余人をもって代えがたい「失言王」

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。女性は競争意識が強い(略)それでみんな発言する」

このような、東京五輪組織委員会の森喜朗会長の発言が、波紋を広げています。

発言に異を唱えなかったJOC委員らの姿勢も含めて、もはや日本全体が、欧米からの非難を浴びています。

森氏の女性蔑視が第一の問題ですが、民主主義(=理事会での活発な発言)も気に入らないのでしょう。

多くの「失言」がしばしば、その人の本音や価値観をそのまま(うっかり)吐露した結果です。

今回も、言い間違いや勘違いじゃないので、発言そのものを撤回したところで、発言の真意は消滅しまません。

とは言え多くの人間には、程度の差こそあれ「裏表」があると、私は思っています。

ですが、教育や経験によって醸成された常識や良心によって、発言をコントロールできるのが大人です。

酩酊時や、諜報機関に捕まって特殊な薬剤を盛られたときにだけ、そのコントロールが外れてしまうのです。

森氏のように、つねに言いたいことを言ってしまうのは、それが森氏の「裏」ではないからでしょう。

非常識な本音を「表」として放言する生き方をしてきたので、それを抑制しようという発想がないのです。

周囲の取り巻きには、彼に諌言する者がいなかったとも言えるでしょう。言うなれば裸の王様です。

それだけの批判を浴びながらも、「余人をもって代えがたい」ので会長職を続投する(してもらう)方向とか。

東京五輪という国家的プジョジェクトの中心人物として、代えられる余人がいないことがまた、問題ですね。