小さな部分に費やす労力が、全体の大半を占めたりします

「自治体の4割 “感染者から協力得られず調査に支障” 厚労省調査」

というニュースの見出しの「4割」に驚いてはみたものの、その数値にどれほどの意味があるのかと考えた件。

新型コロナ感染者に対しては、感染経路や濃厚接触者を特定するため、いわゆる疫学調査を保健所が行います。

しかしさまざまな理由で、感染者が調査に協力しない場合があることは、以前から問題になっています。

自治体のうち4割が、保健所の調査について「協力が得られず支障が生じた経験がある」と回答したようです。

調査対象とした155の自治体のうちの、回答のあった112件のうち48の自治体が、そのような返答だったと。

しかし、それぞれの自治体で、「疫学調査拒否」事例が感染者のどのぐらいの割合だったのかは、不明です。

たとえば拒否率が1割だったとしても、その自治体の回答は「協力が得られず支障が生じた経験がある」です。

112のうちの48自治体で1割拒否ならば、全体の拒否率は約4%と、単純に言えばそういう計算になります。

なので大事なのは、各保健所が、どのぐらいの回答拒否に遭って困っているかという、その具体的な内容です。

「自治体の4割」という表現はウソではなくても、感染者の協力拒否率が4割かとの勘違いを誘う見出しです。

とは言え、たとえ疫学調査に協力しない人が1割程度だったとしても、感染拡大防止の観点からは問題です。

少し意味合いは異なりますが、同様の苦労は私も経験します。PCR検査の結果を電話連絡するときです。

10人のうち、たった1人でも電話がつながらないと、その方のためにずっと電話し続けなければなりません。

その日のうちにお伝えしたい大事な連絡ですが、何度かけても、夜遅くまでつながらないことがあります。

たった1割の相手であっても、そこに費やす労力や全体に及ぼす影響は、とても大きいということです。