あまりにもインフルエンザが出ないけど、ホントなのか

毎年1千万人の日本人が罹患するインフルエンザと比べたら、コロナの流行なんてまだ小規模かもしれません。

毎年1万人が死亡(超過死亡)するインフルエンザと比べたら、コロナの死亡数はわずかかもしれません。

それなのにいま、コロナの方が例年のインフルエンザより深刻だと感じるのはなぜなのでしょう。

感染力が強い、特効薬がない、誰も免疫を持っていない、感染拡大が急激、インフルより合併症が多い・・・

いやもしかすると、単に、現時点でインフルエンザよりもコロナの方が感染者が多いからかもしれません。

今シーズンのインフルエンザ感染者は極端に少ないですね。報告数は例年の百分の1から千分の1レベル。

もしも例年通りの流行なら、この時期は毎日10万人以上のインフルエンザ感染者が出でもおかしくない。

ところが実際にはインフルエンザがまったく流行せず、相対的にコロナだけが目立っているという状況。

インフルが流行っていないのは、おそらくコロナ対策(マスク・手洗い、移動制限など)によるものでしょう。

ところが、その対策によってインフルが激減したのに、コロナはそこそこ流行しています。

ここで気を緩めたらインフルが流行り出し、コロナがさらに大流行する可能性があります。

仮に感染対策をゼロにしたら、インフルは1千万人、コロナはそれ以上の方が罹患すると考えるのが自然です。

今後もしもインフルの感染者が増えてきたら、コロナ対策が甘くなった兆候だと思わなければなりません。

その兆候を早くつかむため、というわけでもないですが、発熱者には原則としてインフルの検査もしています。

今シーズンいまのところ、インフル陽性が出たタメシがありません。出始めたらすごく面倒ですね。

24時間稼働・夜間検体回収可能なPCR検査センター求む

平日はともかく日曜日は、「発熱患者専用ダイヤル」から紹介されて当院を受診する方が多いですね。

鼻腔ぬぐい液を使った新型コロナの抗原検査は、インフルエンザの検査と同時に、当院内で実施できます。

一方でPCR検査は、院内で唾液を採取し、それを外部の検査センターに委託して検査する流れです。

PCR検査の結果が判明するまでに要する時間は、検体を採取する時刻と曜日によって異なります。

(1)平日朝検体採取→午前中検体提出→その日の夕方結果判明(FAXで連絡あり)→私が患者さんに電話連絡

(2)平日昼検体採取→午後に検体提出→翌日の昼に結果判明(FAX)→患者さんに電話連絡

(3)平日夕方検体採取→翌朝検体提出→夕方結果判明(FAX)→患者さんに電話連絡

当院の委託先では日曜日に検体を回収してくれないので、今日採取した検体は明日の朝提出となります。

実は、少々めんどうなのは休診日(当院では火曜と金曜)の前日(つまり月曜と木曜)の検査です。

おわかりでしょうか。私は休診日に3回ほど出勤しなければならないのです。

朝:前日夕方以降に採取した検体を、検査センターに提出する

昼:前日午後に提出した検体の検査結果がFAXで届くので、それを確認して患者さんに電話する

夕:朝提出した検体の検査結果がFAXで届くので、それを確認して患者さんに電話する

いや、こんなことはたいして苦にはなりません。こんな大変な時期に私の休日なんて無くても良いのです。

ただ、夜間に検体を提出できれば、検体採取から検査結果連絡までの流れがとても早くなるんですけどね。

理想的には、24時間稼働で夜間検体回収可能なPCR検査センターです。誰か熊本に作ってくれませんか。

奇声を上げて気勢を上げる藤井棋聖

蒲島知事は、11都道府県からの帰省を自粛するよう要請しました。わが家でも前からそのつもりです。

神奈川の孫たちは、まだ赤ちゃんもいるし、どっちみち移動はできません。

福岡の孫たちにも、今回はやめとけと、厳しく沙汰しています。帰省は規制するのが既成事実なのです。

新型コロナの特徴でもあり、日頃の診療でも実感するのは、若い人は症状が軽いということですね。

一時的な発熱や、ちょっとした頭痛、軽い倦怠感など、わずかな体調変化しかない方が多いです。

「若者を診たらコロナと思え」と言いたくなります。

体調不良者が発熱外来を受診してくれれば良いですが、症状が軽ければ一般外来を受診する方もいるはず。

いやむしろ、医療機関など受診せずに様子をみて過ごす若者の方が、もっと多いことでしょう。

新型コロナがどれほど怖い病気なのか、案外そうでもないのか、実のところはまだわかっていません。

長い目で見たら、新種の風邪で終わるのかもしれないし、深刻な合併症の多い感染症になるのかもしれません。

「正しく恐れろ」と言われますけど、どの程度の恐れ方が正しいのか、実は誰にもわからないのです。

なのでとりあえず、強めに恐れているわけで、それはある意味、妥当なリスクマネジメントだと思います。

何年か後に、あの頃は恐れすぎたね、と笑い話にするのなら良いですが、それを責めてはならないのです。

事実は予測よりも深刻なり

意外と減ったね、と思ってしまったのが、今日の東京都の新規感染者数664人でした。慣れって怖いです。

その意見が3割ぐらい共感できる、テレビ朝日の玉川氏が、今朝口にしていたので思い出したことがあります。

GoogleのAIによる「COVID-19 感染予測(日本版)」の存在です。

そのサイトで東京都の感染者数の予測を見ると、12/14時点での、12/15から1/11までの予測が出ています。

それによると予測値は、12/15:261人、12/16:520人、12/17:573人、12/18:645人、でした。

このうち12/15は火曜日なので報告数は少ないだろうと予測したようですが、実際には460という異常値。

翌12/16からの3日間の新規感染者の実数も、678、822、664、とGoogleのAI予測を上回っています。

早い話が、GoogleのAIを持ってしても予測できないほどに、日本の感染対策がダメだったというわけです。

このことはGoogle先生も早速学習して、次には修正した予測を打ち出してくるでしょう。

東京都の新規感染者数はさらに、12/21には千人を超え、12/27には2千人、1/1には3千人を超える予測です。

おそらく実際の感染者数が予測を上回ることは間違いなく、年末には東京の医療は崩壊の危機に瀕しますね。

なお、熊本県の予測値は意外と少ない数値のようですが、もちろん鵜呑みにはできません。

今後のさらなる対策の強化によって、AI予測値を下回る結果を出したいものです。

トラベルが悪いのではなく、会食で油断するのが悪いのです

菅首相が「Go To トラベル」全国一斉停止を発表したその晩、8人で「会食」していたとはガッカリですね。

国民に対する誠実さに欠けるだけでなく、この感染症に対する菅氏の認識の甘さを露呈してしまいました。

大丈夫だと思って会食する油断が、感染拡大の最大の要因の一つだと言うことを、わかってないようです。

たしかに、いくら大人数が集まっても、未感染者ばかりの集団からウイルスが湧いてくることはありません。

マスクなしで大声出して会食しても、参加者の中に1人も感染者がいなければ、感染は決して広がりません。

なので会食で感染したと思われる事例では、参加者の中に元々感染者が1人以上紛れていたということです。

しかもその感染者はたぶん、無症状だったのです。(感染を自覚して参加していたら、それはそれで大問題)

会食は、ただの3密とはワケが違います。飲食する際にはたいてい、全員が同時にマスクをはずすからです。

菅氏の会食メンバーの中に感染者がいた可能性は、高くはありませんが、ゼロとも言えない。

もっとも、参加者全員が70代から80代の高齢者ですから、感染していたら無症状では済まないでしょうけど。

無症状者の中に感染者がいる確率は参加人数に比例するわけで、だからこそ大人数の会食は危険なのです。

菅氏らは、自分が感染するという最悪の場合にどんな問題が起きるか、という想像力に欠けています。

そんな甘い考えだから、「Go To は感染拡大に関係ない」と言い張って最悪のタイミングまで引っ張るのです。

Go To 停止でキャンセルになった部屋を他の客に安く売るのは合法?

「Go To トラベル」全国一斉停止で、予約のキャンセルが殺到してるようですね。事業者の悲鳴が聞こえます。

特例的な支援として、事業者に対する補償の割合が、旅行代金の50%に引き上げられるとのこと。

ところで、旅行をキャンセルした人の、その理由って何でしょうね。

(1)料金の割引がなくなるんなら、旅行は中止っしょ

(2)この際、感染対策として旅行を控えようと思います

このうち前者が多いのなら、旅行業者には挽回策があります。

私が旅館の経営者なら、キャンセルで空いた部屋に、半額の料金で宿泊できるキャンペーンを打ちますね。

つまり、こうです。1泊1万円の予約をキャンセルされると、国からの補償が5千円入ります。

一方で、空いた部屋は「半額セール」とでも称して、5千円で売り出します。もちろんGo To の適用は無し。

旅館には合計1万円の満額が入るし、利用客もGo To 適用時並みの料金で宿泊できる、というわけです。

ただし、キャンセル客に、次のように特別価格での販売を持ちかけるのは御法度になるとのこと。

「いったん予約をキャンセルして、同じプランを再予約すれば、料金を半額にしますが、いかがですか?」

あくまで、同じ客にキャンセルと再予約を促してはダメ、ということなので、別の客なら良いのでしょう。

「キャンセル物件につき半額」みたいなセールが問題なければ、これは狙い目になるかもしれません。

もちろん、そんな裏技ばかりが横行すると、Go To トラベル停止の効果は減弱してしまいます。

「Go To キャンペーン」の制度設計が不完全なので、運用しても停止しても、ツッコミどころは満載です。

「発熱外来」と「一般外来」、いまのところ両立してますが

当院の診療は、なかなか「完全予約制」とはいきません。実態は「変形予約制+α」です。つまり、

(1)血液検査などが予定されている生活習慣病の方や予防接種の子どもなどは、前もって日時を決めておく

(2)その他の診療は、当日の朝からネット・電話・窓口で予約を受け付け、原則としてその順に診察する

(3)急病の方などの飛び入りもある

それらとは別枠でいま、毎日「発熱外来」の時間帯を設定し、いわゆる「発熱者」の診療を行っています。

発熱外来と一般外来とは、きちんと時間的・空間的に分離して、感染拡大を防ぐ必要があります。

しかし、発熱外来の時間帯に、喘息や腹痛や胸痛などを訴えて来院する急病の方も、いらっしゃいます。

そのような方はしばしば病状が切迫しており、「発熱者」よりもむしろ優先して診療を行う必要があります。

その結果、「発熱者」の方には、駐車場の自家用車内で、しばらくお待ちいただくことになります。

医師一人の診療所で、発熱外来と一般外来を両立させることは、このような運営上の苦労があります。

いまはまだ、それほど来院者は多くないですが、今後熊本でも「発熱者」が増えそうな雲行きです。

多くの医療機関が、発熱外来にますます多くのエネルギーを費やすことになるでしょう。

一般の、コロナ以外のすべての病気の診療に割くエネルギーが、その分、どんどん削られるということです。

外来レベルでの「医療崩壊」は、そんな風にジワジワとやって来るのかもしれません。

年末年始こそ、ステイホーム

「Go To トラベル」は、年末年始をまるっと含む12/28から1/11まで、全国一斉に一時中断となりました。

どうせ混乱するんだから、もっと早く中断してもよいと思いますが、27日までの「猶予期間」は何のため?

熊本県でも感染者が多く、ついに本日、リスクレベルが最上位の「レベル5 警戒警報」に引き上げられました。

「つきましては、感染防止のため、次の対応を行います」として、「最も重要なお願い」は次の3つ。

(1)症状がなくとも、マスクを着用してください。

(2)こまめな手洗い・手指消毒を行ってください。

(3)発熱時は仕事を休み、すぐにかかりつけ医等に電話相談を!

「熊本市民の皆様への3つのお願い」は、

(1)特に高齢者及び糖尿病や高血圧などの基礎疾患のある方とそのご家族の方は、感染予防を徹底しましょう

(2)職場内の感染防止対策を徹底しましょう

(3)会食は少人数・短時間で、会話をするときはマスクを着用しましょう

どのお願いも、半年前から耳タコな内容ばかりで新鮮味に欠けますが、たぶん徹底できていないのでしょう。

発熱外来に関連して、昨夜8時頃に保健所に電話をしたら、まだ皆さん残業中でした。日曜の夜ですよ。

聞けば10時頃までは仕事が終わらないとのこと。保健所の方々の仕事は、いつまでたっても減らないようです。

まさか年末年始も全員無休ってことはないでしょうけど、感染者は毎日出てますからね。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3352.html" target="_blank" title="HER-SYS">HER-SYS</a>」のような登録システムがあっても、結局は保健所職員が手作業で修正をしているそうです。

感染者の入院調整や濃厚接触者の追跡調査にしても、膨大なエネルギーを要する作業です。

熊本県では毎日30人前後の新規感染確認者が出ていますが、これが50人100人になったらどうなることやら。

医療崩壊よりも前に、行政が破綻しないか、心配になります。

新型コロナワクチンの副反応に、日本人は耐えられるか

新型コロナワクチン。ついに接種が始まった初日から、接種後のアナフィラキシーが2例も出てしまいました。

2名とも深刻なアレルギー反応の既往があり、アドレナリン注射液を携帯しているほどの人でした。

ワクチンは慎重に接種すべき人だったのに、初日から接種するとはチャレンジャーです。

そのようなワクチンですが、英国では粛々と接種が続けられているし、米国FDAも緊急使用を許可しました。

どのような医薬品にもアナフィラキシーを起こす危険性はある、と理解した上での冷静な科学的判断です。

しかしこれが日本で起きた事例なら、国内メディアは大騒動し、弱腰の厚労省は接種を中断することでしょう。

実際に来年日本でも接種が始まる段になって、市民団体が動きだし、国が接種を尻込みする可能性はあります。

現に、世界中で粛々と行われているHPVワクチンの接種を、日本は7年以上、実質的に止めたままですからね。

欧米人は、アナフィラキシー等の既往がある人だけ接種を控えればよいだろう、という合理的な考え方です。

ところが日本人はそのようにドライには割り切れず、怪しいものはともかく止めようと考えてしまいます。

日本人は、ワクチンで感染症を予防することよりもワクチンで副反応を起こさないことの方に関心があります。

副反応を減らすためなら予防が不十分でも構わない、というスタンスなのです。

新型コロナワクチンは、来年、数千万人単位の日本国民が接種することになるはずです。

それなりの副反応報告が相次ぐことでしょうが、ワクチンの目的を見失わないようにしなければなりません。

果たして日本人は、ワクチンのメリット(効果)とデメリット(副反応)を天秤に掛けることができるのか。

世界中で日本だけが、新型コロナワクチン接種の一時ストップなんて愚行に走るような気がしてなりません。

来年は、新春初売りが1月4日でも我慢します

「勝負の3週間」の終盤にもかかわらず、新型コロナ感染者数が過去最多を更新する勢いが止まりません。

コメンテーターや街の人々は口々に、政府の警告が「響かない」「刺さらない」からだと不満をぶちまけます。

「響かない」「刺さらない」と思っている方へ。それは、アナタ自身の緊迫感が足りないことの裏返しでは?

政府の言うコトが刺さろうが刺さるまいが、アナタの行動には何の関係も無いことでしょう。

他人のせいにせず、自分や家族や友人や職場の同僚の中にスキはないか、あらためてチェックしてみましょう。

とは言え、首相や大臣たちは、いまだにボンヤリしたコトを言ってますから、国民にも響きようがありません。

都知事もいつも冷静な発言に徹してますが、その他人事のような冷静さが逆効果だってことに気付かないのか。

もっと殺気立って、声を荒らげて、尋常ならざる激しい剣幕で、国民にアピールできる人はいないんですかね。

日本人お得意の精神論だけではダメです。強制力のある規制が必要だし、同時に、しかるべき補償も必要です。

忘年会、クリスマス、帰省、初詣、初売り、新年会、どれをとっても感染を拡大する要因にしかなりません。

じゃあ、どのような具体的な解決策があるのか。行政も国民も、それぞれ知恵を絞らなければなりません。

昭和の時代のように、小売店の初売りは1月4日にするとか、それぐらいの大胆な発想もありじゃない?