発熱外来においても、備えあれば憂いなし

「今日はどうしましたか」と尋ねると、「おなかが痛いですね」と、外国の方がよく言います。

どうしてでしょう。日本人が「おなかが痛いです」と言うところを、外国人は「おなかが痛いですね」と言う。

ある程度日本語のできる外国人にとって、「おなかが痛いです」と言い切るのは抵抗があるのかもしれません。

自分の訴えをわかってほしいという気持ちを、文末の「ですね」に感じます。

終助詞の「ね」には、同意要求のほかに、依頼・勧誘、情報提供、感動など、さまざまな意味があるようです。

外国の方は、言葉が伝わりにくい可能性を考えて、一生懸命伝えようと「ね」を付けるのかもしれません。

発熱外来では、電話で問診したり、対面でもマスクにフェイスシールドなので、聞きづらいことでしょう。

互いになるべく真正面に相対しないよう、顔の向きをずらしてしゃべる上に、私の滑舌も悪いですからね。

そんなわけで患者さんとの会話では、しばしば声が大きくなりがちなのが気になります。

コロナの抗原検査において、患者自身による鼻腔ぬぐい液の採取は「エアロゾル発生手技」ではありません。

ところが、鼻をモゾモゾするとクシャミが出ることがあり、その場合はエアロゾルが発生してしまいます。

なので私は常に、マスク、フェイスシールド、ガウン、手袋を装備して、不意のクシャミに備えています。

外国人の方や、少し耳の遠い高齢者、声が嗄れている方などには、かなり接近して会話する必要があります。

油断してクシャミを浴びないよう、その前兆察知と俊敏な横飛びには、最近だいぶ慣れてきたところです。