「鰻量/値段」比一定の法則

数年前に自宅近所にできた「ステーキ店」は、残念ながら二度と行きたくない店でした。詳しくは書きません。

その場所が最近、別形態の店舗になったので、恐る恐るテイクアウトを食べてみましたが、これも厳しい。

どうしてこのように、同じ場所の店舗が次々とダメなんでしょうね。

経営者が同じなのか、立地が悪いのか、まさか、その土地に何か因縁でもあるのか。

中華料理店になったり焼肉屋になったり、なぜか店舗がすべて短命で終わる場所も、職場の近くにあります。

逆に、期待してなかった店が「当たり」って時は嬉しいですね。

コロナ禍なので外食する勇気はまだありませんが、出前やテイクアウトで新しい店を開拓するのは好きです。

少し前に開店した近所の「鰻屋」の弁当が、最近の私のお気に入りです。なにしろ旨い。

この店では、「上」の値段は「並」の2倍ですが、鰻の量も2倍です。たぶん他の店でも同様でしょう。

鰻屋では一般に、「並」「上」「特上」の違いは鰻の量の違いでしかなく、「鰻量/値段」比は一定なのです。

ところが先日「上」弁当を頼んでみたら、鰻量は多いけどご飯が少なくてガッカリしました。

そうか、ケース(弁当箱)が同じサイズなので、鰻が多くてもご飯は増やせないわけか。これは盲点。

というわけで、今日はケチケチなリベンジを試みました。

「上」の代わりに「並」を2人前注文したのです。「上」と同じ価格と鰻量なのに、ご飯は2倍ですから。

お店には申し訳ないですが、次からもこの作戦でやらせていただきます。

憂いがあるから備えるのか備えないのか

いま10都府県に発令されている緊急事態宣言が、首都圏を除く6府県で明日、解除されることになりました。

これによって、感染防止対策が段階的に緩和されていくわけですが、感染再拡大の懸念はつねにあります。

今後は各自治体が臨機応変に、迅速に、その都度細かい対策を行うことになるのでしょう。

熊本県の新型コロナウイルス感染者は、今日も0人でした。過去1週間でわずか2人。ずいぶん減りましたね。

もちろん人は移動するので、首都圏などの感染者数がもっと減らない限り、まだまったく油断はできません。

とは言え、当院の発熱外来受診者も「激減」しており、肌感覚で、コロナ収束が見えてきた気がします。

一気呵成にワクチンを接種すべきなのは、まさにこういうタイミングなのですが、ワクチンが足りません。

GDP世界第3位の大国だというのに、自国でワクチンがまだ作れない。他の先進国に頼る始末です。

目の前の災難には、猛烈な集中力と協調性を発揮する日本人ですが、将来のために備えることが不得意です。

起きて欲しくないことは口にすることも忌み嫌う、「言霊の国」ゆえの特性なのでしょうか。

何かに備えること自体に憂いを感じてしまう。科学が指し示す予測よりも、情緒や人の和が大事なのです。

副作用っぽく報道された映像に恐怖を感じて、毎年3千人が亡くなる感染症を予防するのをためらう日本人。

もう、くどいように書き続けていますが、HPVワクチン、打ちましょう。

高1の方は、2回目までを定期接種(無料)にするためには、今月中の接種開始が必要。明日が最終日ですよ。

新型コロナワクチンに限らず皆さまに知ってほしいこと

「新型コロナワクチンについて皆さまに知ってほしいこと」

このようなタイトルの2ページのパンフレットを、首相官邸と厚労省が先週からサイトに掲示しています。

そこに記載された7つの項目をご紹介しつつ、ついでに厚労省に言いたいことなどを併記しておきます。

(1)「新型コロナワクチンは、発症を防ぐ効果が認められています」

2回接種の有効率が95%だと。そう書くならば、「1回接種でもOK」なんて妙なことは言いっこナシですよ。

それでなくても未知の部分があるワクチンですから、ともかく最初は、治験通りに接種することです。

(2)「新型コロナワクチンは(略)医療機関の負担を減らすための重要な手段にもなります」

重症者や死亡者を減らすと書くのはいいけど、医療機関云々は余計。まるで病院のためのワクチンに聞こえる。

(3)「どんなワクチンでも、副反応が起こる可能性があります」

HPVワクチンの副反応騒ぎを真に受けて、定期接種を事実上中止しておきながら、どの口がそう言いますか。

(4)「新型コロナワクチンの承認後も、継続的に安全性を確認します」

何が起きても、メディアが騒いでも、冷静に、客観的に、科学的に評価することを忘れないでくださいね。

(5)「新型コロナワクチンの接種には、優先順位があります」

接種現場としては、「基礎疾患を有する方」かどうかの確認で混乱しそうな予感。ま、だいぶ先の話ですが。

(6)「新型コロナワクチンは、誰もが全額公費(無料)で受けることができるようにします」

ついでに、高齢者への肺炎球菌ワクチンの接種も無料にすればいいのに。コロナの二次感染予防にもなります。

(7)「ワクチンについて、正しく知ったうえで、判断しましょう」

「ワクチン接種のメリットが、副反応といったデメリットよりも大きいことを確認しています」だと。

新型コロナワクチンよりもずっと厳密な治験を終えて、すでに世界中で接種されているのがHPVワクチンです。

無事コロナが終わったら、次は真面目に、HPVワクチンの接種を推進すべきでしょう。

優先接種の対象者は、見直さなくても良いのか

「高齢者へは4月12日開始」という菅首相の発言に続いて、河野大臣が接種スケジュールを明らかにしました。

まず4/5の週に、東京・神奈川・大阪に4箱ずつ、他の道府県には2箱ずつ、計100箱を発送する予定だと。

このワクチンの接種を4/12から接種すれば、高齢者5万人の2回分の接種に相当するという説明です。

翌週は全国に500箱、その次の週にも500箱、ここまでがおそらく「4月中」に接種できる数量となります。

全部で1,100箱。全国3,600万人の高齢者のうちの55万人の、2回分の接種に相当する量です。

ずっとこの調子だと、高齢者の接種だけで2年以上かかりますけどね。5月からのペースアップを期待します。

「年寄りよりも、若い人が先に打ったらどうなの」

そう言う高齢者の方が時々いますね。誰も大きな声では言いませんが、私もそれには一理あると思います。

高齢者への接種を優先する理由は、高齢者がコロナに罹ると重症化しやすく、死亡する確率も高いからです。

一方で若者は、どちらかと言えば軽症で死なない。そのかわり感染拡大への関与が大きいとされています。

ワクチンに「重症化予防」を求めるなら高齢者優先であり、それは病床ひっ迫を軽減する意義もあるでしょう。

一方で「コロナ収束」が目的なら、若者など行動半径の広い人から接種する方が効率が良いはずです。

たとえば、活動的な人に優先的に接種して、しっかり経済を回してもらうって考え方はどうでしょう。

飲食店をよく利用する人とか、人前で喋る人(?)とか、そんな人が真っ先に接種したらいいんじゃないの。

せっかく感染者が減ってきたんだから、この機にワクチンを感染再拡大を防ぐ切り札にしたいものです。

少数限定接種なのに「4月12日開始」ってぶち上げる

新型コロナワクチンについて、副反応は大丈夫か、自分の順番はいつになるのかなど、よく尋ねられます。

それに加えて、接種を実施する側としては、予約受付方法やワクチンの配送体制と接種の流れが心配です。

医療従事者が自分の勤務病院で同僚から接種を受ける形の先行接種は、おもに副反応を調べる意味があります。

次いで行われる予定の、医療従事者に対する優先接種も、まあ似たようなもので、スムーズにいくでしょう。

問題はその次。高齢者への優先接種です。ここからいきなり、問診の手間や所要時間が読めなくなります。

当院では日頃から、各種のワクチンを接種していますが、最近はHPVワクチンの筋肉内接種が増えています。

問診や聴診を終え、では接種しましょうという段になって、被接種者が袖をまくり始めます。

しかし今の時期の服装で、袖をまくって上腕の上の方の三角筋部分を露出することはほぼ、不可能です。

しょうがないので今度は、襟口を伸ばして肩を露出しようとしますが、それも無理。セーターが伸びるばかり。

結局、左腕をセーター等の袖から抜かなければなりません。ここまででだいぶ、若い人でも時間を要します。

セーターの下が下着だったりすると、あらかじめ肩を露出して順番を待つことはできません。

集団接種会場であればなおさら、片肌脱ぐなんて無理でしょう。接種には個室が必要になるかもしれません。

外国の女性の接種シーンをニュースで見かけますが、みなさん元々肌の露出が多いです。日本人とは違います。

そんなことを危惧しているところへ、菅首相は今日、高齢者への接種を4月12日に開始すると明言しました。

ワクチンの輸入計画も不透明だというのに、早々と予定通りの4月開始を確約するなんて、意地ですか。

「当初は、数量限定になる」と河野大臣もフォローしますけど、数量限定で開始して混乱を招きませんか。

これで明日からは、私も4月から接種できるんですかね、という質問に答えなければなりません。

今日は例外的な「祝日なのに休診日」なのでした

休診日なのに今日はネット予約の休止設定を忘れていて、受診予約を入れた方にはご迷惑をおかけしました。

当院は土曜・日曜・祝日診療を謳っており、定期休診日は火曜と金曜です。

では、火曜・金曜が祝日の場合はどうするのかというと、開院当初は診療していました。祝日診療優先でした。

当時は火曜半ドン・金曜休診だったのですが、その金曜が祝日なら診療したので、その週は週休0日でした。

しかし、たびたび週休0日になるような制度では、さすがに労務上も私の体力的にも厳しい。

ということである年、火曜の半ドンを全休(全ドン)に変え、火・金が祝日なら休診することに決めました。

これによって祝日に関係なく、火・金は必ず休診日、日・月・水・木・土は必ず診療日、となりました。

でも今なお、火曜・金曜日が祝日の時、当院を頼って予約を入れようとする方はいらっしゃいます。

わざわざ来院して、当院が休診であることに気付く方もおられるようです。ほんとに申し訳ありません。

今日はその「祝日なのに休診日」だったのに、私の設定ミスで、予約サイトが立ち上がっていたのです。

朝気付いて慌てて予約サイトを休診日モードに切り替えたのですが、すでに2名の予約が入っていました。

このお二人はおそらく、予約後に当院まで来院され、「あれ、休診じゃん」と帰宅されたのでしょう。

「ネット予約ができたのに休診って、どういうことよ」と思われたことでしょう。申し訳ありませんでした。

一方の方には電話連絡してお詫びしましたが、もうひと方への連絡ができませんでした。

今後このようなことでご迷惑をおかけすることのないよう、十分注意して確認を怠らないように致します。

機窓からのガクブル光景

新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の第2便が昨日、ベルギーから成田に届きました。

運んだのは<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3422.html" target="_blank" title="前回">前回</a>と同じANAの9648便で、機材も前回と同じJA891A(その後ジャカルタ往復したのも同じ)。

二度の重責を担うほどなので、よほど優秀な機材なんでしょう。B787-9 Dreamlinerの、まだ3歳。若手です。

一方で、飛行中にエンジンがバラけてしまったユナイテッド航空328便のB777-200は、26歳のご老体。

機窓から、火を噴きガクガク震えて壊れつつあるエンジンを見た人は、生きた心地がしなかったことでしょう。

それでも果敢に、動画撮影だけは忘れない乗客の根性はすばらしい。きっと事故原因究明にも役立つはずです。

ニュースを見ていて、以前当院で使っていた、ガクガク揺れながら激しく回る<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3139.html" target="_blank" title="遠心分離機">遠心分離機</a>を思い出しました。

エンジンでなくても、高速回転中の機械は大きな運動エネルギーをもっています。破損したら大惨事です。

まして、あのガクブルエンジンが破裂爆発したら、機体もただでは済まないでしょう。

件のユナイテッドと同系列エンジンを搭載したB777-200は国内に32機あり、すべて運航停止となりました。

そのうちの1機(JA8978:23歳)は、昨年12月にエンジン破損を起こした前歴があります(JAL904便)。

記事を読み返すと、那覇空港離陸の9分後に緊急着陸を宣言し、その30分後に空港に戻って着陸したようです。

爆発音に続き、破損した半裸のエンジンを晒して飛ぶとは、乗客にとって怖すぎる30分間だったことでしょう。

飛行機は安全な乗物だといいますが、万一の事故の際は、被害が甚大だし恐怖の時間も長いのです。

ともかく、事故原因を究明して再発を防ぐしかありません。どっちみちB777は、やがて退役なんですけどね。

というわけで、コミナティ不足問題を書くつもりでしたが、話が脇道に逸れたまま戻ってきませんでした。

接種後のアナフィラキシーには、ビビらないこと

米国CDCは、1カ月間に接種された新型コロナワクチンの、「接種後の健康への影響」を報告しました。

それによると、約1,380万回の接種後に、死亡した人が113人、アナフィラキシーは62件あったとのこと。

この数値を見て、アナフィラキシーどころか、死ぬ人が多いじゃん、ヤバくね?、と思う人もいるでしょうか。

死因を分析した結果、ワクチンとの「因果関係」はないことが判明しているので、そこは安心してください。

つまり、ワクチンを接種したあとで、たまたま別の原因(持病?)で亡くなったと、そういうことでしょう。

しかし、「前後関係」があるだけで関連性もあるかのような報道をしてきたのが、日本のメディアです。

例えばHPVワクチンは、ワクチン接種後に起きた異常な事象の映像を、テレビが繰り返し報じ続けました。

そこに因果関係があるかどうかの検証など無く、前後関係だけを強調して誤った情報を植えつける手法です。

ついには厚労省までが及び腰になり、積極的勧奨を中止してしまいました。それからもうじき8年になります。

この「失われた8年間 (以上?)」のせいで、将来何万人が子宮頸がんで死ぬのかと思うと、残念でなりません。

新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー発生率は、冒頭のCDC報告では100万回あたり約4.5件です。

日本でもその発生率なら、3月には毎週2,3人程度、アナフィラキシーが出てくることになります。

副反応騒ぎにすぐビビる厚労省が、新型コロナワクチンの接種を完遂できるのか、正直なところ私は不安です。

メディアの非科学的な扇情報道に惑わされず、あくまで科学的に、粛々と接種を進めてほしいものです。

いまのワクチン供給ペースでは、先が思いやられます

新型コロナワクチンは各地で「先行接種」が始まり、次いで行われる「優先接種」への準備も進んでいます。

医療従事者に接種するワクチンは、来月第1週に500箱、第2週にも500箱ほど、全国に配分される予定だとか。

2週で1,000箱、1箱に195バイアル(瓶)、1バイアル6回分とすれば、2週で117万回接種できる皮算用です。

この供給ペースではしかし、470万人の医療従事者に1回ずつ接種するのに、約8週間かかる計算になります。

規定回数(2回)の接種を終えるまでには16週間(約4カ月)かかり、接種終了は6月末になってしまいます。

その次の優先順位の高齢者は3,600万人。同様に単純計算すれば、接種に2年以上もかかってしまいます。

はてさて、その次の基礎疾患を有する方や、さらにその次の一般国民は、いったい何年後に接種できるのか。

もちろん、他社製ワクチンも加わり、国内製造も始まれば、ワクチン供給量はぐっと増えることでしょう。

となるとこんどは、接種現場のキャパを考える必要があります。

季節性インフルエンザワクチンは例年、約6千万回分の接種が、10〜12月の3カ月で集中的に行われています。

新型コロナワクチンでこのペースが可能なら、約半年で日本人の半数に2回ずつ接種することができます。

実際には、インフルよりもずっと気を遣うし手順も面倒で、1回の接種に要する時間もだいぶ長いでしょう。

おおむね2倍の所要時間を想定すると、国民の半数が2回接種するのに、約1年ほどかかると推測できます。

必要数のワクチンを迅速に輸入できるかどうかはさておき、接種体制は十分に練り上げておくべきでしょう。

ワクチンが入手できたのに、流通過程や現場で接種が滞るようなことだけは、絶対に避けなければなりません。

第一線病院の医療従事者へ、まずワクチンの恩恵を

医療従事者に対する、新型コロナワクチンの先行接種が、今日から熊本でも始まりました。

注射シーンが報じられていたのは、熊本総合病院の島田院長。接種後には平然と「痛くなかった」とコメント。

そんな瞬間に取材を受けて、「あいたたた」なんて言うわけにもいきませんからね。

この病院は最近よくテレビに出ますが、熊本市では知名度が低いのか、患者さんからよく尋ねられます。

まるで熊本市の中心部に存在するかのような「熊本総合病院」ですが、元の名前は「八代総合病院」です。

八代の病院なのに「八代」総合病院から「熊本」総合病院へ名称変更するって、なかなか大胆ですよね。

この病院を運営するのは「地域医療機能推進機構(JCHO:ジェイコー)」。理事長はあの、尾身茂氏です。

ボスが尾身氏なので、JCHO傘下の病院には、コロナ診療に対するプレッシャーもあったことでしょう。

ちなみに「九州病院」という、これまた九州の中心みたいな名称のJCHO病院も、北九州市にあります。

これは元の「九州厚生年金病院」で、私は卒業後3年目と10〜12年目頃、その心臓外科に勤務していました。

九州厚生年金病院は1955年に開設され、日本の心臓外科の黎明期を担った施設のひとつでした。

私が最初に勤めた80年代は、リウマチ性僧帽弁膜症の患者さんが多く、いまではとても考えられないことです。

小児心臓外科症例も豊富で、若手心臓外科医にとっては多彩な臨床経験を積める、バランスの良い病院でした。

疾患は変遷し、手術法も医療機器も進化しています。私の勤務医時代はもう、過去のものになりました。

しかし、元同級生の多くは今もなお、大学病院や中核病院の重要ポジションで、奮闘・活躍しています。

コロナ禍での病院運営は、並大抵の苦労ではなかろうと思います。彼らの健闘と健康を祈ります。