「ニギニギ」するだけで血圧が下がる

NHK『ガッテン!』の今日のテーマは「一酸化窒素(NO)」でした。

たった2分間、手を「ニギニギ」するだけで血圧が下がるという、ガッテンらしい「触れ込み」です。

ああアレかと、「ニギニギ」によって血管拡張物質が出たんだろと、そう思った人は、すばらしい。その通り。

ならば、役人の子とサラリーマンの子の血圧にも違いがあるはずだと、私などはそう考えてしまいます。

さて、スタジオのゲスト3人が「ニギニギ」前後の血圧を測ってみたわけですが、そのクダリがいけません。

まず、ビフォア血圧を測ると、島崎和歌子118/86、大島麻衣180/125、木村祐一213/131って、高すぎ!

そして期待のアフター血圧が、島崎113/78、大島180/126、木村182/114。う〜ん、微妙。

ニギニギで血圧が下がることを実証してみせるつもりが、ほぼ放送事故レベルの結果ですよ。よく放送したね。

ところが番組では、島崎「下がりました」、大島「変わらないです」、木村「下がった下がった」と自己評価。

立川志の輔も、島崎には「わずかでも」、大島に「はいはいはい」、木村に「いやいやいや」と言うしかない。

初めから、ニギニギで血圧が下がるという結論ありきの番組なので、いまいちな結果が出ても押し通します。

そもそも、たった3人の1回限りの測定でニギニギ効果を検証しようということ自体に、無理があるのです。

血圧は、体動や緊張によって容易に変わるので、1回目の測定よりも2回目の方が低くなりがちです。

今回のゲストの測定でも「2回目効果」が加味されていた可能性まで考慮すると、ニギニギ効果は不明です。

何の説得力もない「実験」結果を、もっともらしくテーマに結びつけてしまうのが、この番組の問題点です。

「NO」が本来持つ、きわめて重要な生理学的・薬理学的作用が、むしろぼやけた気がしました。