先行接種」が始まり、次いで行われる「優先接種」への準備も進んでいます。
医療従事者に接種するワクチンは、来月第1週に500箱、第2週にも500箱ほど、全国に配分される予定だとか。
2週で1,000箱、1箱に195バイアル(瓶)、1バイアル6回分とすれば、2週で117万回接種できる皮算用です。
この供給ペースではしかし、470万人の医療従事者に1回ずつ接種するのに、約8週間かかる計算になります。
規定回数(2回)の接種を終えるまでには16週間(約4カ月)かかり、接種終了は6月末になってしまいます。
その次の優先順位の高齢者は3,600万人。同様に単純計算すれば、接種に2年以上もかかってしまいます。
はてさて、その次の基礎疾患を有する方や、さらにその次の一般国民は、いったい何年後に接種できるのか。
もちろん、他社製ワクチンも加わり、国内製造も始まれば、ワクチン供給量はぐっと増えることでしょう。
となるとこんどは、接種現場のキャパを考える必要があります。
季節性インフルエンザワクチンは例年、約6千万回分の接種が、10〜12月の3カ月で集中的に行われています。
新型コロナワクチンでこのペースが可能なら、約半年で日本人の半数に2回ずつ接種することができます。
実際には、インフルよりもずっと気を遣うし手順も面倒で、1回の接種に要する時間もだいぶ長いでしょう。
おおむね2倍の所要時間を想定すると、国民の半数が2回接種するのに、約1年ほどかかると推測できます。
必要数のワクチンを迅速に輸入できるかどうかはさておき、接種体制は十分に練り上げておくべきでしょう。
ワクチンが入手できたのに、流通過程や現場で接種が滞るようなことだけは、絶対に避けなければなりません。