ファイザーが開発した「新型コロナウイルスワクチン」が英国政府に承認され、来週にも接種が始まります。
このワクチンは安全かつ有効だといいますが、手放しで喜んでもよいものか、気になることは山ほどあります。
「mRNAワクチン」という、まったく新しいメカニズムで効くワクチンです。
従来のワクチンのように、ウイルス(の一部)を体内に注射して、免疫反応を引き起こすものではありません。
ウイルスの遺伝情報を体内に注射して体内でウイルスの一部を作らせ、それに対する免疫を誘導するものです。
新たな理論で作られた史上初のワクチンが、異例のスピード承認を得て、もうじき世界中で使われ始めます。
時間をかけて研究をし、治験を行い、じっくりと検討を深めるべき医薬品ですが、今回はなにしろ急ぐのです。
急性期の副反応だけでなく、長期的な副反応の懸念もありますが、使いながら考えようというわけです。
これまでにも、研究機関や企業は必要に迫られて瞬発力を発揮し、科学技術を進歩させてきた歴史があります。
コロナ禍がまさに、世界の科学技術研究に飛躍をもたらすきっかけになったことは、間違いありません。
これを「必要は発明の母」というのか、「火事場の馬鹿力」と言うべきか。
ファイザーのワクチンは、来年には日本にも供給され、一定の優先順位のもとで接種が行われる予定です。
最初に接種を受けるのは、高齢者や医療従事者になりそうです。私も早めに接種を受けたいと思っています。
ワクチンへの懸念はゼロではありませんが、それよりも私は、可能な予防法は全部試したいからです。
十分な中和抗体価を確認した上で、不安なく診療できる日が早く来ることを願っています。